軽自動車とBMW
2013年 09月 23日
モーゼル川のほとりには限りなくブドウ畑が続く。
ここをオープンカーで飛ばしたらどんなにステキだろうか。
こんなイメージの内装を持つBRZカブリオレが誕生したら、
ドイツに持ち込んで心行くまでドライブしたい。
見渡す限りブドウ畑が連なるだけ有り、
この辺りには家族経営の醸造所が軒を連ねている。
中でもリオルlにある酒蔵のワインは美味しくて、
しかも凄く安い。
モーゼル地方は秋になると紅葉が素晴らしい。
ここ、コッヘムは何度訪れても素晴らしい、とても美しい街だ。
掃除で一日明け暮れた疲れを夫婦で癒すために、
土産に買ったワインの封を遂に切った。
ピンクのシャンパン(ドイツのスパークリングワインだけど)が、
こんなに旨いと思わなかった。
全然甘くないし香りも良い。
これで1本今のレートで975円だ。
次に行ったら3本ともこいつを買おうと思う。
コルクの状態も抜群。素直に「ポンッ」と抜けるから気持ちが良い。
注ぐと泡がピンクで奇麗だ。
料理はチーズフォンデュがメインだった。
トロリと溶けたチーズにも良く合う。
ドイツの食い物は、どれも相性が良く、
持ち帰った食い物の数々は、
まだしばらくの間、楽しみを与えてくれることだろう。
さて、掃除に明け暮れた理由は、
東京から取材で訪れる人に少しでも快適な環境で、
撮影をしてもらいたいからだ。
まず、
工房の入り口の芝生を手入れした。
僅かな面積だが真心込めて草を取る。
良く見ると解るが、
芝の間には、奇麗な緑色を楽しませてくれる苔が、
びっしりと生えている。
手で草を抜いても苔が付いてくるので、
それらを集め、
桜の横にあるベンチの周りに植え付ける。
手入れを続けると良い微生物が集まる。
そういう所には、良い気が生じる。
すると自然に、人に優しい空間を生み出す。
少しずつ浄化を続けた結果、
山桜が自然発芽しすくすくと育つ環境になった。
辺り一面が苔に被われる日が楽しみだ。
草取りの後は役割分担に沿って、
オープンカーガレージとSABを清掃する。
SABに展示してある車を、
全て外に出し床を洗った。
ここをスタジオ代わりに使ってもらう。
24日にやってくるのは、
付録の大きな大人の雑誌を作っている会社のスタッフだ。
先日もインプレッサでラリーカー特集が始まった。
それを購入した直後にメールが来たのも何かの縁だろう。
希望を受け入れ、
取材して戴くことになった。
せっかく中津川に来られるのだから
良い写真を、
沢山撮って戴ければと思う。
川の畔で、
鳥のさえずりをを聞きながら、
ホノボノとした和らぎのある取材をしてもらおうと考えている。
それで、皆で力を合わせ丁寧に掃除した。
この機会に古き良き時代のスバルから、
最新のテクノロジーを注ぎ込んだスバルまで
存分に眺めていって欲しい。
準備する時間もかなり必要になるが、
このように受け入れ体制を整える事が、
展示車両のコンディションを高めるための、
良いモチベーションとして働く。
クルマも「取材される」ことで美しくなる。
まさしく女優と同じだ。
「取材する側」のプロの視点が、
SABの女優達を更に輝かせることだろう。
ここにはクサビ形のスバルが3台ある。
それを撮影して何をするのかというと、
ディアゴスティーニという会社が創刊している、
大人の心に刺さる雑誌を作る。
日本の名車の特集らしいが、
我が社のコレクションを選んで戴き、
とても光栄だ。
だから、
全員で磨く。
汚れが気になっていたエンジンルームも、
北原課長がピカピカに磨き上げた。
職人気質の彼らしい仕事ぶりで、
2日以上掛けて、手の空いた時間にコツコツと真心を注いだ。
当時も誇らしげに「むつらぼし」を掲げていた。
どこに出しても恥ずかしくないレディに生まれ変わらせた。
さて、アルシオーネは消える事無く、
次のアルシオーネSVXにバトンを渡した。
素晴らしい歴史の一幕だった。
改めて触れてみて感じることが二つある。
まず、
スバルやSTIが未だにオトナになれないのは、
SVXを越えるクルマがどうしても造れないからだ。
過去の失敗が怖くてしょうが無いから、
そういうクルマを造ろうとせず、LEGACYに逃げる。
だから、子供じみたところが消えない。
二つ目は車の屋根だ。
SABと同時に向かい側にあるオープンカーガレージも掃除した。
ここの装備品を全て外に出し、
全ての壁とガラス窓を「亀の子だわし」でゴシゴシと洗った!
