六年前のデビュー時を振り返った。
スバラーの代表として、四代目WRX STIのインプレッションを語る。
スバラーはSUBARU応援団を幅広く指す。
逆に「スバリスト」なる引用句は、公用語として存在価値を持った。
何故ならば、今やSUBARU自らが、この語句を堂々と使うからだ。
だからこそ、「スバラー」の持つ意味は大きい。
「スバリスト」なる語句は、遥か昔から存在する。
スバルサインと同時に生まれたのだろう。
それをどこかの大学教授が定義づけたらしいが、そんなことは知ったこっちゃ無い。
彼が論文を書いて「富士重工」に提出し、それを認めてもらったのなら別だが。(笑)

それより先に根付いていた。
その端緒がスバルサインだ。
今では信じられない事だが、
スバル1000がデビューした頃、
SUBARUユーザーはすれ違いざまに「プッ」とホーンを鳴らした。
サブロクの頃からあったのだけど、
スバル1000の先進性が、
クルマ好きにより共感を与えた。
要するに意識の共有が、
いとも自然に芽生えていたのだ。
それに対して、
スバラーはもっと深い。
WRCが好きでたまらない連中が、
SUBARUを盛り上げながら産み出した言葉だ。
だから、
この言葉も好きなんだ。
今の様にインターネットは機能せず、
SUBARUの出す情報か、
この専門誌の発売を待ち望んだ。
土煙の漂う香ばしい雑誌だ。
汗水かいてWRC応援してた頃、
自然に出来た言葉だ。
野望に満ち溢れ、
ぶっ飛ばしていくSUBARUが大好きだ。
排気音と土の匂いの絡み合った、あの味を知る者しか理解出来ないKOTOBAだ。
だから、
WRXに「スバリスト」なんて言葉は似合わない。
スバラーが踊り狂うクルマだ。

この血のような、
欲望が蠢く色を見よ。
戦国武将が戦いに挑むとき、
兜と鎧を身につけた。
愛馬にも同じように鎧を纏わせた。やるか、やられるかの瀬戸際を、風のように駆け巡る。
女子供のクルマじゃない。
理屈では無くDNAだ。
それが目を覚ました時、WRX STIは初めて主(あるじ)の伴侶となる。
MFDに採用された過給圧計が、まるでSTIの勲章に見える。
ブルブル震える、まるで鼓動のような針の動き。
バーチャルな世界を、コックピットにスパイスとして振り撒く。
SI-DRIVEもより過激だ。デフォルトが「S」になり、インテリジェントモードとより制御が明確に違う。
マルチインフォメーションディスプレイ付きの、
レッドルミネセントメーターを採用した。
視認性も抜群だし、多機能で使い易い。
消してあるが、最上段のエコゲージの下に、デジタル速度計が表示できる。
DCCDのモード表示も、視認性が高まった。
ドンドンマニュアルに切り替え、フロントタイヤの仕事を減らそう。
ワインディングを攻め、自分との戦いに打ち勝つのだ。
技量に合わせ、最大のパフォーマンスを発揮させる。
そのためには、まず限界を超えないよう、常に摩擦を支配する。
「カイカン」に酔わず、
我慢も必要だ。
時にはその連続となり、それが「戦い」を意味するのだ。
自分との戦いは、燃費にも表れる。
MFDにある、
エコ履歴画面を活かせ。
ベースのSTIを相棒に選んだ。
これが一番だと確信した。スペックを紹介したい。【型式】CBA-VAB
【主要諸元】全長×全幅×全高(mm):4595×1795×1475ホイールベース(mm):2650トレッド前/後(mm):1530/1540最低地上高(㎜):140車両重量(kg):1480最小回転半径(m):5.6
【エンジン】EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC 16バルブ デュアルAVCS ツインスクロールターボ内径×行程(mm):92.0×75.0圧縮比:8.0最高出力 227kw/6400rpm最大トルク422N・m/4400rpm
【変速機】6速マニュアルトランスミッション
【燃費】9.4km/l (JC08モード)
【税抜き車両本体価格】3.510.000円
全車に標準装備された左右独立温度調節式フルオートエアコン。
スイッチが赤く染められ、STIらしく演出されている。 キーレスアクセス&プッシュスタートも標準装備だ。
歴代のWRXで、初めてシフトポジションが表示される。BRZで採用されて、WRXにも続いた。
慣らし運転なので、ドライブモードをIに切り替え、なるべく高いギヤを選択した。

10分ごとに燃費の推移を確認し、
表示を一時間単位に切り替えれば、一気に長距離を走る時に役立つはずだ。
DCCDをマニュアルに切り替えよう。
前後デフの締結力を最も下げると、後輪の駆動トルク比はやく6割だ。
過去の設定で大きい部類に入る。

正確には後輪59%に対して、
前輪41%に設定されている。
この駆動力配分は、SUBARUの知見を活かした絶妙の味だ。
長年の経験が生かされている。

国道19号線を等速走行して感じた。
タイヤが物足らない。
ロードノイズが大きい割に個性が無く、可も無く不可も無く、全く面白さに欠ける。
どうしてブリヂストンを使わないのだろう。
導入の際にコンペで負けたのは、
一体何が原因なのか。
昔なら、SUBARUとBSは蜜月だった。
このコンビで日本初の、ラジアルタイヤ装着車を完成させたのだから。
GDBのためにRE070まで作ったほどだ。
心底どこまでも、スバルに付きあった会社なのに。
国道を時速55キロで走ると、タコメーターは1550回転を指した。
このシチュエーションでは、6速まで入れないことだ。

刻々と燃費が変わる。

燃費が10キロを上回ったところで、
ちょうど国道19号線とお別れする場所に来た。
ここから少しづつ鞭を入れ、

S#を選択してワインディングをのんびりと楽しんだ。

路面の状態は抜群だ。
ドライで曇り空だ。

最高のシチュエーションだ。
邪魔者は誰も居ない。

本当に多機能で、
演出も派手で美しい。
STIらしさを余すところなく発揮する、素晴らしいコンビネーションメーターだ。
同じ系列のクルマだが、レヴォーグと明確にデザインを分けた。
オモテナシのイラストも、
よりレーシーで好ましい。

ここで走りを変えたのが解るかな。
詳しく書くのは止める。
エコ履歴画面を見て、恍惚の走りを想像して欲しい。
中間地点に来たが、
今日は家畜論を確かめる時間が無い。

残念だが、
馬場を横目で見ながら帰る。
蕎麦の花が咲き始めていた。
驚くほど成長が早く、二期作も順調に進んでいた。

是非ブルーベリー狩りに行かないか。
美味しいからクルマもヒトも元気になる。
次の土日に向けてのプロローグだ。

おいしいトウモロコシも、
スバラーの来訪を待っている。

会社に戻る頃には、
ほぼ陽が沈みかけていた。

オドメーターは169kmになり、
この戦う馬の素質が、想像以上に素晴らしい事を確認した。
欲しい。ほとんどiモードを使わ無かったが、国道を等速で走る事も多く、とても優秀な燃費を記録した。
さてセダンらしさの検証も大切だ。
トランクの積載性を確認しよう。
このクルマのトランクは、BRZ同様に電磁オープナーへ変わった。
至る処に成熟の様子が見てとれる。
トランクを開けると、

とても広いので様々な道具を隠し持てる。
戦いに挑むクルマとして、充分な資質を持つ。
野望の解る人に、ぴったりのクルマだ。
老若男女を問わない。アドレナリンを好む者に、このクルマが相応しい。
必ずや夢中させる事だろう。
-2014年8月26日4時24分投稿記事を校正-