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スバリストの桜

昨夜からの雨で、
今年の桜もあっという間に終わりを迎えた。
風は無いものの、
大粒の雨がかなり激しく降った。
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昨日の穏やかな満開の情景から
一気に様変わりして、
道路は真っ白になっている。
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スバリストの桜などと、
何をわけが解らない事を言っているんだと、
訝しがられる方もいるかもしれないが、

今年の桜は、咲くのも早く、散るのも早かったが、
少しだけ元気な姿に戻ったような、
そんな嬉しい予感がしたので、
もう少し御付き合いいただきたい。

どうして、この桜が好きなのか。

実は、この桜そのものには、
以前はそれほど執着があったわけではなく、

「いつの間にこんなに大きくなったのだろう」

というような印象でしかなかった。

知らないうちに切り倒されてしまったが、
現在キャリアカーがある辺りには、
小学生の頃、
胡桃の樹があった。
むしろ
実がなって、食べる事ができたのでそちらのほうが印象に強い。
このあたり一帯は、その頃はうっそうとした藪の中で、
薄気味悪いし
藪蚊がいっぱいいて、近寄りたくない場所だった。

川の向こう側に住んでいる、
もう90歳を超えたであろう、成瀬のおじいちゃんに言わせると、

「この桜は昔は小さな樹だった」という事なので、
おそらく樹齢は100年前後だろう。

ここは中仙道なので、
当時も人や馬車の往来がかなりあったそうだが、
今のように橋は無く、
この桜の根元あたりの川面を小さな木橋で繋いで渡るようになっており、
弘法大師が祭られたすぐ脇に、
この桜が生えていたようである。

少し一般的な桜より
開花が遅いので山桜の一種だと思われるが、
実は、この桜とほぼ同じ種類の、
更に大きな木がこの川の上流50メートルくらいのところに存在した。

以前の古いショールームだった頃、
桜なんてすっかり散ってしまって、
もう葉桜が真っ盛りの頃に、
何故かハラハラとたくさんの桜の花びらが店内に入り込んでくる。

普通の目線では見えないような高いところに、
花が咲いていたからなのだが
花びらが、
今日のように一気に散り始める時に起こる現象だった。

一体どこに桜があるのか・・・
奇妙に感じて仕方が無かったが、
あるときその存在に気がついた。

すごいなーとため息をついた。

そんな桜だったが、
道路の4車線化の工事で、
いとも簡単にばっさり切り倒されてしまった。

止むを得ないことではあるが、
残念で仕方が無かった。

丁度ブルーベリーを植えた場所の
道路に近い斜面のあたりだ。

なので、
望桜荘の桜が、
他の桜よりおくれて満開になるたびに、
その樹の事を思い出すのだ。

前の持主から譲っていただいた
古い家を掃除したり、
修繕しながら
この桜を身近に感じるようになって、
随分親近感を持つようになり、
そういう眼で見ると可愛そうな事が沢山解ってきた。

人間と同じで、
樹木にも「体調」があり、
それが良い時と悪い時が、何となく感じ取れるようになっったのだ。

桜にとっては、
はた迷惑な事かもしれないが、
おせっかいついでに、毎日毎日、
この樹を見ないときがすまない日が続いている(笑)

2008年の秋、
ある日、一気に落葉が始まった。
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この写真を見る「と解るように、
今より石のベンチが根元近くにあり、
コンクリートで塗り固めた
様子が良く解る。

車がぶつかることを防ぐために
三角コーンを置いたが、
この場所にはドラム缶が据えつけられ、
中に得体の知れない物が注入されていた。
この写真は
それを処分した直後だ。

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社員みんなで力を合わせ、
人力でコンクリートを砕き、
根元に少しでも土の部分を作ってやることにした。

そうしようと思ったきっかけは、
些細な事で、

望桜荘の古池にたまっていた泥を汲み出し、
処分に困ったので、
桜の根元の地面に塗りたくった。

泥には庭から出た有機物が混ざりこんでるから、
毒にはならないだろうと思ってやったのだが、

ひと夏過ぎたら、カチカチに固まってしまった。

これはいけないことをしたのかと、
心配になり、
その泥をこそぎ取ると、
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桜の太い幹から、
柔毛の様な細かい根がビッシリとその泥の中に入り込み、
まるで飢えた様にその根を拡げようとしていた。