スバルは軽自動車でしか屋根の外れるクルマを造ったことがない。
これでは駄目だ。
このMGBのように、
30年経っても色褪せないようなオープンカーを、
登録車(軽自動車では無いと言うこと)で造れば、
ようやくオトナの車メーカーに蛻変だ。
このガレージはそのためのモニュメント。
きれいに洗った壁に、
MGBが動くようになるまでのストーリーを飾った。
整備を担当した北原の血が滲んでいるようだ。
ちょっと自虐的ではあるが、この薄汚れた倉庫感がたまらんなぁ。
オープンカーで利益を出すのは大変だ。
例えば冒頭に紹介した、
伝説的なロードスターであるBMW507を見てみよう。
自分とほぼ同い年、
50年代の終わりに作られた作品だ。
そして3年の間に僅か251台しか製造されていない。
注目すべきは右奥のクルマだ。
507をモチーフに開発され、
ジェームスボンドがドライブした車の心臓は、
M社の手で仕立てられた5㍑V8。
時速100㎞に達するのに5秒しか要しない。
BMW Z8は4年間の間に
5703台製造された。
22Bが作られた頃だ。
なにを言いたいのか解るだろう。
あっという間に夕日が美しく景色を染めた。
会議室からこんな景色が見られるのも、
ここで暮らす者の特権だろう。思わず見とれてしまった。
この写真の右下辺りをリニアモーターカーが突っ走る。
2027年の風景は大きく変わるだろう。
中津川にリニアが通る様になると、
今よりもっと楽に東京や大阪をはじめ、
あちこちからスバルを大切に乗り続けたい人が来てくれるだろう。
それにしっかり対応することも与えられた使命だろう。
と言うのも、
このクルマを見た時、
ドキリとしたからだ。
ワインを買って帰る途中のアウトバーンで、
見覚えがあるBMWに遭遇した。
見覚えがあると言っても、日本における話では無い。
公道上を走る姿を初めて見た。
この時、追い越し車線でセアトのミニバンを操っていたのは、
モータージャーナリストの菰田潔さんだ。
おそらく、同じようにドキッとしたに違いない。
彼はBMWに関して、日本でトップのオーソリティーだ。
迷わずクルマの後ろに付いた。
この時、ラッキーなことにC220の助手席に居た。
追い抜きながら写真を撮れなかったのは残念だったが、
貴重な走る姿をカメラに収めることが出来た。
なぜ、一瞬でこのクルマを思い出したのか。
それは2010年に遡る。
後述するがBMWのミュージアムで忘れられないクルマを見た。
それがこれだ。
前方から無線で菰田さんの解説が送られて、
Cピラーがホフマイスターと呼ばれることも知った。
それはCピラーが逆反りになった、
特徴的な外観のことだ。
それが目に焼き付いていたのだろう。
しかも水平対向エンジンを
トランク部分に搭載している。
スバル1000の前にA-5というたった4台だけ作られた試作車があった。
そのセダンもは電気自動車として開発が始まったFF車だった。
A-5は今でも大切に富士重工のある場所で保管されている。
全くのゼロから作り出された、
空冷水平対向4気筒OHCエンジンを搭載した4ドアセダン。
改めてこのお蔵入りしたクルマを見ても、
スバルの開発力の逞しさを感じる。
クリフカットと呼ばれる、特徴的なリヤウインドを持つクルマだった。
BMWにも苦難の歴史がある。
生き残るためにバブルカー(軽自動車)を製造していた。
軽と高額車という「いびつ」な車種体系が災いし、
倒産しかけたことがある。
それが、今では超一級の自動車メーカーに蛻変した。
ミュンヘンにあるBMWの本社を訪れた時、
スバルと違って、本当に商売が上手いなと思った。
