「救える命は救いたい」ードクターカーに掛ける情熱。
2014年 08月 22日
「シーザーのモノはシーザーに返る」
そんな諺がある。
ものは収まるべきところに戻る、
という例えだ。
お客様がとても大切にしていたクルマが、
とうとう心臓疾患で運び込まれた。
完全にバランス取りされた珠玉のエンジンだ。
お客様の愛情も半端ではなかった。
モチュールオイルを与え、
適切にメンテナンスを繰り返したが、
深刻な病状を示した。
ヘッドをめくると、
排気バルブに亀裂が入っていた。
病気になった以上、
直すしか無い。
しかしお客様には今後の事も考え、
レヴォーグに乗り換えて戴いた。
そしてインプレッサを引き取った。
この個体は生涯忘れられないクルマだ。
STIが本当にやるべき仕事を、
徹底的に極めた証だ。
STIもこのシリアルナンバーを与えてくれたのだろう。
本当は乗りたかった。
しかし、
お客様がその価値を心底理解し、
その上で欲しいと言われるのなら、
そちらを優先する。
こうしてこのクルマは嫁いでゆき、
大切に愛された。
治せるクルマは直す。
これから先、
また一つ大きな課題が出来た。
ドクターカーがテレビで取り上げられ、
話題になっている。
中には誰とどのような打ち合わせをしたか、
ビッシリ記録が残り、
参考になった画像などを残らず綴じてある。
だからファイルでは無くアルバムなのだ。
どんどん積算した。
何しろここまでドクターカーとして拘り抜いたクルマは、
まだ日本のどこにも無かった。
どうしてこんなに夢中になったのだろうか。
初めて会った時から訴えていた。
「クルマは直るが自然治癒力は無い」
これは自動車家畜論を構成する要素の一つだ。
「治せるクルマは直してやりたい」
この日の間渕さんは、
またいつもより一層強いオーラを放っていた。
「代田さん、今夜10時ね。東海テレビ見てね」と、
ニコニコしながら語ってくれた。
日本全国には、
ドクターカーの事を決して良く言わない医師も居る。
そういうアゲインストに対して、
やれる事は一つしか無い。
それは確かな実績を積み重ねる事だ。
テレビの取材より後で、
ドクターカーの真価を発揮する救命事例が起きた。
お盆休みの期間中の出来事だ。
ある50代の男性が、
作業場で倒れた。
熱中症が原因で、
心筋梗塞を起こして倒れるという重篤な病状だった。
すぐさまドクターカーに出動の依頼がかかり、
間渕ドクターは現場に向かった。
その男性は既に心肺停止状態で、
一刻を争う状況だった。
ドクターカーには、
医師しか使う事の出来ない機材が搭載されている。
その中の一つに、
体外ページング同期下カルディオバージョン機能付12誘導心電計がある。
間渕ドクターはそれを使い蘇生させようとしたが、
なかなか上手くいかない。
心臓が動き出したかと思うと、
また止まってしまう。
到着した救急車で病院に運び、
患者に人工心肺を装着した。
同時に詰まった心臓の血管を、
カテーテルで広げる緊急手術が行われた。
その結果、
30分以上心肺停止状態であったのにも関わらず、
無事蘇生し後遺症も心配ない状態まで回復した。
地道な活動で着実に成果を上げる影には、
間渕ドクターの積極的な医療への姿勢が垣間見える。
これは一般に販売しておらず、
特定の業務を対象にしたプロ用だ。
番組の中でもその画像が使われていたように、
実に正確に運行上の記録を残す。
それと同じように、
治療中の状態を克明に記録し客観的に検証するという、
手間の掛かる仕事を積極的に続けている。
運転席に置かれたヘルメットを見て、
以前と違っている事に気がついた。
最新のウエアラブルカメラを使って、
救命医療の瞬間を記録しているそうだ。
そして客観的に検証し次に備える。
中津川市周辺の、
救急医療に於いて、
ますます救命率が高まる事は間違いないだろう。
臨時点検で滑り込んだ間渕ドクターに、
「我々にも休みはありません」と胸を張る事が出来た。
今日もこの言葉で締めくくりたい。
正に、
「継続は力だ」
by b-faction
| 2014-08-22 00:00
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