日本のクルマ文化に欠かせない。
ある意味、東京モーターショーより重要なイベントになった。
東京オートサロン2014は、
過去最高の動員を叩き出す盛り上がりを見せた。
初日からその兆候は見られた。
結局29万6714人も動員し、
過去最高だった昨年の実績を14.055人上回った。
スバルも実に熱心なプロモーション活動を進めた。
動員数はトップクラスだろう。
ところが上には上が居た。
このブランドは、
これまで真剣にこのイベントと向き合っていなかった。
その巨人がとうとう動いた。
会場でベンツマークを見て、
腰を抜かした。
なんと、
ゲルマン民族が
拳を握りしめ、
熱く語っている。
モーターショー並の規模で出展に加え、
よく考えられたプレスカンファレンスが素晴らしかった。
スバルには無い、
燃えるような情熱を感じた。
メルセデスベンツ日本が、
これほど大規模に出展するとは考えても居なかった。
9時の開場からスバルのプレスブリーフィング迄の1時間に、
西から順番に見学したら、
偶然この光景に出会った。
この頃、ベンツを褒める機会が多い。
だが彼等のやる気を見れば、
充分理解してもらえるはずだ。
気合いが入った展示車両は全部で17台。
彼の立つ場所はステージのようだが、
実はこのショーのために作られた専用トレーラーだ。
これも含めると18台になる。
ダイムラーが三菱グループから毟り取った、
「ふそう」トラックの荷台に、
今回の主役がデーンと展示されていた。
他にも「久しぶりにメルセデスにマニュアルトランスミッションが復活した!」
と話題になった、
SLK200MTも含まれていた。
残念な事に、
気がついたのは帰ってきてからだった。
会場のあちこちで、
プレタポルテも鮮やかだ。
部品用品等の関連企業にも元気が戻り、
オートサロンらしい裏表の無い愉快な演出が百花繚乱だった。
ここでは、
ハッキリと主張し、
オブラートにくるまない世界が存在する。
さてベストスリーの発表だ。
文句なく今年のベストは、
A45には度肝を抜かれた。
まず8,981,482円という価格に痺れた。
常々スバルに対して、
「S」には800万円の価値が必要だ、
と訴え続けている。
「S」とはSTIが作る特別なクルマを指す。
一目見た瞬間に、
AMGがそれを盗み聞きしたのかと感じた。
この中途半端な価格は、
リリースが消費税増税後なので、
8%を加えると切れが良くなるように付けられた。
税込み価格は970万円ジャストになる。
Aクラスに飛び切りの4WD高速ツアラーが誕生し、
「4気筒エンジンで世界最高出力だ!」と胸を張った。
【車名】
A45AMG 4MATIC PETRONAS Green Edition
【駆動方式及びトランスミッション】
4WD 7速DCT
【エンジン】
直列4気筒DOHC2リッター直噴ターボエンジン
最高出力:360ps/6000rpm
最大トルク450N・m/2250~5000rpm
ホイールべースが2700mmもあるのに最小回転半径は5.1mしかない。
360馬力もある強力なエンジンなのに
JC08モードの燃費は13.1km/l
レボーグより335mm短い車体で、
10mm幅広で70mm低い。
車両重量は30kgほど重く最低地上高も35mm低いが、
Fー1とコラボしたクルマだけあって、
物凄いオーラを出していた。
たった30台の限定だから、
あっという間に売り切れるだろう。
ブラックラメラと呼ばれるフロントグリルなど、
黒とグリーンを上手にまとめた秀逸のデザインだ。
235/35R19のタイヤを、
マットブラックペイントのマルチスポークホイールに組み付け、
サイドビューの存在感も抜群だった。
なぜ、スバルの先をこれほど走れるのか。
悔しくてたまらなかった。
インテリアも斬新で美しい。
緑を使うとブルーより色鮮やかになり、
黒い内装とよりマッチする。
しかもスエードで丁寧に仕上げたステアリングの質感が高く、
惚れ惚れしてしまった。
世界の頂点とは、
これほどの差があるのだ。
残念だが痛いほど教えられた。
セカンドベストは、
異論もあろうがこのクルマだ。
またしてもメルセデスだ。
これは展示姿勢に対して評価した。
SL63 AMGを誰でも触れることの出来る場所に、
屋根まで下げて展示してあった。
昨年のスバルのように、
誰にも触れさせず、
自らも恐る恐る触れるような、
けちな真似は一切なかった。
セルサイトグレーと名付けられたマットカラー。
インテリアはベンガルレッドの本革だ。
愛馬にしたい強烈なオーラを出していた。
この場によく似合う。
ベンツの意気込みに感動したので、
あえてこのクルマに2位の座を与えたい。
お高くとまった雰囲気が無く、
オトコの本能を搔き立てる何かを持っていた。
サードベストは、
国内のカスタマイズ工房がリリースした、
この愉快なクルマだ。
インテリアとエクステリアだけに、
500~600万円も支払わなければならない。
でもその根性が気に入った。
そしてその価格に負けない潜在能力だ。
ラッピングにうつつを抜かすような、
自動車メーカーは見習うべきだ。
さて、
次点を2台で分ける事になった。
まず、鬼畜米英にワールドプレミアを奪われるところを、
