マリオが真面目な顔で実況中継していた。邪魔して悪かった。横から余計なことを随分喋ってしまった。
シナリオに水を差して申し訳なかった。
昔から「場を読まない」男だと嫌われる。
組織の中に居ても、
トップがあまりに酷いヤツだと、
時には後ろから平気で弾を撃った。
面白いという人も居れば、
アイツだけは許せんと恨み続ける人も居たかもしれない。
そんな事は知ったこっちゃ無い。
間違っていることに対して、
間違いだと言って何が悪い、と常に考えて生きてきた。
トヨタブースの居心地が良い理由は、
そんな所に源流があるのだろう。

デカデカと看板に書いてある。
摩擦を恐れるな。
章男さん、
あなたはそれを確かに恐れなかった。
もし軸足が振れていると感じたなら、
遠慮無く意見して欲しい。
オートサロンとは「こういう」場所だと信じて、
これまで参加し続けてきた。
日野自動車にはまって、
もう何年も経つ。
今年は絶好のポジションだった。
だから東館に居るだけで目的がほぼ達成できた。
何しろトヨタの次に迷わず日野にいける。
こんなありがたいことは無い。
今年も期待を裏切らなかった。
強烈な真夏のオレンジが目に飛び込んできた。
男心をくすぐるミツバチだ。
ちょっと刺されただけで「キュン」としてしてしまいそうだ。

壇上には既に刺されて虜になった男が、
違うミツバチに捕獲されていた。

鼻の下が伸びて、
既に息も絶え絶えだ。
むさ苦しい男の道具を、
むさ苦しく感じさせない恐るべき魔術だ。
近寄れば「ムン」と汗臭さが匂いそうな小型ダンプを、
オレンジリキュールのエッセンスで包み込んだ。
史上最強の「オレンジ戦略」だろう。
その戦略兵器がこのミツバチだ。目が合った途端に心臓をわしづかみされた。
特にはみ出し具合が素晴らしい。
このミツバチをマリオに持って帰りたい。
ところが、
徐々に自分のモノにしたい衝動に変わった。
そこで、
彼に手本を示すことにした。
①まずこのように可愛い子が現れたら、
親しげに話しかけ下心を一切隠し紳士的に振る舞う。

②頃合いを見計らい「あ、目の上にゴミが付いてるよ、取ってあげるから目をつぶって」
と悪魔の囁きを放つ。

③目を閉じたら軽く唇に自らの唇を重ね、
「ステキだよ」と囁く。
最後までこの様に笑ってくれたなら脈ありだ。
ただし失敗すると警視庁の御世話になる。
むさい男の妄想を掻き立てるオレンジ戦略、
今年も日野は見事にスイートスポットを砕くように打ち抜いた。

本来なら不似合いなオレンジ色のインパネカバーが、
ミツバチの毒で美しく感じる。

土砂や産廃を積むはずなのに、
甘い匂いが漂ってくる。
夢心地で隣のブースに足を運んだ。
その途端、
全身に冷や水をぶっかけられたように冷めた。
この色に文句は全く無い。
実に美しい真珠色だ。
ここまで煌めく真っ白なパールは、
今まで無かった。
この出現を心待ちにしていた。
しかし、クルマは場違いだ。
そもそもなぜXVがSTIと整合するのか。
この提案自体がメーカー目線で癇に触れる。

もともとXVにオレンジは整合するが、
それは「SUBARUブランド」における「韻」だろう。
当たり前すぎるオレンジコーディネートで、
何の興奮も感じない。
この部分の色さえ変えれば良いというだけでは、
全く意外性に乏しい。

最悪と思える部分は、
X-BREAKを流用したベース車の名残まである事だ。
またこの程度のドレスアップで、
セレクタレバーをSTIに換えると寄せ集め感が生じる。
このような作品を平気で並べる戦略は、
メーカー目線の誤った参加姿勢だ。

シート表皮にも斬新感がまるでない。

その理由は前後のピローを一面だけ色替えし、
とってつけた感が垣間見えるからだ。
ショルダー部に細工をせずに、
サイドサポートの表皮をイジルと、
この様な稚拙なデザインになる。

