TOYOTA86 GRMN登場
2016年 06月 14日
600万円のコンプリートカーがやってきた。下ろしたばかりの真っ新な新車だ。日曜日、思い入れの強かったGC8の手綱を握った。
新しい主にお渡しする前に、心を込めてテストした。
GC8はこの道が大好きだ。
生産が終わって16年経った。
今、改めてGC8の気持ち良さを実感している。
ただし安全性は比べようも無い。現在の基準から見たら、驚くほど劣る。
排ガス規制や、燃費基準、それに近接騒音など、今の新車に与えられたハードルを、ことごとく満たせない。
けれど、社会悪になるほどでは無い。
最新の性能を誇るクルマ達に、勝る部分も数多い。
デフオイルを交換した。
デフオイルに入っている添加剤が、オイルを黒く濁らせるのだろうか。ドレンプラグのマグネットには、予想以上にべっとり鉄粉が付着していた。
次にトランスミッションオイルを抜いた。ドレンプラグを緩め、中のオイルを下に落とす。一見綺麗なようでも、多くのギヤで噛み砕かれたオイルは、意外に濁って汚れていた。サンプルを瓶に受け、新旧比較ができるように保存した。次にフロントデフのドレンプラグを緩め、デフオイルを全て落とした。プラグに鉄粉がギッシリと密着していた。マグネットを綺麗に拭いて、表面を露出させた。
完全にオイルが落ちきったことを確認し、ドレンプラグを元通りに締め込んだ。鉄粉とオイルが交わり、まるでグリスのように付着していた。抜いたオイルのサンプルだ。
右がリヤデフオイルで、左がトランスミッションオイルだ。丁寧に丁寧に、3000km弱の馴らしを終えた。
高速道路を使って新車を馴らす。その方が順調に進む。
水戸から大森さんが来訪され、お守りを購入された。岐阜で軽自動車のオフ会を終え、
千葉まで移動される途中だという。
最近の高速道路は便利になり、設備もどんどん整っている。
トイレも一昔前とは異なり、最近ではウオシュレットも付いて美しい。
SAとPAの役割分担が明確化して、団体向けの設備と個人向けの施設が、
それぞれ独自の努力で際立とうとしている。
出張時にPAを使う。なぜなら、大型バスが入らないので、比較的混雑しない。
でもコンビニに入りたい時には、ファミリーマートが併設されたSAを選ぶ。
ファミマのコーヒーが好きなので、それが100円で手に入るのも嬉しい。
圧倒的に差が出るのは何か、ご存知の方は居るだろうか。
それは「ざる蕎麦」だ。
SAで食べるざる蕎麦は、そのほとんどが、可も無く不可も無くといったところだろう。
ところが、凄く美味しいSAがある。
中津川にある、上り線の神坂PAだ。
ここはひと味違う。
「霧しな」の蕎麦をウリにして、他のメニューも工夫されている。
更に上下線のPAが隣接していて、橋がかかっているから自由に往来できる。
余程の常連しか知らないが、ちょっと歩けば馬籠宿も訪れることができる。
だから上下線の競争も激しく、トラックドライバーなど、プロのリピーターも多いようだ。
上り線の神坂PAで、定食を食べていたドライバーが、なにげに空の茶碗をカウンターに出した。
「はい、おかわりね」と、中のおばちゃんが笑顔で茶碗を受け取った。
これが神坂PA上り線のざる蕎麦だ。
手打ちでは無いが、霧しなの麺を使用しているので、とても美味しい。
霧しなは開田高原のブランドで、量産品とはいえ、かなり美味しい。
残念だが「汁」は未熟で、PAの範疇から抜け出ていない。
食べてると、だんだん開田に行きたくなった。
あの店で「がつん」と来る蕎麦が食べたい。
待たねばならないが、その代わり蕎麦前が付く。
蕗の煮物が美味かった。抜群のかえしを使って、「汁」の味が奥深い。そして蕎麦だ。
少なく見えるが、これを食べると驚くだろう。
「重い」のだ。
店の中に、「がつーん がつーん」と蕎麦を打つ音が響く。蕎麦打ちは体力がものを言う。
きれい事を言うそば屋では無い。
待てない客に、平気で丼物の飯を食べさせる。
団体様はお断りだ。
その「団体の単位」が凄い。「6名」でもはや団体扱いだ。この蕎麦はもっちりとして、舌触りが良い。
山葵だけで食べると、あまりの香ばしさに心が躍る。
香りは最高。蕎麦らしさが胸に迫ってくる。
この店は一人前でざるが二枚だ。
決して2枚同時に出さない。
食べ終える頃を見計らい、次のざるが出てくる。
食べ終えてからのそば湯も美味い。普段はそば湯に汁を入れないが、この店では入れたくなる。最後に残ったそば湯は、まるで蕎麦の重湯だ。
汁を垂らし最後の一滴まで飲み干した。
神坂PAの蕎麦は、
他のPAに比べたら図抜けて素晴らしい。
ただし開田のラベルを貼るにはほど遠い。
その開田の蕎麦を、
思い出させえるクルマだ。
遂にTOYOTAからGRMN86が登場した。
これに触れると、
トヨタのクルマ造りが、
大きく変化した事が分かる。
大幅なステップアップだ。
ハチロクはNBRで鍛え続けられた。
そこでスバルBRZと大きな差を付けた。
でもスバルはWRXを持つ。
TOYOTAに同等のクルマが無い。
だからSTIとして、
更に一点集中の鍛錬を続ける必要がある。
GRMN86には600万円の価格が付く。
これがとても安く感じる理由は、
まさしく文化財」としての価値を持つからだ。
悔しい。
これをトヨタが作れて、
今のSTIは作れない。
でも、
見方を変えると、
もっと凄いクルマを作れた。
さすがのトヨタも、
「S207」を作る事は出来ないのだ。
S207は555万円だ。
それに対して、
GRMN86は600万円の値を付けている。
馬力だけが能では無いが、
馬力当たり価格を比べると、
S207は物凄くお買い得だ。
GRMN86の持ち主に、
お礼の意味を込めて、
S207味をわって頂いた。
彼の腕にゆだね、
馴らしの最終章とした。
この2台は、
いずれも同じ土俵で鍛えられた。
ニュルブルクリンクでどちらも優勝をもぎ取った。
凄い事じゃないか。
カーボンパーツの仕上がりに、
TOYOTAの底力を見た。
若干フロントが躍る特性は、
SUBARU好みの仕上げでは無いが、
二人乗りと割り切り、
振り回すクルマに特化させている。
どちらも喉から手が出るほど、
欲しくてたまらないクルマだ。
TOYOTAさん、
一本取られました。
ステキなチャンスを与えて戴き、
本当にありがとうございました。
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by b-faction