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初代インプレッサWRXで「モノの本質」を追求する

イベントも残すところ後2日となった。
平成2年から続けているお正月の初売り。
元旦から営業することに対して、
かつては近隣の同業者から露骨に批判されたこともある。
「正月から働くなんてろくな事じゃない」と面と向かって言い放たれた。

価値観はヒトそれぞれなので、
そういわれたところで何も気にならない。

それより、なぜ元旦から営業する気持ちになったのか。
気になる人は来店された時に、質問してほしい。
些細なことが大きなヒントに繋がり、
大きなモチベーションを生む事がある。
人生は楽しく雄大だ。

妻が「ノリタケの森」で購入したコーヒーカップ。
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この色は素敵だ。
実際に使ってみないと解らない彩がある。
本質が良くても、ちょっとしたタイミングで売れ残るものがあるからこそ、
残り物には「福」があるという諺も生まれたのだろう。
このカップはショールームに良く似合うと思う。
そして、スターバックスのコーヒー。
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飲んでみて美味しいモノしか置かない。
同様に乗ってみて良いクルマしか並べない。

4日から昨日まで通常の半分の人員体制でイベントを運営した。
なので、
これを見ると、妻も相当ひもじかったようだ。
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溜まってしまったディスクワークもある。
ドリンクサービスや、お客様との接遇で彼女は大車輪の活躍だった。

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そっと隠すようにおかれたパンが微笑ましい。
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こういう時にお土産はありがたい。
ぱくりと食べる前に改めて見たら、
「東京土産」の定番「ひよ子」ってこんなにかわいい顔をしていた。
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栄養補給にとても役立っている。
毎年の事だが、お昼ご飯を食べることができるのは夕方になった頃。
その間のエネルギーになる。
今日からほぼ通常どうりの体制になった。
天気が良いので洗車もはかどる。
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元旦から始まった西暦カーも今日で最終だ。
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毎回楽しく当選者とお話しできて、
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楽しい時間を過ごしている。
今日の最終西暦カーにも多くのお申し込みを頂き、
オーナーが決まった。
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工房も忙しい。
昨日は事故や重大な故障で担ぎ込まれる車が続いた。
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道路に塩を撒くようになってから、
ひどい腐り方をするクルマが増えた。
このクルマなど燃料パイプに穴が開いてガソリンをまき散らせながらやって来た。

新しいステラも木端微塵だ。
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怪我人が一人も出なかったのが不幸中の幸いだ。
衝撃吸収能力は新しければ新しい程優れている。
右側のアクスルはストラットの根元から吹っ飛んでいる。

また、新年第一号のリフレッシュメンテナンスが入った。
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S204だ。
担当する整備士もやりがいがあるだろう。
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武者震いしながら取り組んでいる。
4日までリフトにあったGC8と入れ替わった。

さてそのクルマをようやくテストした。
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B&Bサスペンションも期待通りの仕上がりで
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ブレーキも万全に仕上げた。
良く見たら凄いホイールが奢られていた。
「モノブロック」の鍛造品だ。

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見た目はとても美しく、
前のオーナーに大事に扱われていたことが良く解る。
クロスレシオの5速MTにクイックレシオのステアリングギヤボックスが与えられた栄光のグレードだ。
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いずれ「きゅうはち」のようなRAもこういうクルマに変わっていくと良い。
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まだ凍てついたボディの、
ルーフベンチレーターが眩しい。
痺れるような「韻を踏む」大好きなグレードのRAは、
たった2000台の限定車だ。
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シートに刻まれたコメットの刺繍が、
このクルマの栄光の歴史を物語っている。
当時人気だった、深いリムを持つステアリングホイール。
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ウインカーレバーが遠くなるが、
ドラポジが決めやすく素敵だ。
室内にはセンスの良い加飾が施され、
淡いソニックブルーのインパネや、
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少し目立つように演出されたDCCDのコントローラーなど、
マニアの心をくすぐる出来栄えだ。

GC8ファンなら、もう「ウズウズ」していることだろう。
「それで、どうなの????」・・・と。

昨夜初めて80キロほどテストした。
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その時の感想を直後にメモした。
そのまま載せよう。
「サスペンションは良くなったけど、最初のご主人は相当な「どS」だったね。調教されすぎてひねくれてるので、手なずけ甲斐がある。素直なよい子にして社会復帰させます。元々の気性はとても良く抜群のポテンシャルを秘めてます」
と記した。
そして今日を迎えたわけだ。

