面白い病気だ。
匿名で「知ったかぶり」をぶつ。
「どっち側」か良く解る。
その病気にも困ったものだが、
こっちの病気も困った奴だ。
精神面で気力が漲り、
やる気があればあるほど、
隠れたトリガーを引いた瞬間に現れる。
それが痛風だ。
途方に暮れるほど痛い。
だがそんな時ほど、
より頭脳明晰になり、
バイタリティーに溢れる。
「鶴齢」と言う酒がある。
そいつを極めて安価に提供しいた。
これを一杯で我慢出来ず、
解っているくせにトリガーを引いてしまった。

先の大先輩は、
この行為にも驚いたのかもしれない。
いきなり居酒屋で蕎麦を頼み、
それをつまみに酒を飲んだ。
ワサビ以外何も付けず、
すすり込んでは酒を飲む。
朝飯も昼飯も抜いていたので、
堪らなく美味かった。
次にカツオのたたきを注文した。
この日はまた一段と鮮度が良く、野菜との取り合わせも抜群で、とても美味しく戴けた。
売り切れも続出していた。
「なめろう」を注文して、売り切れと言われたら、「くどくど」文句を言う老人がいた。
生シラスをください。
そう注文したら、厨房の奥から「生シラス終わりだよ」と声が聞こえた。
そうか、残念だなと思い、何を頼もうか考えた。
隣に座った男性は常連の様だった。
店員と気さくに話している。
誰かと待ち合わたらしい。上手く連絡がつかなくて、一人で入店したと言っていた。
彼は「シラスおろし」を食べ始めた。
これもいいじゃないか。店員さんに、「じゃあシラスおろしを下さい」と頼んだら、
「お客様の生シラスが出てきますよ」と答えが返った。
そうなの、と言うと、「お客様の生シラスで最後なんです」
親切で気の利く店だ。
この生シラスも逸品だった。
その後注文した人たちは食べ損ねた。
なめろう同様に、
この季節だと日持ちのしない食材を置くのは、
店にとって大変だ。
勿論売れ方を予測して仕入れるのだろうが、
「読み」には当たり外れがある。
解ってるはずなんだが、
老化が進むと、
めんどくさい事を言うようになる。
それにしても、
振り返って反省することが多い。
見事にトリガーとなる食べモノが並んでいる。
薬を飲み始めて3か月たったが、
焼肉でトリガーを引いてから、
カラダの状態が一気に飽和したのだろう。
先週末に話を戻す。
焼肉を食べた後左足親指が痛くなった。
さすがにあの痛みが怖くなり、
少しおとなしくしていた。
痛みは快方に向かった。
なので金曜の夜には1000m泳ぎ、
久しぶりにタイムを縮める事が出来た。

一週間前に比べ11秒以上短縮し、
体重は63kgに落ち着いた。
腫れた足も直ぐ治まり、
かわら版の原稿も完成して、
月曜日の夜に無事校了した
それまで何の変哲もなかった。

月曜の夜はジムが休みだったので、
泳ぐことができなかった。
家に帰ると、
中瀬さんに頂いた土佐の漬物をつまみに、
オンザロックで焼酎を飲んだ。

足の痛みも治まり、
いつものように穏やかな状態に戻っていた。
だが気付かなかっただけで、
指先はまだトリガーに掛かったままだった。

出張先の東京で、
痛風発作が炸裂した。
都合の悪い事に、
鎮痛剤も持たずに出発してしまった。
もう大丈夫と言う油断があった。
ウリアデックを飲み続けている変な自信もあった。
明け方にウリアデックを飲むという荒療治でしのぎ、
何とか東京出張を乗り切った。
眩暈がするほど痛いのに、
やる気だけはモリモリと湧いてくる。
何を食べても美味い。
勘が鋭いので仕入れに対しても強い。
面白い病気なら上手く付き合うに限る。
嫌な病気には近ずかないし、
相手にもしない。
人生それが一番さ。
「まさか!」
事前情報には載っていなかった。
無いはずの水平対向六気筒の6速があるではないか。
まさに「カツオ」で言えば、
市場に並んだ魚体だ。