併設されているミュージアムと、
凄い施設を見たからだ。
世界から顧客を集める、ミュージアムとはまた違った場所だった。
その姿勢に強いインパクトを受け、
BMWに対する考え方が変化した。
もう4年も前のことだ。
昔からBMWの造るバイクのエンジンは水平対向だ。
そのエンジンを使ってRR方式のクーペを造った。
それがこのLS700クーペだ。
まだキドニーグリルなど、微塵のかけらも感じない。
極めて「無難」な顔をしている。
「軽自動車とBMW」というタイトルは、
彼等の苦難に満ちた次第を意味する。
BMWは、このLSという失敗作(駄作)や、
イセッタというクルマで戦後の苦境を何とか乗り切った。
サブロクがデビューする頃と重なる。
ただしその後、
スバルとBMWが歩んだ道は決定的に異なる。
BMWは2度と軽自動車の世界に、
足を踏み入れなかった。
ドイツと日本では、車を取り巻く社会環境があまりにも違った。
そしてBMWには02シリーズが誕生し、
2002という歴史的なスポーツセダンが世に姿を見せた。
スバル1000が生まれた2年後だ。
BMWは前後重量配分5:5に徹底的に拘った。
しかしFRしか造らなかった。
ところが、
スバルはこの世の中に存在しないモノを果敢なチャレンジで造り上げた。
それはフロント荷重を重視したFFだ。
両社の決定的に異なる部分だ。
スペースの有効性に富んだFF方式は世界を席巻し、
取り残されたBMWは焦ったに違いない。
しかし彼等は商売が上手い。
こういう手を使ってFFを売っている。
ただ同然で英国のブランドを手に入れ、
余分なローバーはさっさと切り捨てた。
スバルも十分気を引き締め、
油断してはならないぞ。
BMWの造形言語は素晴らしいと素直に認めよう。
しかし、あまりにも不細工だ。
これなど、まだましな方だ。
親子であきれかえった。
信じられない、と言う表現ではおぼつかない。
「悲しいほど不細工」と娘は呟いた。
ところが、BMWでならこれが平然と成り立つ。
そこにブランド力の違いがある。
スバルの顧客にそんな余裕は全く無い。
造形言語などクソ食らえだった。
その時、それを聞いた販売部隊はすぐに動揺した。
そして非難囂々、後ろから鉄砲をぶっぱなす。
売れない理由を造形言語に求めた。
但し、
それ以前から兆候はあった。
このインプレッサは3度も容姿が変わった。
発売当初から丸いライトが好きだったが、
徹底的に批判され続け、
イギリス人に助けを求めた。
22Bのデザイナーとしても良い仕事をした、
ピーター・スティーブンスだったと思う。
そして、今に繋がる鷹の目を持つ姿へと変貌した。
でも、
ここにあるS202を見ると、決して悪くない。
ところで、
過去にはBMWでもリトラクタブルヘッドライトを持つスペシャリティーカーが存在した。
それはM1と言う。
イタリアのジュージアロが仕立てたものだった。
今のM3や
M6に続いている。
見よ!このクオリティ。
STIは「顧客がワックスを掛けると困るから、
マッド塗装は売れない」と言い放った。
出来ないことの言い訳しかしないSTIにも辟易としたが、
彼等にも言い分はある。
ブランドというものは、
その威力を認める顧客が、クルマを買うと同時にメーカーを育てるから磨かれていく。
一理あるとは思わないか。
STIがせっかく道筋を付けたカーボンルーフだったが、
BMWのクオリティに恐れをなし、
尻尾を巻いて逃げた(笑)
顧客の払う金額を低くしか定められない事が、
僅か2度で生産から撤退した理由だろう。
その根底には、
責任を取ることの怖さが渦巻いている。
また出る杭は打たれる!
