もう7年前になる。
新井さんの息子さんに会って、
もうそんなに経ったのか。
この動画を見て、
BRZって少しも色褪せないと実感した。
フリーハンドでセルフ撮影したから、
車酔いするヒトは見ないでね。
何しろ最初にシャッターを押せば、
だから左手で容易に持って写せる。
余計な力が入らないので、
氷上ドリフトも簡単だった。
かわら版の印刷を任せている、
プリクションの石神さんから
美味しいチーズケーキを頂いた。
これは絶品だ。
岐阜市には銘菓が沢山ある。
クリームチーズを主原料に
一口サイズにまとめられた、
とても品の良いお菓子だ。
味と香りとサイズを工夫し、
「チーズケーキ」と一言で片づけられない、
ちょっと感動的だね。
ところで、
差働制限装置(LSD)をご存じだろうか。
昔からある自動車部品だが、
一般人には馴染まない。
インプレッサWRXなどには、
マイルドな味のLSDが、
最初から当たり前のように組み込まれている。
例えば上のLSDを草加せんべいに例えると、
最初から車輛に組み込まれたLSDは、
先のチーズケーキみたいにまろやかだ。
滑らかに車を動かすために、
欠かせない装置をデファレンシャルギアという。
クルマを旋回させると、
左右のタイヤに回転差が生じる。
それを吸収しないと、
滑らかにタイヤが回らずクルマがギクシャクする。
ところが、
滑りやすい場所では逆に働き、
タイヤ一番弱いグリップ力しか引き出せなくなる。
結果として全体の駆動力が働かない。
そこでリミテッドスリップデフ(差動制限装置)が必要になる。
それを略して「LSD」と呼ぶのだ。
それが無いと、
特にFR車は氷の上で都合が悪い。
滑らかに走ることが出来ないのだ。
もちろんチーズケーキのような、
銀盤での走りも楽しいが、
目的によっては草加せんべいが美味しいのだ。
LSDは乾燥したアスファルト路面で、
滑らかさという点でマイナスに働く。
但し低ミュー路であったり、
より効果的にエンジンパワーを駆動力に活かしたい時に、
クルマとって重要な装置の一つだ。
初めてBRZで女神湖に行き、
そこで氷上走行を愉しんだ。
その時のために、
機械式LSDをクスコから取り寄せて搭載した。
BRZのRAはオープンデフを装備し、
後からオーナーが好みのLSDを選ぶ。
LSDには様々な種類がある。
WRX STIのドライバーズコントロールセンターデフも、
実に凝った作りのLSDだ。
最もポピュラーなLSDは機械式で、
その他にもビスカスカップリングを代用したり、
ロックさせるために、
ビスカスを組み込んだりする。
またスバルはヘリカル式のLSDを採用したこともあった。
最新のBRZには、
チーズケーキの様な「トルセン」LSDが付いている。
それはアウディクワトロがデビューした時、
高性能なセンターデフとして登場した。
その先進性に驚いた。
トルセンはトルクセンシングデフの略称で、
ウオームギヤなどを組み合わせて作られている。
普段はマイルドでありながら、
しっかり差働制限効果の出る優れたLSDだ。
ただそれでは遊ぶのに不都合で、
草加せんべいが食いたくなる。
そこで各種の製品の中から、
最もオーソドックスな機械式LSDを選んだ。
製品名はクスコ製「スペックF」だ。
これは、
アクセルを閉じた時に、
