BRZとM3の特質を語る
2013年 09月 14日
NBRのドラトレでコンビを組んだM3と別れを惜しんだ。
二日間にわたるトレーニングで、
全行程600Km以上M3のステアリングを握った。
一日目は2人交代でこの206号車をドライブした。
二日目は単独で使用することが許された。
その時に貸与されたのがこの208号車だ。
乗った瞬間に感じた。
この子はどうも他の個体とは特質が違う。
エンジンは良く回るし、
クルマ全体の追従性が俊敏だった。
なぜか解らないが個性が際立つクルマだった。
クルマは家畜だと良く説くが、
どんな経歴を持つのか、クルマがその様子から語りかけてくることがある。
208号車との相性はとても良く、
全く疲れ知らずで2日目を過ごした。
M3は素晴らしいクルマだ。
まるで高性能4WDのように、卓越した安定性を雨天でも発揮する。
ドシンと地に根を張ったような安定感は、
安全と安心を絶え間なく与える。
高額なクルマ故、
電子装備も満載だ。
セレクタレバーも電子制御で、ポジションを間違えても安心だ。
デュアルクラッチ式の7速シフトは、
オートマチックモードを選択していても、
パドルを操作した瞬間にマニュアルモードに固定される。
セレクターの左側に並んだ3つのスイッチ。
一番下はVDCのカットスイッチだが、
「絶対に切ってはならぬ」と厳命される。
ロバートの言うところの『モダンなクルマ」の定義はまずそこにある。
実際に超高速でノルドシェライフェを走り、
迫り来るコーナーを次々にクリアしていると、
そのモダンさに痺れてしまう。
とても切る気になんかならない。
カットスイッチは、あくまでも
雪道や砂利道などの、エマージェンシー用だ。
真ん中にあるEDCはエレクトロニックダンパーコントロール。
ここではノーマルを使う。
雨が降ったらソフトを選択する。
一番上はオートマチックモード時のスポーツ切替だ。
ユニークなのはセレクトレバーの直下にある楕円形のスイッチ。
これでパドルシフトの感度を調節する。
左に押すと感度が下がる。
右を押すと感度が上がる。
シフトポジションを示す数字の右にバーが並んでいる。
これがインディケーターだ。
3目盛りの中間値にしているが、
インストラクターの推奨値は2目盛りだった。
このように数々の高性能な飛び道具を持つM3は、
NBRを美しく舞うように走る。
このカルーセルに飛び込むと良く解るが、
絶対的な操縦安定性が国産車とは全く違う。
カルーセルの路面を近くで見ると解ると思うが、
こんな場所はリアルワールドにほとんど無い。
4月にGT86でここを走った時、
VSCがいとも簡単に作動した。
初めて中津川でトヨタ86に乗った時にも感じたが、
下りコーナーを高めの速度でクリアしようとすると、
外側の後輪がグリップを失うのか、
少し安易すぎるほどVSCが働いた。
この違いが価格差から来るものだろうか。
そうでは無いだろう。
僅か2%だが、
これが重量配分に対する執念の差だ。
M3は良いクルマだが、
ネガティブな要素もある。
絶対的な重量だ。
高トルクな8気筒エンジンのおかげで、
軽々と走るが、
慣性マスの大きさは隠しようが無い。
燃費を気にする人が乗るクルマでは無いが、
100㎞走行するのにほぼ19㍑必要だ。
欧州式の燃費表示を翻訳すると、
1リッター当たり5.29kmの燃費となる。
そうなると必然的に燃料タンクも大きくなり、
色々な制約に繋がる。
次にどんな展開を見せるのか非常に楽しみだ。
既にMINIブランドを手に入れ、
馬鹿っぱやいFWD車をニュルで開発したBMW。
全く商売が上手い。
同時に走ったミニチームには撮影部隊まで随行し、
プロモーションに励んでいた。
それだけ数も売れるからだろう。
こちらの分野では相当遅れていたBMWだが、
ようやく人並みのメーカーになりつつある。
それに対してスバルはFWDとAWDのパイオニアだ。
その分野で素晴らしい物作りを進めてきた。
そして彼等がFRスポーツカーに本腰を入れたらどうなるのか。
その答えは既に明快だ。
水平対向エンジンを極めると、
FRスポーツカーに行き着く。
ドイツで過ごした1週間、
使用したクルマは全てFRだった。
陽気なキャビンアテンダントと共に
ルフトハンザでセントレアに戻る。
駐車場で静かに待つ「きゅうはち」に跨がり、
久しぶりに道路の左側を走る。
重厚でへばりついた感覚とは違うが、
華麗に道路を舞うように走るBRZはやはり最高の相棒だ。
思う存分スロットルを空けて、
仕事場に復帰した。
どう受け取るかは自由だ。
えっ?
と驚く高燃費。
そして、関東への出張になった。
久しぶりにオートマチックを借りて出かけた。
ほぼNBRを走行したに等しい距離を一気に駆け抜けた。
これも想像に任せるが、
驚愕の燃費だ。
AT車の効率の良さは特筆モノだ。
DSGのようなツインクラッチ式の伝達効率も高いが、
日本に於ける使用環境では低速時のデメリットも大きい。
過去にGT-Rに乗って辟易としたことがある。
BRZの楽しさは山岳路で際立つ。
この場所は以前にも紹介した日本で唯一の隕石クレーターだ。
絶景に佇むBRZ。
この場所に行くと解るが、
丸いクレーターの円周部カラス越下に道がある。
従って、この下は深いクレーターの底になる。
強烈な圧力で木っ端微塵にたたきつぶされた痕跡だ。
この辺りはこの様な地質で溢れている。
直径45メートルの隕石が落下した頃、
世界中で同じような事が起きたのだろうか。
温暖な気候が急に冷え込むなど、
余程の天変地異があったに違いない。
氷河期の太古に心を馳せ、
深い谷を駆け下りた。
旅人の喉を潤わせる場所を見つけた。
管理人には申し訳ないが、
命をかけて飲む水。
生水を呑むことを人々は忘れたが、
時には呑むことが強さを生む。
大丈夫だと書かれていても、
それを保証するものは何も無い。
でも、呑む。
日本ならではの豪快な楽しみだ。
海外では絶対にやらない。
そして湯に浸かり疲れを癒す。
わずか300円で最高の天然温泉に出会えた。
ドイツの温泉も素晴らしいが、
日本の温泉も最高だ。
こういう場所に日本の誇る最高のスポーツカーで出かける感動を、
是非一緒に味わわないか。
続く・・・・
by b-faction
| 2013-09-14 20:40
|
Comments(2)