朝昼兼用で肉蕎麦定食を食べた。ソースカツ丼もあったので、どちらにしようか迷った。
前日から左の耳が痛かったので、消化の良い食べ物を選んだ。
配膳台にプラスチックの箸を載せたが、蕎麦を食うなら割り箸が必要だ。
「森林保護のため割り箸を減らす」「リユースできる素材を使う」
ちょっと聞き心地が良いけれど、間伐材を有効活用するなら、森林保護に繫がる。
簡単には決めつけられない。
リユースも良いが、どんな管理をしているのか心配だ。
立ててある時など、入れ物の底を覗きたくなる。
まあ、最近の割り箸は中国産が多く、どんな防腐剤を使っているか分からないので、汁物を食う時は、リユースの方が安心かもしれない。
疑えばきりが無い。この食堂は質が高く、キチンと両者を備えてあり、痒い所に手が届いている。
濃い旨味のある汁で、汗をかいた体にぴったりだった。適量の肉も美味かった。カツ丼はキツイが、肉もたまには必要だ。
集中力を発揮すると、肉体が要求する。
縄文時代は随分苦労して獣を捕ったようだ。何もかも残さず、その血まで利用してクッキーを作った。
道具を持ち役割も考え、命がけで格闘した。
獲物をみんなで分け合った。
喰うために狩る道具が銃になった。現代では狩る必要は無く、喰うために動物を養う。
その代わり、銃でハンティングを楽しむ人も居る。
喰うためでは無く、遊ぶためだ。
そこでの論理を、やたらに展開しない方が良い。
また数年前、「ドングリが無くて熊がかわいそうだから、山にドングリを撒きに行きましょう」そういうFAXが届いた。
無視した。
その会に所属する男性が、小冊子を配った事もある。そこに「熊は草食動物だから殺さないで」と謳っていた。
馬鹿なことを子供に教えてはいけない。熊はヒトと同じように雑食動物だ。死肉に齧り付くし、他の動物と勝負して、相手に勝てば喰う。
薄っぺらなヒューマニズムを押しつけるべきでは無いと思った。
ヒトがもし運悪く遭遇し、襲われたとしよう。
もし相手が空腹で、恐怖より食欲が勝ればどうなるか。
熊とヒトは共存できない。だから境界を分ける必要がある。
耳が痛いのは、少しカラダに負荷が掛かり過ぎたためかもしれない。31日に社用が重なっていたので、午後から東京に出張する予定を取り止めた。
東京に向かわず、みっちりと仕事をこなしたので、会社を出たのは22時を過ぎていた。
結局他の出張が入り、店を閉めて愛知県に向かった。
けれど心は既に開田高原へ飛んでいた。
S207の走行距離は1500km超えた。
一週間ぶりに仕事を兼ねて長距離を走らせた。
忙しさに輪を掛けたのが、
31日が締めきりの原稿だった。
嫌な仕事ならストレスが溜まるけど、
「ベストカー」からの依頼なので「やる気」が出た。
編集部の飯干さんから、
「最新のスバルで何がお勧めですか」と問われた。
そうですねー・・・・と考えていたら、
「聞くだけでは何ですから、
書いてもらえませんか」と頼まれた。
ちょうど良かった。
ショールームに飾るため、
一番お勧めできるクルマを注文したばかりだった。
だから、
思っていることを正直に書ける、
それはそれは楽しい仕事になった。
6月10日に発売されるので、
絶対に立ち読みせず購入してほしい。
原稿用紙5枚ほどに、
思うことを正直に書いた。
最近、
三菱自動車の相川社長のスクープ記事を見た。
ちょうどベストカーを読んでいるところを、
モノクログラビアで取り上げていた。
立ち読みすると、
色々なところから目が光る(笑)
だから是非是非、
書店でベストカーを一冊購入してほしい。
何を推しているのか分かるかなあ。
当てたら偉い。
出張先の肉蕎麦定食で満腹になり、
元気よく仕事を再開した。
そこには無残なBRZがあり、
細部を観察した。

ドアまで外され、
哀れな姿になっていた。
よく見るとトランクリッドも無く、
蓋物が全部無い。
骨格だけ晒されている。
何となくもの悲しかった。

これじゃあ雨が降ったら、
内装もおしまいだ。
理由は分からないが、
一旦修理しようとしてあきらめたのだろう。
顎に強烈なフックを食らったような損傷だ。
強烈な衝撃を床に通したフレームで拡散させ、
ボディ全体で吸収する。
水平対向エンジンが、
少し仰向けに搭載される効果も一目瞭然だ。
下の正常なエンジンルームと比べたら、
衝撃の大きさが簡単に分かる。
ルーフとクオーターパネルにも、
よく見ると歪みがあるので、
直せるようで難しい。
本気でやれば、
恐らく直せるが、
昔のように簡単に切ったり貼ったり出来ない。
だから諦めたのか。
スバルの衝撃吸収力は、
他社と比較して抜き出ている。
乗員の怪我を防ぐ代わりに、
クルマがその役目を終えた。
当社でも同じようなことがあったが、
お客様は擦り傷一つ受けなかった。
このクルマのドライバーも、恐らく怪我をしていないだろう。
BRZは大好きなクルマなので、
出来れば何とかしたいと思ったが、
これではどうしようも無い。