そもそも、
このクルマの何処に戦闘力を感じるのか。
STIを何だと思っているのだろう。
この作品の責任者は、
ドイツからクルマを使い、
自らトルコまで旅行すると良いだろう。
ボスポラス海峡を渡れば、
自分が如何にぬるま湯に浸かっているか解るはずだ。
生ぬるいクルマを平気で出す根性が気に入らない。

こう言う所にも「大手広告代理店」の悪影響が出ている。
日本をダメにするのは、
間違いなく大手広告代理店だ。
分母の大きさを常に測り、
大きく振れる振り子に乗ることばかりを考える。
軸足の無い世界には、
軸足の無いクルマが似合うのだろうが、
そんなクルマに興味は無い。
もし、
STIがデザートレースをするためのXVを提案したのなら、
素晴らしい方向に向かう。
でもこんな腑抜けなクルマにSTIバッチを付けるなど、
ブランドをコケにするにも程がある。
これはSUBARUブランドで考えるクルマであり、
STIのブランドにそぐわない。
じゃあどんなクルマなら良いのか。
水族館に行くと、
XVの目指す方向が良く解る。
それは大陸間を渡り歩くように、
ダイナミックな走りを目指す都市型SUVだ。
パワーユニットはディーゼルしか無い。
その前日、
池袋にあるサンシャイン水族館を訪れた。
そこで実に素晴らしい水生動物達が待っていた。
その名を「ヤドクガエル」といい、
生態も「クルマそのもの」だ。
同じ種類でありながら、
全く異なるカラーパターンを持つ個体群が存在する。

この姿に心底惚れた。
これらのカラーチャートを使えば、
戦闘力を感じるXVが必ず作れる。
大自然の中で緑に溶け込むような大胆な配色。
そして日本の歌舞伎を思わせる大胆な構図。
しかも異なるカラーパターンまで素晴らしい。

ブルーのパターンをBRZに使うと、
凄い限定車が作れるだろう。
ハイパーブルーは単色だとのっぺりするが、
ジャパネスクを織り交ぜると堪らなく良い世界を生み出す。

この黄色もサマになる。
サンライズイエローのように赤味が無く、
黒との調和が素晴らしい。
さあ、XVにディーゼルを搭載し、
フォレスターと同じ高さの最低地上高に引き上げ、
6速マニュアルと組み合わせよう。
どの個体の色使いでもバッチリだ。
そうすればこの夢の祭典への参加資格が生まれるだろう。
メーカーの都合ばかりで、
この祭典を汚すことは来年から謹んで欲しい。
ディーゼルに戦闘力を感じるのは、
速さもさることながら、
その航続距離の長さだ。
単調なホワイトに、
遠慮がちなオレンジを差し、
ドノーマル車を持ち込んでも、
男心に水を差すだけだ。
そんなことは三菱でもやっている。

これもお粗末だ。

インテリアも淋しい。

増岡さんが出ていたが、
せっかくのトークショーも閑古鳥だった。
それに引き替え、
SUBARUのブースには人だかりも多い。
これに甘えず、
もっと本来のオートサロンらしさを際立たせよう。
バッジだけのSTIなど、
クルマを深く知る者は、
誰も喜びはしない。
息も絶え絶えになりながら、
何とかBRZで喉を潤した。
「死にそうなので、
助けると思って壇上のクルマを見せて欲しい」とお願いした。
あまりの病状に、
SUBARUのスタッフが優しく労ってくれた。
そっとドアハンドルを押すと、
さりげなくSTIのロゴが現れた。

こう言う拘りに客は金を払う。

引き上げてドアをあける。
安全性や合理性に踏みつけられるが、
デザイン重視で何が悪いのか。
アルシオーネは堂々と他の会社がやらないことをやった。
そのDNAを今こそ蘇らせよう。

ドアを開き乗り込む。
正しく臨戦態勢だ。
このトキメキを多くのオトコ達が本当に忘れたのだろうか。

そんなはずは無い。
この瞬間に感じる「欲望」はオトコにしか無いモノだ。

いつまでそれを隠し、
オンナの懐の中で楽にのうのうと生きるのか。

オトコよ、目を覚ませ。
ロータリースイッチでSI-DRIVEを切り換える。
やっと解ってきたじゃ無いか。
S#はオオカミスイッチだ。
この様に別仕立てで付ければ、
4代目レガシィが目指したプレミアムカーへの道が再び開ける。

