かわら版215号の裏面には、手動変速機を搭載した中古車がズラリと並ぶ。
通常なら月に一度の発行だが、今月は2度発行した。その理由は第一に「欲」だ。
少しでも決算期に沢山売りたい。でも全てがそうだとは言い切れない。一般のチラシに比べ、かわら版はCPOが非常に低い。
その様な宣伝物を、毎月二つも作る執念がなぜ生まれるのか。その理由は簡単だ。
MTがどれほど楽しいか紹介し、凄く気持ち良いクルマを通じて、
スバルの本当の姿を知ってもらいたいからだ。
中古車に付けた文章を、一つ一つ丁寧に読んだら面白い。
そう勝手に思っても、世の中はそれほど甘くない。実際のところ、かわら版はCPOだけでなく、
CPRも超絶に悪い。
理由は簡単だ。価格をあまり考えず、好きなクルマに偏向するからだ。
チラシとしては失格でも、スバルを正しく周知する役割を担いたい。
今年3月の販売傾向は以前と随分変わった。
軽自動車より高性能な自動車が際立って売れたからだ。
その中から納車が始まった。3連休に受け取りを希望され、ドライブを待ち望むオーナーが続々と来店された。
黒鰤もそうだった。
新しい家族に出会えてとても嬉しそうだ。コイツが居なくなると少し淋しいが、
赤鰤が来たので大丈夫だ。
嬉しい事に、
大好きなプレミアムレッドと、
レッドを基調としたレザーシートの組合せだ。
このクルマを見た瞬間にも、
強烈なインスピレーションが働いた。

そんな事が良くある。
まだ冬の最中、
木枯らしが吹き荒ぶ中で赤鰤に出会った。
その時の赤鰤は、
随分疲れているように見えた。
器量は良いが、
心身共にやつれた感じだった。
中津スバルに来てから、
まず心身共にピカピカになった。
次にしっかり点検し、
北原課長が自宅に乗り帰った。
動悸息切れするというので
すぐに点滴を施し、
エンジン基本性能の復活を目指した。
点滴を終え、
次にガソリンを満タンにした。
選手交代だ。
約5キロ走行し、
それまで散見されたエンジンの息付を調べた。

ほとんど感じなくなったので、
次に有効な添加剤を用意した。

P:ポリ
E:エーテル
A:アミン
聞き慣れない名前だが、
シリンダー内部の堆積したカーボンをゆっくり取り除く燃料油清浄剤だ。

給油口を開けて一気に注ぎ込んだ。
これらによって、
エンジンの調子は見事に蘇った。
元々整備の状態は悪くなかった。
タイミングベルトも10万キロ以下で交換されていた。
しかし、
エンジンの中や吸入経路に堆積したカーボンが、
エンジンの調子を悪化させていた。
高出力車の走りを支えるブレーキも、
十分なメンテナンスを受けていなかった。
少し前にペヤングを食べた。
濃い味の新製品を買って懲りた(笑)
それ以来、
四角いパックを見ると胸焼けするようになった。
流石に3月になると、
昼ご飯をゆっくり食べる時間が無い。
ファミマに行ったら丸いパッケージが目に留まった。
もう10年くらい食べていなかった。お湯を掛ければ3分で食べられる。

早速買ってお湯を入れ3分待った。
柔らかくなったら湯切りてソースをまぶした。
懐かしい匂いだ。本当はフライパンで炒める方が好きだが、そんな道具もなければレンジもない。
一口食べて驚いた。
美味いじゃないか。
麺がモチモチしている。
10年一昔と言うが、
改めて進歩の凄さを感じた。
確かにカップ麺はどんどん進歩している。
しかしカップ麺はカップ麺でそれ以上の何物でも無い。
あくまでも「カップ麺」の味が美味いと感じるのだ。
そんな事を考えていたら、
後藤さんがいらっしゃった。

車検で奥様のR1をお預かりした。
R1と赤鰤には共通性がある。
どちらもスバルがプレミアムな商品を造ろうと努力した結果だ。
ただしカップ麺を例に上げると、
面白いことが解る。
インスタント食品は美味しくてもプレミアムな商品にはなり得ない。
店頭で並べ、
高い方の商品に「プレミアム」と付けることは勝手だ。
だが、
そもそもインスタント食品と「プレミアム」では矛盾が生じる。
自動車にもそれが当てはまる。
軽自動車はどちらかというとインスタント食品に近い。
それをプレミアムにしたから矛盾が生じた。
R1は良いクルマだが、
販売政策上は失敗だった。
あれほど性能が良いクルマでも、
買う人の分母が少ないと売れない。
だから優れたマーケティングが必要になる。
顧客の分母を調べ、
刺さるように市場へ投入する。
或いは売れる方向に誘導する。
甘く見ると売れる商品にはなれない。
3分待って美味しい焼きそばが食べられる。
背の高いクルマにスライドドアを付け、
強烈な燃費重視の性能を優先すると似た味になる。
流石に後藤さんだけあり、
旬のお土産を沢山戴いた。

