「完全に停止させる」アイサイトは、発売から4年過ぎても他社の追随を許さない。
遂に赤信号も見分けるようになった。
このブログの後半で何をしようとしているのか、改めて伝える。
アイサイトはシャッターが大嫌いだ(笑)。
見ていると目眩を起こすらしい。
工房のシャッターを開けると、
ギャラクシーブルーのレヴォーグが静かに待っていた。

大阪に行くために、この色を指定した。
関西の喧噪にクールなブルーが似合うと思ったから。
イメージカラーはスティールブルーグレー・メタリックだが、
レヴォーグには深くて鮮やかなブルーもよく似合う。
発表から8ヶ月、
遂にこの日が来た。
レヴォーグの2リットルを、
思う存分大阪で試した。
今回の旅のナビゲーターは鈴木さんだ。

彼は生まれ育った浪速を、
隅々まで知り尽くしている。
水曜日は最高の天気だった。
暑い夏が大好きだから、
願っても無い一日となった。
テスト車の詳細は以下の通りだ。
【車種名】
レヴォーグ 2.0GT-S EyeSight
【税抜き車両本体価格】
3.300.000円
【型式】
VMGA588 ADC
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4690×1780×1490
既に良く知られているように、
5代目レガシィをぎゅっと絞り込んだサイズだ。
マツダのアクセラでさえ、
これより15㎜も幅広になった。
レヴォーグは都会で取り回しの良さが光るので、
このクラスはこのサイズが当たり前になるだろう。
ホイールベース(mm):2650
トレッド前/後(mm):1530/1540
このディメンションは実に面白く、
現行レガシィよりホイールベースは100㎜短いのに、
トレッドはほとんど同じ(リヤは5㎜だけ広い)なので、
見た目の安定感も良いし、
実際に走らせた印象もどっしりと足を踏ん張り気持ちが良い。
最低地上高(㎜):135
これは随分思い切った設定だ。
姿勢を下げる事に長い間躊躇ってきたが、
BRZにおける成功が功を奏したようだ。
低くなった事で不自由した事は一度も無い。
これより余裕が欲しいならXVがある。
レヴォーグの姿勢を思い切って下げた事に賛同したい。
車両重量(kg):1560
5代目レガシィに比べ少し重くなっている。
軽さを極めて欲しいところだが、
現在の税制は実に魑魅魍魎としていて、
軽さを究めると税金が安くならない。
恐らくハイブリッド車を優遇するためだろう。
いっそそれなら、
逆手に使おうと思ったに違いない。
プロジェクトチームは、
各部の剛性を向上させ、
合わせて質感も思いっきり高めた。
ガラスも厚くする事が出来たので、
走行中の騒音も明らかに低くなった。
段差を乗り越えるときも、
重いからこそ感じる良さが有った。
WRXやBRZは「お!軽い」と、
動きに対して軽さを感じた時に喜びを覚える。
レヴォーグはそれとは逆に、
どっしり感が喜びに変わる。
最小回転半径(m):5.5
レガシィと全く同じだ。

大阪市内に残る煉瓦の香り。
中之島公会堂を訪れた。
大阪市役所のとなりに歴史的建造物がある。
レヴォーグとも良くマッチするビジネス街のオアシスだ。
【エンジン】
FA20/水平対向4気筒2.0L DOHC 16バルブ デュアルAVCS 直噴ターボ
内径×行程(mm):86.0×86.0
圧縮比:10.6
最高出力 221kw/5600rpm
最大トルク400N・m/2000-4800rpm
【燃料供給装置】
筒内直接燃料噴射
正直な印象は、
完全なダブルスタンダードだ。
二重規律はあまり良い意味で使われないが、
あえて良い意味で使いたい。
1.6リットルに乗り何の不満も感じた事は無い。
むしろ3000rpm中心の中速域は、
こちらの方が気持ち良い。
スロットルに開度に合わせ、
クルマが滑るように走る印象は筆舌に尽くしがたい。
それに対して2リットルは、
絶対値がかけ離れている。
こちらは300馬力の動力性能を活かすために生まれた。
だからハイパフォーマンスDITと、
スポーツリニアトロニックの組み合わせを玉成させた事に価値がある。
【変速機】
スポーツリニアトロニック(マニュアルモード付)前進無段 後退1速
このトランスミッションは、
ボクサーディーゼル用のCVTを開発する過程で、
シームレスに無断から多段式オートマチックに切り替わる能力を持った。
そこがレガシィと根本的に違うので、
レヴォーグの2リットルは1ランク高い次元で走る楽しみが味わえる。
【燃費】
13.2km/l (JC08モード)
市街地における取り回しも良く
燃費も優れている。
時速100キロ弱でIモードなら、
1550rpmと極めて低回転で巡航する。
ので高速道路での経済性も高い。
大阪城に着いた。
お堀を取り囲む城壁の向こうに天守閣が見える。
道幅も広く浪速の街は走りやすい。

