
仕事が休みなら、
純米酒を飲みながら蕎麦をすする。
このホッとする感覚が好きで、
日本人に生まれて良かったと心底思う瞬間だ。
アウトバックは不思議な存在だ。
アメリカで誕生し、
日本で育まれた。
蕎麦に日本酒が合うように、
アウトバックにもピッタリ似合うシチュエーションがある。

麦が黄金色に輝く風景の中で、
心の底からホッとしながらアウトバックに乗った。
このクルマを一番良く理解しているのは米国人だ。
彼らは信頼できる相棒として、
クルマを徹底的に使い倒す。
使い倒すといっても酷使するわけではなく、
日常の優れた道具としてトコトン愛用するのだ。
既に米国ではLegacyとOUTBACKが別の商品になっている。

左上のカタログは米国仕様のB4だ。
ひとつ前のBR系のアウトバックから、
米国で生産される車両の幅は現行モデルと同じように大きくなった。
そしてセダンだけがLegacyとして残った。
アメリカ人はセダン好きが多いから当然だ。
日本ではそういう訳にいかなかった。
もし切り離すとLEGACYのブランド力が喪失する・・・・と思ったのかもしれない。
BR系がデビューした時に、
分離する匂いを漂わせていたが、
今回のフルモデルチェンジでも見送られた。
一番下のカタログはドイツ用だ。
更に明確な差になり、
LEGACYブランドは無く、
OUTBACKに置き換わった。
すなわち新型にはB4も無く、
LEGACYそのものが消失した。
ドイツを訪問した最も大きな目的は、
ガソリン仕様のアウトバックを試すことだった。
アウトバックの独創的なドライブフィールを、
クルマの本場で再確認したかった。
昨年ディーゼルを試したが、
それだけでは新型OUTBACKの真実を伝えきれない。

ドイツにいる間、
毎日赤ワインを楽しんだ。
日本の環境だと、
上質な純米酒が美味い。
ドイツだとどこで飲んでも、
赤ワインが凄く美味しい。
ビールも美味しいが、
最近は赤ワインに炭酸水を添える方が好きだ。
赤ワインをがぶがぶ飲み、
キュッと炭酸水で喉を潤す。
改めて日本と同じ仕様のアウトバックを見ると、
その魅力は日本やアメリカで見た以上に大きかった。

ラピスブルーのOUTBACKを滞在中の相棒にした。
これは2.5i Comfortと呼ばれるトップグレードだ。
価格は38.400,-€なので日本円に換算すると約445万円だ。
ドイツの消費税率は19%なので、
その差を考慮しても、
国内仕様の価格より20万円くらい高い。
でも日本から輸出する事を考えると、
価格はどっこいどっこいだ。
参考
【日本仕様】
スバル LEGACY OUTBACK Limited
【型式】
BS9B5LC ZOC
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4815×1840×1605
ホイールベース(mm):2745
トレッド前/後(mm):1575/1590
最低地上高(㎜):200
車両重量(kg):1580
最小回転半径(m):5.5
乗車定員 5名
【エンジン】
FB25/水平対向4気筒2.5L DOHC16バルブデュアルAVCS
内径×行程(mm):94.0×90.0
圧縮比:10.3
最高出力:129kw(175ps)/5800rpm
最大トルク:235N・m(24.0kg・m)/4000rpm
【燃料供給装置】
EGI
【変速機】
リニアトロニック(マニュアルモード付)
【燃費】
14.6km/l (JC08モード)
【標準装備】
LEDヘッドランプ キーレスアクセス&プッシュスタート 本革シート パワーリヤゲート サンルーフ 運転席SRSニーエアバッグ等7エアバッグ
アドバンスドセイフティパッケージ 運転席10Way&助手席8Wayパワーシート オールウエザーパック ハーマンカードンサウンドシステム&SDナビゲーション
【税抜き車両本体価格】
3.580.000円 外装色ラピスブルー・パール
ボディカラーは日本仕様と全く同じだ。
米国だと若干異なる。
なぜならSIAで生産するから、
配合や塗り方も含め微妙に異なる。
それに緑色は米国生産車専用だ。
日本製の欧州仕様車は、

