
アウトバックの似合うシチュエーションを探した。
今度のレガシィは、
以前に増してB4とOUTBACK(OBK)のキャラが極端に違う。
その差は更に広がってきた。
OBKには、
B4に感じた慕情では無く、
もっと直情的な味がする。
先代のレガシィを、
「優れた落雁の味」と例えたことを覚えているだろうか。
新しいOBKはその味を色濃く受け継いだ上で、
更にきめ細かい上品な甘さに研ぎ澄まされた。
コックピットに収まると、
エアコンコントロールパネルに目が惹きつけられる。
幅の広がりを感じさせ、
とても質感が高く、
運転中も適切に操作できる。
ただし時計と気温の表示は、
実際に使うと見難い。
インプレッサなどのMFD(マルチファンクションディスプレイ)を見慣れているからだろう。
レガシィにはそれが無い代わりに、
メーターの中にあるマルチインフォメーションディスプレイが大きくなった。
3.5から5インチになり、
アイサイト表示の演出など、
細かい部分の表示品質が高くなった。
とにかく「器」は飛びっきり良い。
形良し、
大きさ良し、
映り良しと、
どれをとっても申し分ない。
以前の海外仕様には、
セダンの形をしたOBKもあったようだ。
流石にあれでは日本人に受けそうも無い。
だが海外に於けるOBKの人気の高さは、
あのような派生種まで産み出した。
正統派のセダンより、
ワゴンのバランスをちょっと崩した、
SUVのOBKが、
今やレガシィの中核となった。
レガシィの中核どころか、
アメリカでは世界中のSUVをリードしてきた。
だから凄い存在感を誇るのだろう。
スペインのナカニシさんから、
早速コメントを頂いた。
新しいレガシィは、
世界中でスバリストの耳目を集めている。
新型のOBKは、
更に幅が広くなった。
それが心配な人も居るだろう。

そこで慣らしを兼ねて、
狭い山坂道を走ってみた。
この程度の田舎道では、
ほとんど不都合を感じなかった。
もっとも、
近ごろは田舎の方が色々と恵まれているが(笑)

数日後に東京へ行くので、
街中を走り回りたい。
既に先代のビッグマイナーチェンジで、
最新の2.5リットルエンジンが、
かなり良くなったと伝えた。
具体的には、
四代目レガシィの水平対向6気筒3リッターエンジン搭載車「BPE」と、
五代目の最終型「BRM」の2.5リッターエンジン搭載車で、
クルマのフィーリングはほぼ互角だ。
それが更に凄い事になった。
六代目のフルモデルチェンジで、
2.5リッターエンジンの構成部品は、
何と80%も見直されたのだ。
即ちクランクシャフトとコンロッド以外は、
全て新しくなった。
その効果は走り出してすぐ解った。
リニアトロニックも、
レガシィに合わせ全面的に見直されている。
効率が更に良くなっただけで無く、
ステップ制御が加えられた。
インテリジェントリニアトロニックと呼ばれる、
中容量タイプの無段変速機では初めての事だ。
その上、SI-DRIVEでどのモードを選択していても、
ステップ制御が自然に働く。
その方がアクセル開度に応じて、
レスポンスが良い。
そして6速ステップ制御は、
シームレスに無段変速と切り替わるので、
自然な走りと高燃費が両立できた。
更にセレクタレバーをマニュアルモードにセットすると、
パドルシフトで操るマニュアル6速に変身する。
使ってみて感じた事は、
まず第一に柔軟性だ。
このトランスミッションは、
低速域から高速道路上まで、
とてもフレキシビリティだ。
アクセルのツキが良く、
パドルシフトで操作するより、
右足の踏力だけでクルマを操る方が俊敏で楽しい。
時にはパドルで事前にシフトダウンする場合もある。
だが全行程で357km走って、
必要性を感じたのはほんの僅かだった。
とにかく気持ちが良い。

クルマの大きさに比例して、
質まで高くなったので、
乗っていて小躍りしたくなるくらい嬉しくなる。
ワインディングロードで、
後席の鞄から携帯電話が転がり出た。
無くなると厄介なので、
路肩にクルマを停めた。
いつものようにドライバーシートから、
リヤシートに手を伸ばしても、
座面に手が届かない。
室内が広くなり、
後席足元の余裕を自覚した瞬間だった。
スバルも遂にこの領域まで育つ事ができた。
実は、
これくらいの大きさのクルマにずっと憧れていた。
ぶくぶくと大きくなった訳では無い。
質も高くなった。

