スバルが放つ最良の限定車
2013年 07月 29日
昨日大雨の中、珍しくスーツを着用して出張した。
毎年運輸局で表彰して戴くが、
今年は代表として賞状を受け取る事になったからだ。

岐阜運輸支局長の古田勝さんから直接賞状を渡され、
初めて近くでお顔を拝見したが、
流石に組織のトップは何かが違う。
背中から出ているオーラを感じて、壇上から下がった。
何かこれだけでは終わらないような不思議な縁を感じた。
表彰されるために環境を改善するわけでは無いが、
積み重ねの客観的な評価が残るので、式典という儀式も大切だと思う。
何かを得ようとした時に、
捨てることから始めると良い。
望桜荘に関わるプロジェクトはそのようにして始まった。

掃除の日に工房とB-factionにそれぞれあった大量の遺物を処分した。
例えば軽自動車のトランスミッション。

こうして並べると、
RR方式とFF方式が絶妙のコストバランスで製造されていた事が解る。
サンバーとステラは相対性理論で成り立っていた(笑)。
セカンドジェネレーションの水平対向エンジンにも、

そろそろ捨てるべきストックが増えたので、
このエンジンを潔く捨てた。
すると、
すぐこのパワーユニットが現れた。

いずれまた役立つ時が来るだろう。
激しい雨が降った水曜日、

重要な会議に参加するためBRZに鞭を入れた。
スポーツカーで移動すると疲れを全く感じない上に、

やる気がガンガン高まる。
名神高速のゲートで渋滞した時に、改めて燃費計を見て驚いた。

RAは少し車内がうるさいが、軽さには換えられない。
BRZのハブをあえて100ピッチの5穴にしているのは、
バネ下重量を軽減するためだ。
ブレーキもレガシィなどで培われたキャリパーを採用し、
軽さと性能のバランスを取った。
よくブレンボを付ける話を聞くが
ターボのように武装する必要は全く無い。
コストが上昇するだけであまり意味が無いと思う。
なぜならニュルで何度かGT86を走らせたが、
ブレーキの性能に不満など無く、
あれで十分だった。
今のBRZに必要な開発要素は、
さらに論理的な軽さを追求する事だろう。
既に2万5000キロ以上にわたり3台のBRZと付き合ったが、
シートに不満を覚えた事さえ一度も無い。
RAこそ今最もお薦めしたいグレードだ。
ライバルのロードスターも軽さを追求している。
やはり軽さは性能だ。
BRZの開発過程に於ける重要課題は、
1gを削り取るような軽量化だろう。
モーターショーで姿を現してから、
もうすぐ2年になる。
このクルマを更に軽くするために、スバルは何を次に仕掛けるのか。

激しい雨や雪などにも強い。
それは自ら実証してきた。
低い重心と適切な重量配分で、
安定した走行を楽しめる。
それが新世代FRスポーツの神髄だろう。
今後は、どこまで軽さを極め、
重量配分をどのように改善するのだろうか。
その二つにしか興味が無くなった。
さて、会議は緊急性を伴う重要な案件で盛り上がり、
緊迫した雰囲気を漂わせていた。
長い付き合いの盟友は、
非常に頭脳明晰だから、

冷却効率が高くなる進化を続けている。
彼の後ろ姿は亡くなった祖父にそっくりで、
無駄なモノを身に付けず、軽量化に努めるライフスタイルにも共感できる。
昨年、この会議で出された弁当を酷評した。
すると、中納言の田上剛大取締役から連絡があり、
「来年はリベンジします」と約束してくれた。
だからワクワクしながら昼飯を待った。

お昼になり弁当が配られた。
昨年とは一変していた。

この焼き魚を一口食べただけで、
100点満点を予想した。

全て一つ一つ丁寧に作られている。
昨年の生野菜を乱暴に放り込んだ、「一見豪華」な弁当では無く
ホンモノをしっかり追求していた。
エビに隠れて見えないが、
カボチャの皮の剝き方と言い、
適度な歯ごたえと言い、文句の付けようが無い。
田上さん、堪能させて戴いた。
こういう見事なリベンジが、クルマ造りのお手本になる。
丁度その頃、
駒ヶ根から山本さんが中津スバルへ遊びに来てくれたようだ。