それを見た瞬間、
この桜は、水分は深い地中から吸い上げ大きな体を維持しているが、
ミネラルが不足して栄養失調なのではないだろうか、というような、
何ともおぼろげな印象ではあったが、
何かに導かれるように、
皆をそそのかし、コンクリ剥がしを始めた。
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こうして、
一旦根元の周りだけを応急手当して、
年末を迎えた。


藁を敷いたのは、
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開田高原の大きな樹の樹木医さんの仕事を参考にさせていただいた。
結果的に、
これはすごく効果があったように思う。

真夏にめくったら
意外にもとても良い匂いがして、
昆虫や沢蟹がこの藁の下に沢山いたからだ。

カビのような白い菌類が繁殖しているのに、
腐敗臭やカビ臭さは一切無かった。
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記念にと思い、
しめ縄をつけて正月を迎えた。
去年の事である。

そして
昨年の桜のシーズンを迎えたが、
どうもまだ樹勢が弱いような気がしてしょうがなかった。

ただ、毎年多かった毛虫が、
今年は少ない。
少しは健康になったのかもしれない。
ならば、もっと根の周りを掃除してやれば、
きっと元気が出るだろうと、
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石のベンチを移動した辺りを、
掘り返すと、
それは出るは出るは、
おびただしいゴミやアスファルト片。

特に気になったのが砕石だ。

砕石は植物を殺すには絶好だ。


それを、皆で取除くと、
また気になったのが、乱雑に塗り固めたコンクリート。

此処を、ユンボの力を借りてめくり上げると、
ワイヤーメッシュと一緒に桜の根が持ち上がってきた。
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苦しくてたまらないのに、
コンクリートからしみこむ雨水とともに、
ミネラルを吸収しようともがいているように思えてならなかった。

それを丁寧に戻して養生してやる。

そうすると、
今度は、樹の肌が気になって仕方が無い。


実はこの画像を見てほしい。
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蝶の止まっている、中指だ。

肌に荒れた部分があるのをお解かりいただけるだろうか。

一昨年の初夏、
開田高原で蝶と戯れた時に映した画像だが、
この肌荒れの原因は、
望桜荘の掃除に明け暮れた、
その直前の冬に、
使い捨てのゴム手袋の、
表面に塗られた癒着防止の粉の影響だ。

この指にだけ皮膚炎が起きてしまった。

この皮膚炎には苦労した。
はじめはこういう状態だったが、
だんだん酷くなり、
皮はこわばり、
アチコチ破れて出血し、
痛くてたまらない。
炎症を起こした部分が直ってはまた転移し、
一向に完治しない。

止むを得ず、
皮膚科の先生に診てもらうと、
2時間待って、
5分ほどの診察。

チラッとみただけで、
ステロイド軟膏と、保湿用にクリームを処方され、
定期的に塗るように言われた。

しかし
全く効果が無いばかりか、
絆創膏を貼るとさらに悪化。

そこで、
主治医の内科医、
I先生のところに行った時、
相談してみると、

「ああ、代田さん、それは水虫ですよ、
てにも水虫は出来るので、
これを塗って下さい。」

抗真菌軟膏を処方された。


しかし疑問もあったので、
「ところで、先生、皮膚科のt先生はどうして所見を見誤られたのでしょうか」と
素朴な質問をすると、

「ああ、皮膚科の先生は証明するものが無いと信じようとしないから」

と、すぐには理解できない事をおっしゃった。

それはどういうことかと更に尋ねると、
「培養して菌が発見できないとみとめないからな」
というような内容の説明をされた。

うーん
医術は奥が深いと、
感心したような呆れた様な、
複雑な思いをしながら、
戴いた軟膏を塗り続けるが、
使い切ったのにもかかわらず
全く効果が無かった。

それで、定期的な検診に行ったついでに、
その事を告げると、
「うーん、
これほど効果が無いと、専門医に見て貰った方がよいなあ」と、
意外な答えが返ってきた(笑)

お医者さんだってわからないことがいっぱいあって当然で、
責める気持ちは無いが、
むらむらと探究心が沸き起こり、
観察する気になった。

指の悪化した部分を
良く良く見ると
コロニーのようなものがある。

少し色の違う肌色の部分が、
皮膚の直下に点在している。

そこで、
その部分を中心に、
1日数回手を洗うときに
その部分を歯ブラシで100回こすり、
洗い続けたところ、
見る見るうちに病巣は縮小し、
2年近く悩んだ皮膚病も
ひと月ほどで薬も使わず直ってしまった。

