数あるスバル歴の中で、最も印象に残ったクルマはスバル1300Gスポーツだ。WRXこそ、その末裔だと実感している。
世界のどこへ出しても恥ずかしくない日本車だ。
WRXを良く知るヒトはもちろんだが、スバルどころか、クルマにすら興味の無い人でも、「22B」だけは別格だろう。クルマから漂うオーラが違う。
乗用4WDの歴史はスバルから始まった。その性能に於いて、頂点に立つのは、レガシィでは無い。あくまでもインプレッサWRXだ。
またタイヤの歴史を辿ると、いくつかのエポックメーキングな出来事がある。
ラジアルタイヤを世界で初めて開発したのはミシュランだ。これはあまりにも有名だが、ウインタータイヤを初めて作った会社はあまり知られていない。
WRXに相応しいウインタータイヤは何か。今回はそこを深く掘り下げたい。
22Bオーナーズミーティングから、もう二ヶ月以上の日々が過ぎ去った。
今年はモーターショーもあり、
数多くの出会いがあった。モデルチェンジの谷間と危惧したが、度重なるマイナーチェンジや追加車種で、スバルは次々に性能を高めた。
得る情報が多いので、
かわら版も短いサイクルで発行した。とても谷間などでは無かった。
ロールケーキは一般的だが、抹茶入りは珍しい。
少し違うだけかと思ったら、想像以上に美味しかった。
乗ってみたら意外なほど面白かったクルマと、使ってみたら予想以上に確かなタイヤを紹介しよう。
皆さんから戴いたお土産が、やる気を更に高めてくれた。
実は「疲れ」を楽しむ事が多い。でも弱気な言葉は誤解に繋がるので、今後は使い方を自重する。
22Bのミーティングで、各地から滅多に食べられない美味しいモノが集まった。締め切りに追われた後などは、
美味い日本酒が最高の喜びに変わる。
良酒は心も体も和ませる。
結局、戴いたお土産を全て紹介しきれなかった。
22Bオーナーの皆さん、ありがとうございました。
初代インプレッサも相変わらず魅力的だが、二台目もまだまだ鮮度を失っていない。特にS203は珠玉の作品だ。
「売れてしまう前に見たかった」と、吉村さんが遊びに来て下さったのは、その明確な証だろう。
彼もインプレッサの大ファンで、愛機は丸目だ。息子さんを「すばる」と名付けるほどのスバリストだ。
竹の皮に包まれた、美味しい羊羹を戴いた。
ありがとうございました。
これは実にあっさりしていて美味しい。
石川県の浮田さんもインプレッサのファンで、RA-Rが相棒だ。
ありがとうございました。「宋玄」のひやおろしを美味しく頂きました。
東京の秋田さんには、「じょっぱり」を戴いた。
ありがとうございました。
社員に和菓子まで届けて戴き、

