シングルモルトウイスキーとスバルの放つクルマの考察
2012年 08月 06日

その年、
初めて4灯式のヘッドライトを装着したハードトップは、
精一杯背伸びしていた。
それから約39年が風のように過ぎ去った。
レオーネ、レックス、サンバーの3車種で、
歯を食いしばって努力したスバルは、
レガシィ
インプレッサ
WRX
エクシーガ
フォレスター
トレジア
のラインナップを揃えた。
軽自動車も
ステラ
ルクラ
プレオ
ディアス
サンバー
と車種構成が増えた。
その上、
遂に念願のピュアスポーツカーまで、
自前で作ることが可能になった。

この夜のBRZは月下美人のようだった。
こういう美しい瞬間を狙って撮影できるものではない。
昼間の蝶に導かれ、
満月の下で綺麗な姿を現したのだろうか。
BRZのボディを美しく染めている。
美しい蝶は、
ショーウインドウの片隅に居た。
何気なく覗いたが、

まるでやわらかなヴェールのように、
店を閉め、

木曽福島から国道を外れ、
強烈な高低差が待ち受けている。
走行ラインに十分注意し、
大好きな温泉に15分ほど浸かったら、
山麓を急降下だ。
まさに舞うような走りが楽しめる。
蝶にそそのかされ、
昼間の話に戻る。
この綺麗な蝶は、
スミナガシという絶滅危惧種らしい。
潰さないようにソッと掌で包んで柔らかく開くと、
逃げようともせずなぜかじっとしている。
目が合うという言葉には、
瞬時に互いの意識が高いレベルでやり取りできる、
それが体の外に露出しているわけだから、
目は口ほどにモノを言って当たり前だろう。

この蝶は、目が合ったとたん様子が変わった。
逃げようとしないばかりか、
緊張がほぐれ心地よくなったのか、

丸く縮めていた口をストローのように伸ばすと腕のあちこちをチュウチュウ吸い始めた。

どうも喉がかなり乾いているようだ。
汗を吸わせてはいけないと思い、
事務所のキッチンの蛇口から滴り落ちる井戸水を腕に載せた。
その水が腕の表面に広がっていくと、

あっという間に元気が戻り、

離陸体制に入った。

サヨナラの時が来た。
フッと息を吹きかけると、
見事に羽ばたいて飛び去って行った。
蝶の舞う姿ほど、
物理の法則に当てはまらないものはない。
人間が、もし蝶の飛び方を100%論理的に解析できているのなら、
オスプレイを飛ばしても安心だ(笑)
多くの日本人が心配するのも無理は無い。
蝶を見送りながらふと思った。
人間だって喉が渇いていれば、
何を飲んでも旨い。
ビールは喉が渇いているときが一番うまい。
しかし、酒は喉の渇きより心の渇きを潤してくれる。
特にスピリッツ(蒸留酒)は、
30代の半ばに差し掛かる頃、
イギリスを訪問する機会に恵まれた。
それを機会にピュアモルトウイスキーが好きになった。
グラスゴーという都市に10日間ほど滞在する事になった。
その時、4日間ほどフリーな時間が出来た。
さっそくレンタカーを借り、
インバネスという北のはずれにある都市を目指した。
スコットランドを北上し、
行き当たりばったりの面白い旅だった。
二晩目に宿泊したホテルで、
グレンフィディック蒸留所を紹介してくれた。
イギリス人には親切な人が多い。
チェックアウトで居合わせた紳士は、
「ちょうどそっちの方に向かうから、俺のクルマの後をついて来いよ」と言ってくれた。
そこでの経験は簡単に書き表すことができないほど素晴らしかった。
試飲した「シングルモルトウイスキー」の、
今でも自分の記憶の中に大切に保存されている。
駒ケ根に住む、
シングルカスクを無造作に楽しんでいる。

学生時代から常に気になる場所だった。
家と大学を行き来する時、
学生の分際で、
この「THE CASC of HAKUSHU」は、
なぜか。
モルトウイスキーは、
そして更に通が好む、

一か所の蒸留所で作られたものだけを、
ウイスキーは何年もの長い期間、
白州蒸留所の全景を見れば明らかだ。
蒸留施設に対して、

さあ、ここまではどこにでもあるモルトウイスキーの話だ。
その眠れるモルト原酒の樽(カスク)の中から、
個性が際立つものだけを一樽毎に厳選する。
一切何も混ぜず、
シングルカスクウイスキーだ。
しかし、口に含んだ瞬間、
色と香りと味わいと余韻と共に、
その原酒の背景が、
ウイスキーをたしなむ時、
実にそれが嬉しい。
14年間もの間、
蒸留施設の中には、
麦汁を搾り取る装置がある。

上に出ている部分はわずかだ。
足元を見て、

ここで発酵した醪(もろみ)を、

ウイスキーの個性が決まる。
そして2度目に蒸留されると、

ここで出来たアルコールはまだ無色透明だ。
次の工程が、

琥珀色に輝き、
ヘビリーピーテッドモルト1993は、
樽(カスク)にもこだわりがある。

貯蔵庫には数々の樽が眠っている。
その中に、
とくにここの演出は素晴らしい。
これは、

このように大切に育まれた樽の中から、
特徴のある物を丁寧に選ぶ。
それゆえコードナンバーとシリアルナンバーも手書きされる。

ここに来ると良く解る。
「白州のシングルカスク」の称号と、
「STIのコンプリート」が称号であるためには、
シリアル番号の持つ意味や、
今回のテーマだ。
カスクウイスキーの誕生と、
この奥にある部屋には、

