通風の予感があった。皆さんに心配して戴き、とても嬉しかった。
何とか発作を未然に防げたようだ。2月からずっと忙しかったが、3月もそれに拍車が掛かった。
一回目の東京出張から戻り、
また東京に向かうまでの慌ただしい時間をすこし振り返ろう。
3月初の土日は、
お陰様で盛況だった。
オープンデッキに対する興味は、
想像通りかなり高く、
特に教師を勤められる方が、
同じ目的で来店されたことが印象的だった。

それは「息子に買って乗せたい」と言う内容だった。
「男のギヤ!!」が刺さったようで企画した甲斐があった。

そこで分かり易さを訴求するため、
オリジナルのデカールを作成した。
これくらい本気で取り組まないと、
このクルマの良さはスバルユーザーに伝わらない。

長崎と大書きされた袋の中に、
柔らかいバームクーヘンがぎっしりと入っていた。

小暮さんが埼玉からお友達といらっしゃった。

お友達のアテンザはディーゼルを搭載した最新モデルだ。
いわゆる「痛車」というクルマだ。

リヤガラスには声優の名前がズラリと並ぶ。
架空のユニットだが、
声優がそれをリアルに再現し、
紅白歌合戦に出場した。
そう言えば見た覚えがある。
なかなか歌が上手かった。

戴いたバームクーヘンも美味かった。
とにかくステキな食感で、
バームクーヘンの常識から逸脱していた。

「バームクーヘンネタに合わせました」と、
小暮さんがニヤリと笑った理由が読めた。
小暮さんと並行して稲ヶ部さんが来店された。

いよいよお嬢さんが「手道」を極める。
今月からBP5の5速手動変速機でカーライフが始まるからだ。

シャー仕様のオーリスにも興味があった。
通っているスポーツジムにもこれと同じクルマのオーナーが居るからだ。
駐車場でたまにクルマを見かけると、
思わず気になる存在だった。
スバルもサンダーバードとコラボした、
面白い「限定車」を作ってくれないかな。

翌日は月に二度ある掃除の日だった。
「吹く風が完全に変わった」
そう感じた朝だった。

展示場と工房の間を手入れしながら、
それまで無頓着に扱ってきた植物に、
愛情を注ぎ込んでいる。

翌桧や皐月は強そうで脆い。
枯れた部分を玉竜や苔で補いながら環境を美しく整える。

「水に流す」

溜まった汚れを取り除くことは、
澱んだ空間を消し去ることに繋がる。

そのために水で洗う。
一番高いところにある展示場は、
本来なら一番気持ちの良い場所だ。

けれども使い易くはないので、
どうしても澱む。
それを奇麗に洗いながすと、
とても清々しい気持ちになる。

ここに並べるクルマは、
決してトレンドに乗った商品ではない。
しかし、
スバルの歴史の中で、
意外に外せないクルマ達だ。
埋もれさせ腐らせたくないので、
水に流す。

東風と書いて「こち」と読む。
春の季語だ。

ステージを更に磨く。

黄砂と花粉も春の季語だ。
紫式部が生きていた頃から花粉症があったのかもしれない。
ようようと明るくなっていく山際を見ながら、
「くしゅん」とくしゃみでもしたのだろう。
この日の笠置山には、
紫だちたる雲が細くたなびいていた。

上下のステージを洗ったら、
クルマを並べていく。

ステージには上げないが、
赤鰤もスバルの歴史に欠かせない見事な作品だ。

結局セダンに戻ってしまう。

RS25も極めて個性的なクルマだ。

GDAの涙目も展示場に欠かせない。
スポーティーなセダンほど面白く使いやすいモノは無いのだが、
最近はSUVでないと商売にならない。
スポーティーなクルマの鼓動が聞こえたのだろう。
「社長、連絡もせずにすみません」とスポーティなSUVがやって来た。

「今、最新型のマフラーを開発中なんです」
と試作品を取り付けたシムスレーシングのXTがやって来た。

これは面白そうなので、
昼飯を奢る代わりに思う存分乗り回した。
フォレスターは本当に良い味になった。
パールホワイトは鉄板だが、
出来ればこの蕎麦のような渋い色が良い。

それにレザーシートとサンルーフを付け、
サスペンションは絶対に弄らない。
でもエキゾーストを交換するのは当たり前だろう。
今後選択肢の増えたマフラーに、
シムスを選ぶのか、
ガナドールを選ぶのか、
そこが実に難しいところだ。
わかるかね遠山君・・・・。
すると彼は、
「フフフフ」とも「へへへへ」とも取れる不敵な笑いを込めながら、