基本的にハンドルが左右違うだけで、
クルマは全く同じだ。
ただしカラーバリエーションは日本より一色少なく、
ダークブルーを除いた全八色だ。
プラチナムグレー・メタリックも、
分類すればブルー系に入る。
だから三色を二色に統合した。
その理由は簡単で、
新型アウトバックはラピスブルーが一番似合う。
この青にいつも日本で接しているのに、
なぜかドイツに居ると印象が変わる。
その理由は空気や水や土にある。

たとえばエルツ城に行くと、
建物の持つ不思議な色合いに驚くだろう。
周囲の地質が特異なためだ。
この地層から産出された石は、
実に不思議な色合いを見せる。

ホテルにチャートを持ち帰り、
丁寧に歯ブラシで洗った。

表面にうっすらとピンク色の輝きが見える。

裏返してよく見ると、
堆積岩のようだ。
何億年も前に生成した様子が何となく想像できる。

ひび割れた模様が気持ち悪いので、
表面に衝撃を与えた。

ぼろぼろと崩れ落ち、
奥に硬い石が現れた。
すぐ隣に異なる岩肌も見える。

異なる地層が複雑に入り組み、
独特の地形を作り出しているようだ。
そういう場所だから、
「エルツ城」という要衝を作るのに適していたのだろう。

ヨーロッパには地震が無い。
起きない理由は大陸プレートに、
海洋プレートがもぐりこまないからだ。
日本列島はユーラシアプレートと北米プレートの上にある。
その下に新しくできたフィリピン海プレートがもぐりこみ、
更に以前からある太平洋プレートがその下に潜り込んでいく。
この複雑に地殻が絡み合い、
大きなエネルギーが蓄積した場所では、
ドイツの建築物は残れない。
エルツ城が古くから何の変りもなく聳えるのも、
この断崖が崩れないのも、
理由は至って簡単だ。
ドイツで大規模な地震が発生しないからだ。
もう一つの地層から、
チャートを持ち帰った。
これも魅力的な色をしている。

御岳山麓で採取した石と比較すると、
色の特殊性が良く分かる。

ドイツでも火山活動の激しい時代はあった。
上の左右がブルグエルツで採取した石で、
下の左右が長野県三岳村で採取した石だ。
右の二つは火成岩に見えるが、
その雰囲気は日本と全く違う。
例えばダウンにはマール湖という死火山の火口湖がある。
今ではのんびりした観光地だが、
噴火した形跡は凄い。
こうした土の色や、
空気の湿度によって色の見え方は変わる。
食べ物もそうだ。
平らな大陸の続くヨーロッパの地下水は、
日本と様子が異なる。
川の水の色も流れ方もかなり違う。

モーゼル川に来ると、
日本の川に特有の「氾濫」という言葉が存在しないことを感じる。
石だけで無く土も違う。
だから食べ物に違いが出る。
典型的なドイツの朝食だ。

もの凄く美味しいけれど、
植物性のタンパク質を容易に摂取できない。
豆腐の入った味噌汁などドイツでは生まれない。
その理由は、
ドイツの土壌では大豆の栽培が出来ないからだ。
ヒトラーが日本から大豆を運ばせ、
大量に栽培しようとしたらしい。
日本の土壌なら居るはずの根粒菌が、
ドイツの土壌には含まれない。
だからこの土で大豆は育たない。
でも麦の生命力は凄い。
日本では見た事の無いような麦畑が至る所に広がる。
道端でチェリーを売っていた。

昼飯代わりに一箱買った。

どれも見事なサクランボで、
樹脂パック一箱分が5€だった。

日本のサクランボとも、
アメリカンチェリーとも違う。

イチゴも食べてみたかった。
でも我慢するほか無い。

ドイツに道の駅など無いので、
洗う場所を探すのに苦労する。

アウトバーンのガソリンスタンドでトイレに入った時、
綺麗に洗って食べてみた。
酸味と甘みがほどよくて、
強烈な甘さは無いものの、
逞しさを感じるチェリーだった。
同じような差をドイツ車と日本車に感じる。