美味しいお土産をいただいた。

数日間、朝のスタートをアップルパイとコーヒーで楽しむことが出来た。
心から感謝申し上げます。
その翌日、岐阜から名知さんが

素敵なお土産と共に現れた。
日本酒の逸品が楽しみやすくなった理由の一つに、
四合瓶の普及があると思う。
この世界でも軽量化は大切な要素だろう。
日本酒の世界で一升瓶を捨てることから何を得る事が出来たのか。
こだわりの酒を、
一息ついたらじっくり楽しませて戴きます。

名知さんは航空機や軍艦に極めて深い見識がある。
だから軽量化を極める事が戦闘力を高める上でどれ位重要か理解している。
また、クルマには詳しくないと謙遜されるが、
STIのブランドステートメントに何が一番欠落しているか、
良く理解されている人物の一人だ。
彼の理念で捉えると、
今のSTIから欠落したのは、
「本気」という文字だ。
捨てることで得ること、それは、手を染める対象を選び、
極めることにも当てはまる。
人間はモノへの執着を簡単には拭いきれない。
そして、
時には、身の丈以上に贅沢になったりすることもあるだろう。
また、見栄えだけの仕事で手際よくお茶を濁す事もある。
それが重なることを「穀潰し」という。
誰が穀潰しなのかはさておき、
前回のブログで伝えた桜の続きを話したい。
衰弱したと表現したが、少し事情が違った。
近くに寄って下から撮影した写真を見て欲しい。

改めて良く見て、
2010年の6月6日に同じように下から撮影した画像を探した。

やっと見つかった。
白いレガシィに桜の緑が似合う。
その上で
2008年の7月20日に撮影した写真と比べた。

5年前はこのようにスカスカだ。
自然界のリズムを明確に示唆している。
1991年に現在の建物に建て替えた時の写真が見つかった。

道路も狭く周辺も拡張工事で殺伐としていた様子が窺える。
22年も経過して

所々に残る、自然の名残に嬉しさを覚える。

砕石やコンクリートやアスファルトに固められながらも、
生き残った小さな宇宙を見た時だ。
目をそこに向け丁寧に整えると、結果的に良い仕事に繋がると気付いた。
「だから続けよう」と心から訴え、
毎朝、周辺の環境と時間を共にする。

今朝は増えすぎたドクダミを間引き、
雑草を取りながら、徐々にはみ出してきた砕石を篩で除去した。

川の畔に植えたブルーベリーも毎年実を付け、潤いを与えてくれる。

今年も採れた実が美味しいジャムになった。

しかし良く見ると、
同じ環境なのに、急に元気が無くなる木が出た。

原因は良く解らないが
とうとう枯れてしまった。
まだ諦めるのは早いので

枝を切り様子を見ている。
国内の自動車産業とブルーベリーは、
共に「飽和状態の産業」と言えるだろう。
ブルーベリーの生産量と消費のバランスは、
自動車の置かれた環境に似ているかもしれない。
当たり前になりすぎると、魅力が希釈される。
ブルーベリー畑から続く

この斜面を奇麗に整えた。
そして、後ろを振り返る。

昔の姿から、
捨てるモノを捨て、
育てるモノを育てるうちに、

この辺り全体の活力が上昇した。

ところが枯れた木もある。
僅かな油断が後々になって

取り返しのつかないダメージになり、
遂に柊はその命を終えた。
工房の整理整頓の他に
もう一カ所整理した。

大好きなSTIのプロダクツを展示する施設として、

掃除前
B-factionを造った。
STIの黎明期からそのポリシーに惚れ、それは今でも変わらない。
この部屋をリフレッシュした。

掃除後
丁寧に掃除してから、思い切って不要品を処分し、

たまった資料を整頓した。

模様替えで気分も一新だ。

まるでそれに合わせるかのように、

オトナの事情を沢山背負って彼等がやって来た。
普段ならばここに通すところだが、
あえて他の場所に案内した。
時が過ぎるのを忘れさせるためだ。
本館から会社の北西を俯瞰すると、

2007年の11月から

現在までの変遷が解りやすい。
コツコツと積み重ねた僅かな力が、
知らず知らずのうちに積み重なり素敵な環境を育んでいる。
遠路はるばる訪れた来客にとって、

この空間で癒される事が心身ともに一番良いだろう。
左はかつて広報部に在籍され、各方面で活躍された、
富士重工業株式会社
国内営業本部の清田勝紀さんだ。

右は過日、岐阜スバル自動車の代表取締役に就任された
羽野将史さんだ。
偶然にも二人は同期でとても親しい間柄だ。

この頃、直接手で土や苔や虫に触れていると、
理屈では無く、それが長い目で見て「良い」か「悪い」か直感する時があると伝えた。
そのような曖昧な話から何かが閃く事もある。
緩やかに時が流れるこの場所で、時を忘れて語り合った。
スバルから次々と良いクルマが誕生し、