これを分析すると、
世の中が良く解る。
何しろ新しい高速道路は、テーマパーク並みの名所だ。
あちこちのサービスエリアで、
記念のお土産パックを売っているらしい。
面白そうなお土産を戴いた。

忌憚のない意見もきっと聞かれたいだろうから、
少々遠慮なく所感を述べたい。

認定や限定が付くとお土産としての価値が高まる。
そこに行かないと買えないからだ。
静岡らしくお茶を活かしたお菓子だ。

冷やして食べるのも良いようだ。

小豆とクリームが程良い。

次のお菓子も良く似ている。

「こっこ」の「ぽっぽ」ときた。

こちらもオフィシャルマーク付きで、
NEXCO中日本御用達だ。

流石に純正の土産物だけ有り、
食べ方が丁寧に記されている。

しかし上納金をどれくらい取るのだろうか。

風味も良し、
甘さも良し。

少し厳しく言えば「可も無く不可も無く」
ある意味で正統派の「お土産」だ。
どうしても買わないといけない時に、
この手の土産は助かる。
新幹線の中で売っている「安倍川餅」が思い浮かんだ。
しかし、
どれも気になることがある。
カップ焼きそばに象徴される、
油脂の過大な摂取だ。
脂は人間にとって切っても切れない栄養素だ。
それに「脂が載る」と言うように、
脂気のない食べ物は美味しくない。
だが残念な事に、
どれも「食品だけれど工業製品」と割り切らねばならぬ。
カップ麺は勿論油にまみれている。
「こっこ」と「ぽっぽ」は、
つまんだだけでベットリと油が指に付く。
脂と油の違いというのか、
「工業」という血の通わない生産性を重視した冷たさがある。
液体肥料に対する疑念も強いので、
水耕栽培の野菜もあまり好きでは無い。
いくら美しくて甘い苺でも、
昔のような強烈な風味はない。
土の上で育たない野菜は信用できない。
冷たさを感じるからだ。
非常にお土産らしいお土産にも、

御用達マークが付いている。

うなぎパイにこんなドラマがあるとは知らなかった。

ここの工場には手作り感が溢れているが、
最近はプレミアム感を出すために様々な工夫をしている。

夜から真夜中に格上げだ。

馴染みのあるうなぎパイにも変化が訪れた。

うなぎパイにも見かけ以上に油が沢山練り込まれている。
ハッキリ「バターを練り込んだ」と書いているので、
覚悟して食べれば良いが。

ただミカンのバームクーヘンは異質だ。

これにも「御用達」のマークが付いて、
ズッシリと重い。
早速皿に盛ると、アッという間になくなった。
一つ残っていたバームクーヘンは、

ミカンの色が美しく、
食べるとほのかにフルーツ牛乳のような味がして美味しかった。

でも指先にベットリと油が付き、
石鹸を使わないと洗い落とせない。
やはり工業製品なんだなと実感した瞬間だった。
最近食べた他のバームクーヘンで舌が肥えたからだろう。
妻が「ねえねえねえ」と近寄ってきた。

「ワタシ、みちまるクンが欲しい」とねだる。
ちょっと待ちなさい、
と出した手を制したら、

「ケチッ!」と凄い形相で睨んだ。

妻が怒ると小便を漏らすほど怖い。
「写真を撮るだけだからその間待ってなさい」というのに、
「もう要らない」と怒って階段を降りていった。
しかし、
数分後にみちまるクンの姿が無い事に気がついた。
ゆるキャラが好きな変な女なので、
みちまるクンも大好きらしい。
わざわざ実物と並んで、
ツーショットの写真も撮ってきたそうだ。
後藤さん、
有り難うございました。
大変勉強になりました。
後藤さんがお帰りになってから、
群馬から前田さんが車検を終えたレガシィを迎えに来られた。

珍しいお土産を有り難うございました。

一見して「横浜だろ」と目を疑った。
鳩サブレではなく、
鶴サブレとは恐れ入った。
「さいたま」と「ぐんま」と「とちぎ」は、
岐阜県から見ると近いようで遠い。
ちょっと違う県民性があるので、
もらうお土産が位置もとてもユニークで嬉しい。

