スバルXVの衝突安全性能を考察


最近では衝突安全評価に対して、
世界中に様々な規準が生まれている。

日本より米国の方が遙かに厳しく、
ロールオーバーテストまで含まれていた。

アメリカの高速道路には、
日本のようなガードレールが無い場所も多い。

だから路外に飛び出すと簡単に転覆する。

他の評価基準と決定的に異なるのは、
その組織そのものの成り立ちだ。

アメリカにはNCAPという政府によるテストもある。
これを模して日本でも「J」という頭文字を付けたJNCAPがある。

それにはロールオーバーテストは含まれていない。
それではアメリカの規準がなぜ違うのか。

それはNCAPとは別に、
IIHSという組織があるからだ。

IIHSは税金では無く保険業界が自動車事故の数を減らし、
結果的に保険金の支払いが減る方向に社会を改善する目的で設立された。

勿論、
非営利団体だから評価は公正だ。

言い方は乱暴だが、
より「ガチ」な審査を進める。

スバルが世の中にアイサイトを浸透させ、
今では各社が競うように採用しているが、
IIHSの評価基準に加えられた事も大きい。

逆に言えば米国の保険会社の思惑で、
評価基準が簡単に変えられる可能性もある。

そんな厳しい安全評価で、
最近のスバル車はトップに位置する。

日本での評価も勿論高い。

最初に脚光を浴びたのは二代目レガシィの時だ。

いきなりレガシィが各社を差し置いて、
最高ランクに評価された。

スバルの安全思想は創業時から続いていると以前も述べたが、
現在も脈々とその知見は磨き続けられている。

デビューしたばかりの新型XVも、
4月にJNCAPの衝突安全評価で脚光を浴びた。

過去最高得点の199.7点を叩き出すと同時に、
全車歩行者エアバッグを標準装備した事を評価され、
「衝突安全性能評価特別大賞」が授与された。

これは素晴らしい事だ。

但し油断禁物だ。
社名を「SUBARU」に変更したせいか、
少し軸足がおかしな方向にズレ始めた。

航空機会社とは表現しても、
「中島」名を伏せようとする。

「モノづくり」が命の会社なのに、
「モノを作る会社から笑顔を作る会社へ」等と、
寝ぼけた話を本気でするようになった。

これは非常に危険な発想だ。

イメージ戦略では済まない、
SUBARUの基幹能力の崩壊を招く考えだ。

東芝がこのような窮地に追い込まれたのは、
実はモノ作りの会社のように見せていただけで、
最も根幹に相当する事業を丸投げにしていたのでは無いかという見方がある。

確かに戦後の成長期に、
家電を始め記憶媒体など輝かしい成果を上げたが、
原子力で大失敗して会社の存亡が囁かれるようになった。

焦って米国企業を買収し、
ババを掴んだのも、
「自社内に原子力技術の根幹が具体的に残って居なかった」と指摘する識者もいる。

それを聞いた時、
以前のブログで書いた事が裏付けられたと思った。

アイサイトの開発は、
東芝の原子力技術に将来が無いと案じた技術者が、
SUBARU研究所の設立に際して中途入社した時から始まった。

既に知的レベルの高かった社員は、
30年近く前に「終わり」と感じたのだ。

「もの作りから笑顔作りへ」と聞いた途端にギクリとした。

「それは違うだろう」

スバルの様な小さい企業が、
「もの作り」を優先順位の下方に落とす事を許されるはずが無い。

明らかに油断だ。

蓮舫がいくら演説で拳を振り上げても、
信用されない一つの理由がある。

その理由は民主党の絶頂期に、
思わぬ馬脚を現した事だ。

「2位じゃいけないんですか」

いけないんです。
やはり天然資源が無いから、
加工貿易で立国するしか無いんです。
知的所有権も大切です。

SUBARUは絶頂期に、
馬脚を現した。

「モノ作りから笑顔作りの会社へと」

蓮舫とSUBARUの両方に共通するのは、
「論理性」と「感受性」のどちらを優先しているかでは無いか。

「愛」というキャッチフレーズや、
ドリカムのCMサウンドを全く魅力的に感じない理由は、
そこからきているのかも知れない。

マーケティングが非常に好調で、
実績が伸びている時は良いが、
東芝を見ると明らかなように、
「自主開発力」の強化を重視しないと奈落が待つ。

こうした心配が杞憂になる事を願って、
XVの馴らしを兼ねて群馬県太田市に向かった。

5月は毎週連続で1000㎞近く走っている。

BRZの次にXVを試せる。

更にその前にはL.L.Beanも乗ってるし、
FORESTERも確認済みだ。

味見の方法として、
最高の条件が揃った。

その上で極めて優秀な企業を訪問した。
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このロゴに見覚えは無いだろうか。
今NBRで戦うWRXに着いているはずだ。