「はんざわなおき」がヒットした理由は
そこに痛快感を覚える人が多かったからだろうか。
最後のワンシーンだけ見た。
続きがある事が見え見えで、
ああ言う「あざとい」ドラマは見なくて正解だったかもしれない。
今回の22Bオーナーズミーティングを通じて悟ったことが2つある。
22Bは決して古いクルマでは無い。
BMW700LSでアウトバーンをぶっ飛ばしている初老の夫婦を見た時、
心から「良いなあ」と感じた。
22Bを愛する奴らの将来とピタリと符合した。
たった15年で「いつまで乗れるか解らない」と心配するメンバーが居たが、
馬鹿なことを言ってはいけない。
「死ぬまで乗る」事が出来るはずだ。
もう一つは、
22Bを作った会社が、
このままの中途半端な形で終わるはずが無い、
と言うことだ。
さあ、忙しくなる。
日本中にスバルの良さを知らしめるために、
死ぬまで愛し続けるという使命を身をもって果たさねばならない。
そして古き良き時代、
先輩が残した偉大な足跡を温存することも大切だ。
温故知新の素晴らしさは、
一度知ると止められないぞ。
ここをオープンカーで飛ばしたらどんなにステキだろうか。
こんなイメージの内装を持つBRZカブリオレが誕生したら、
ドイツに持ち込んで心行くまでドライブしたい。
見渡す限りブドウ畑が連なるだけ有り、
この辺りには家族経営の醸造所が軒を連ねている。
中でもリオルlにある酒蔵のワインは美味しくて、
しかも凄く安い。
モーゼル地方は秋になると紅葉が素晴らしい。
ここ、コッヘムは何度訪れても素晴らしい、とても美しい街だ。
掃除で一日明け暮れた疲れを夫婦で癒すために、
土産に買ったワインの封を遂に切った。
ピンクのシャンパン(ドイツのスパークリングワインだけど)が、
こんなに旨いと思わなかった。
全然甘くないし香りも良い。
これで1本今のレートで975円だ。
次に行ったら3本ともこいつを買おうと思う。
コルクの状態も抜群。素直に「ポンッ」と抜けるから気持ちが良い。
注ぐと泡がピンクで奇麗だ。
料理はチーズフォンデュがメインだった。
トロリと溶けたチーズにも良く合う。
ドイツの食い物は、どれも相性が良く、
持ち帰った食い物の数々は、
まだしばらくの間、楽しみを与えてくれることだろう。
さて、掃除に明け暮れた理由は、
東京から取材で訪れる人に少しでも快適な環境で、
撮影をしてもらいたいからだ。
まず、
工房の入り口の芝生を手入れした。
僅かな面積だが真心込めて草を取る。
良く見ると解るが、
芝の間には、奇麗な緑色を楽しませてくれる苔が、
びっしりと生えている。
手で草を抜いても苔が付いてくるので、
それらを集め、
桜の横にあるベンチの周りに植え付ける。
手入れを続けると良い微生物が集まる。
そういう所には、良い気が生じる。
すると自然に、人に優しい空間を生み出す。
少しずつ浄化を続けた結果、
山桜が自然発芽しすくすくと育つ環境になった。
辺り一面が苔に被われる日が楽しみだ。
草取りの後は役割分担に沿って、
オープンカーガレージとSABを清掃する。
SABに展示してある車を、
全て外に出し床を洗った。
ここをスタジオ代わりに使ってもらう。
24日にやってくるのは、
付録の大きな大人の雑誌を作っている会社のスタッフだ。
先日もインプレッサでラリーカー特集が始まった。
それを購入した直後にメールが来たのも何かの縁だろう。
希望を受け入れ、
取材して戴くことになった。
せっかく中津川に来られるのだから
良い写真を、
沢山撮って戴ければと思う。
川の畔で、
鳥のさえずりをを聞きながら、
ホノボノとした和らぎのある取材をしてもらおうと考えている。
それで、皆で力を合わせ丁寧に掃除した。
この機会に古き良き時代のスバルから、
最新のテクノロジーを注ぎ込んだスバルまで
存分に眺めていって欲しい。
準備する時間もかなり必要になるが、
このように受け入れ体制を整える事が、
展示車両のコンディションを高めるための、
良いモチベーションとして働く。
クルマも「取材される」ことで美しくなる。
まさしく女優と同じだ。
「取材する側」のプロの視点が、
SABの女優達を更に輝かせることだろう。
ここにはクサビ形のスバルが3台ある。
それを撮影して何をするのかというと、
ディアゴスティーニという会社が創刊している、
大人の心に刺さる雑誌を作る。
日本の名車の特集らしいが、
我が社のコレクションを選んで戴き、
とても光栄だ。
だから、
全員で磨く。
汚れが気になっていたエンジンルームも、
北原課長がピカピカに磨き上げた。
職人気質の彼らしい仕事ぶりで、
2日以上掛けて、手の空いた時間にコツコツと真心を注いだ。
当時も誇らしげに「むつらぼし」を掲げていた。
どこに出しても恥ずかしくないレディに生まれ変わらせた。
さて、アルシオーネは消える事無く、
次のアルシオーネSVXにバトンを渡した。
素晴らしい歴史の一幕だった。
改めて触れてみて感じることが二つある。
まず、
スバルやSTIが未だにオトナになれないのは、
SVXを越えるクルマがどうしても造れないからだ。
過去の失敗が怖くてしょうが無いから、
そういうクルマを造ろうとせず、LEGACYに逃げる。
だから、子供じみたところが消えない。
二つ目は車の屋根だ。
SABと同時に向かい側にあるオープンカーガレージも掃除した。
ここの装備品を全て外に出し、
全ての壁とガラス窓を「亀の子だわし」でゴシゴシと洗った!