待ち合わせ場所のレストランに行くと、
みんなが駐車場で待っていてくれた。
そろって中に入り肉を注文した。

この店のランプステーキだ。

焼き方はミディアムレア。
塩コショウと肉の味だけで十分だった。
下手なソースをかけるより美味かった
付け合わせの玉ねぎもおいしかった。
ドイツは肉屋に関しても考え方が根本から違う。
まず店そのものが綺麗で清潔だ。

日本だと生肉と生食用のデリは分けるのが当然だ。

けれどもドイツの肉屋では、
冷やすものは一つのケースに美しくまとめて展示されている。

生肉の次はハムやソーセージが並び、
それに続いて端っこに見えるのは美味しいサラダだ。

レジを挟んで暖かい肉料理を売っている。

これらをテイクアウトする人も多いが、
店の中でも食べられる。
ドイツには厳しいマイスター制度がある。

だから成り立つ。
肉屋を見るとドイツ気質を一番感じる。
腹ごなしの運動にちょうど良いのが、
廃線になった線路を使うサイクリングだ。

日本の森林鉄道にとてもよく似ていた。
サイズはドイツらしく大きいが、
時代や目的はほぼ同じだろう。

菰田さんのセンスが光るツアーだった。

100台位ある自転車の中から、
このクロスバイクを選んだ。
なるべく早そうな機種を探すと、
なんとなく光るバイクが佇んでいた。

こいつは速いだけでなく安定性も良かった。
疲れることなく16キロを走り抜けた。
戻ってディナーに備えサウナに入った。
ドイツ流のサウナは実に簡単だ。

素っ裸になり部屋にあるガウンを着て、
サウナルームへ行くだけだ。
神聖な場所だから男女の区分もないし、
老若男女が一緒に入る。
ひとつ絶対に注意しなければならない事がある。
それは
「汗の一滴足らずとも床に直接落としてはいけない」と言うことだ。
共同の場所をみんなで清潔に使うためのルールだ。

ディナーの準備が整った。

スターターがおしゃれだ。
一人一個ずつ手に取って、
ブドウを使ったカクテルを味わった。

次にキノコを使ったムースを味わった。

こ見た目以上に旨みを持ち、
ポタージュ風のムースとしっかり折り合う。

箸休めはシャンペンに浮かべられた、
カシスのシャーベットだ。

そしてメインディッシュの登場だ。

シュパーゲルはドイツの名物だ。
既に時季外れだったが、
レストランが上手く手に入れたと聞き、
菰田さんが抜群のセンスでメインディッシュに替えた。
ソースがとんでもなく美味しい。
「もっといかが」と聞かれたので、
「エクストラ」というと、
ウエイトレスが盛りながら、
「カーロリー・・」と笑って言った。
そう、
このソースのカロリーが食欲を大いに満たす。
美味しかった。
バーでオンザロックを頼み、
夜も更けたので、
スコッチを持ったまま部屋に帰った。
食後の酒の「アテ」がなかった。
だから酒が進まない。

こんな時に妻の配慮がとてもうれしい。
スーツケースから「あられ」を出した。

今日の食べ物で、
このあられが一番ホッとした。
これこそアウトバックを運転した時の感覚だ。

海苔と南京豆のハーモニーが素敵だ。

翌日のディナーはピステンクラウゼの石焼きステーキだった。

この店のウリはアルゼンチン牛だ。
特に赤身は柔らかくておいしい。
三種類のソースが用意され、
好みに合わせて添える。

肉とソースの組み合わせが、
ステーキに奥行きを出す。
そして最後のディナーを迎えた。
その場所はニュルブルクリンクの近くにある小さな民宿で、
レストランの自慢はアイフェル地方の伝統料理だ。

トレーニングのインストラクターを務めたクリスチャンが、
「この店は良いぞ」と紹介してくれた。

ドイツのパンはどこでもおいしいが、
この暖かいパンも美味かった。

すこーし酸味のある柔らかいパンで、

ハーブの効いた塩味のオリーブソースを付けると、
いくらでも食べられる気がした。
味は全く異なるが、
位置づけは「卵かけご飯」かもしれない。

もちろんガーリックバターでも美味しい。
ドイツのパンはとにかく美味い。
日本のご飯に海苔のつくだ煮や、
醤油をまぶしたちりめんを組み合わせるように、
パンに様々な食物を加えると、
いくらでも食べられてしまう怖さを感じる。
でもいくらパンがおいしいとはいえ、
食べれば食べるほど、
「明太子と炊き立てのご飯には勝てないな」と思う。
あの組み合わせほど、
ホッとするものは無いからだ。
素敵な料理を楽しんだ。