昔から決して表には大きく現れないが、
何か「とてつもない力」を感じる企業だった。

どういう会社か興味を持った事があり、
親しいSUBARUの社員に聞くと、
中島の時代から深い関わりを持つ老舗企業だと知らされた。

社長の飯塚さんも、
このブログを以前から読んで下さっていた。

当社に来訪され、
それ以来親しくなった。

SUBARUが衝突安全思想で優位に立てる理由は、
歴史的背景に負う所が大きい。

しかし2人のキーパーソンを絶対に外せない。

まずSTI社長の平川さんだ。
レガシィ誕生以来、
常にSUBARUが衝突安全性能で高い評価を得たのは、
彼の存在無くしてありえない。
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SUBARUに求められる「理系」の人物だ。

SUBARUには需要の創造も求められる。
だから車の設計を数値的にトコトン煮詰める頭脳が必要だ。

SUBARUには、
内部に蓄積された数々の技術があり、
全て資産として温存されている。

それも強みだが、
もう一人のキーパーソンを忘れてはいけない。
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煙草をくわえているのが、
飯塚幾市さんだ。

東亜工業株式会社の創業者であり、
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現社長飯塚慎一さんの祖父にあたる。

中島航空機の技術者として活躍し、
戦後もずっとSUBARUと共に生きてきた。

東亜工業に電話して、
「どのようにホットプレス加工材が作られるのか見せて欲しい」
とお願いした。

しばらくすると電話があり、
飯塚社長本人にご案内戴く事になった。
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まず最初に案内して戴いたのは、
テクニカルセンターだ。

ここでは毎日様々な耐久試験や、
基礎研究が進められている。

建物の中には資料館もあり、
東亜工業の歴史が一目で分かる。
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この貴重な歴史的遺産を見て欲しい。

創業者の飯塚幾市さんが実際に使っていた「金敷き」だ。
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東亜工業はスバル360の立ち上がりから、
スバルと共に歩んでいる。
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その歴史が年表を通じてはっきり解った。
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草創期のスバル360は、
プレス部品の集合体では無い。

実際にこのボンネットの周縁部に触れると、
匠の技で叩き出された部品だと言う事が良く分かった。

こうしてスバルと共に成長した東亜工業は、
切っても切れない関係どころか、
スバルをリードする技術集団に変化した。

資料館の前には、
大好きなBRZのスケルトンがあった。
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何と驚いた事に、
BRZの主用構造体はほとんどが東亜工業製だ。
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軽くて扱いやすい素敵なボディは、
東亜の技術で成り立っている。

BRZの軽量で強靭なパーツは、
一見単純に見える。
ところが簡単に作れるな様でモノでは無かった。

飛行機の魂が宿った、
匠の技術の蓄積だった。

東亜工業の中に秘伝として脈々と伝わっている。

更に深く掘り下げてみたい。

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Commented by hide@2.0R spec.b at 2017-05-27 00:02 x
自分もパンフレットを見て、中島の名を伏せていたり、モノづくりから笑顔を作る会社へという文言に違和感を感じていました。車雑誌でBRZにボクサー6が載るかもという記事がありワクワクしたのですが、いつまでもそんな気持ちにさせてくれる会社であって欲しいです。
Commented by b-faction at 2017-05-27 07:19
hide@2.0R spec.bさん、おはようございます。会社全体を大きくステアリングしているので 良い事と悪い事の両面が顕在化していますね。
Commented at 2017-05-27 11:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by D.taka at 2017-05-27 16:00 x
こんにちは。
スバルの安全性の高さはVOLVO同様私も素晴らしいと思ってBD→BL→VABと乗り継いでいるスバルユーザーとして誇りに思えてうれしいです。

ただ、最近知ったのですがVGAのS4には国内仕様にもリアバンパービームが装着されているのにVABでは省略されていたのを知った時は大きく失望しました。北米仕様のVABにはFMVSS 301 Rear Crash Test (50 Mph) 対応のためか装着されています。調べてみると同様に北米仕様のXVやフォレスターには採用されていますが国内仕様では省略されています。

日本の衝突テストに後突の項目がないためコストダウンでしょうが、VOLVOやメルセデスならこの様な対応はしなかっただろうなとおもいました。

今一度気を引き締めて理系の香りのするスバルでいてくれると嬉しいです。
Commented by b-faction at 2017-05-27 20:52
STELLA55さん、ありがとうございました。また気付いたことを忌憚なくお知らせください。
Commented by b-faction at 2017-05-27 21:24
D.takaさん、同感です。理系の香りが大切です。
安全対策について一概には言えません。歩行者エアバッグは米国仕様にありません。その代りアメリカで売るインップレッサはセンターピラーの素材が異なり高価なテーラーロールドブランク材を使います。日本に運んで使ったら価格に大きな影響が出ます。仕向地ごとの特性や要求にこたえコストを下げる努力も大切ですね。VOLVOやメルセデスでも考え方は同じだと思います。
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by b-faction | 2017-05-26 21:58 | Trackback | Comments(6)

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