スバルは軽自動車でしか屋根の外れるクルマを造ったことがない。
これでは駄目だ。
このMGBのように、
30年経っても色褪せないようなオープンカーを、
登録車(軽自動車では無いと言うこと)で造れば、
ようやくオトナの車メーカーに蛻変だ。
このガレージはそのためのモニュメント。
きれいに洗った壁に、
MGBが動くようになるまでのストーリーを飾った。
整備を担当した北原の血が滲んでいるようだ。
ちょっと自虐的ではあるが、この薄汚れた倉庫感がたまらんなぁ。
オープンカーで利益を出すのは大変だ。
例えば冒頭に紹介した、
伝説的なロードスターであるBMW507を見てみよう。
自分とほぼ同い年、
50年代の終わりに作られた作品だ。
そして3年の間に僅か251台しか製造されていない。
注目すべきは右奥のクルマだ。
507をモチーフに開発され、
ジェームスボンドがドライブした車の心臓は、
M社の手で仕立てられた5㍑V8。
時速100㎞に達するのに5秒しか要しない。
BMW Z8は4年間の間に
5703台製造された。
22Bが作られた頃だ。
なにを言いたいのか解るだろう。
あっという間に夕日が美しく景色を染めた。
会議室からこんな景色が見られるのも、
ここで暮らす者の特権だろう。思わず見とれてしまった。
この写真の右下辺りをリニアモーターカーが突っ走る。
2027年の風景は大きく変わるだろう。
中津川にリニアが通る様になると、
今よりもっと楽に東京や大阪をはじめ、
あちこちからスバルを大切に乗り続けたい人が来てくれるだろう。
それにしっかり対応することも与えられた使命だろう。
と言うのも、
このクルマを見た時、
ドキリとしたからだ。
ワインを買って帰る途中のアウトバーンで、
見覚えがあるBMWに遭遇した。
見覚えがあると言っても、日本における話では無い。
公道上を走る姿を初めて見た。
この時、追い越し車線でセアトのミニバンを操っていたのは、
モータージャーナリストの菰田潔さんだ。
おそらく、同じようにドキッとしたに違いない。
彼はBMWに関して、日本でトップのオーソリティーだ。
迷わずクルマの後ろに付いた。
この時、ラッキーなことにC220の助手席に居た。
追い抜きながら写真を撮れなかったのは残念だったが、
貴重な走る姿をカメラに収めることが出来た。
なぜ、一瞬でこのクルマを思い出したのか。
それは2010年に遡る。
後述するがBMWのミュージアムで忘れられないクルマを見た。
それがこれだ。
前方から無線で菰田さんの解説が送られて、
Cピラーがホフマイスターと呼ばれることも知った。
それはCピラーが逆反りになった、
特徴的な外観のことだ。
それが目に焼き付いていたのだろう。
しかも水平対向エンジンを
トランク部分に搭載している。
スバル1000の前にA-5というたった4台だけ作られた試作車があった。
そのセダンもは電気自動車として開発が始まったFF車だった。
A-5は今でも大切に富士重工のある場所で保管されている。
全くのゼロから作り出された、
空冷水平対向4気筒OHCエンジンを搭載した4ドアセダン。
改めてこのお蔵入りしたクルマを見ても、
スバルの開発力の逞しさを感じる。
クリフカットと呼ばれる、特徴的なリヤウインドを持つクルマだった。
BMWにも苦難の歴史がある。
生き残るためにバブルカー(軽自動車)を製造していた。
軽と高額車という「いびつ」な車種体系が災いし、
倒産しかけたことがある。
それが、今では超一級の自動車メーカーに蛻変した。
ミュンヘンにあるBMWの本社を訪れた時、
スバルと違って、本当に商売が上手いなと思った。