ウイスキー好きにはたまらない逸品だ。


樽(カスク)ごと購入する、

サントリーが目先の利益だけを考えたら、
「熟成」は重い決断だったろう。
クルマにも相当な覚悟がいる。
STIの近況を見よう。
そもそもSTIは、
富士山に登る覚悟で、
一歩一歩踏みしめながら道を歩んで来た。
そういう眼でエクシーガtSを見ると、
まるで東京スカイツリーに、

このクルマを開発するという姿勢には、
腐った仕事は許せない。

わが目を疑った。
血管がぶちキレそうなくらい血圧が上昇した。
なぜ企画されたか知らないが、
どうして僅か50個のランドセルを、
STIのHP上で語られていることは、
ランドセルが近頃どういう状況で使われているか良く解らないので、
「ランドセル」とググったら、
T鞄製造所というメーカーがヒットした。
これに形も価格もそっくりだった。
本来クルマは大人の世界の商品であり、
子供目線で作る物では無い。
子供は大人になる事に憧れる。
そして、密かに味わったとたん、
強烈な刺激で二度と手が出せないくらい震え上がる。
特にSTIのリリースする商品は、
サントリーにもいろいろな商品がある。
この試飲コーナーにも、

白州というブランドをどう考え、
実は彼ら自身にも大きな迷いや苦しみがあるに違いない。
しかしサントリーはさすがにFHIより賢い。
こんな間抜けなカタログを並べたりしないからだ。

ナンバーの付く位置に「STI」と表記する意味が解らない。
製造販売するもの自らが、
ダッチロールに陥っている。
独自性を失い迷走した企業は、
客観的に見たら蔑み笑われるような真似をしでかす。
STIは平然とその愚かさに気付かず、
ここは白州醸造所の中にある「おみやげセンター」だ。


お手頃価格のおみやげにも(桁が若干大きすぎるが)

ちゃんとシリアルナンバーが入っている。
ちょっと逸脱しそうだが、

樽つながりで面白い。
でも、
あなたはどう思うか。
STIに対して血圧が一気に上昇したのはそういう理由だ。
しかもプレスリリースまで出した。
宣伝用のジョークにもならない。
「誰も笑わない」プレミアムだろう。
BRZとの関わりをうるさく言う理由もここにある。
あれほど大好きだったウイスキー(WRX)に全く興味が無くなり、
純米無濾過の生原酒(BRZ)という新酒にどっぷり惚れ込んだ。
新酒には新酒の味わい方がある。
熟成したシングルモルトとは違う楽しみだ。
新酒を毎年最良の状態で出し続けるのはFHIの責務だ。
この仕事を安易に熟成の達人にやらせるべきではない。
スバルブランドを良く考え、
ライトウエイトスポーツカーの楽しさを更に正しく伝えてほしい。
スバルBRZなら毎年でも新しい商品が欲しいが、
BRZ STIに用は無い。
なぜならSTIの仕事はそれとは違うからだ。
熟成させた原酒の中から、
シングルカスクを造るべきだ。
新酒を悪戯に「いじくりまわして」はいけない。
スバルがもともと得意としてきた、
ちょうど良いタイミングで渋谷さんが移籍したなどと、
ゆめゆめ思わないでほしい。
彼がBRZのトップガンであることも事実ではあるが、
彼こそ辰己仙人を上回る4WDターボの匠だ。
二人はダートトライアルの達人だ。
レオーネターボ4WDで火花を散らした決戦を忘れはしない。
火の玉おじさんを名乗る辰己が、
渋谷はそれを矢島工業(シムス)レオーネで叩きのめした。
この両雄が奇しくも在籍するSTIは、
もう一度、おのれの使命を原点から見直して欲しい。
冒頭のBRZ、美しいですね♪
先日、友人と富士山一周の旅に出掛けましたが、86を数台見かけましたがBRZは1台だけ。まだまだ生産が追いついていないようですね。
先日、お邪魔した後で息子が「BRZの後ろ、楽しかった!」とボソリ、ブログの試乗記通り子供に人気というのが良く分かりました。(笑
気になったので蝶の名前を調べてみました。
スミナガシという蝶のようです。
スミナガシ、かわいかったですよ。

ご無沙汰いたして居ります。
昨日の九州は台風一過の爽やかな初秋を想わせる風が吹いていました。仕事を早めに切り上げてBRZで高原を走りに行きたいと想っていましたがこの季節ビールの誘惑には勝てません。
一転して今夜は生暖かい風が吹いています。
こんな夜は街にBRZを連れ出して漆黒のボディに映り込むネオンにうっとりして・・帰りは代行運転で・・・
いや、真っ直ぐ帰ります。
ご無沙汰しております。
元ク◯ブ・レガシィの赤坂です。
私もランドセルの件は、終始疑問でした。
良いものが好きなスバリストのお父ちゃんが息子に……。
いやいや、STIの仕事はスペシャルなクルマを創って、今買えなくとも、いつかは頑張って手に入れたいクルマを提供するのが企業使命と思ってみてました。
色々、考えてみたものの、
どうしても肯定する理由が見つからなかったです。
確かにフェラーリの企業利益はグッズに支えられているのでしょうが、今回の件は奇をてらい、あたればラッキーと考えているようにしか見てとれません。
関係者などクルマ好きと言われている人達が、
STIやるじゃん的な受け入れ方をしていて気持ちが悪かったです。
うまく言えないのですけど、なんなんでしょう、
この違和感は…
またきますね。

埼玉に住んでいるWRXオーナーです。
ランドセルの話はこのブログで初めて知りました。
代田さんのおっしゃるとおり、STIというブランドにとって、
ゆゆしき自体です。
どこの誰がOKを出して、これにSTIロゴが付くことになったのでしょうか。
STI本来の目的と役割をちゃんと考えないと、
ブランド自体がなくなる事になりかねません。
ひとりのスバルファンとして、目を覚ましてくれることを、
心から願っています。