瞬時に見抜ける時は、
冴えている時だ。
いつも痛風発作が出ると、
心身ともに「冴える」。
事前にクルマを見る時間も無く、
瞬間に閃いて手に入れた。
一日の予定が終わってから、
遠く離れた場所に足を引きずりながらが移動した。
クルマを見た。

プロファイリングの癖が出た。
前のオーナーは、
かなりユニークな人かもしれない。

クルマを粗末に扱わず、
相棒として乗り倒す人だ。
オーナーの癖も色濃く残るが、
扱い方は正しくて、
素材として非常に面白いB4だった。
どう仕上げるか、
とても素敵な楽しみが出来た。
ワクワクしながら会社に戻ると、

次の相棒が待っていた。
燃料満タン、
荷物を固定するラッシングベルトも搭載済みだ。
ボルタレンを飲み、
コルヒチンの投薬を受け信楽町へ向かった。

改めて考えたら、
最新型のサンバートラックになってから、
長距離を走った覚えがなかった。
最新型のインパネデザインは、
どこから見てもサンバーだ。

ところが以前なら考えも及ばなかったほど、
細部に凝った工夫が張り巡らされている。
サンバートラックは使えば使うほど便利で、
その「ギヤ」感が堪らなく良い。

オーディオの下にあるトレイは、
スバル単独では考えられない工夫だ。
小物を置くには絶好のスペースだ。
今回の様に遠方へ荷物の運搬に使うと、
手回り品がたくさん出る。
手の届くところに、
必要なものが並ぶ姿は、
スポーツカーとは違う快感を呼び覚ます。

メーターをリセットした。
信楽焼の里まではおよそ200kmある。
開けた視界も軽トラックの魅力だ。
長距離を走っても意外に疲れない。

ふと思い出した。
七福さんでお土産を買って、
村木会長に渡さなきゃ。
深山の雫を買って、
高速道路に乗った。
お尻の下にエンジンがあるので、
リヤエンジンの頃より騒音は大きい。
しかし高速で長距離を走ると、
最新型の良さがとても良く解る。

特にオートマチック車の性能が良い。
スバル単独では無理だった、
オートマチックの多段化が可能になり、
高速走行安定性もより良くなった。
アダプティブ制御で4速から3速にシフトダウンし、
自動的に上手くエンジンブレーキを使う。
上り坂で3速から4速に変速する時の、
ギヤの掴み方が絶妙で素晴らしい。
以前のサンバーなら、
2速から3速のシフトアップで、
「うーー、わああ」と変速した。
このイメージだと、
トルク変動が大きくてクルマの動きに影響が出る。
最新の4速ATは、
「うーーーーうっ」と切り替わる。
面白いクルマが現れた。
お洒落なコペンが、
追い越し車線を走って行った。

こいつをベンチマークにしよう。
サンバーに鞭を入れ、
アクセル全開で後に続いた。
突っ走るとサンバーの限界性能も良く解る。
コペンに比べサンバーは全面投影面積が大きい。
だから時速100キロになると、
コペンに比べ動力性能差より、
空力影響差の方を大きく感じる。

しかし新型サンバーは、
マニュアル車よりオートマ車の方が、
エンジンパワーが大きい。
そして更に1500rpm高回転化され、
出力も7馬力高い。
4ATの変速領域も広いので、
高速道路をストレスなく走れる。
前方にいたサンバーバンを追い抜いた。
このように実際に使い倒すと、
とても良いクルマだ。
上り坂では若干パワー不足を感じる。
けれども平たん路ではかなりスピードに乗ることができる。
事故を起こすと、
乗用タイプより危険なので、
おとなしく走って欲しい。
下りだと相当な速度まで上昇する。