併設されているミュージアムと、
凄い施設を見たからだ。
世界から顧客を集める、ミュージアムとはまた違った場所だった。
その姿勢に強いインパクトを受け、
BMWに対する考え方が変化した。
もう4年も前のことだ。
昔からBMWの造るバイクのエンジンは水平対向だ。
そのエンジンを使ってRR方式のクーペを造った。
それがこのLS700クーペだ。
まだキドニーグリルなど、微塵のかけらも感じない。
極めて「無難」な顔をしている。
「軽自動車とBMW」というタイトルは、
彼等の苦難に満ちた次第を意味する。
BMWは、このLSという失敗作(駄作)や、
イセッタというクルマで戦後の苦境を何とか乗り切った。
サブロクがデビューする頃と重なる。
ただしその後、
スバルとBMWが歩んだ道は決定的に異なる。
BMWは2度と軽自動車の世界に、
足を踏み入れなかった。
ドイツと日本では、車を取り巻く社会環境があまりにも違った。
そしてBMWには02シリーズが誕生し、
2002という歴史的なスポーツセダンが世に姿を見せた。
スバル1000が生まれた2年後だ。
BMWは前後重量配分5:5に徹底的に拘った。
しかしFRしか造らなかった。
ところが、
スバルはこの世の中に存在しないモノを果敢なチャレンジで造り上げた。
それはフロント荷重を重視したFFだ。
両社の決定的に異なる部分だ。
スペースの有効性に富んだFF方式は世界を席巻し、
取り残されたBMWは焦ったに違いない。
しかし彼等は商売が上手い。
こういう手を使ってFFを売っている。
ただ同然で英国のブランドを手に入れ、
余分なローバーはさっさと切り捨てた。
スバルも十分気を引き締め、
油断してはならないぞ。
BMWの造形言語は素晴らしいと素直に認めよう。
しかし、あまりにも不細工だ。
これなど、まだましな方だ。
親子であきれかえった。
信じられない、と言う表現ではおぼつかない。
「悲しいほど不細工」と娘は呟いた。
ところが、BMWでならこれが平然と成り立つ。
そこにブランド力の違いがある。
スバルの顧客にそんな余裕は全く無い。
造形言語などクソ食らえだった。
その時、それを聞いた販売部隊はすぐに動揺した。
そして非難囂々、後ろから鉄砲をぶっぱなす。
売れない理由を造形言語に求めた。
但し、
それ以前から兆候はあった。
このインプレッサは3度も容姿が変わった。
発売当初から丸いライトが好きだったが、
徹底的に批判され続け、
イギリス人に助けを求めた。
22Bのデザイナーとしても良い仕事をした、
ピーター・スティーブンスだったと思う。
そして、今に繋がる鷹の目を持つ姿へと変貌した。
でも、
ここにあるS202を見ると、決して悪くない。
ところで、
過去にはBMWでもリトラクタブルヘッドライトを持つスペシャリティーカーが存在した。
それはM1と言う。
イタリアのジュージアロが仕立てたものだった。
今のM3や
M6に続いている。
見よ!このクオリティ。
STIは「顧客がワックスを掛けると困るから、
マッド塗装は売れない」と言い放った。
出来ないことの言い訳しかしないSTIにも辟易としたが、
彼等にも言い分はある。
ブランドというものは、
その威力を認める顧客が、クルマを買うと同時にメーカーを育てるから磨かれていく。
一理あるとは思わないか。
STIがせっかく道筋を付けたカーボンルーフだったが、
BMWのクオリティに恐れをなし、
尻尾を巻いて逃げた(笑)
顧客の払う金額を低くしか定められない事が、
僅か2度で生産から撤退した理由だろう。
その根底には、
責任を取ることの怖さが渦巻いている。
また出る杭は打たれる!