アイサイトのカメラも小さくなり、
クルマとの親和性も高まった。
バージョン3の能力にアップしたので、
より自然に機能する。
際どい走りも試してみたが、
余計なお世話を一切焼かない。
そして危険性だけを予知して、
ドライバーにこれまでより強く知らせる。
メーターリングを真っ赤に光らせ、
警告音を出し明確に危険を知らせる。
レヴォーグのような中央車線維持機能は無いが、
ステアリングを極めて自然にアシストし、
路外へ逸脱させないようサポートする。
スイッチの操作感もレヴォーグとは全く違う。
夜間表示は下の画像のように見易い。
車間距離は上下二つのスイッチで決める。
速度設定のスイッチは、
押した時に二段構えになったので、
10の位と1の位を正確且つ素早くセットできた。
ブラインドタッチを考えた良い造りだ。
但しオーディオやナビに関する考え方は、
まだ過渡期そのものだと言える。
今回からハーマンカードンが採用された。
これで長年君臨したマッキントッシュは駆逐され、
フラッグシップの座を譲った。
専門の説明員も、
力を込めてプレゼンしたが、

「どうしても欲しい」と言う気持ちになれない。
音は確かに素晴らしい。
最初は興味があったので、
色々と質問しようと手ぐすねを引いた。
だが急にその思いが冷めた。
その理由は、
ブラインドタッチに甘い。

ロングツーリングで一番知りたい情報は、
高速道路における事故情報だ。
でも最近はナビに表示されるので、
プライオリティが下がったのかもしれない。
不便だったのは、
簡単にラジオの交通情報が聞けなかったことだ。
ワンプッシュで操作できない。
以前ならTI(トラフィックインフォメーション)と記されたボタンを押すだけだった。

ユニバーサルデザインも大切だが、
よく使う機能はワンプッシュが一番だ。
わざわざ画面を見て、
フリップさせる必要は無い。
他のスバルで当たり前になったMFDは、
ライン装着ナビにその機能を融合したようだ。
恐らく今の過渡期を見据えたからだ。
次の何かを考えた上での設計だろう。
3年後のビッグマイナーチェンジで、
次世代型の新たな提案を見せるはずだ。
何しろ日本人は、
既成感に囚われやすく、
騙されやすい。
これまでの2DINをスワップ出来ないと、
不評が高まる。
なかなかチャレンジできない部分だ。
その点、マツダは良くやった。
デミオはカーオブザイヤーを獲得するだけのチャレンジをして見せた。
ドライバーが使い易いシステムは何か、
それを最優先で考えると、
ちょっと見方が変わってくる。
ドアトリムに拘る理由もそこにある。
インナハンドルを、
「たかが把手」と思い込むようではレベルが低すぎる。
スバルは解っていても、
あえて金を掛けない。
顧客が甘やかすからだ。

この外車は、
新しいB4の相手には少し物足りないクルマだ。
でも、
ドアには把手では無く、
きちんとしたインナーグリップが付いている。

この部分を軽視する人間に、
プレミアムな世界は解らない。
再三うるさくスバルに注文するのは、
これはインプレッサまでしか許されないからだ。
その上のクルマが把手では、
あまりにもお粗末だ。
質の高いコンプリートカーを作る上でも、
それが足枷になる。
基本が良くないと、
安っぽい内装しか作れなくなる。
エクステリアに目を移そう。
ヘッドライトはレヴォーグより更に良くなった。

もう片側3灯式では無い。
レヴォーグの開発時には、
これが間に合わなかったと言うが、
正直なところ本当だとは思えなかった。
クリアランスランプは、
更にキリリと引き締まった。
それには理由がある。
上部のコーナー部分に仕込まれたLEDチップが、
1つから2つに増やされたので、
この様に目元が涼しげに輝くようになった。
いっそのことズラリと並べてしまえば良いのにとも思うが、
それでは美しくないのだという。
ハイビームがハロゲンランプで残念だ。
昔のレガシィの意気込みなら、
アクティブヘッドライトぐらい付けて当然だ。
だがその分野は、
米国でプライオリティが低い。
だから採用しないのだろう。
実際に走らせると、
脚がとても良く動く。
ボディ剛性が何と67%もアップして、
乗り心地だけで無く、
操縦安定性や騒音振動の低減に大きく寄与している。
実際にそれほど強化されたのか、
サーキットでは実感できない。

しかし、前を走るクルマを見ると、
素晴らしさが良く解る。
腰がかなり高く、
SUVらしさを強調しているのに、
実にしっかりと4つのタイヤが路面を掴む。
このシーンをみてから、
実際に乗ると、
なるほどと納得出来る。