ステアリングをしっかり押し付け、
背中とシートの摩擦で舵角を与える。
クルマを完全にコントロールして、
己の支配下に置ける人は、
このあたりから「おやおやおや」と嬉しくなるだろう。
もちろん高速道路では4輪駆動に入れない。
動力損失が大きくなり、
走りの点で不利なこと以外何も無いので、
スイッチを入れる気にもならない。
これはリヤエンジンのサンバーにも当てはまる。
RRの後輪駆動サンバーが、
軽トラで最もスポーティな理由もそこにある。
道が空いてきて、
徐々にコペンをキャッチアップできた。

運転していたのは、
中々お洒落な中年男性だった。
コペンにはカフェレーサー風のアレンジが似合う。
丸本製陶に着くと、
村木会長が暖かく迎え入れてくれた。

初めて荷物を運ぶ目的で遠方まで来た。
サンバーが生き生きしている。
嬉しそうな顔に見えるのは、
決して気のせいじゃない。
村木会長自ら、
ラッシングベルトで陶製浴槽を固定して下さった。
このご縁大切にします。
100kg以上ある浴槽を積んで、
ガソリンスタンドで給油し、
空気圧を高めに調整した。
ドアを開けると空車時の空気圧と、
荷物積載時の空気圧が併記されている。
必ず高速道路に乗る前に、
指定空気圧に調整してほしい。
給油してから、
往路のガソリン消費量を確認した。

再び設樂インターから高速道路に乗った。
凄いクルマだ。

陶製浴槽1個程度では、
ドライバビリティに与える影響など皆無に近い。
撥水加工されたフルファブリックのシートは、
汗の吸収も良いし意外なほど疲れなかった。
2時間ぐらい連続で運転しても、
腰やお尻が痛くなるようなことはなかった。

時速100kmの巡行など朝飯前だ。
平気でアクセルをべた踏みするが、
サンバーは柔軟に要求を満たす。
トラックは元々軽いので、
これがまた特に面白い。
サンバーに乗るならグランドキャブも良いが、
最も軽い標準ボディが良い。
グレードはTCが良いだろう。
TCに乗ると、
やっぱりパワーウインドウは便利だなと思った。
インテグレーテッドと称されるオーディオが付き、使い易い位置にシガーライターソケットがある。
二股のコンセントを用意して、片一方にUSBユニットを差し込むと便利だ。カップホルダーは、
アイフォンを入れたり、
カメラを置くのに利用する。
この場所はそういう使い方にも絶好のポイントだ。
下手なナビより、
グーグルマップの方が利便性は高い。
ブレーキの利き味も良し、
荷物を積んでも空荷でもダンパーの効き方に、
さしたる変化は無い。
高速道路を降りて満タンにした。
全開走行を繰り返したのに、
燃料消費率は往復でそれほど違わなかった。

行きの消費が多かったけれど、
ルートが違うので完全な比較では無い。
405.6キロ走ったので、
概ねリッターあたり11kmだろう。

帰り着いた時刻が7時を過ぎたので、
辺りは真っ暗になり作業灯が役立った。
4気筒の頃に比べてはるかに大きく明るくなった。

ちょっと判り辛いが、
スイッチの位置も良い。
ステアリングポストの右側にあり、
室内で操作する。
点灯させると緑色のランプが点く。
そのままでもサイドブレーキを下げれば、
即座に消灯するので後続車に迷惑をかける心配はない。
カラーパックもあるので、
個性派にはオフビートカーキ辺りも渋い選択かもしれない。
サンバーは価格より価値で選ぼう。
最新型に乗って特に感じた。
TCの4WDオートマチックは、
消費税抜き価格で1,123,000円だ。
セレクティブ4WDだと言う事も忘れてはいけない。
4ATとセレクティブを組み合わせたところに価値がある。
ボディカラーに白を選ぶなら、
スタイリッシュパックもいかがだろう。
個性派には面白いはずだ。
終わり