「はんざわなおき」がヒットした理由は
そこに痛快感を覚える人が多かったからだろうか。
最後のワンシーンだけ見た。
続きがある事が見え見えで、
ああ言う「あざとい」ドラマは見なくて正解だったかもしれない。
今回の22Bオーナーズミーティングを通じて悟ったことが2つある。
22Bは決して古いクルマでは無い。
BMW700LSでアウトバーンをぶっ飛ばしている初老の夫婦を見た時、
心から「良いなあ」と感じた。
22Bを愛する奴らの将来とピタリと符合した。
たった15年で「いつまで乗れるか解らない」と心配するメンバーが居たが、
馬鹿なことを言ってはいけない。
「死ぬまで乗る」事が出来るはずだ。
もう一つは、
22Bを作った会社が、
このままの中途半端な形で終わるはずが無い、
と言うことだ。
さあ、忙しくなる。
日本中にスバルの良さを知らしめるために、
死ぬまで愛し続けるという使命を身をもって果たさねばならない。
そして古き良き時代、
先輩が残した偉大な足跡を温存することも大切だ。
温故知新の素晴らしさは、
一度知ると止められないぞ。
AXがミニカーになるのですね
これは期待してしまいます
待ち遠しいです
これは期待してしまいます
待ち遠しいです
0
Commented
by
b-faction at 2013-09-24 15:03
ぼつさん、今回は100号目指すそうですよ。凄いですね。
Commented
by
福島
at 2013-09-24 20:19
x
社長様
買える実力の無い人間が偉そうに発言するのも何なのですが…
カーボンルーフってこれからの大事な武器なのだと思っていました。
撤退なんて残念です。他の日本車メーカーが試行錯誤している中で「特別な」車を出せるのは今のスバル(STi)の実力だったら可能ではと思います。またそのチャンスの時期ではとも。
現状のコンプリートカーはどれも「素晴らしい仕上がりだ」と様々なメディアで取り上げられていますが、もうそろそろその評価にも飽きました。
その次が見てみたいです。
私達の好きなスバル(STi)が放つ「すごい奴」が。
話は変わりますが…
いつも思うのですが、奥様の料理って本当に美味しそうですね!
買える実力の無い人間が偉そうに発言するのも何なのですが…
カーボンルーフってこれからの大事な武器なのだと思っていました。
撤退なんて残念です。他の日本車メーカーが試行錯誤している中で「特別な」車を出せるのは今のスバル(STi)の実力だったら可能ではと思います。またそのチャンスの時期ではとも。
現状のコンプリートカーはどれも「素晴らしい仕上がりだ」と様々なメディアで取り上げられていますが、もうそろそろその評価にも飽きました。
その次が見てみたいです。
私達の好きなスバル(STi)が放つ「すごい奴」が。
話は変わりますが…
いつも思うのですが、奥様の料理って本当に美味しそうですね!
Commented
by
b-faction at 2013-09-25 09:26
福島さん、商品化できない以上、尻尾を巻いたと言って過言では無いと思います。そもそも「tS」という戦略が失敗だった。それは「S」をその時に作れなかったから。疑問を抱き始めたのはその時からです。それに凄い車を作る環境が、うるさい顧客を含め、整わなくなった。
これはもう無理かもしれないね。
これはもう無理かもしれないね。
Commented
by
たかはし
at 2013-09-25 21:21
x
社長様
最近ポルシェのたれ尻デザイン?がいいかも、と思える歳になりました。SVXも中古車を買って苦労するまでの覚悟はありませんが、「結構いいかも!」と思っています。新型水平対向6発を積んで4人がちゃんと座れるレイアウトに改修、IRカットガラス等の活用で快適性を確保してレガDIT程度の価格なら購入希望者はいると思うのですが、いかがでしょう?
最近ポルシェのたれ尻デザイン?がいいかも、と思える歳になりました。SVXも中古車を買って苦労するまでの覚悟はありませんが、「結構いいかも!」と思っています。新型水平対向6発を積んで4人がちゃんと座れるレイアウトに改修、IRカットガラス等の活用で快適性を確保してレガDIT程度の価格なら購入希望者はいると思うのですが、いかがでしょう?