商いの上でも感謝が絶えない。
ただ、ひとつだけ変化したことがある。
いつの間にかSTIに関わる環境から遠のいた。

このクルマが出た頃から歯車が狂いだした。
チューンドバイSTIを纏った、エクシーガの仕上がりは素晴らしく、
すぐさま購入してショールームに展示した。
7人乗りに姿を変えた4代目レガシィともいえる、
エクシーガにはクルマとしての魅力は数え切れないほどある。
しかしSTIコンプリートとして捉えると、
あまり魅力を感じない。
なぜなら、彼等は「一生懸命」の意味を取り違えているからだ。
この頃「tS」のロゴを見ただけで蕁麻疹が出る。
STIの皆さんには申し訳ないが、
失敗に近いこの「ゲーム」を、
はたして「継続は力なり」と思い込むのにふさわしいのだろうか。
当時の操る写真を見ても、

少しも嬉しそうではない。
今日に繋がる何かを予感していたのだろう。
先ほどのブルーベリーのように、
飽和状態の中で、多々ある一本が枯れる影響と、
家の門に彩りを添える柊では価値が違う。
少しの間、STIのリリースするクルマの評価を控える事にした。
だからSTIはいくらでも「tS」をリリースし、思う存分好きなようにやれば良い。
そうすると、また次が見えるに違いない。
それが桜の古木に見るような、
「自然のリズム」と同じなのだろう。
ただし、今年の冬に参考意見を求められたクルマだけは例外に出来ない。
もう一度考え方を述べたい。
もし、このタンレザーと洒落た外装色のBRZから、

STIの匂いが漂ったなら、
雲野君と交わした「即座に注文する」という約束を、反故にせざるを得ない。
ドレッシーなクルマをあまりにも次元が異なるSTIと絡ませてはいけない。
十把一絡げを招かぬようなブランドコントロールを期待したい。
仮に「そこまでSTIを辛口批評して、
お前ならどうするんだ」と言われたとしよう。
工藤一郎さんがSTIの社長だった時、
ご本人と直接話した事がある。
それは「S501の企画」を進言したことだ。
しかし工藤さんは、WRC撤退の騒動の中で、

詰め腹を切るように辞められた。
色々見解はあるだろうが、本当に残念だった。

トライベッカがこのまま消えては、あまりに惜しい。
クルマのサイズといい、
ペイントのクオリティといい、
プレミアムな商品に仕立てる対象としてふさわしい。
ただ、
STIはフラット6に触るのが「怖くて怖くて仕方が無い」のだろう。
これまで、そう見られてもやむを得ない節が多々あった。
だからこれで橋頭堡を築き、
まず
少量生産するプレミアムカーとは、何かを学び直すべきだろう。
都合の良い事に、
そもそもベースモデルが日本に無いから、
STIが好きなように出来る。
欲しくても買えないと嘆く日本人も結構沢山居る。
さらに極めつけの事実がある。
それはSTIが過去に仕掛けた直輸入だ。
昔、スバルが海外仕様のレガシィにだけ、2.2リッターエンジンを与えた事を覚えているだろうか。
そのクルマを買いたいというお客様からの希望が、
全国各地のディーラーに届いた。
そこでSTIに白羽の矢が立った。
彼等はインディアナ州のラファイエットにあるSIAから、
30台のレガシィセダン4WDを日本に輸入した。
この経験を活かせば面白い事業が出来る。
シッピングも戻り便なら安上がりで、良いビジネスだ。
STIブランドを「単なる」グレードに使われたり、
販売回復の道具として徴用されるだけでは良いクルマは生まれない。
「俺たちがトライベッカを本当のプレミアムカーにして度肝を抜いてやる」と、
STI自身が更なる意識改革を進めるべきだ。
さて今回の一番重要な話題に移ろう。
トライベッカは米国市場を主戦場に開発された。
少し関係がある。
今、米国ではアウトバックの人気が高い。
残念ながらトライベッカのフェイスは発表当時、米国で不評だった。
その不人気を跳ね返すために
少しフォレスター的にフェイスリフトした。
それが上に紹介した画像だ。
ビッグマイナーチェンジで顔が変わったが、
次の試練が待っていた。
アウトバックがモデルチェンジで一回り大きくなると、
両車の立ち位置が若干近くなる。
そんな事もあり、
モデルチェンジの計画も無いまま今日に至る。
じつは本来なら、既に日本で発売されていたはずだ。
ところがいくつかの事情で発売を見合わせた。
アウトバックの価格戦略が大ヒットし、
トライベッカの影が薄くなった。
出自が異なると、
ここまで差が広がるのかと、
改めて驚いた。
各メーカーからアウトバックと同じようなSUVが登場した。
しかし世界で先鞭を切ったのはスバルだ。
逆にトライベッカににた車は他にもあった。
アウトバックはアメリカで1994年に誕生した。
その立役者は現在のレガシィの開発責任者だ。
アウトバックは米国で着実に実績を積み上げたから
日本とは違う独特の成長を遂げた。
従って外観や仕様も一部日本仕様と異なる。
先日発売開始された
入魂の作品「アウトバック2.5i EyeShight EX Edition」を紹介する。
今年スバルから発売された限定車で一番優れている。
中津スバルでも、発表と同時に注文したが、
サンルーフを装備したので生産待ちで入荷が遅れた。
そのためハイブリッドなどの陰に隠れた。
このクルマこそ「本気」の気合いを放つ。