生ハムのサラダの次に、
郷土料理のパスタが出てきた。

材料を聞いたが忘れてしまった。
付け合わせのハーブが、

まるで日本の刺身に使うツマのようだ。
柔らかい毛が生えていて、
少しチクチクするけれど、
噛むとじゅわっと奥歯の間で砕ける。
感じたことのない美味しさを楽しめた。

メインディッシュの肉料理。
ドイツでは豚肉料理がとてもおいしい。
肉も美味いがジャガイモがそれ以上にうまい。
付け合わせの三つの芋は、
とてもホクホクして、
さらにネッチリしていた。
甘さと香ばしさが混ざり合っって、
日本でめったに食べられない凄い芋だった。

デザートのラズベリーがとても綺麗だった。
リンゴの瑞々しさにアクセントをつけている。

チョコレートアイスクリームの味は、
上手く表現できない。

リンゴと相性の良い柔らかな食感で、
甘さを少なめに抑えた優れた味だった。
アイフェル料理の最後を飾るにふさわしい、
彩鮮やかなデザートだった。

この民宿なら日本から予約して行ける。
ニュルブルクリンクがますます近い場所になった。
NBRの別名はグリーンヘルだ。
毎年60人が命を落とすといわれている。
170以上のコーナーを持ち、
起伏に富んだ路面と猫の目のように変わる舗装。
魔の誘惑に囚われ、
技量以上の速度を出せば、
いとも簡単にコースを飛び出す。
けれども正しいラインを正確に走れば、
そのクルマの持つ天性の能力を余すところなく発揮できる。
だからガソリンエンジンのアウトバックを試した。

アウトバックの後席から、
大輔が写真を撮影してくれた。

ありがとう。
大輔は「アウトバックの実力を見直した」と言った。
猪原さんにも感謝している。

いつも彼が助手席で動画を撮る。
カメラマンとしてのセンスは、
彼の本業以上に優秀だ。
ダイナミックなアウトバックをよく見てほしい。
ノルドシェライフェは20km以上の長いサーキットだ。
しかも路面は普通の道路と同じで、
アスファルトの荒れた場所もあちこちにある。
全コースの四分の三を過ぎると、
15kmから16kmに差し掛かり、
エッシュバッハと呼ばれるコーナーが現れる。
極めて難しいコーナーだが、
走り方を覚えると楽しい場所になる。
下の動画でギャラリーステージを過ぎた辺りが、
ブリュンフェンと呼ばれる奥行きの深いコーナーだ。
何度走っても難しい場所だ。
9か月前に覚えたはずなのに、
インにつく位置を間違えた。
ここではレイトエイペックス(コーナーの頂点がさらに奥に存在する事)を意識し、
正しいラインを走らないと、
曲がりきれずにコースアウトする。
この時に猪原さんをヒヤッとさせ、
思わず「あっ」と声を上げさせた。
もう少しアウト側で我慢してから、
奥にある頂点をかすめるべきだった。
でもその声に対して、
平然と「大丈夫、大丈夫」と言っている。
それはステアリングではなく、
スロットルをコントロールして曲がったからだ。
左側のエスケープゾーンぎりぎりにクルマを治め、
コース上をそのまま走った。
もしこの瞬間に、
ステアリングで曲がろうとしたなら、
極めて危険な状態になった。