仕事の合間の潤いになりました。
出張中でお目にかかれなかったが、
香川県から長谷川さんがいらっしゃった。
美味しい純米酒をありがとうございました。
社員にも「かまど」をいただき、感謝申し上げます。
南四国スバル訪問を思い出す、懐かしい味だった。
BH/BE型レガシィは、インプレッサと異なるツインターボエンジンだ。その「サイズ感」は手放せない魅力になる。
重量との微妙な組合せも注目すべき点だ。
スバルの魅力は深い。個々の特徴がオーナーの趣味趣向と合致すると、離れられなくなる。
BE型レガシィがフルモデルチェンジし、
BL型が生まれた。これはビッグマイナーチェンジが施された2.0GTだ。あえてspec.Bでは無く、2.0GTを手に入れた理由は「軽さ」にある。BL系はマイナーチェンジ後に6速MTが搭載された。spec.Bも悪くないが、価格が高いし重量も重い。三代目レガシィのRSKは、
1480kgの重さがある。それが四代目BL型になると一気に軽くなり、
モノによっては100kg差が出た。2.0GTは1430kgなので、RSKと比べると50kg軽い。
でも6速MTを搭載すると、その優位性が消える。
BL5に搭載されたエンジンは、全て等長等爆化された。しかもターボシステムはツインスクロール化し、あっという間に最大過給圧に達する。最大トルクの発生回転数も下がったので、凄く乗り易い。だから5速MTと組み合わせると、俊敏さが光る。
手に入れたクルマをバラバラにして、
隅々までスチームクリーナーで清掃除菌した。
平成10年頃から18年頃まで、ボクサーエンジンの動力性能は年を追う毎に磨かれた。
これらのWRXとB4から、
怪しい誘惑が立ち上り、ステアリングを握りしめ、ワインディングを攻める衝動に駆られる。
そんな衝動を感じていたら、今度は丸目のインプレッサが入ってきた。
愛嬌のある顔が好きで、スクラップなどには出来ない。
丸目には思い入れがある。二代目インプレッサの開発は、ウルトラCを連発して進められた。デザインに十分な時間と金さえ掛ければ、もっと理想の仕上がりになったはずだ。だから最初の顔がたまらない。昔から「ちょっとブス」が好きなんだ。(笑)
すると丸目が丸目を引き寄せた。
シルバーのWRXに思わぬ「縁」を感じ、思わず手に入れた。
直感は当たった。アプライド型式:GDAA4CDOPコード:ELリヤスポイラーもHIDヘッドライトも無い素のクルマだ。リヤデフにシュアトラックのLSDだけは組み込まれている。ボディは地味に見えるけれど、キラキラ輝く「プレミアムシルバー」だ。
二代目のデビュー当時に作られた珍しい仕様だ。
樹脂劣化で目玉は白く濁っていた。すぐ奇麗に治し、
奇麗な瞳が蘇った。
床下の様子を念入りに調べると、ダンパーは抜けかけ、ブッシュ類も寿命を迎えていたがシャシーはまだ大丈夫。
発売当時、WRXにはSTIを頂点に「NB」と「NA」が存在した。6速MTを搭載した「STI」は、全て300万円をオーバーした。そこで緩和策として、過去唯一の自然吸気エンジンを持つWRXと、新車価格を2.462.000円に押さえたターボのNBを商品化した。
この価格は今のXV「2.0iーL EyeSight」とさほど変わらない。
面白くなってきた。明らかに時代の変遷を感じさせる、珍しくて扱いが楽しいクルマが続々と集まった。浮田さんの「鷹の目RA-R」は、正確にはspecC Type RA-Rと言う。
320馬力に対して重量は1390kgしかないので、二代目WRXで最速のクルマだ。それを最右翼とすると、
丸目のNBは真逆のクルマに相当する。
クルマを面白くする要素は、まず一番に「軽さ」だろう。

軽さを解り易く比較する。GDA 「NB」 1340kg 250HP p/wレシオ 5.36GDB 「RA-R」 1390kg 320HP p/wレシオ 4.34BL5 「2.0GT」1430kg 280PS p/wレシオ 5.11GDB 「S203」 1445kg 320PS p/wレシオ 4.52BE5 「RSK」 1480kg 280PS p/wレシオ 5.29VAB 「STI」 1480kg 308PS p/wレシオ 4.81ちなみに、「S207」は1510kgで328PSだからp/wレシオは4.60だ。絶好調のスバルは、車両のいくら生産しても需要に追いつかない。
だから軽量仕立ての「RA」をラインに組み込む余裕など無い。だから劇的な速さを手に入れる事が出来なかった。NBは価格が安い割に刺激的だ。同価格帯のスバルXVと比べると良く解る。これもスポーティだと伝えたが、そのパワーウエイトレシオは10.6だ。
NBのおおよそ倍に相当する。
NBを清掃する前に、
エアコンフィルターを確認した。今と違い、当時はエアコンにフィルターがある事を知らない人も多かった。
調べて驚いた。真っ黒なフィルターが現れた。このクルマも完全に分解し、徹底的に清掃する。この頃ネットを通じたクルマの流通が増えた。実物を見ないで仕入れるのは怖い。
しかし最近では「安さ」を優先し、クルマを「見なくても」買うことが増えたようだ。
「クルマって滅多に壊れない」と思ったら大間違いだ。元気に動き回っている人間でも、病気を抱えている人は多い。
クルマには自然治癒力が無いから、出自のハッキリしないクルマは怖い。
しかも自動車の流通には、およそ「プロ」とは呼べない人も介在するので、見え無い部分に厄介な病巣を持つ事がある。
バラバラに分解して掃除を終え、
納得いくまで整備して、徹底的に走らせて検証する。これは拘りだ。
その拘りを貫くためには、清潔で美しい仕事場が必要だ。
だから毎日の清掃に加え、毎月一度奇麗に洗う。
早朝から集まって、備品を移動し、
全面的に床を洗う。
床に水を撒き、洗剤を薄めた溶液をデッキブラシに付けゴシゴシ洗う。
普段の清掃では個々まで出来ないので、
Before徹底的に月に一度洗い流す。
After全員揃って隅々まで掃除する事に意義がある。
流し台もピカピカに磨き上げると、本当にスッキリする。
工房を清掃すると、滑る仕組みが良く解る。
滑りにくい長靴を履いていても、カラーコンクリートの表面と、長靴のゴムとの間に水の膜ができる。
ここで仰向けにひっくり返った。
頭を打たなくて良かったが、
足の踏み出し方が悪いとメチャクチャ滑る。
まるで氷のようだ。
氷とタイヤの間にできる水の膜は、
もっと威力がある。
工房の床を洗いカラダで学んだ。
その翌日、
コンチネンタルのスタッドレスタイヤが届いた。