そうなのだ。
SUBARUはプレミアムメーカーでは無い。
それを目指すブランドでも無いから、
とっくにその道は捨てた。
かといって、
STIまで道ずれにするのはよしてくれ。
彼等はプレミアムメーカーへ向かう。
スバリストの永遠のプライドであり、
スバルに取っても最後の切り札だ。

モニターのサイズを思い切って変更した。
やっとデータロガーの面白さを顧客にも堪能させられる。

誇らしげにSTIのロゴが光る。

トグルスイッチも備わった。
このあたりに特殊性を持たせないと、
890万円を付けることは出来ない。

熱いクルマだ。
本気にさせる何かをクルマ全体から迸らせる。

STIはこの様なクルマを、
買うことの出来る人に正確に渡す気概を持て。
全国共通で平等なSUBARUスタンダードは必要無い。
扱い方の解らない顧客には売らなくて良い。
店の差別化も不要だ。
そんなことをすると益々混乱する。
そもそもS207を買うという人から、
「あなたガチですか、じゃあ前金下さい」、
と言えばややこしくならなかった。
それを戦後の馬鹿な教育で育った、
中途半端な管理職の居る会社は、
すぐ「平等だ」とコブシを上げる。
S207を発表するつもりの日が、
全国統一の休日だから、
発売日を延ばす等、
ぬるま湯の中で育ったとしか言いようのないけだるさだ。
怒っている人達は、
多分そこが最も心の襞にひっかかるのだろう。

色も使い回すなど腰砕けだ。
例えばこのクルマなら、
「マットしか塗らない」と宣言すれば良い。
「いいですか、
ワックスかけたら責任持ちません」
心の中で、
「車庫の無い人は買うな」
「洗車もお金を払ってディーラーに任せるような人にしか売らない」
と売る側は強く思う必要がある。
「そういう買い方して戴けないなら、
優先的にお売りできません」と胸を張るだけだ。
そう宣言すれば良いのに、
SUBARUスタンダードで、
全国津々浦々まで洗車機を導入したから、
危なくて言えない。
わはははは・・・。
こんなことだから、
広告代理店に任せないと、
社員教育さえ出来ないのだ。
振り子が振りきって、
生ぬるい状況から戻ろうとしているのに、
馬鹿なSUBARUのコドモには、
いま何も手が撃てない。

流石にエンジンフードまで開けることは出来なかったが、
この中にインタークーラーが見えた。

そうじゃ無い。
水平対向6気筒を積むのだ。
このクルマには熱くならざるを得ない。
もし世の中に出せば、
世界中の自動車メーカーが、
「ヤツラはホンモノだと」認めるだろう。

リヤスタイルもまとまっている。

翼端板の形状も良く、
グラマラスなボディと相性が良い。

ステーまでカーボンでは無いが、
造形は悪くない。

痺れるほど欲しい。
発売すれば22B以来の快挙だ。
出す執念を見せて欲しい。

やっと具現化したセンター出し。
これこそ6気筒に相応しい。
左右別バンクの排気を後方で揃える。

ゴテゴテと排気管を増やさず、
美しくまとめて欲しい。

若さを感じるクルマだ。
この様な若い人達が良い仕事をしている。
だからこそSUBARUはSTIを子会社だと思わず、
誰もが転籍したくて仕方が無いような良い会社にすべきだ。

こう言う商品が作れる体制を早く整え、
シンボルを産み出して欲しい。

欧州のプレミアムカーに負けない灯火器も手に入る。

これからはSTIを自動車メーカーと位置付け、
都合良く切り売りするような真似は自重すべきだ。

壇上から降りて、
XVを見ると益々情けなくなった。
なぜこれがSTIなのか。
何も知らない無垢な消費者を間違った方向へ誘導してはならない。

ホイールは古いフォレスターのお下がりに、
色を差しただけだ。
ここまで言えばなぜ寒くなったか解るはずだ。

このクルマにはオーラがない。