「社長、これは試作品ですから。良い材質を使えば質感も良く馬力も確実に上がります」
そう言い切った。
ならば期待できる。
フォレスターに乗るなら、
やっぱりXTが良いんだよね。
そして、
何をしていたか思い出せないほど忙しかった火曜日。
帰宅は深夜だった。
翌日のリレー説明会の準備を終え、
万全の体制で床についた。

学生の皆さんに良い質問を沢山戴き、
大変やり甲斐のある45分だった。

参加された皆さんに改めて感謝したい。
午前の部では一番参加者が多かったと主催者の方から知らされた。
会社見学にいつでも来て欲しい。
またスバルの好きなメカニックの卵も募集している。
スバルを愛でる心のある人なら大歓迎だ。
プレゼンを終え、
会社に戻り翌日の段取りを済ませて東京に向かった。
出張の相棒にアイスシルバーのB4を選んだ。
B4を見ると、やはりセダンが一番クルマらしいと感じる。しかも右隣のセダンと比較して、B4が如何に豊かな面と線で造形されているか良く解る。
一口にセダンと行っても、古くさくて魅力に乏しいモノもあれば、最高にコンテンポラリーで、思わずむしゃぶりつきたくなるモノもある。
レガシィには最新のアイサイトが搭載されている。
アダプティプクルーズコントロール(ACC)のおかげで、渋滞路もラクラクだ。
メインスイッチを入れ、走行スピードを設定する。
前の車に追いつくと一定の車間距離を維持して追従する。いわゆる前のクルマに「ついていく」機能が働く。
車間距離も3通りの設定から好きな距離が選べる便利な機能だ。
万が一の時に追突や歩行者などとの接触を防ぐ、「ぶつからない」機能も便利だ。
スイッチを入れなくても、エンジンさえ掛ければ機能する縁の下の力持ち的存在だ。
でももう一つの機能の方が身近な存在に感じる。
それは意識してスイッチを入れ、ついていくように指示するACCだ。
東京に来て首都高速道路を走ると、ACCが凄い性能だと改めて実感できる。
レガシィにはパナソニックの8インチモニターを採用したビルトインSDナビが装着できる。しかしダイヤトーンのサウンドナビがお薦めだ。
左右のスペースがもったいないと思うかも知れないが、実力にはかなりの差がある。
レガシィの余裕あるボディサイズの恩恵は、エアコンコントロールパネルにも現れている
まずスバルの特徴がブラインドタッチし易い左右の温度調節ダイヤルに良く現れている。ドライバーの操作性を重視するからだ。
中央に設置されたモード切り替えボタンも、上下に押すだけなので、見なくても好みの送風に切り換えやすい。
そしてその左側には、上に風量スイッチが左右に並び、下にはデフロスターのスイッチが並ぶ。左側がリヤウインドウとドアミラーの熱戦プリントを作動させ、右側はフロントガラスに温風を出す。パナソニックよりダイヤトーンを推す理由が、下の画像で解るはずだ。
モニター周囲にあるピアノブラックの加飾パネルや、空調パネルには光の反射があるのに、モニター画面に光の乱反射が一切無い。
これがグレア処理した、ARマルチリフレクターの凄さだ。
グレア処理というのは、モニター表面に無反射加工をせず艶のある仕上げにすることだ。
ノートパソコンにも同じような画面があるが、最も馴染みのあるのはiPhonだろう。
奇麗なコントラストで、くっきりした画面になるのが魅力だが、反射するので長く見ると目が疲れる。
ARの意味はアンチリフレクタ、即ち反射防止という事で、そのために何層ものコーティングを施してある。
一見しただけでは矛盾を感じるかも知れないが、使ってみると現在最強のナビだと良く解る。
左下に小さく100Limitedと記されているのが解るはずだ。
これがスバル車専用である事の証で、事前にB4専用の音場チューニングが記憶されているので、装着するだけで最高のオーディオを持つことにもなる。
スバルディーラーでしか購入できないし、スバルの新車とセットしないと意味が無い。それに価格も安く設定され、今ならナビキャンペーンで値引き特典も可能だ。
こんな素晴らしいナビを買わない手はない。
排気音も気持ち良く、レギュラーガソリン仕様とは思えないほど威勢良く走る。レガシィは2.5リットルの水平対向4気筒DOHCエンジンを搭載する。流石にフラッグシップだけあり、自然吸気エンジン(NA)でもエンジン制御を3通りに切り換えられる。このSI-DRIVEと呼ばれる機能は、インテリジェント(i)・スポーツ(S)・高性能(S#)を、ステアリングの右側の一番下にあるボタンで好きな時に選べる。
あまりにもあっさり東京に着いた。 ダンパーストロークが大きく、
乗り心地が良いのに高速操縦性能はシャープだ。
だから少し位飛ばしても全然疲れないし、
静かな居住空間は人の心に余裕を与える。
新型レガシィには大きく分けて2種類のグレードしかない。
「B4」か「B4 Limited」か二者択一だ。
その基本はアウトバックでも変わらない。
但しメーカーオプションを含めると、
Limited同士では同じ4種類だが、
標準車だとアウトバックの14種類に対して、
B4は半分の7種類と至ってシンプルだ。
カラーバリエーションもアウトバックの9色に対して、
B4は7色となりプラチナムグレーとタングステンが選択から外れる。
だから全体で見るとB4の方が車種構成がシンプルだ。
標準車とLimitedの最も大きな違いは、
サスペンションを含む足回り全体にある。
Limitedは18インチのホイールを装備し、
幅は同じだが扁平率の高いタイヤを履く。
ダンパーにスタブレックスライドを採用し、
コーナリングパワーの上昇に合わせ、
乗り心地を損なわず減衰力を高める絶妙なセッティングになっている。
でもその存在を感じることは全く無い。
ただ単に良く出来た脚だと感心するだけだ。
出発する時にリセットし忘れたが、確か1000㎞ぐらいだったはずだ。
中津川から丸の内までおおよそ320㎞ぐらいか。
トリップメーターの表示を確認した。
もう目的地は目と鼻の先だ。