この色はBRZと共通で、
とてもスポーティなのだが、
今ひとつパッとしなかった。
レヴォーグに占める割合も、
白黒シルバーやブルースティルの後に、
ダークグレーと上下を競っている。
でも、実際の色はかなり違うので、
今後の参考にして欲しい。
今回から塗装行程の改良で、
塗膜の厚みが増した効果が顕著に表れた。
だから艶が増し、城壁と青い車体のコントラストが見事だった。
【標準装備】
LEDロービームランプ
フォグランプ
オートワイパー/オートライト
クルーズコントロール
運転席&助手席パワーシート
オールウエザーパック
左右独立温度調節式フルオートエアコン
プッシュスタート
18インチアルミホイールはオプションと換装されている。
これがよく似合う。
それには理由がある。
このホイールは標準装備になる可能性もあった。
デザイン検討で候補から外れたが、
余りにもったいないので用品として蘇った。
だから下手なアフターパーツメーカーの製品よりマッチしている。
ところで、
ここはバスやタクシーの待機所だ。
特別に頼んで入れさせてもらったので、
急いで撮影する必要があった。
この時、
レヴォーグの乗り降りのし易さは抜群だと気がついた。
レヴォーグ2.0GT-S EyeSightは、
中津スバルの試乗車1.6GTに対して83万円高い。
その価値がどこにあるのか徹底的に検証した。
1.6リットルを上回る動力性能は、
この辺りでは感じない。
時速80キロでエンジン回転数は1300rpm。
ところで2リットル車を初めて高速走行させ、
真っ先に感じたのはアクティブトルクベクタリングの効果だ。
レヴォーグから採用が始まったVDCの新たな安全機能だ。
旋回時に危険な状況に陥らないように、
前輪の内輪側だけに制動力を与える。
アンダーステアを回避させるための機能だが、
余り気持ちの良い制御では無い。
でも、
アルゴリズムが進んだ最新の自動車では、
当たり前のように採用される。
レヴォーグのサスはこれまでのスバル車に比べストロークが短い。
高速道路の荒れたアスファルト路面で、
入力を収束させきれない時がある。
たとえば下りコーナーで、
一定の周期で路面からの振動を拾うと、
前輪が外にスッと逃げるように感じる。
その時、
それをアクティブトルクベクタリングが見事に吸収してしまう。
瞬時に収束させるそのフィーリングを、
以前DCCDで同じように感じた。
それまでのドライバーズコントロールセンターデフにオートモードが付き、
機械式LSDと組み合わされるようになった頃だ。
あるとき、
サーキットでアンコントローラブルな状況になりかけた。
その瞬間、車体に違うモーメントを感じて体勢を立て直した。
大阪に向かう途中で、
レヴォーグの新たな進歩を垣間見た。
純正ディーラーオプションのパナソニックナビゲーションは、
とても良い。
マルチファンクションディスプレイにナビの指示が出る機能融合は素晴らしい。
問題点もある。
フリップ機能が本当に優れているのか、
大いに疑問だ。
そんな事を考えながら難波方面に南下して、動物園の脇を通り抜けた。

ここは新世界の通天閣だ。
このあたりの食い物屋には独特の迫力がある。
平日の真昼間でも酒を当たり前に飲みたくなる、
そんな独特の世界観。
串かつに代表される歯ざわりと、
舌触りよい味わい。
その全てを安い価格で楽しめる。
楽天的な街だ。
前年比を大きく割っている状況を非常時と言う。
今の状況は間違いなく非常事だが、
ここでは景気の悪さを読み取ることは出来ない。
レヴォーグは新世界の喧噪と、なかなか相性が良かった。

通天閣を後にして、
対照的な新しいシンボル「阿倍野ハルカス」へ向かった。
ちょっとクルマを道ばたに止めたが、
国内専用に造っただけの事はある。
こうして都会で使うと、
扱い易さが良く解る。
大阪らしさとはかけ離れた高層ビル。
正直なところ、
余り浪速に似合わない。
無機質で青白いビルは、
これからの日本を予見するかのようだ。
ハイヒールモモコのコーディネートがあれば、
もっとステキになったかもしれない。
そのまま北上し、道路から僅かに入った静寂な場所を訪れた。