前作に続き2度目の登場となるが、
期待通り、趣をガラリと変え数々の特別装備を身に纏った。
僅かに残していたビームスとのコラボレーションを今回から解消し、
全て富士重工自身がコーディネイトしている。
特にセンスの良いアイボリーステッチの効いたブラウンレザーシートに痺れた。

この仕上がりは素晴らしく、ビームスを絡ませなくても、
独自の仕立てで十分だと主張している。
これは認めざるを得ない。
トライベッカの雰囲気を漂わせるディティール。

STIの最上級モデル「Sシリーズ」のために開発した、
サテンメッキドアミラーも装備。

ディープチェリーパールのボディをキリリと引き締めている。

前作でも好評だったデュアブルフロアとマルチパーパスサブトランクも健在で、

汚れ物の積載を十分考慮した設計になっている。

さて今回の目玉装備は、特徴的なルーフラックだ。
クロスバーと呼ばれる独特の構造を持つルーフレールは、
以前から米国仕様車に取り付けられていた。
この専用大型ルーフレールの操作は

至って簡単だ。
ここがポイントだ。

クロスバーと呼ばれる可動式レールの端にはロックノブが装着されている。

それを指で軽く持ち上げるだけでレールは本体から簡単に外れ

もう一方を軸にして反対側のレールに設けられた穴にピタリと収まる。
この装備だけでも高い価値があり限定車の鑑と言えるだろう。
昨年新型エンジンを搭載してから、更に磨きがかかったレガシィシリーズは、
今年のマイナーチェンジで熟成を極めた。
先月テストしたツーリングワゴンと同じように、アウトバックも静かで快適な空間を創造している。

EXエディションを持ち出すわけに行かないので、
父の愛車を借りて開田高原まで走ってみた。

浦島太郎が目覚めたと言う伝説のある「寝覚ノ床」。
暑さも少し和らぎ、
心地よいドライブを楽しめる。
難所のひとつが解消されそうだ。
長い間工事中だったトンネルがとうとう貫通し、既存の道を接合された。
走り始めは11キロぐらいの燃費があっという間に伸びる。

50㎞ほど走行し燃費を見ると

1ℓ当たり12.3km走行していた。
試しにS#を選択し走りの違いを試してみたが、

新型2.5リットルのエンジンフィーリングは前モデルの3リッター並の実力を発揮する。
従ってiモードだけで十分な走行性能を発揮する。
特に山道でSUVとは思えない走行安定性を発揮する。
高速のターマックで、
ヨコハマタイヤのジオランダーは若干スキール音を出すが、
しっかり路面を掴んで離さない。
悪路も走れて、燃費も悪くない万能タイヤはアウトバックだからこそ真価を発揮するのだろう。
車体の高さが増えても、重心高の優位性で走行安定性も良く、
道路の凹凸にも鷹揚で、このクルマにピッタリ合った良いタイヤだ。
この時の心境は、

もう気持ちよくてステアリングをニコニコ微笑みながら左右へ操作した。
昇りはともかく、
下りのワインディングがこれほど楽しいとは全く思いも寄らなかった。
次のかわら版でもう少し詳しく取り上げるため、
集中して原稿の作成に取り組む。
僅か600台の限定だ。
かわら版の発行まで売り切れないと良いのだが。
毎年運輸局で表彰して戴くが、
今年は代表として賞状を受け取る事になったからだ。