左右のタイヤを拘束する力が「少し」残る。
それで1.5Wayと呼ばれる。
装着するためにリフトアップして、
プロペラシャフトを外し、
ドライブシャフトも抜く。
デフを身軽にして、
ジャッキで降ろす。
整備台に固定して、
ケースのカバーを外す。
うーーん、
内臓を除くようで
ドキドキする。
差動機を外すと、
内部はこうなっている。
普段ここまで見る事は滅多に無い。
だから興味津々だ。
そしてLSDを組み込む。
これと、
下のノーマルデフをごっそり交換だ。
ケースに詰め替えて、
クルマに戻し装着を終えた。
そして約3週間ほど慣らしながら試した。
女神湖では、
レーサーの木下みつひろさんが、
「一度乗ってみたい」と希望された。
「是非どうぞ」
彼はデファレンシャルギアに関して、
超一流のエキスパートだ。
この日は特に良く滑る日で、
オーバーステアになりやすかった。
後輪が滑り初め、
一番良いと感じた時にアクセルを閉じる。
普通ならそこでリヤの滑りが収束するはずだが、
なぜか収束させられない。
木下さんでさえ、
スピンの領域に入りやすい傾向を、
なかなか抑え込むのが難しい。
このデフと氷上走行は相性が悪いのか。
アクセルオフで、
LSD効果が残るせいなのか。
キャロッセの池田さんから、
「これは確か」だと聞いていたので、
コツさえ掴んでしまえば何とかなるはずだ。
まずスキッドパッドで定常旋回をマスターし、
ハンドリング路でクルマを支配下に置くよう練習した。
それから何日か経ち、
駒ケ根の山本さんから滑りに行こうと誘われた。
「枠があるから、社長、いかない?」
嬉しい誘いだ。
やはり持つべきものは友である。
次に走った場所は八千穂レイクだ。
前日は2月最後の火曜日だったので、
大変忙しい一日になった。
まず岐阜で「かわら版147号」受け取り、
スタッフ全員で詰め込みを終えた。
21時を大幅に過ぎたが、
そのまま高速道路を走り小淵沢へ向かった。
中津川から八ヶ岳山麓まで、
おおよそ2時間はかかる。
出発前にLSDオイルを交換した。
左が新しいオイルで、
右側が数百㎞走った馴らし後のオイルだ。
機械式LSDにとって、
オイル交換はとても大切なルーティンだ。
野辺山駅の近くにあるホテルに着いたら、
もう深夜になっていた。
途中から路面は凍結し、
雪がちらつき始めた。
早朝に目覚めると、
ご覧の有様だ。
ホテルから1時間ほど走り、
八千穂レイクに到着した。
今年最後の走行会は予定通り始まった。
しかし春の訪れは誰の目にも明らかだった。
午前中はこの溶けた水が災いし、
女神湖と比べものにならないほど強烈に滑った。
ターンインとアクセルワークのタイミングが掴めず、
スピンを連発させてしまった。
周りは高出力な4WDターボばかりで、
彼等のペースは恐ろしく速い。
なので、
知らず知らずのうちに力が入る。
それが良くなかった。
数度スタックして気分が腐りかけた時、
偶然にも面白い光景を見た。
アルトワークスで参加していた青年が、
自作の「GO PRO」で動画を撮り始めた。
「面白いね」と声を掛けたら、
彼はまだ学生だという。
高いカメラは買えないから、
タッパウエアと磁石で作ったという。
コンパクトデジカメを車体に貼り付け、
器用に撮影していた。
なるほど!
この愉快な記録を残そう!!