スバル独自の無段変速機「リニアトロニック」は静かでスムーズな変速が魅力だ。
エネルギーの伝達効率が良いので燃費性能が高まる。
さらにパドルシフトでステップ変速が可能だ。
アクセルワークによってシームレスな変速から、
ステップ変速に切り替わるので、
リニアリティの高いドライブが楽しめる。
ニュルを走って確信した。
最もリニアトロニックと相性が良いのは、
FB25型水平対向エンジンだ。
リニアトロニックと組み合わせた時に、
これほどスポーティになるとは・・・・。
日本の道路で乗っただけなら、
この事実は永久に解らなかったかもしれない。
グリーンヘルは厳しい場所だが、
あえて言えばそのような場所だからこそ、
真実が読み取れた。
もう一度言おう。
リニアトロニックとFB25の組み合わせは、
想像以上にスポーティで、
スバルのベストチョイスに挙げて良い。
このエンジンは、
i:インテリジェント
S:スポーツ
の二つに切り替えが可能だ。
ディフォルトは「S」に設定され、
動力性能重視のセッティングだ。
ステアリングスイッチの右側に選択スイッチがあり、
おとなしめのインテリジェントモードと、
はつらつとしたスポーツモードが選べる。
それを押すだけで燃費や環境を優先するのか、
気持ちの良い加速感を優先するのか瞬時に選べる。
スバルらしい刺激に溢れたドライブも楽しめる。
高速道路を走る時にこの機能を使えば、
アクセル全開に対してクルマの動きが俊敏になり、
本線合流時の安全性も飛躍的に高くなるはずだ。
それを理解したうえで、
アウトバックの素晴らしさが良く解ったはずだ。
デューラーはアスファルト路面で少しプアなタイヤだから、
若干スキール音を出しているが、
決して限界まで攻めたわけではない。
その証拠は以前にも見せた。
走った後のタイヤは、
表情が極めて穏やかだった。

最近のスバルはキーレスアクセス&プッシュスタートシステムや電動パーキングブレーキなど、
初動時における利便性を多くの車種で高めつつある。
かなりの上り坂で発進する場合には、
ヒルヒルホールド機能を働かせれば良い。
パーキングブレーキボタンの左にあるスイッチを押す事で、
制動力をアクセルオンと動時に解除する。
BMWのメーターも視認性が良い。

これこそドイツ料理の味に似ている。
これまで食べたドイツ料理は、
どれも外れがなく美味かった。
でも蕎麦を食べたときのホッとする感覚は無い。

このコクピットはまさに日本食の世界だ。
エンジンルームを比較しよう。

BMWの執念がわかる。
徹底的に重量配分にこだわり、
理詰めの設計で作りこまれている。
カーボン製のブーメランがエンジンベイを補強し、
剛性向上に役立てている。
それに対して、
アウトバックは根本から異なる。

大らかで、まさに相棒として使い倒すことが前提になっている。
新世代水平対向エンジンFB25は、高性能な動弁系に加えロングストローク化により、スポーツエンジンの醍醐味と経済性を見事なまでに両立した。
ニュルブルクリンクを去る時が来た。

フランクフルトに向けて最後のドライブを楽しむ。
新しいアクティブトルクスプリット式全輪駆動システムは、
VDC(ビークルダイナミクスコントロール)との協調性を高めた。
4輪のブレーキ制御だけで無く4輪駆動のトルク配分やエンジン出力まで統合制御。
さらに先進機能「アクティブ・トルク・ベクタリング」も搭載し旋回中の姿勢を安定させる。
難しい講釈より、
最終コーナーの走りを見れば一目瞭然だろう。
スバルに求められる走破性能も盤石だ。
Xモードスイッチを押すと、
険しい山道や深い雪道でのタイヤ空転を可能な限り防ぐ。
それに加え、
かなりの下り坂を一定の車速に維持できるので、
ドライバーはハンドル操作だけに集中できる。
この安全で安心なシステムを持つ事で、
ラフロードだけで無くオフロードにおける可能性も広がった。
スポーツを象徴するWRXやBRZに比べ、左右対称に2本出しのエキゾーストパイプあるわけでもないし、エンジン自体も実用性を優先した地味な存在に思える。
ところが、自動車先進国のドイツで試すと、それまで持っていたイメージが一気に覆る。
アクセル全開を繰り返すシチュエーションだと、実に上質な排気音を奏でる。
その音質はまさしく昇華したボクサーサウンドだ。
最新のレガシィ用に磨かれたFB25型水平対向エンジンは、最高出力、レスポンス、燃費、静粛性の全てが高められただけで無く、エンジン吸入音までファインチューニングされていた。
走行動画を見ると解るが、シームレスに続く気持ち良いボクサーサウンドは、2.5リットルガソリンエンジンだけが持つ美点だ。