隣りにセンス良くまとめられたXVハイブリッドが並んだ。
都会に溶け込むステキなカスタマイズだ。
予定通り到着し、
いつもの研究会に参加した。
年々規模が大きくなっている。

始まった頃は10人程度で、
小さな会議室を渋谷に借りて細々と進めていた。
今ではセミナールームをつなぎ合わせないと全員入れない。
まさに行列の出来る店なのだ。
物事を極め、
分析と研究を続けトレンドに乗る。
まさに船井総研はマーケティングの王道を歩む。
いつも御世話になる大谷さんを紹介したい。
とてもチャーミングで素晴らしい女性だ。

彼女のような縁の下の支えがあるので、
130人もの規模に成長してもスムーズに運営される。
船井幸雄さんが亡くなって数年経つ。
あの福々しい顔が見られないのは淋しいが、
同じような福々しさを持つ男が社長になる。
そもそも船井幸雄という人物と「クルマ」は全く重ならない。
何度か触れ合う機会があったが、
クルマなんてモノは出来れば無くても良い、と思っていた節もある。
そう言う隙間を見事に撃破し、
船井総合研究所でトップクラスの成績を産み出している。
この研究会に参加し続ける理由は、
活気だ。
それには東風のような暖かさがある。

弁当にも心配りがあり、
必ず会議を活性化させる「眠くならない弁当」を探し出してくる。

毎回飽きさせない演出が、
この会の魅力だろう。

中谷さん、
社長就任おめでとうございます。
ビデオ取材を求められたので、
協力させて戴いた。
どんな出来なのか楽しみだ。
眼下の東京駅は相変わらず賑やかだ。

掘っては塞ぎ、
塞いでは掘る。
会議が終わったので駐車場に行くと、

B4の高い質感に驚いた。
この場所で輸入車と比較しても全く遜色ないことが、
アメリカで成功した理由の一つだろう。
思いの外、
悪天候な2日間だった。
火曜日も夜間に融雪剤が散布され、
道路上に白い後が残っていた。

水曜日は最悪だった。
絶対に避けるべき状況を、
予見することが出来なかった。
走行車線には散布車だけだ。
迂闊に近づくと大変なことになるので、
後続車は離れて走行している。
追い越し車線には散布車をガードするように標識車が続いていた。
こうなるとどこにも逃げようがないから、
次のPAかインターチェンジまで後に続くしかない。
幸いなことに氷点下ではないので積雪にはならないが、
サマータイヤで走れる限界が近い。

