スバルのイエロー戦略

「ダイナミック＆ソリッド」
スバルの新しいデザイン戦略をこのように表現した。
実は大きな間違いだと解った。正確にはダイナミック×ソリッドなのだ。そこには方程式があった。すなわちある解を求める時に、因数の大きさにさじ加減を与えていた。「＆」では単なる足し算に過ぎないが、「×」にするとレバレッジが変わる。そうする事で今後のスバル車には、そのクルマの特性に合わせてダイナミックとソリッドの比率が異なるデザインが生まれるのだ。しかも絶対値が存在せず、思いがけない作品が誕生する可能性を秘めている。

その一部である、カラー戦略はどのようになっているのか。ファンミーティングも終わりに近づき、夕暮れが忍び寄った。
遠くに見えるｆｆー１スポーツを見ながら、会場を後にしようとすると、大好きなイエローが目に飛び込んだ。これも特装車で発売された、記念すべきスパークリングイエローだ。
イエローを美しく染めることは至難の業だ。ミーティング翌週から、望桜荘の銀杏が黄色く色づき始めた。
そして昨日の午後、遂にＢＲＺの特装車が到着した。世界限定１０００台だ。そのうちの１００台が日本で販売される。
先週から生産が始まり、出荷されたチャールサイトイエローのＧＴだ。
夕日を浴びて佇んでも赤みが少ない。
そこが重要だ。
赤くても、青みがかってもボディカラーとして片手落ちだ。
最初に見た第一印象は、コーンズのショールームで見た跳ね馬のイエローだった。
これが違う光の中でどのように変化するか。夜中から雨が降り始め、銀杏が一気に落葉を始めた。
毎年起こるこの瞬間に、今年は見事に立ち会えた。ポタポタと音を立てながら黄色いカーペットを作る様子は、いつ見ても本当にダイナミックだ。そのすぐ脇に展示場から追い出されたＢＲＺが佇む。良い色だ。雨の降り注ぐ展示場にもう一度ＢＲＺを戻す。抜群の存在感だ。
スバルが久しぶりに放った痛快なボディカラー。
その名はチャールサイトイエロー。
この魅力を順番に解き明かしていきたい。