それを経験すると、
無性に桜の木肌に摂りついている、
苔やハナビラタケと呼ばれる菌類を
剥ぎ取りたくなり
歯ブラシに変わる何か良い物が無いかと
考えた挙句に思いついたのが
高圧洗浄機

KAIDAファームの田中さんが、
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木曽馬の里のコナラの守り神、
二宮さん
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にお譲りした
インプレッサの納車でお見えになった時、


どう思いますか?
と聞いたところ、

「いーんじゃない」
パイプを咥えながら
御墨付きを戴いた。


それなら、おもいきってやってみよう!
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伸縮梯子から

脚立から
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アルミ足場板から

キャリアカーまで、
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ありとあらゆる道具を使って
可能な限り手の届くところまで
洗い流してやった。
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洗い流して解ったが

この桜に魅せられている者は、
自分だけじゃない。
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こんな面白い奴もいるし、
写真に取れないが

不思議な守り主のような昆虫がいる。
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何せその虫のすごさといったら・・・・
飛ぶわけでも刺すわけでも無いが、
この高圧水流にも吹き飛ばされず、
樹皮にしがみついていて、
ゆっくりと樹皮のくぼみの中を探察している。

少し赤い部分のある不思議な虫だ。

自然に詳しい、
本田さんに、
先週来ていただいた時に見てもらったが、
何かわからないそうだ。

この不思議な虫が、
頭から離れそうに無い。

しかし
桜吹雪が綺麗だ。

この桜は白い花びら。
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中仙道の向こうにある
桜並木は
こんなに赤い。
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それにしても
同じ時期に
散るなんて
珍しい。
満開だったのはたったの一日だ!
向こうの桜は1週間近くも咲き誇っていたのに。

そういえば、
こいつが帰ってきた。

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インプレッサGC8で巣立ったセキレイ。

生意気にも
今度の狙いを
このクルマに定めやがった。
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偶然なのか、
やはりセキレイのスバリストなのか、
そのあたりはご想像におまかせするが。


S203で
繁殖など、
まだ早い。

もっと稼ぐようになってからにして欲しい。

従って、
早めに撤去!

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悪く思わないで欲しい。

このクルマで気持ちよくなるには、
もう少し腕を磨いてからだ。

ミセス大鶴に
念入に洗ってもらって、
しばらく格納する事にして、
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やる気満々のセキレイの目から逃れさせる事にした。
Commented by GG-Nine at 2010-04-13 13:52
はじめまして。
木の表面を洗い流すのは粗皮(そひ)削りといって病気や害虫の発生を防ぐ有効な手段です。
昔はヘラの様な道具を使って手作業でやっていました。
果樹栽培を営む農家では昔から行われてきた作業です。

そして桜につく虫ですが、これはヨコヅナサシガメという昆虫です。
桜の害虫である毛虫やイラガの幼虫を食べたりします。
肉食で口先が発達していて人が触れるとまれに刺されるようです。
ソメイヨシノなんかを近くで見ているとよく出てきたりします。
来年もきれいな花が咲くといいですね。
Commented by b-faction at 2010-04-13 16:17
GG-Nine さん、ありがとうございます。
こういう事を
「そひけずり」というんですね。
勉強になります。
昆虫の名前も教えていただきありがとうございました。
「ヨコヅナサシガメ」は刺すんですね。

触らなくてよかった(笑)
でも、少しも獰猛な気配が無く、
とてもストイックなので、桜の樹にとって有用な虫ではないかと、
直感で思いました。

なにせ、
驚きました。
上にある写真の中で、川面から梯子を立てて
登って洗ってるシーンがあると思うのですが、
丁度二股に分かれた幹の
上のほうにある割れ目から、
強烈な水流に驚いたのか、
ゾクゾクと現れました。

でも、
沢山いるのに、気味が悪くないんですよ。
昨年、梅ノ木に寄生した蟻のほうがよほど気持ち悪った。
動きがゆっくりで、足腰が強い。
だから、お相撲さんなんですね。

肉食ですか。
そういえば、
もぞもぞ食べてましたね。
桜の守り神として
大切に観察します。
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by b-faction | 2010-04-12 23:29 | Comments(2)

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