BRZでアイスダンス
2013年 02月 09日

Photo:K.Nagahama
年に一度の氷上研修だ。大勢参加者がいる中で86&BRZのシェアは高かった。
2日間で5台も集まり人気の高さを物語っていた。
一昨年に4WDターボで参加して以来、
昨年は最新の前輪駆動車を持ち込み、
いよいよ満を持してFRスポーツを確かめた。

到着して早々、大変な洗礼を受けた。

強烈なブリザードだった。
ブリザードが過ぎ去ると気温が上昇し、
今度は猛烈に滑る。

まず一番はじめに確かめたかったこと。
それは、きちんと走れるかと言うこと。

Photo:K.Inoue
ここで誤解の無いようにしておきたい。
改めて理解して欲しいのは、
決して4WDのように「氷上で無敵」では無いということ。
ここに紹介する酒匂さんのGRFは「無敵の象徴」だ。

当然ライバルもいる。

こいつらは異次元の速さと安定感を誇る。
BMWもXドライブというAWDシステムを独自の理念でデザインした。

これを操る機会も与えていただき感謝している。
しかしつくづく感じたのはスバルは凄いという事だ。
このXドライブには1981年に世界で初めてスバルが実用化した湿式多板クラッチによる4WDトランスファーが当たり前のように使われている。
レオーネ4WDのAT開発において、
初めてギヤを用いずに駆動力を前後配分する方式が産声を上げた。
スバル1000の等速ジョイントに次ぐ世界的な発明だと思っている。
4WDの先駆者として偉大な貢献を世界中の自動車メーカーに与えている。
だからこそスバルにプライド感じ、世界中のどのクルマより思い入れが強い。
その会社が、全力で思い切り低重心なFRスポーツカーを作った。
理想はこれが前後等分の重量配分を持つことだ。
が、フロントヘビーなクルマしか作れなかったスバルが、
コペルニクス的に発想転換したのだから、
今は許す。
それほど「きゅうはち」の持つ「楽しさは格別」と言うことだ。
氷上で操る事を、基礎的な知識を持ち、きちんとセオリーを守れば誰でも楽しめる。
それを沢山の人に知ってほしかった。
だからそれを証明するためにここに来た。
スピンしたり雪の壁に刺さったりしながら、

クルマの挙動を知り、安定させて支配下に置く方法を学んだ。
モータージャーナリストの菰田潔さんが、
ブリザードの中、決死の思いで撮影されている。

そして適切なアドバイスをいただける。
しかし、それにしても滑りかたが激しすぎる。
まともに立って歩けない状況下で、菰田さんにも大変な災難が降りかかった。
それはさておき、
「きゅうはち」はいろいろな人から注目を浴びた。
画像撮影に協力して頂いた井上さんも「きゅうはち」に興味を持たれた一人だ。
元々、BMWのテストドライバーをしていたスバリスト(笑)で、
非常に知識も技術も深いモノをお持ちだ。

お礼に「きゅうはち」のステアリングを握ってもらった。
タイヤを興味深そうに覗き込んでいるのは、
トヨタ自動車の長浜さんだ。
昨年10月のドイツ以来、
久しぶりの再会だ。

当然、今回の愛機は「はちろく」である。
さて、
我が愛機「きゅうはち」は今回初めて、
このウインタースポーツラジアルと機械式1.5Wayのリミテッドスリップデフを併せ持った。
この組み合わせを究極の環境下で試す。

重心が低く、しかも軽量な水平対向エンジンを核としたFRレイアウトは素晴らしい。
他にも参加者の中に「はちろく」で参加された方がいらっしゃったので、
スキッドパッドを使ってアイスダンスをすることになった。

菰田さんの提案で「3台揃い踏み」した。
これは低μ路におけるクルマの挙動を知るのにとても良い。

また、他人の動きを見ることで自車を操る良い勉強が出来る。

初めてここに来たとき、
アルピナを手足のように扱う菰田さんが「マジシャン」に見えた。
正直に言うと「いつか自分も・・・」と決意した。
まだとても上手いとは言えないが、誕生以来BRZを氷上に持ち込むことを夢見てきたので、
同じ土俵で操れることは、まさに感無量だ。

スバルとトヨタの兄弟が仲良く戯れる姿を見ると、

ほのぼのとしないか。
3台のうち黒と白の「はちろく」が2台。
「きゅうはち」はドアミラーとハンドルがブラックと慎ましやかで、
化粧の上手な姉に比べ「質素」だからすぐわかるだろう。
靴も兄弟からお下がりのフルホイールカバーだ。
3台ともドノーマルと言いたいところだが、
「きゅうはち」はRAなのでリヤデファレンシャルギヤに差動制限装置が無い。
そこで1.5Wayの機械式LSDを後から装備している。
でもそれがアイスダンスには少し不向きだったんだな。
「きゅうはち」と「はちろく」がシンクロできたのは、
一日長く経験したアドバンテージだけの事で、
手なずけるのに本当にてこずった。
この後もいろいろ試して、弱点と長所を明らかにしたい。
撮影にご協力頂いた師匠も含め全員で記念撮影。

あれっと思われたかたも多いだろう。
負傷した体で写真撮影までして頂き、
ありがとうございました。
どうぞ菰田さん、お怪我が早く治りますように。
お大事になさって下さい。