岐阜運輸支局長の古田勝さんから直接賞状を渡され、
初めて近くでお顔を拝見したが、
流石に組織のトップは何かが違う。
背中から出ているオーラを感じて、壇上から下がった。
何かこれだけでは終わらないような不思議な縁を感じた。
表彰されるために環境を改善するわけでは無いが、
積み重ねの客観的な評価が残るので、式典という儀式も大切だと思う。
何かを得ようとした時に、
捨てることから始めると良い。
望桜荘に関わるプロジェクトはそのようにして始まった。

掃除の日に工房とB-factionにそれぞれあった大量の遺物を処分した。
例えば軽自動車のトランスミッション。

こうして並べると、
RR方式とFF方式が絶妙のコストバランスで製造されていた事が解る。
サンバーとステラは相対性理論で成り立っていた(笑)。
セカンドジェネレーションの水平対向エンジンにも、

そろそろ捨てるべきストックが増えたので、
このエンジンを潔く捨てた。
すると、
すぐこのパワーユニットが現れた。

いずれまた役立つ時が来るだろう。
激しい雨が降った水曜日、

重要な会議に参加するためBRZに鞭を入れた。
スポーツカーで移動すると疲れを全く感じない上に、

やる気がガンガン高まる。
名神高速のゲートで渋滞した時に、改めて燃費計を見て驚いた。

RAは少し車内がうるさいが、軽さには換えられない。
BRZのハブをあえて100ピッチの5穴にしているのは、
バネ下重量を軽減するためだ。
ブレーキもレガシィなどで培われたキャリパーを採用し、
軽さと性能のバランスを取った。
よくブレンボを付ける話を聞くが
ターボのように武装する必要は全く無い。
コストが上昇するだけであまり意味が無いと思う。
なぜならニュルで何度かGT86を走らせたが、
ブレーキの性能に不満など無く、
あれで十分だった。
今のBRZに必要な開発要素は、
さらに論理的な軽さを追求する事だろう。
既に2万5000キロ以上にわたり3台のBRZと付き合ったが、
シートに不満を覚えた事さえ一度も無い。
RAこそ今最もお薦めしたいグレードだ。
ライバルのロードスターも軽さを追求している。
やはり軽さは性能だ。
BRZの開発過程に於ける重要課題は、
1gを削り取るような軽量化だろう。
モーターショーで姿を現してから、
もうすぐ2年になる。
このクルマを更に軽くするために、スバルは何を次に仕掛けるのか。

激しい雨や雪などにも強い。
それは自ら実証してきた。
低い重心と適切な重量配分で、
安定した走行を楽しめる。
それが新世代FRスポーツの神髄だろう。
今後は、どこまで軽さを極め、
重量配分をどのように改善するのだろうか。
その二つにしか興味が無くなった。
さて、会議は緊急性を伴う重要な案件で盛り上がり、
緊迫した雰囲気を漂わせていた。
長い付き合いの盟友は、
非常に頭脳明晰だから、

冷却効率が高くなる進化を続けている。
彼の後ろ姿は亡くなった祖父にそっくりで、
無駄なモノを身に付けず、軽量化に努めるライフスタイルにも共感できる。
昨年、この会議で出された弁当を酷評した。
すると、中納言の田上剛大取締役から連絡があり、
「来年はリベンジします」と約束してくれた。
だからワクワクしながら昼飯を待った。

お昼になり弁当が配られた。
昨年とは一変していた。

この焼き魚を一口食べただけで、
100点満点を予想した。

全て一つ一つ丁寧に作られている。
昨年の生野菜を乱暴に放り込んだ、「一見豪華」な弁当では無く
ホンモノをしっかり追求していた。
エビに隠れて見えないが、
カボチャの皮の剝き方と言い、
適度な歯ごたえと言い、文句の付けようが無い。
田上さん、堪能させて戴いた。
こういう見事なリベンジが、クルマ造りのお手本になる。
丁度その頃、
駒ヶ根から山本さんが中津スバルへ遊びに来てくれたようだ。

美味しいお土産をいただいた。

数日間、朝のスタートをアップルパイとコーヒーで楽しむことが出来た。
心から感謝申し上げます。
その翌日、岐阜から名知さんが

素敵なお土産と共に現れた。
日本酒の逸品が楽しみやすくなった理由の一つに、
四合瓶の普及があると思う。
この世界でも軽量化は大切な要素だろう。
日本酒の世界で一升瓶を捨てることから何を得る事が出来たのか。
こだわりの酒を、
一息ついたらじっくり楽しませて戴きます。