スタッドレスタイヤは
その膜を徹底的に取り除く。
ミクロの世界で液体の膜を取り除くことに、
どこのタイヤメーカーも腐心している。
そんな中、
コンチネンタルに着目した理由はこの会社の歴史の中にある。
ドイツの老舗企業のコンチネンタル社は、
良い冬タイヤを作る。
それは以前から知っていたが、
残念ながら流通量が少なかった。
世界で初めて冬用タイヤを作ったメーカーだ。
1952年にスノータイヤを開発すると。
20年後の1972年に逸早くスパイクレスウインタータイヤを発売した。
それが歴史あるブランド「ContiContact」だ。
コンチネンタルはタイヤメーカーでありながら、
世界で唯一走行安定装置「VDC」も開発する。
実際にレガシィのブレーキシステムは、
コンチネンタル社の製造する電子部品を持つ。
だからスバルとの相性がとても良い。
スバルは元来4WDとABSをアクティブセイフティとして取り入れ、
積極的に商品展開してきた。
コンチネンタル社は、
2008年にVDCを効果的にサポートするウインタータイヤを開発した。
トレッドパターンを研究し尽くし、
4輪のグリップを理想的に高めた。
コンチネンタル社は環境に応じて、
ウインタータイヤのコンパウンドを使い分ける。
ソフトタイプはスタッドレス、
北欧中心のインターミディエートもある。
2000年には、
ウインタータイヤでVレンジという、
ハードなContiWinterContact TS790Vを発表した。
これを機にウインタースポーツラジアルタイヤの概念も生まれ、
欧州を中心に広がった。
タイヤには7℃と3℃の法則がある。
路面温度が低くなるにつれ、
徐々に硬化するゴムを、
低温でも柔軟さを失わないように配合する。
それがウインターコンパウンドの特徴だ。
気温7℃を境にしてサマータイヤのコンパウンドは、
スタッドレスタイヤのコンパウンドと柔軟性で拮抗する。
気温7℃を下回る日が続いたら、
スタッドレスに交換しよう。
その方がとても安全だしタイヤの摩耗も遅い。
よく雪が降るぎりぎりまでサマータイヤで過ごすクルマを見かけるが、
早くタイヤが減るので損をしている。
7℃以下ではスタッドレスタイヤの方が摩耗しない。
そして気温が3℃を下回ると、
サマータイヤのグリップ力では安全に走れない。
従って路面状態に関わらず、
3℃以下ではスタッドレスタイヤを装着する。
ここまで言えば解るだろう。
ウインタータイヤのコンパウンドに、
各社の知恵が練り込まれている。
その歴史で一歩先んずるコンチネンタルが、
他より劣るウインタータイヤを作るだろうか。

しかも、
コンチネンタルは今年からウインタースポーツラジアルの販売を、
日本では止めてしまった。
日本にウインタースポーツラジアルを活かせる環境が少ない事もある。
それよりも大きな理由は、
「誰でも売る事が出来ない」タイヤだからと推察する。
両方を用意すると、
相乗効果より販売スキルが分散し、
主力のスタッドレスも売れなくなる。
ミシュランも同じだ。
ヨーロッパに展開する高速レンジのタイヤを、
日本には持ち込まない。

そうなると、
目の付け所が変わってくる。
コンチネンタルは複数のバリエーションを統合した。
国内で売り上げを伸ばすには、
スタッドレスタイヤに数々のノウハウを注ぎ込むべきだと判断した。
戦略を変えたのだ。
コンチネンタル社が戦略を変え、
日本に投入する最新のスタッドレスタイヤを味わいたくなった。
そこでDEのレクチャーカーを兼ねるVABに、
ContiVikingContact6を取り付けた。