この四天王寺は聖徳太子が開祖だといわれる。
とすると、
この石舞台は1000年以上前に造られたのか。

この寺の亀は重要な意味を持つ。
石舞台の下は大きな池だ。
背中に戒名を持つ亀も、
昔は多かったらしい。
亡くなった人の戒名を亀の背中に書いてこの池に放ったという。
それがどういう意味を持つのか・・・・・、
極めて深い。
駐車場に車を置き見学を続けた。
何かにつけ親切でとても感じのよい場所だった

聖徳太子が作った石舞台の正面は、
400年ほど前に作られた本堂だ。
石舞台から北側は第二次世界大戦の戦火を免れた。
けれども、
この池の南側は全て戦災で消失してしまった。
だからコンクリートで復元された建物も、
残念ながら多い。
でも掃除も行き届いて凛とした場所だった。
ここも古そうに見えるが、
昭和29年に立てられた。
これは賓頭盧尊者(びんづるそんじゃ)という。
調子の悪いところを撫でる。
妻から頭がおかしいとよく言われるので、
頭を撫でてきた。
ところが鈴木さんはどうも違うらしい。
迷うことなくここをさするそうだ。

さすると聞いて、
面白い事を思い出した。
アイサイトVer.3の性能は大きく向上した。
その代表的な能力がアクティブレーンキープだ。
ステアリングをさすってやると、
クルマと面白いように対話できる。
車線規制で追い越し車線を走る事になった。
この状態で車線の中央を維持させてみる。

まずステアリングホイールの右側にある、
全車速追従型クルーズコントロールのスイッチを入れる。スイッチをオンにして、
次にその左上にあるアクティブレーンキープのスイッチもON!
マルチモードディスプレィの、
車体マーク右上に車線にはさまれたクルマのマークが白く表示される。

速度をセットして前方のクルマを捕捉した。
クルコンの作動ランプが緑色に変わった。
まずアイサイトが車線を認識すると、
車体マークの両側に白線が出る。
そして車線中央維持が機能すると、
白かったマークが緑色に光る。
これで機能が働いていることを視覚的に体感できる。
実に上手に運転をアシストする。
その上で自動運転にならないよう、
アイサイトは涙ぐましい努力をする。
手を離そうモノなら、すぐさま叱られる。
わざと逸脱させようとしても、
すぐに見抜かれ叱られる(笑)

そこでこの様に機能が働いているときに、
「お利口だね、エライよ」
とさするのだ。

可愛いレヴォーグは素直に言う事を聞き、
前のクルマとの感覚も維持しながら、
車線の中央を自分よりも上手く丁寧に走る。
このように車線逸脱抑制や
赤信号識別などこれまでには無かった能力を持つようになった。
それにより前走車がブレーキを踏んだときの反応は、
明らかにスムーズになることが体感できた。
信号機の識別はまだ実験の延長線上に過ぎない。
全車速追従機能付オートクルーズ(以下ACC)を、
一般道で誤用した場合を想定している。
誤用では無く活用する場合もあるので、
どうするとその機能が働くか知らせておこう。
明確な体感は2つある。
一つは赤信号表示だ。
下の画像のようにACCが機能している前提で、
レディでは無くセットされた状態だとする。
以下の3要素を満たすと丸の中に信号機のイラストが出る。
滅多に現れない隠し表示に近いモノだ。
①この様に前走車が居なくてロックオンの表示も無く、
②赤信号を検知(矢印信号を検出すると無効)
③現在車速がセット車速を下回っていると
次のように制御する。
①ACCの加速を穏やかにする
②メーター内に信号マークを出す
加速は穏やかにするが、
減速制御は一切行わない。
実際に体感したことは無いが、
より安全になったことは間違いないだろう。
これはおもかる地蔵尊だ。
「これをもつとどう感じるか」と鈴木さんに問われた。
「重い」
と答えたら、
「ほほう」と返ってきた。
由縁を読んで意味がわかった。
アイサイトも「熟成の時」なのだ。