と言う事で冒頭の動画を撮影した。
誰にも撮影を頼めないので、
難しく考えずに自分で撮った。
クローズドコースだから、
対向車も無い。
右手でカメラを持ち、
左手でステアリング操作した。
この画像ではコーナーに向って、
既に車体は大きく左に向いている。
ステアリングは真っ直ぐの位置にあるが、
タイヤの向きは右に向いている。
これがカウンターステアという、
斜めの向きで気持ちよくクルマ走らせる手法だ。
左手だけでステアリングを操作をすることが、
結果的に抑え気味のアクセル操作に結び付いた。
緩く持たざるを得ないステアリング操作が、
奇麗なカウンターステアに繋がった。
カラダとクルマとココロが、
本当にピタリと一致する。
この瞬間が一番楽しい。
無駄な力を使わないステアリングさばきと、
小気味の良いアクセルワークがシンクロする。
面白いほど上手く曲がれる。
練習を重ねると、
どこかでブレイクスルーを迎える。
雪に強いFRスポーツ。
それも、
BRZの魅力の一つだ。
千葉パジェロ使いから、
「BRZの姿、確かに美しいですね、バックミラーで見ると惚れ惚れします」
と褒められた。
彼はかなりの達人だ。
スタックしたときに助けてくれた恩人でもある。
ありがとうございました。
以前はフォレスターに乗っていたらしい。
またぜひ戻って来て下さいね。
彼が言うには、
BRZはコーナーをドリフトしながら駆け抜けて、
出口に向かってグッと後ろに踏ん張りながら加速するので、
その姿がたまらなく良いそうだ。
それを一言で表すと、
浅田真央が銀盤でみせる滑りだ。
またジムニーを手足のように操る名人もいた。
「あのー、テレビに出ていらっしゃいますよね」
と声を掛られた。
ビックリしたけど、
話を聞けば同じ岐阜県人だ。
可児市にある、
ジムニープロショップ、
「Power Balance」の村上信岳さんだ。
この人の走りも見事だ。
4WDは強力な脱出能力を含め、
悪条件下における走破性能が非常に高い。
けれども、
氷上に限ると後輪駆動も面白いのだ。
4WDも同時に操った経験からはっきり言える事は、
良く馴染んだBRZで走ると、
インプレッサWRXより楽しみが増す。
気温が上昇し八千穂レイクの営業は終了となった。
全部で9台の参加して、
S203も含めてGDBが2台。
初代WRXのSTIも2台。
外車ゼロ、
トヨタ車ゼロという面白い顔ぶれになった。
ニッサンシルビア、
三菱パジェロ、
スズキアルトワークス、
どれも元気よく走り回った。
その中でも特に妖気が漂うGC8は、
相当な異才を放っていた。
ドライバーは凄く若いのに、
その走りが半端じゃない。
しかもどこかで見たような、
とてもダイナミックな走り方なのだ。
クルマの後ろに回ると、
絆創膏の後が生々しい。
どう見ても練習に使うクルマだ。
シートを見ると、
まじないのように「5円」がおいてある。
こいつを尻に敷くと良いことあるらしい。
一つ勉強になった。
コイツは只者じゃない。
「面白いクルマだね」と声を掛けた。
すると、
「昨日までシートも付いてない状態でした」
と言う。
それは摩訶不思議だ。
どこにあったのか聞いてみると、
「うちの工場です」と言う。
5円玉をケツに敷かせて、
運転させる技を誰が教えたのか。
相当強運なオトコに違いない。
どこの工場か聞いたところ、
「アライモータースポーツです」と答えが返った。
世界のトシの息子じゃないか。
新井敏弘さんの息子さんなのとさらに聞いたら、
「そうなんです」
とニコニコしている。
どちらかというと、
お父さんよりお母さんに似ているね。
まだ19歳の恐るべき若者たちだ。
スバルのモータースポーツ、
将来も期待できるね。
早く息子にちゃんとした運転を教えないと、
と思いつつBRZで帰路に就いた。
その息子もBRZのオーナーになり、
先日2台目に乗り換えた。
早いものでデビューしてから8年目になる。
まだ次期車の発表は決まっていないが、
NBRをほぼヌードで走りまわる様子から、
いずれフルモデルチェンジを迎える。
こちらもB4同様に、
現在販売中のBRZがファイナルバージョンだ。
SUBARU BRZ購入のチャンスは7月22日迄
※もし想定を上回る注文が入るとそれ以前に注文受付を終了する。
まだ慌てる必要はない。
充分な生産枠を持っている。
※注文受付終了後は在庫車での対応となる。
気を付けて欲しいことは、
86は引き続き生産されるので、
本家スバルブランドで乗りたい人が、
油断すると買い損なう。
まあ、
それぞれの会社に色々なオトナの事情がある。
そこを踏まえて、
是非お早めに買ってくださいね。
2013年3月1日13時25分の投稿を更新