桐箱は一升酒にとって大切な器だ。
さすが食のプロだ。
器の重要性を熟知されている。
三代目の器を企画するに当たり、
SUBARUはデザイナーにアンドレアス ザパティナスを起用し、
彼のデザインによる、
革新的なモデルチェンジを断行した。
このSーGTも魅力的だった。ナローボディにターボエンジンを詰め込み、軽量さが売り物だった。
もしこの器にSTIのチューンドエンジンを積めば、ニュルブルクリンクでWRX STIより速いタイム叩き出すだろう。
なぜならばS-GTは前面投影面積が少なく、上手く空力処理するとSTIより空気抵抗が少ない。
ニュルのように特殊なサーキットでは、ナローボディの方が有利だ。
そんな事を考えていたら、ナローボディで展示場を溢れさせたくなった。
店頭に並べる四代目インプレッサは、とっくに準備を終えていた。新型で消滅するモデルをまとめて用意した。
ベネチアンレッドに乗っておきたかった。
流通している四代目の中古車は非常に少なく、新車で買うほうが手っ取り早い。
そこで以前から「良いな」と思っていた車種を、まとめてオトナ買いした。
これほどバランスの良いクルマは久しぶりで、それまでのSUBARUファン以外のお客様に、SUBARUの良さを知らせる役割を担った。
スバルの歴史において、インプレッサは常に何か神がかりを感じさせる。
ダイナミック&ソリッドと比較すると、これは過渡期のデザインだったが、その過渡期の良さが随所に出た。
更にこれをベースにしたXVも強烈に格好良い。ショール-ムにいつも置きたいクルマだと言える。
もう作る事の無いマニュアル5速も魅力だった。ベネチアンレッドと、レザーシートを組み合わせた今選べる最上級のインプレッサをショールームに置く。これも男のロマンだ。
マニュアルを何よりも好むお客様は日本中に居る。だから最近は遠方からも来場者も多い。彼らの気持ちを想像すると、シルバーも1台欲しくなった。
最終型にアイスシルバーが似合う。それを作ってもらうなら、このシリーズがデビューした時、一番始めに乗ったブラックシリカも置きたくなった。
ちょっとセンチメンタルな気持ちになって、マニュアルばかり3台揃えたなら、オートマも並べたくなった。よく考えたらアイサイトが1.6リットル車にもついて、とても買いやすくなったはずだ。
ましてやいつも最後の特別仕様車が超お買い得だと決まっている。パールホワイトのプラウドエディションを並べたくなった。その時に価格表を見てびっくりした。
プラウドエディションがよく売れたはずだ。メチャクチャお値打ちじゃ無いか。
欲が出て一番お買い得な2WDのブラックシリカを置く事にした。ヒヒヒヒヒ、インプレッサだらけになった。こいつはドアハンドルがメッキタイプで、何となく全体がオシャレじゃないか。
まだムラムラしていた。工房の前には、これから仕上げる予定の初代WRXーRAが置きっ放しになっている。
古い高性能車を仕上げるためには、十分な時間と予算が必要だ。
中途半端に仕上げては、このクルマが可愛そうで見ていられない。
またRAなどというスパルタンなクルマを、初心者や女性に簡単に売るわけには行かない。
前に伝えた事があるので、覚えている人も多いだろう。
初代と三代目の導入時には、1.5リットルエンジンを搭載した、最も軽いマニュアルミッション車を選んだ。
それを思い出したら、胸の中で野望が渦巻いた。
ゲヒヒヒヒ、FFのインプレッサを浴びるほど買ってこよう。念願が叶い三代目インプレッサの軽量モデルが揃った。もう「ウハウハ」だ。
黒いプレミアムパッケージまで見つけちゃったからさ。
その上更にトピックが舞い込んだ。
最新の器に収まったインプレッサを、
感謝ディで披露できる事になった。