18インチで幅が245もあるので、
タイヤの個性がハンドリングに大きく表れる。
ContiVikingContact6には、
コンパウンド以外にも面白い特徴がある。

赤く塗った部分は、
ドライ路面で横方向に力が掛かると、
ブロックが接合する。
ここが咬合するとブロック剛性が増す。
横剛性が高くなれば、
グニャグニャした印象がなくなり、
ハンドリングに良い効果が生まれる。
しかしそれ以上に、
VDCが作動した時の、
特殊な制動力の掛かり方に効果を発揮する。
この辺りに、
Vレンジのウインタータイヤを作った経験も生きる。
高速指向の用途には相応しいだろう。
最近のスタッドレスタイヤは、
外見上の性能判断が難しい。
外見上の判断が難しいのは、
スタッドレスタイヤだけでは無い。

名古屋の舟橋さんから、
丸目インプレッサの車検を承った。
数年間お目に掛かっていなかったが、
その理由を聞いて驚いた。
慢性疲労症候群にという難病に冒されてしまった。
「現在は、体調が良い日に20分くらいまで運転できる状態です。
ドア一つ開けるのに痛みを乗り越える勇気が必要で、
元気だった頃のように気軽なドライブがなかなかできないのです」

ご本人の希望で一緒に写真を撮影した。
「インプレッサは古い車なので、
買い替えも考えたのですが、
病気のおかげで治療費用がかさみます」
そんな事情が明らかになり、
水曜日に名古屋まで行った。

また丸目が丸目を呼んだ、
と思えるような偶然だった。
走行距離は8万5千㎞。

クラッチを踏んで走らせると、
病魔と闘うモチベーションを維持できる。
この病気には他覚的症状が無い。
それだけに周りの理解を得るのが大変だそうだ。
見た目には現れていないが、
大変な苦労をされている。
杖をつかないと階段の上り下りも大変だ。

80歳くらいの運動能力に落ちてしまうそうだ。
部屋に招かれハーブティーをご馳走になった。
かわら版206号がピンで留めてあった。
青いWRXが目に入った。

大事にして戴いて嬉しかった。
舟橋さんの愛機を預かり帰路に就いた。とても快調で消耗した部分を整備すれば、まだまだ高性能さを維持出来る。
高速道路に乗る頃になると、
小雨がぱらついてきた。

WRXは雨が大好きだ。
1300Gの頃から、
スバルの高性能車は雨が降ると機嫌が良い。
快調に飛ばして会社に帰ると、
かわら版が刷り上がります、と電話が入った。

丸目同士を並べて置いて、
VABに乗り換えた。
路面温度はまだ高い。

でもチャンスだ。
無性に高速道路で試したくなった。

ランプウエイを駆け上がり、
ゆっくり加速した。
慣らしを意識し、
急激な操作はしない。

スタッドレスが一番苦手とする、
10℃以上の濡れた路面だ。

ContiVikingContact6に、
腰のある確かな手応えを感じた。

走らせると、
実際の印象はスタッドレスタイヤそのものだが、
ステアリングの操作に対して、
ヨーレートがリアルに立ち上がる。
グニャグニャ感の発生は明らかに国産のスタッドレスタイヤより少ない。

一気に200km以上走らせて、
温泉まで駆け上り、
翌朝タイヤの表情を観察した。

200km位では新品と見間違うほどだ。
国産のスタッドレスで、
気温が高い時に無理すると、
サイプの部分がささくれ立つ。
そんな傾向は全く無かった。

この日の朝も暖かく、
晩秋の気配はどこかに消え失せていた。
また丸目が丸目を呼んだ。

工房にもう一台GDA型WRXが現れた。
本当にこんなことは珍しく、
偶然の一致とは思えなかった。
仲良く車検整備が進む頃、

清掃中だったBL5が奇麗に仕上がった。

すっかり室内も奇麗になり、
気分一新だ。
かわら版を飾るに相応しいクルマだ。
5速マニュアルが心をくすぐる。

スバルのマニュアル車は、
コンチネンタルのスタッドレスと本当に相性が良い。

腰のある歯応えで、
ハンドリングが良く、
飛ばしても安定している。
手放した
黒ブリを思い出す。
このクルマも走行距離が6万キロ台と比較的少ない。開田高原で雪道を走ってみたい衝動に駆られた。
その時は勿論、コンチネンタルを付けていこう。
おわり