赤信号の識別が何を意味するのか。
この程度の機能のために、
わざわざ信号マークをメーター内に増やすはずが無い。
深く読むと、
①この様に前走車が居なくてロックオンの表示も無く、
↓
先頭車両で走行している時に、
と読み直すことが出来る。
②赤信号を検知(矢印信号を検出すると無効)
↓
今までより広角にした理由は上方も検知するため
と想像できる。
③現在車速がセット車速を下回っていると、
↓
停止が不可能な速度で交差点に進入すると
以上のように3つの条件に置き換えたとしたらどうなるか。
加速を緩やかにすると共に、メーター表示で注意喚起
↓
警告を発すると共に緩やかに減速し、
停止線を超えたら急制動
四天王寺には裸電球がやけに多かった。
何故かと質問したら、
お盆に備え行灯の飾り付けを進めているのだと言う。
単純な光は、
彩りを与えることで意味を持つ。
右にある行灯が全ての裸電球に取り付けられると、
境内はまた一際美しくなるだろう。
お盆に供養するという特別の意味がある。
これらの行灯と同じで、
表示には重い意味がある。
僅か、あの程度の機能のために、
アイサイトに行灯を加えるはずが無い。
追加された赤信号表示は、
更にアイサイトが成長することを予感させる。
アイサイトver.4の開発も着実に進んでいるのだろう。
四天王寺を後にして、
ホテルに帰る途中、
珍しいクルマが目の前に居た。

カムリのように見えたのだが、
ダイハツのバッチが着いている。
ハイブリッドだと一目で解った。
トヨタはハイブリッド車にこのマークを取り付け、
コツコツと浸透させてきた。
恐らく車名だろう。
聞き慣れないALTISのオーナメントが見える。
都合の良い話しだが、
どんなに苦しくても、
これだけは絶対に避けたい。
トヨタとの関係が全く異なるので、
今のところスバルにはあり得ないが、
もしこれを置き換えたら許せない事になる。
それはスバルのレガシィやWRXに、
トヨタやダイハツのバッチがつくような将来を迎える事だ。
逆に、
これは大阪ならではの光景だろう。
ダイハツに対して感謝を忘れないようにしたい。
軽自動車をこれからも、
誇りを持って売るぞ。
だから、コペンを
スバルにも頂戴(笑)
大阪の食を楽しんだ。
藪という割烹料理屋さんは、
客の顔を見ながら次々と美味しい料理を出してくれる。
メニューはないに等しいが、
安心して楽しめる良いお店だった。
外に出ると夜も更け真っ暗だった。
思いがけない戦火のあとが今でも残る。

第一次世界大戦から僅か100年しか経っていない。
悲惨な第二次世界大戦の敗戦から69年。
世界中で戦争したい連中が、
蠢いている。
2度と海外から直接戦闘機が国民を襲うような事態だけは避けねばならない。
そのためには日本の現実を良く知り、
机上の空論と、
実際の国防を早急に整合させる必要に追われている。
その傍らで、
宝くじ売り場に長蛇の列が出来ていた。
それもそのはずだ。
ここからは必ず当たりが出るらしい。
この売り場はユニットで仕入れるのだそうだ。
従って「らしい」に人が群がる。
宝くじに興味はない。
でも夢を買う楽しみもまた愉しいだろう。
歩き回ったら腹が減った。
迷った挙句、つけ麺で〆た。

ガツンとした麺で食い応えはるけれど、
昔愛した「縮れ麺」では無かった。
味も濃く複雑で若い人には旨いのだろう。
やはりオッサンになった事は隠せない。
なるべくシンプルな味をカラダが求める。
何十年ぶりに食べたつけ麺は驚くほど変化を遂げた。
こうして大阪遠征は終わった。
つけ麺も食べたが、
今月は焼き肉も5・6年ぶりに食べた。
暑い夏は大好きだからアグレッシブに活動した。
すると11年ぶりに「アイツがやって来た」

この薬を見たら、
ハッとする読者が必ず居るはずだ。
食生活が少し野性味を帯びると、
とても躍動的なれるが、
少し気をつけろとお灸を据えられる。
「おもかる地蔵尊」はこれを伝えたかったのだ。
持ち上げて、
ゆっくり降ろした瞬間の、
あの感覚が忘れられない。
これはどうも、
大阪に来たら、
必ず会いに来いと命じられたのかもしれない。
これからは、そうする事にしよう。
さてレヴォーグを感じるままに総括する。
このクルマは、
ダブルスタンダードを具現化した。
1.6リットルと2リットルのどちらを選んでも後悔は無い。
これまでのレポートを参考に、
自分のライフスタイルや価値観で組み合わせて欲しい。
参考になれば幸いだ。
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