ボディについた塩は、
思ったより深刻な影響をもたらす。
真水で洗い流すのが一番だ。
優先順位を考え洗車機を使った。

300円なら惜しむ金額でもない。
スタッフの女性が「下回りも100円出せば洗えますよ」と親切に教えてくれた。

ここをゆっくり進むと、
下から20秒間だけ真水が噴き出す。

アドバイスに従い試してみた。

凄い勢いで水が噴き出したのでゆっくりと前に進む。

やらないより遙かに良いが、
決して隅々まで洗い流すことは出来ない。
但しホイールは実に奇麗になった。
車検時の下回り洗浄と錆止めは必須だろう。
特に手作業による除塩作業は今後益々重要になるはずだ。
洗車機も昔とは全く違う。
けれども手洗いには遠く及ばない。

でも「水に流す」ことは大切だ。

大事な撮影に備え、
機械洗車を優先した。
訪れた場所には想像した通りの風景が広がっていた。
季節外れの雪だが、
今年のセオリー通り樹木にへばりつく。
取り憑かれた樹木には気の毒だが、

雪の花が実に美しい。
かわら版215号を飾るに相応しい画像を撮ることが出来た。
思いの外、
仕事が円滑に進み次の目的地へと向かった。

今年は春が早く来た。
5年前の同じ日は、
開田の風景がまるで違った。
まだあちこちに深い雪だまりを残していたのに、
今年は雪が全く無い。
高速道路を長時間走り、
一般路でも様々な場所で性能を試した。
特にB4で高原を走るのが楽しみだった。
アウトバックでは何回も来た。
でも新型B4が誕生してから、
まだここで走った事が無い。
流石にここまで来ると雪が残っている。

気温も0℃になった。
慎重に走りcafe KAZEに行った。

眼前の御嶽山からモクモクと噴煙が立ち上っていた。
現在概ね2カ所の噴気が目立つ。

一番左側は単なる雲だ。
雲と噴気は観察しないと紛らわしい。
しばらく見ていると、

この日の活動が活発である事が解った。
左側の噴気は地獄谷のあたりだろう。
右側の大きな噴気は、
もはや噴煙と言っても良い規模だ。
水蒸気ではないことが良く解る。
東に向かって火山から吹き出た灰が流れていく様子が見えた。
八丁ダルミと呼ばれていた場所の噴気孔が、
かなり大きな火口になったのかも知れない。
この後、
B4の操作性を動画に納めた。
【車名】LEGACY B4 Limited【型式】BN9B47C RBC【主要諸元】全長×全幅×全高(mm):4795×1840×1500ホイールベース(mm):2750トレッド前/後(mm):1580/1595最低地上高(㎜):150車両重量(kg):1530最小回転半径(m):5.6【エンジン】FB25型水平対向4気筒DOHC 16バルブ AVCS内径×行程(mm):94.0×90.0圧縮比:10.3最高出力 129kw(175ps)/5800rpm最大トルク235N・m(24.0kgf・m)/4000rpm【燃料供給装置】EGI【変速機】リニアトロニック【サスペンション・ステアリング】前/ストラット式 後/ダブルウイッシュボーンステアリングギヤ比 14.5:1【燃費】14.8km/l (JC08モード)
【税抜き車両本体価格】2.900.000円ボディカラー/アイスシルバー・メタリック
今回は凄く良いドライブが出来た。
サマータイヤの能力を引き出せる環境下で、
思う存分走れたからだ。
走行距離は800km弱だった。

アイドリングストップで節約した燃料は、
その前の1000km分も含め2.4リットルだった。
燃費はリッター当たり9.7kmだったが、
これはスポーツ走行を極めた数値なので、
かなり良い結果だと思う。
ちょっとぐらい飛ばしたところで、
1リットルで12㎞ぐらいは楽に走るだろう。
一つだけ欲を言いたい。
連続して試すと、
どうしてもXVやフォレスターのステアリング特性と比較してしまう。
更に上の操縦性を得るためには、
14:1のステアリングギヤ比が不可欠だ。
米国向けならこれで良い。
けれども国内の道路を走ると、
もう少しクイックで正確な操縦性が、
スバルらしさとして欠かせない。
最後に訂正しておきたい。
B4を紹介した動画の中で、
WRX STI「tS」の事を、
誤って「R205」と紹介してしまった。
WRXの「tS」は震災の影響もあり、
思うような販売活動が出来なかった。
これはカーボンルーフにとっても悲劇だった。
あれだけの技術を眠らせることになってしまった。
B4にもカーボンルーフを装着した特別なクルマが必要だ。
外観にも少しだけ手を加え、
快適さと静粛性を損なわない軽量なタイプが欲しい。
動力性能を高めるために、
既に米国で搭載している6気筒を乗せる。
特別な排気系を与え1,5トンを執念で切る。
またいつかカーボンルーフの復活する日を夢見て、
今回のブログを終わりたい。