最高の天気になったので、
「ちょっと素っ裸にしてくれないか」と頼んだ。
「へい!わかりやした」
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さっそく取り掛かってくれた。

「ついでに虫干ししてから、室内をエアブローしてやってね」
と合わせてお願いした。

このクルマの前のオーナーは、
カスタマイズされたインプレッサに惚れて購入し、
大事に乗った。
この状態で良く長いこと辛抱できたと思うが、
あばたもえくぼと言う奴だろう。

購入した時のままだという言葉にウソ偽りはないはずだ。
走行距離も少なく大切にされてきた様子がうかがえる。

ということは、
その前のオーナーは相当マニアックだという事になる。

今回のリフレッシュメンテナンスで、
まずはじめにサスペンションを中津スバルオリジナルの倒立式にした。
周りのブッシュ類も新しくしたので、
ターンインの手応えもより確かでなめらかな印象に変わった。

ダンパーの動きも良いので、
硬い仕上がりなのに乗り心地が素晴らしい。

「きゅうはち」がベッタリ地面に寝そべるように走るのに対して、
WRXは「オンザレール」のフィーリングでコーナーを駆け抜ける。
ここまでは良かった。

ところがクルマの味は不満だらけだ。
なぜかというと、
ヒステリシスの塊だから。

しかも、突然甲高い悲鳴を上げる(笑)
悩ましく喘ぐような声を出すのなら、
こちらも高揚してとも興奮するが、
品の無い隠語を喚き散らすようなそぶりを見せるので、
こちらも萎えてしまう。

まるで手枷、足枷を結わえられたようだ。

そうされて喜んでいるような「どM」なら、
それは相性が良く面白いが、
調教のレベルが低すぎるから、何とも恍惚感の無いつまらないクルマだ。

おそらくこのヒステリシスは、
長い間の蹂躙による塑性なのだろう。

こういう時はカラダに聞くのが一番だ。

「ヒヒヒヒヒ、おい野郎ども、
そいつを素っ裸にひん剥いてしまいな!」
と、
まるで時代劇に出てくる
ならず者のような気持になる。
悪代官にそそのかされたやくざの親分が、
乗り移ってきたようだ。
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予想した通りだった。
とんでもないパーツが体中についている。
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これはまさに足枷だ。

あろうことか首輪までついている。
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自動車家畜論から推測すれば、
首輪くらいは当たり前だというかもしれないだろう。
こういうパーツは趣味に合わないので、
「ろくでもないパーツで身を固めてはいけない」と思ってしまう。
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やはり脱がすといろいろ出てくる。
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明るい所でエンジンルームを再確認。
下品な言葉を吐くのはこいつの様だ。
やはり手枷も付いていた。
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これらを全て取り払う。

ちょっと乗ってみて、
こういうことが解ってくると尚更おもしろくて仕方がない。

ヒステリシスとは「記憶」と言い換えることも可能だ。
いくら機能面だけを元に戻したところで、
過去の負荷によって生じた特性は簡単には治らない。

それを「ひねくれている」と感じた。

こいつと二人でコツコツ対話しながら日々を送れば、
いつかきっと良い子になるだろう。

それは生まれが良いからだ。
以前にも触れたことがある。
売れるクルマと良いクルマは違う。

インプレッサは幾多の苦難の中から、
ある意味偶然生まれたクルマだが、
物凄く素性が良い。

こういう良いクルマはいつまでたっても色あせない。

最新のインプレッサが最良のインプレッサである事には何の疑問も無い。
ところが車には、その時代背景であったり、
作り手の執念であったり、
色々なものが練り込まれる。

だから面白いし接し甲斐がある。
ひねくれてしまったRAを「きゅうはち」のように素直にするのが今の理想だ。
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本来のクルマ屋なら、アフターパーツをどんどんお客様におすすめして、
次々とパーツをお買い上げいただくのが理想だろう。
そういう本分からは外れるが、
それは冒頭のように「飲んでみて美味いもの」
「食べてみて美味いもの」をお勧めしたいという事の表れに尽きると考えてほしい。

だから、
商売を優先するならBRZに色々なアフターパーツを進めるべきところだろうが、
これまで納車したお客様には
あえて、何もしないで乗ってほしいとお願いしている。

BRZに機能面でのカスタマイジングは、
しばらく不要だろう。

こんなことを考えながらGC8を良く見た。
さて、掃除の終わったGC8を今夜もう一度調教し、
次の整備の準備に取り掛かる。
お楽しみに。

おしまい。
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by b-faction | 2013-01-07 12:32 | Comments(0)

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