社長様
冒頭のピンクのシャンパン、非常に気になりました。お食事とマッチしていて、羨ましいです。
カーボンルーフ、WRXのtSシリーズに出て来たとき、STIからついに来た!と嬉しく思ったのですが、S206やts type RAでなくなっていたのを見ると、残念でした。カーボンルーフを装着し、マッド塗装を施したWRXを想像するだけで、ぞくぞくします!
以前のモーターショーで、B11Sが登場したときは、プレミアムな6気筒車ということで、SVXが復活するのかと思ってしまいました・・・今のスバルに必要なのは、こういうホンモノを満載した憧れられる車だと思う今日この頃です。
冒頭のピンクのシャンパン、非常に気になりました。お食事とマッチしていて、羨ましいです。
カーボンルーフ、WRXのtSシリーズに出て来たとき、STIからついに来た!と嬉しく思ったのですが、S206やts type RAでなくなっていたのを見ると、残念でした。カーボンルーフを装着し、マッド塗装を施したWRXを想像するだけで、ぞくぞくします!
以前のモーターショーで、B11Sが登場したときは、プレミアムな6気筒車ということで、SVXが復活するのかと思ってしまいました・・・今のスバルに必要なのは、こういうホンモノを満載した憧れられる車だと思う今日この頃です。
Commented
by
福島
at 2013-09-26 00:53
x
社長様
色々と大人の事情があるのでしょうが、そういった物が出なくなってしまう事は寂しいですね。
やはりこの前の「S」を出すタイミングが「伝説となる凄い奴」を出せた最大で最後のチャンスだったのかもしれませんね。
当時、社長が熱望されていましたが‥‥残念!
色々と大人の事情があるのでしょうが、そういった物が出なくなってしまう事は寂しいですね。
やはりこの前の「S」を出すタイミングが「伝説となる凄い奴」を出せた最大で最後のチャンスだったのかもしれませんね。
当時、社長が熱望されていましたが‥‥残念!
Commented
by
b-faction at 2013-09-26 14:42
たかはしさん、BRZをベースにして3㍑フラット6を搭載したカブリオレを作る方が手っ取り早いです。オープンカーを持てる会社に成長して欲しいですね。
Commented
by
b-faction at 2013-09-26 14:45
博多人さん、ホンモノの概念を極めることはとても大事ですが、ビジネスが絡むと難しいのでしょうね。みんなで期待して待ちましょう。
マットカラーのSVXなら作ることが出来るので、また次のチャレンジをするつもりです。
マットカラーのSVXなら作ることが出来るので、また次のチャレンジをするつもりです。
Commented
by
b-faction at 2013-09-26 14:49
福島さん、一番大切なことは基幹性能に差を付けた、と言うことです。これはいけません。スポイラーのあるなしとは根本的に違いますね。
Commented
by
タナベ
at 2013-09-26 19:36
x
お久し振りです。
ディアゴスティーニ随分とチャレンジするなと思っておりましたが本日遊びに来られたSVXオーナーさんにお話したら「充分に勝算はあるでしょう。僕は100号全部買うね」と言われてました。
ドイツで遭遇されたBMW、ワイド化されたスチールホイールに冷却フィンの着いたオイルパン・・古のチューニングカーの雰囲気が個人的にはとてもツボです。スバルのリヤエンジン試作車は知りませんでした。まだまだ勉強が足りません。
ディアゴスティーニ随分とチャレンジするなと思っておりましたが本日遊びに来られたSVXオーナーさんにお話したら「充分に勝算はあるでしょう。僕は100号全部買うね」と言われてました。
ドイツで遭遇されたBMW、ワイド化されたスチールホイールに冷却フィンの着いたオイルパン・・古のチューニングカーの雰囲気が個人的にはとてもツボです。スバルのリヤエンジン試作車は知りませんでした。まだまだ勉強が足りません。
Commented
by
b-faction at 2013-09-26 20:20
タナベさん、お元気そうで安心しました。2年掛けて進める大プロジェクトですよ。スバルの試作車の件ですが、記憶だけで書いて申し訳ない。タナベさんの仰るとおりです。実物を見て勝手に思い込んでました。もう一度調べ直しました。A-8では無くA-5ですね。しかもFWDでした。小型トラックT-10と並んでA-5は軽自動車から飛翔しようと執念を燃やした様子が滲んでました。
by b-faction
| 2013-09-23 21:51
|
Comments(12)