名知さんは航空機や軍艦に極めて深い見識がある。
だから軽量化を極める事が戦闘力を高める上でどれ位重要か理解している。
また、クルマには詳しくないと謙遜されるが、
STIのブランドステートメントに何が一番欠落しているか、
良く理解されている人物の一人だ。
彼の理念で捉えると、
今のSTIから欠落したのは、
「本気」という文字だ。
捨てることで得ること、それは、手を染める対象を選び、
極めることにも当てはまる。
人間はモノへの執着を簡単には拭いきれない。
そして、
時には、身の丈以上に贅沢になったりすることもあるだろう。
また、見栄えだけの仕事で手際よくお茶を濁す事もある。
それが重なることを「穀潰し」という。
誰が穀潰しなのかはさておき、
前回のブログで伝えた桜の続きを話したい。
衰弱したと表現したが、少し事情が違った。
近くに寄って下から撮影した写真を見て欲しい。

改めて良く見て、
2010年の6月6日に同じように下から撮影した画像を探した。

やっと見つかった。
白いレガシィに桜の緑が似合う。
その上で
2008年の7月20日に撮影した写真と比べた。

5年前はこのようにスカスカだ。
自然界のリズムを明確に示唆している。
1991年に現在の建物に建て替えた時の写真が見つかった。

道路も狭く周辺も拡張工事で殺伐としていた様子が窺える。
22年も経過して

所々に残る、自然の名残に嬉しさを覚える。

砕石やコンクリートやアスファルトに固められながらも、
生き残った小さな宇宙を見た時だ。
目をそこに向け丁寧に整えると、結果的に良い仕事に繋がると気付いた。
「だから続けよう」と心から訴え、
毎朝、周辺の環境と時間を共にする。

今朝は増えすぎたドクダミを間引き、
雑草を取りながら、徐々にはみ出してきた砕石を篩で除去した。

川の畔に植えたブルーベリーも毎年実を付け、潤いを与えてくれる。

今年も採れた実が美味しいジャムになった。

しかし良く見ると、
同じ環境なのに、急に元気が無くなる木が出た。

原因は良く解らないが
とうとう枯れてしまった。
まだ諦めるのは早いので

枝を切り様子を見ている。
国内の自動車産業とブルーベリーは、
共に「飽和状態の産業」と言えるだろう。
ブルーベリーの生産量と消費のバランスは、
自動車の置かれた環境に似ているかもしれない。
当たり前になりすぎると、魅力が希釈される。
ブルーベリー畑から続く

この斜面を奇麗に整えた。
そして、後ろを振り返る。

昔の姿から、
捨てるモノを捨て、
育てるモノを育てるうちに、

この辺り全体の活力が上昇した。

ところが枯れた木もある。
僅かな油断が後々になって

取り返しのつかないダメージになり、
遂に柊はその命を終えた。
工房の整理整頓の他に
もう一カ所整理した。

大好きなSTIのプロダクツを展示する施設として、

掃除前
B-factionを造った。
STIの黎明期からそのポリシーに惚れ、それは今でも変わらない。
この部屋をリフレッシュした。

掃除後
丁寧に掃除してから、思い切って不要品を処分し、

たまった資料を整頓した。

模様替えで気分も一新だ。

まるでそれに合わせるかのように、

オトナの事情を沢山背負って彼等がやって来た。
普段ならばここに通すところだが、
あえて他の場所に案内した。
時が過ぎるのを忘れさせるためだ。
本館から会社の北西を俯瞰すると、

2007年の11月から

現在までの変遷が解りやすい。
コツコツと積み重ねた僅かな力が、
知らず知らずのうちに積み重なり素敵な環境を育んでいる。
遠路はるばる訪れた来客にとって、

この空間で癒される事が心身ともに一番良いだろう。
左はかつて広報部に在籍され、各方面で活躍された、
富士重工業株式会社
国内営業本部の清田勝紀さんだ。

右は過日、岐阜スバル自動車の代表取締役に就任された
羽野将史さんだ。
偶然にも二人は同期でとても親しい間柄だ。

この頃、直接手で土や苔や虫に触れていると、
理屈では無く、それが長い目で見て「良い」か「悪い」か直感する時があると伝えた。
そのような曖昧な話から何かが閃く事もある。
緩やかに時が流れるこの場所で、時を忘れて語り合った。
スバルから次々と良いクルマが誕生し、