寸前に全力で毟り取り、
奴らの野望を阻止した。
このクルマは競技車であり、
ホンモノでは無いのでベストスリーには入れなかった。
そこは理解してもらえるだろう。
国内の販売戦略を担う野武士達が、
努力した結晶だ。
もう一台はトヨタ86を選んだ。
相変わらず今年も沢山の86&BRZが展示されたが、
スパイダーはこれ1台のみ。
昨年ベストを与えた車を覚えているだろうか。
一年がかりでそれが美しく変身した。
中野めぐみさんの執念に対して、
尊敬の念で選んだ。
相変わらずチャーミングな彼女は、
トヨタ自動車の秘密兵器だ。
そしていよいよ市販化も決定した。 上の写真と比較すると、
今年のクルマの方が眼に力がある。
デイライナーとフォグランプが市販前提に装着され、
完成度が高まった。
2台のフロントビューを同じ角度で比較すると良く解る。
トヨタ自動車カスタマー推進本部の星主任に詳しく話を伺った。 彼は86&BRZの設計段階で、
ホイールをデザインしたそうだ。
遂に86×style Cbを発売する。
時期や価格は未定だが、そう遠くないだろう。
市販を前提に製作した、
2014年版のプロトタイプだと明言された。
BRZにパーツの流用も可能だ。
特にドアヒンジの部分のガーニッシュを注目して欲しい。
なんとイルミネーションになっている。
これを流用すると面白いだろう。
インテリアコーディネートの基本は、
ほぼ昨年と同じだが、
ラム革では耐久性の面から市販化が難しいので、
牛革に素材を変更してある。
この素材の変更は、
中野さんが妥協した結果だろう。
メーターも凝っている。
これは違う86のメーターだが、
同じ人物が手がけ、
リングの部分に拘りを感じる。
これを製作したのは、
岐阜県恵那市に本拠を持つサイバーストークだ。
代表取締役の中田知紀氏は、
相変わらず元気だった。
こうして朝の9時10分に入場し、
夕方4時半に退場するまで一度も座ることは無かった。
ペットボトルの水を1本飲んだだけで、
夢中で取材を続けたが、
会場で今年もマツダを最初に見た。
今のマツダは勢いがある。
ところが、
オートサロンでは少し様子がおかしかった。
このCX-5デザインコンセプト2014は、
オーバーフェンダーを纏い、
マフラーもセンター出しで面白い。
その上19インチのホイールが組み込まれ、
迫力があった。
ところがオーラが全く出ていない。
一目で見破られる過ちを犯していた。
このクルマのエクステリアは、
ラッピングなのだ。
いくら質感が上がったと言えども、
まやかしに思える。
メーカーが堂々とラッピングする姿勢に、
凄く抵抗がある。
マツダは何か大きな問題抱えているように感じた。
そこへ行くと、
ホンダはまともだ。
ブラックのボディを研いでから、
うっすらと上塗りするとステキな仕上がりになる。
但し絶対に商品化は無理だ。
研ぐという意味では、
スバルはR1を既に研いだ経験がある。
これからのトレンドに欠かせないだろう。
もはやマットカラーは軽自動車にさえ実現しそうだ。
インテリアは、
バルガンディと呼ばれる赤系の本革になっていた。
ベースのタンカラーもスバルに負けるし、
この色調もアウトバックのブラウンより深みが無かった。
しかし後出しジャンケンの得意なホンダを、
今年は侮れないとハッキリ悟った。
それ以上に凄かったのが、
このクルマだ。
正直なところ、兜を脱いだ。
ホンダの上層部がこのクルマを見て「天晴れ」と賞讃するかどうかが鍵だが、
完成度は非常に高い。
開発担当者の方に話を聞くと、
本気度がヒシヒシと伝わってきた。
情熱が素晴らしかった。
昨年スバルはXVで仕掛けはしたが、
実はやる気ゼロだったことを伝え、
是非出すようにエールを送った。
センターピラーの内側処理は、
BMWの「M3」にあった貴重な限定車以上の出来映えだった。
まさしく必見の1台だ。
隣のスズキは、
新型軽自動車で元気が良い。
ハスラーの受注実績を聞くと、
集計してないので解らないという。
「本当に広報が掌握してないんですか」と更に突っ込むと、
「ははは、来場自体は昨年の2割増しでしたから、
きっと沢山売れてるでしょう」
何ともスズキらしいおおらかさだった。
是非写真をとお願いすると、
「ワタシなんかより奇麗な子を呼びますよ」
と言って下さったのだが、
それを断った直後、
実に
後悔した。
決して肉欲的な感覚では無く、今回のショーで一番「ドキッ」としたのがこの女性だ。
ちっちゃくてゴムまりのようで、
ホワンとした感じがステキだった。
去年ほどでは無いが、相変わらず目立った。
これはターボを装着していたが、
やはり本命はスーパーチャージャーだろう。
複雑になりがちなターボに比べ、
良い物には内外のプロが群がって居た。
客観的に見ても、BRZ用にスーパーチャージャーはマッチする。 なぜならプレオに存在したマイルドチャージャーを思い出したからだ。
詳しく説明してくれたのはクスコの炭山裕也氏だった。
他にも良い物があった。
OS技研の製品に見所があった。
LSDと言う麻薬みたいな名前の部品だ。 氷上を走るには欠かせない。
機械式差動制限装置を必要とするシーンもこの頃多い。
部品からクルマまで、