見事なボディワークだ。
骨格を見ていたらウズウズしてきた。
またBRZで走りたくなった。
風と友達になれるクルマだ。
WRXはBRZと双璧をなすスポーツカーだ。
どちらもスバルが自信を持って燻蒸を続ける。
BRZが風と友達になるなら、
こちらのS207は風を切り突き進むようだ。
馴らしの進むS207は、
とにかく溶けるように甘い。
東名高速道路で4000rpmまで加速したら、
脳内にハーゲンダッツのバニラアイスが浮かんだ。
その瞬間の甘さは、
耳たぶくらいの柔らかさに溶かしたアイスだ。
木の匙ですくって食べると、
きっと同じ味がするだろう。
集中して原稿を書いた疲れなのか、
右の耳が時々痙攣するように痛い。
BOSEのクワイアットコンフォートは便利で、
決して手放せないが、
着けっぱなしは良くない。
そのせいもあるが、
少し免疫が下がったのだろう。
首にあるリンパ腺が腫れた。
仕事を終え高速道路を降りてから、
開田高原に脚を向けた。

ワインディングでは、
時折4000rpm以上も使った。
そこを境界線に決めたが、
我慢を少し緩め、
ノビノビと走り始めた。
すると、
まるでクルマが水を得た魚のように、
イキイキと輝き始めた。
そのせいだろう。
家畜に野獣が忍び寄った。
国道19号線を離れ、
あまりクルマの通らない場所を走っていた時の事だ。
ブラインドコーナーを抜けた途端、
反対車線の脇に黒い人影のようなモノを見つけた。
最近、
くまモンがあちこちに現れる。
まるでそいつがうずくまっているように思えた。
とにかく真っ黒だった。
「まさか」と思ったが、
相手が振り向くとその正体を確信した。
間違いなくツキノワグマだ。
しかも成獣だ。
至近距離で野生の成獣を見たのは、
これが生まれて初めてだ。
最近東北地方では、
こいつらに襲われる人も続出し、
今年は注意が必要だと思っていたが、
まさかこんなに早く出会うとは思わなかった。
熊はこっちを見ると、
勝てないと判断したようだ。
何しろS207と言う、
桁違いの鎧を着ている。
振り向くと慌てて走り始めた。
両側がガードレールなので、
道沿いに進行方向めがけて走り始めた。
体をゆさゆさと揺すりながら、
結構な速度で逃げていく。
そこでS207で追いかけた。
フレキシブルなエンジンは、
思うようにクルマを相手に合わすことを可能にする。
すぐ追いつき、
左側のスポイラーで熊の尻をつついた。
ドンと当てようかとも思った。
だが、
さっき見たばかりのBRZを思いだし、
馬鹿な真似は思いとどまった。
尻を押したと同時に、
ガードレールの切れ目が現れ、
熊は左側の斜面に駆け上った。

茂みの間でこちらを睨んでいたので、
窓を開けてiPhoneで写真を撮ろうとしたら、
のそのそと上の方に上っていた。
かなり自信があるのだろう。
決して臆病な熊では無かった。
タイヤで爪先を踏んだ方が良かったかもしれない。
そこはDEのCプランで走る場所だ。
昨年の春、
後藤さんが参加された時、
その場所に案内した。
記憶を辿ってアルバムを開いた。

この場所から左に向かって数百メートルの場所だった。
記録を残しておいて良かった。
この画像を見て、
熊がなぜ進行方向に逃げたのかよく分かった。
同じ場所からレクチャーカーを写した画像だ。

黒いWRXの向いている方向から走ってきた。
先の方に見えるカーブを抜けたら、
右側に熊が居た。
確かに逃げ道が無い。
黒いWRXの置いてある場所まで追いかけ、
熊のケツを突っついたわけだ。
ドラレコが付いていたら、
きっとユニークな動画が残せただろう。
窓の外から強烈な獣の匂いを感じた。
もし鎧が無かったら、
どうなってしまったか、
少し冷静に考えた。
結論は一つだ。
今年の山歩きで、
鈴やラジオは必需品だ。

久しぶりの温泉は、
とても快適だった。
復活するために温泉水を持ち帰った。
がぶがぶ飲泉し、
持ち帰った温泉水でご飯を炊いてもらった。

「え~~~」と
いぶかしがる妻と娘に、
もし変な味でも必ず全部食べると約束した。
早速お茶碗一杯分食べた。
ほんのり黄色くなった。
やまゆり荘の泉質は、
炭酸と塩分と鉄分が強いので、
ご飯に絶妙な塩味が付く。
体に必要なミネラルが揃っているのだろう。
水の代わりに温泉水を入れただけで、
良い味のご飯が炊けた。

娘がおかずにキャベツの漬け物を出してくれた。
相性が良くて美味い。
食べた後、
温泉水で割った焼酎を飲んで、
ゆっくり眠った。

焼酎にも意外なほど良く合う。
疲れてバランスを失った時に、
御嶽山の効能は最大の効果を発揮する。
熊とのバトルも面白かった。

戻ってからオドメーターを確認した。
もうすぐ2000kmになる。
何かと忙しいので、
あっという間に馴らしも終わるだろう。

残りのご飯は全ておにぎりになった。
妻がドンと2個置いていった。
二人とも味見さえしなかったのだろうか。
昼飯は温泉水入りのでかいおにぎりとなった。
まず撮影してから、
一つ目にかじり付いた。

おかかが入っていた。
美味いじゃ無いか。
よく考えたら、
わざわざ剥くことは無い。

せっかくラップされているのだから、
そのまま電子レンジに放り込むだけだ。
加熱すると甘みが増す。

あれ?
塩むすびかな、っと思ったら、
奥には梅干しが隠れていた。

こいつは美味い。
温泉炊きのご飯には、
梅干しが凄く良く合う。
シンプルな味を楽しみ、
リフレッシュも終わった。
さあ6月もあっという間だ。
スタートダッシュを掛けよう。