インプレッサスポーツHYBRIDに乗り、
スバルのスポーツカーの行方をどう見定めるのか、
実は大いに悩んだ。
それは東京を行き帰りするクルマの中で、
ますます大きくなった。
スポーティーなハイブリッドの今後も含め、
今後必要なブランドを感じたままに伝えよう。
新しいSTIに乗り、
しかもそれが「S」だと、
がっかりする事がある。
環境性能のハードルを越えるために、
軽さに拘る必要も無くなり、
STIは完全に宙ぶらりんだ。
従って「S4」(VAG)ならば仕込み甲斐のある車になるが、
STI(VAB)だと実にどっちつかずの味になる。
BP系の6速MT搭載車のような濃い味と凄味も無いし、
インプレッサSTIらしい狂気に満ちた加速感も無い。
本気でSTIが「GT3」のようなクルマを出すのなら面白い。
そういう方向に振る勇気を持たないと、
スバルのクルマ造りがつまらなくなる。
現在、涙目GDBが異常な高値を維持する理由も、
実はそこにある。
オークションなどで、
利益度外視でせり上げる連中が居るから、
下手に触ると危なくてしょうが無い。
例えば11年前のクルマでも落札金額が169万円と、
ミニバブルの状況になっている。
これが今の現実だ。
「S」シリーズのすさまじさが、
ミニバブルに輪を掛ける。
「STI」がSを作れない以上、
それはやむを得ない。
エンジンのバランスを取り、
スバルとは別次元の「本物のブランド」を目指していた頃と、
今のSTIが根本から違うことは、
既に何度も語った。
またクルマの軽さは最も解り易い性能なのに、
それを上手に説明するスキルや、
手法そのものも無くなってしまった。
例えばスーパーGT等と言う、
特殊なモータースポーツにお金を使っても、
STIが売るためのクルマには何の役にも立たない。
スバルが枠を持っていることが貴重らしく、
手放そうとしないが本質的な何かが足りない。
最新のWRX「S4 type-E」に比べ、
STIがつまらなく感じる理由は、
まずシャシーにある。
実際のところVAB自体、
それほど売れているわけでは無い。
ボディ剛性を40%以上高めたことは凄い事だと思いうが、
ダンパーストロークが短いので、
クルマそのものの容量が足りないように思えてしまう。
リヤサスのジオメトリーを苦労して開発し、
GRBのようにリヤが踊らないサスになった。
しかしスバルの熟成能力が余りにも高いので、
VABは普通の人が楽しむ限界点の手前だと、
GVBの最終型のこなれたクルマに面白さで負ける。
もっと軽くして、
スロットルもバンバン開く戦闘的な車にすると、
きっと面白いだろう。
そのためにはSTIそのものを、
早くスバルブランドを超える、
二本柱に建て直さないと行けない。
S402迄の潮流が今でも続き、tSを企画しなければ、
恐らく既にSTIは一台500万円以上ののブランド力を持っていた。
電動化技術を優先したり、
アイサイトに拘るのは、
スバルブランドだけで良い。
次のシャシーも竹中社長の時代から続く、
長期計画の元で進んでいる。
そこにあるのは電動化優先だと言うことが、
新しいGPEに乗ると匂いとして良く解る。
大きいタイヤを付けて、
はみ出す分をオーバーフェンダーでカバー。
電池を低い位置に入れて重心下げたが、
マス増加による上下左右で増えた慣性をジオメトリーで逃げる。
最新のGPEで710㎞ほど走り、
日本では通用するが欧州では絶対に通用しないと思った。
時速60㎞から110㎞までの加速感は、
何とも素晴らしくて惚れ惚れするが、
時速150㎞以上ではモーターのフリクションが逆に気になる。
伸びやかに吹けきれない。
何しろDレンジで走行中に回転抑制制御にはいる。
最初はビックリした。
でも良い点もあれば悪い点もある。
時速140㎞以上の高速領域では完全に不利でも、
その領域は日本の国情でアウトになる。
それにしても、
レッドゾーンに入るまでギュンと伸びるハイブリッドは凄い。
これと、
レヴォーグと、
S4 typeEは、
高速コーナーのしっとりした面白さが共通だ。
スバルブランドのトップカテゴリーとして充分際立っている。
だからこそ、
最近のスバル車のシャシー限界が際立つようになった。
開発する人達に、
昔のスバルを知らない人が増えたからだろう。
だから「この程度で良い」となるのかもしれない。
甘い味のするパワー感と、
切れ味のある旨さは違う。
これが最大の問題だ。
切れ味の良さを出すのがSTIの仕事だろう。
それが出来ない理由は、
308馬力、
43kgmというパワーを当たり前にしてしまったことだろう。
刃の先が丸くて切れない。
もはや450馬力ぐらい出して当たり前だ。
そうしないとSTIそのものが生き残れない。
最新のWRX STIはシャシーやクルマの立ち位置に対して、
完全にアンダーパワーだ。
スタイルも惜しい。
街中でレヴォーグやS4に出会うと、
真っ先に「眼力」に釘付けになる。
その後ででかすぎるグリルと、
ボンネットの穴に「惜しい」と思う。
もうリヤウイングなど絶対に不要だ。
あれ付けないと売れない、
という人が居るからだと思うが、
もうそろそろ脱却して良い。
BMWだって苦労している。
重かったM3は熟女の味がしてとて好きだったが、
M4にはつまらない味だと感じた。
乗ってみて特段に軽いとも思えなかった。
しかしクルマ自体の変化は激しくて、
驚くほど高性能だが、
乗らされている感が強かった。
これは東西どちらも同じ悩みを持っているのだと思う。
M4のドライバビリティは、
かなり良くなっているはずなのに、
少しも面白くない。
それが今年はどう変わったのか、
10月にその答えが見られそうだ。
スバルはS4という意匠を手に入れた。
これをしっかり伸ばすべきだ。
S4と言うブランドを育てる必要がある。
その代わりSTIグレードを手放し、
STI自身ににホンモノの「S」を作らせよう。
今のままでは完全にアウトだ。
本気で作ったS4の脚は、
辰己さんがSTIに来た頃の味そのものだ。
今後はスバル自身が、
カタログモデルのSTI等と言う馬鹿げた物を作らなければ良い。
元に戻ると言うこと。
日本で取り残されてしまったのは、
道具を正しく使わなかったことに対して罰が当たっている。
同じ事はBRZにも言える。
動力性能に変化が無いクルマを、
STIがあれほど割高で売っても意味が無い。
高性能なNAのパワーユニットに手を入れられない以上、
もう終わりかもしれない。
トヨタはBMWと組めば簡単に次の手が撃てる。
WRX STIとBRZが次のビッグマイナーチェンジで、
どうなるかが今後を占う決め手になる。
だから「努力」と「忍耐」大切だ。