商いの上でも感謝が絶えない。
ただ、ひとつだけ変化したことがある。
いつの間にかSTIに関わる環境から遠のいた。

このクルマが出た頃から歯車が狂いだした。
チューンドバイSTIを纏った、エクシーガの仕上がりは素晴らしく、
すぐさま購入してショールームに展示した。
7人乗りに姿を変えた4代目レガシィともいえる、
エクシーガにはクルマとしての魅力は数え切れないほどある。
しかしSTIコンプリートとして捉えると、
あまり魅力を感じない。
なぜなら、彼等は「一生懸命」の意味を取り違えているからだ。
この頃「tS」のロゴを見ただけで蕁麻疹が出る。
STIの皆さんには申し訳ないが、
失敗に近いこの「ゲーム」を、
はたして「継続は力なり」と思い込むのにふさわしいのだろうか。
当時の操る写真を見ても、

少しも嬉しそうではない。
今日に繋がる何かを予感していたのだろう。
先ほどのブルーベリーのように、
飽和状態の中で、多々ある一本が枯れる影響と、
家の門に彩りを添える柊では価値が違う。
少しの間、STIのリリースするクルマの評価を控える事にした。
だからSTIはいくらでも「tS」をリリースし、思う存分好きなようにやれば良い。
そうすると、また次が見えるに違いない。
それが桜の古木に見るような、
「自然のリズム」と同じなのだろう。
ただし、今年の冬に参考意見を求められたクルマだけは例外に出来ない。
もう一度考え方を述べたい。
もし、このタンレザーと洒落た外装色のBRZから、

STIの匂いが漂ったなら、
雲野君と交わした「即座に注文する」という約束を、反故にせざるを得ない。
ドレッシーなクルマをあまりにも次元が異なるSTIと絡ませてはいけない。
十把一絡げを招かぬようなブランドコントロールを期待したい。
仮に「そこまでSTIを辛口批評して、
お前ならどうするんだ」と言われたとしよう。
工藤一郎さんがSTIの社長だった時、
ご本人と直接話した事がある。
それは「S501の企画」を進言したことだ。
しかし工藤さんは、WRC撤退の騒動の中で、

詰め腹を切るように辞められた。
色々見解はあるだろうが、本当に残念だった。

トライベッカがこのまま消えては、あまりに惜しい。
クルマのサイズといい、
ペイントのクオリティといい、
プレミアムな商品に仕立てる対象としてふさわしい。
ただ、
STIはフラット6に触るのが「怖くて怖くて仕方が無い」のだろう。
これまで、そう見られてもやむを得ない節が多々あった。
だからこれで橋頭堡を築き、
まず
少量生産するプレミアムカーとは、何かを学び直すべきだろう。
都合の良い事に、
そもそもベースモデルが日本に無いから、
STIが好きなように出来る。
欲しくても買えないと嘆く日本人も結構沢山居る。
さらに極めつけの事実がある。
それはSTIが過去に仕掛けた直輸入だ。
昔、スバルが海外仕様のレガシィにだけ、2.2リッターエンジンを与えた事を覚えているだろうか。
そのクルマを買いたいというお客様からの希望が、
全国各地のディーラーに届いた。
そこでSTIに白羽の矢が立った。
彼等はインディアナ州のラファイエットにあるSIAから、
30台のレガシィセダン4WDを日本に輸入した。
この経験を活かせば面白い事業が出来る。
シッピングも戻り便なら安上がりで、良いビジネスだ。
STIブランドを「単なる」グレードに使われたり、
販売回復の道具として徴用されるだけでは良いクルマは生まれない。
「俺たちがトライベッカを本当のプレミアムカーにして度肝を抜いてやる」と、
STI自身が更なる意識改革を進めるべきだ。
さて今回の一番重要な話題に移ろう。
トライベッカは米国市場を主戦場に開発された。
少し関係がある。
今、米国ではアウトバックの人気が高い。
残念ながらトライベッカのフェイスは発表当時、米国で不評だった。
その不人気を跳ね返すために
少しフォレスター的にフェイスリフトした。
それが上に紹介した画像だ。
ビッグマイナーチェンジで顔が変わったが、
次の試練が待っていた。
アウトバックがモデルチェンジで一回り大きくなると、
両車の立ち位置が若干近くなる。
そんな事もあり、
モデルチェンジの計画も無いまま今日に至る。
じつは本来なら、既に日本で発売されていたはずだ。
ところがいくつかの事情で発売を見合わせた。
アウトバックの価格戦略が大ヒットし、
トライベッカの影が薄くなった。
出自が異なると、
ここまで差が広がるのかと、
改めて驚いた。
各メーカーからアウトバックと同じようなSUVが登場した。
しかし世界で先鞭を切ったのはスバルだ。
逆にトライベッカににた車は他にもあった。
アウトバックはアメリカで1994年に誕生した。
その立役者は現在のレガシィの開発責任者だ。
アウトバックは米国で着実に実績を積み上げたから
日本とは違う独特の成長を遂げた。
従って外観や仕様も一部日本仕様と異なる。
先日発売開始された
入魂の作品「アウトバック2.5i EyeShight EX Edition」を紹介する。
今年スバルから発売された限定車で一番優れている。
中津スバルでも、発表と同時に注文したが、
サンルーフを装備したので生産待ちで入荷が遅れた。
そのためハイブリッドなどの陰に隠れた。
このクルマこそ「本気」の気合いを放つ。