制動時の安心感が格段に優れているからだ。
フロントヘビーで、
全体に腰高で、
重量も増えているのに、
そのようなことから感じるネガティブな要素が一切無い。
こうしてブレーキングしながら、
深くターンインする時に、
「恐れ入りました」と言わざるを得ない出来の良さだった。
ただ残念なのはヘッドランプもそうだが、
テールランプも今ひとつやりきれなさが残る。

リヤゲート側の赤い部分にもREDを仕込まないと、
ハッキリ言ってけち臭いし野暮ったい。
レヴォーグもそうだが、
中途半端にコの字なのは、
見ていてイライラする。
ゲート側にあるランプが、
下半分を切り欠きした形状なのも、
惜しい気がしてならない。
やはり、
その辺りのコーディネートは、
国産ではトヨタが一枚上手だ。
慣らし運転を兼ねて、
クルマと楽しく対話した。

レガシィの各種スイッチは、
レイアウトが少し変わった。
メーター内の表示切り替え機能も増えたので、
オーナーは少し勉強が必要になる。
中央のコンソールには、
リッド付きの小物入れが備わった。
上の画像では開いていて、
ブルートゥースを使って音楽をデッキに送信中だ。
新しいOBKにもX-MODEが装着された。
フォレスターの機能と変わり無いが、
スイッチの位置もカタチも全く違う。
X-MODEの威力は相変わらずで、

スイッチを入れておきさえすれば、
3輪が浮くような路面状況でも、
最大の脱出能力を簡単に発揮する。
悪路走破の上で重要な要素は、
アプローチアングルと、
ランプブレイクオーバーアングルと、
デパーチャーアングルの三つだ。
フォレスターに比べ数値的にどう異なるか興味深い。
ホイールベースの長いOBKにとって、
ランプブレイクオーバーアングルは厳しいはずだ。
まずアプローチアングルは、
フォレスターの25度に対してアウトバックは18.6度。
デパーチャーアングルは
同じく25度に対して23.1度だ。
これは乗用車としてかなりの実力なので、
これまで以上にラフロードを安心して走れるだろう。
今回からメーターの色を選べる。
試していないが、
ブルーから様々な色に変えられるらしい。

高速道路も含め、
山岳路をかなりの勢いで走った結果が12.1km/l。
かなり良い結果だった。
B4に慕情を感じ、
OBKには男性らしさを感じた。
理屈で付き合う相手だ。
B4とはカラダで付き合う。
面白いクルマを作った内田PGMに、
一度お目に掛かりたい。

偶然レヴォーグに出会い、
横に並べた。
最近ここを目指すスバリストが多いらしい。
ツーリングワゴンを極めたレヴォーグと、
SUVを極めたOBK、
その存在意義が良く解るショットだ。
OBKの新旧を比較すると、

ディティールの変化が良く解る。
エクステリアデザインに、
しっかりお金が掛けられ、
国際車として秀逸な仕上がりだ。

サンルーフもよく似合うし、
ルーフレールは空気抵抗の低減を考えた新デザインだ。
特に塗装のクオリティが高くなった。

この部分にまず黒い下地塗装が施される。
その次に1ミクロンのメタリック塗装で仕上げる。
米国仕様のルーフレールにも魅力があるが、
国内はこちらがスッキリしていてなかなか良い。
リヤスポイラーも照準装備で、

リヤゲートの造形も、
スポイラーまで含め完璧に整えられている。
それだけでは無く、
パワーリヤゲートの動きも速い。
モーターをトルクアップし、
静音化も進められた。
ところで最近リボーンしたクルマの中で、
ハリアーはなかなか良く出来ている。
クラウンとWRXを比較して、
ホイールのとりまとめにトヨタの一歩先行く姿勢をみたが、
SUVではスバルが上だ。

アウトバックのホイールとタイヤは、
実に存在感があり、
インナーフェンダーとタイヤのサイドウオールの位置関係が良い。
それに対してハリアーは、

これでもう後10㎜外に出ていればと、
残念に見える出来映えだ。
ディティールに拘ると魂が宿る。

ハリアーは17インチのジオランダーを履く。
サイズは225/65R17だ。
これだと全体の大きさに比べ少し貧相に見える。
アウトバックのホイールはステキなデザインだ。

一連のデザインを感じさせ、
力量感と先進性を併せ持つ。

サイズは225/60R18だ。
こちらはブリヂストンを採用した。
意外だが、
彼等もアウトバックに相応しいタイヤなら、
まだ作ることが出来るのだろう。

6時間かけて370km弱を走り、
良いクルマの誕生を実感した。
スバルに、
心から「おめでとう」と告げたい。
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