面白いチョコレートだ。

一口サイズでビスケットの味が良かった。

優良の定義が何か解らないが、
最近はこうした「お墨付き」が大切なのだろう。

県のカタチがイメージされている。
食べようかと思ったら、
北原課長の息子が来ていた。
よく勉強する可愛い息子だ。

子供を見るとお菓子をあげたくなる。
こうして鶴サブレは北原課長の息子に収まった。
美味しかったと嬉しそうだった。
前田さん、
いつも本当にありがとうございます。
工業製品としての食品は、
確かに便利で美味しい。
まずければ自然に淘汰される。
大きな癖もなく食べやすいが、
毎日カップ焼きそばを食べる気にはならない。
クルマも同じ所があって、
工業製品として非常に優秀な軽自動車もあれば、
限られた人にしか振り向かれない個性的なクルマもある。

その権化が赤鰤だろう。

赤鰤の詳細は次のブログに譲るとして、

黒鰤と赤鰤の違いを見てもらおう。
同じ年式の違うバリエーションだ。
赤鰤と最高に合うレザーシートを紹介したい。

正直に言って、
当時のレガシィのサイズで、
この価格は割高だった。

二日で約330km走行したと、
エレクトロルミネセントメーターに出ている。
サイドステップに赤い稲妻と記され、
存在感を掻き立てる。

テストを終えてタイヤを調べた。

整備士が点検整備して大丈夫と言ったら、
100%信用して全力で走る。
タイヤを詳しく見たのは、
この時が初めてだ。

スリップサインは出ていない。
しかし5分山を下回っているのでウエット性能は不十分だろう。
でも思ったより良いタイヤだった。
しげしげと眺めて、
このタイヤがファルケンである事がわかった。
走っている時の印象は、
明らかにブリジストンではなく、
ピレリやダンロップでも無かった。
タイヤの味がわかるようになると、
クルマの楽しみがまた一つ増える。
だからこの楽しみを社員にも知ってもらいたい。
そのために始めたのが、
タイヤ構造を図説することだ。
目をつむってもタイヤの構造を絵に描けるようになろう。
そう呼びかけたが、なかなか思うように言うことを聞いてくれない。
そこで下手な絵を描いて、「こうやって欲しい」と言ったところ、「社長の下手くそな絵には勝てる!」
社員全員がそう思ったようで、一気に皆が描き始めてくれた。
それぞれ構造図を見て模写するだけで良いと伝えてあるので、終礼時に戻ってくるその日の日報には、上手い絵が沢山描かれていた。
やはり手先を動かす整備士の方が、販売を担当する二人より上手い。
それが面目躍如と言うモノだろう。しかし思わぬダークホースが現れた。
妻の描く絵がダントツに上手かった。
しかしバイアスとラジアルの差を解りやすくかけというと、
彼女にも限界があった。

吉村整備士と北原課長も、
正確に図説したが少々不十分だ。
ところが妻の絵に触発され、北原課長が素晴らしい絵を描いた。
バイアスとラジアルの構造差を、
具体的にイメージするのは、
簡単そうで難しい。
しかしそれを知ると、
タイヤを味わう能力が際立つ。
良いタイヤを付ければ付けるほど、
スバルの味も際立つ。

ブレーキの能力も大切だが、
タイヤが良くなければ性能を発揮できない。
それを正しく説明するために、
「皆でタイヤソムリエになるぞ」と宣言した。
その第一歩が、
タイヤの構造を図説できるようになることなのだ。

ブリッツェンのように、
大量生産の工業製品ではあるけれど、
大衆車や軽自動車とは味が違うクルマもある。
これはカップ焼きそばの美味しさとはまた違う、
かなり旨い味がする。

出張先で「ばくだん」と名付けられた海鮮丼が出た。
イクラとイカの刺身に、
温泉卵が載っている。
ハンバーグランチやラーメンも旨そうだったが、
迷わず海鮮丼を選んだ。
赤鰤の味は日本の海産物だ。
先日のブログで伝えたように、最新のB4は手造りのピザだ。
B4の試乗が出来るうちに味わって欲しい。21日迄だからあまり時間が無いぞ。
興味のある人は是非来て欲しい。
赤鰤に330キロ乗って感じた事は、「これが5MTだったらなぁ」と言うことに尽きた。 もしマニュアルの5速なら、
天然マグロを使った中トロの「マグロ丼」だろう。
この脂は人工養殖では出せない本物の味がする。
これを解り易く伝え続けることが、
中津スバルの存在価値だと思う。
おわり