前作に続き2度目の登場となるが、
期待通り、趣をガラリと変え数々の特別装備を身に纏った。
僅かに残していたビームスとのコラボレーションを今回から解消し、
全て富士重工自身がコーディネイトしている。
特にセンスの良いアイボリーステッチの効いたブラウンレザーシートに痺れた。

この仕上がりは素晴らしく、ビームスを絡ませなくても、
独自の仕立てで十分だと主張している。
これは認めざるを得ない。
トライベッカの雰囲気を漂わせるディティール。

STIの最上級モデル「Sシリーズ」のために開発した、
サテンメッキドアミラーも装備。

ディープチェリーパールのボディをキリリと引き締めている。

前作でも好評だったデュアブルフロアとマルチパーパスサブトランクも健在で、

汚れ物の積載を十分考慮した設計になっている。

さて今回の目玉装備は、特徴的なルーフラックだ。
クロスバーと呼ばれる独特の構造を持つルーフレールは、
以前から米国仕様車に取り付けられていた。
この専用大型ルーフレールの操作は

至って簡単だ。
ここがポイントだ。

クロスバーと呼ばれる可動式レールの端にはロックノブが装着されている。

それを指で軽く持ち上げるだけでレールは本体から簡単に外れ

もう一方を軸にして反対側のレールに設けられた穴にピタリと収まる。
この装備だけでも高い価値があり限定車の鑑と言えるだろう。
昨年新型エンジンを搭載してから、更に磨きがかかったレガシィシリーズは、
今年のマイナーチェンジで熟成を極めた。
先月テストしたツーリングワゴンと同じように、アウトバックも静かで快適な空間を創造している。

EXエディションを持ち出すわけに行かないので、
父の愛車を借りて開田高原まで走ってみた。

浦島太郎が目覚めたと言う伝説のある「寝覚ノ床」。
暑さも少し和らぎ、
心地よいドライブを楽しめる。
難所のひとつが解消されそうだ。
長い間工事中だったトンネルがとうとう貫通し、既存の道を接合された。
走り始めは11キロぐらいの燃費があっという間に伸びる。

50㎞ほど走行し燃費を見ると

1ℓ当たり12.3km走行していた。
試しにS#を選択し走りの違いを試してみたが、

新型2.5リットルのエンジンフィーリングは前モデルの3リッター並の実力を発揮する。
従ってiモードだけで十分な走行性能を発揮する。
特に山道でSUVとは思えない走行安定性を発揮する。
高速のターマックで、
ヨコハマタイヤのジオランダーは若干スキール音を出すが、
しっかり路面を掴んで離さない。
悪路も走れて、燃費も悪くない万能タイヤはアウトバックだからこそ真価を発揮するのだろう。
車体の高さが増えても、重心高の優位性で走行安定性も良く、
道路の凹凸にも鷹揚で、このクルマにピッタリ合った良いタイヤだ。
この時の心境は、

もう気持ちよくてステアリングをニコニコ微笑みながら左右へ操作した。
昇りはともかく、
下りのワインディングがこれほど楽しいとは全く思いも寄らなかった。
次のかわら版でもう少し詳しく取り上げるため、
集中して原稿の作成に取り組む。
僅か600台の限定だ。
かわら版の発行まで売り切れないと良いのだが。
by b-faction
| 2013-07-29 18:36
|
Comments(2)