遂にお願いした陶製浴槽を受け取る日が来た。

指定の位置に穴をあけ、
綺麗に梱包された浴槽をフォークリフトで搭載した。
大型トラックが来て、
工房内に置いてある陶製浴槽をいくつも積み始めた。
どれも口径が1m50cm以上ある大きなものばかりだ。
この窯元は既製品を選んで買う場所ではなく、
本来完全なオートクチュールで仕事を受けている。
設計施工製造が、
三位一体になって理想を追求する場だ。
ネット社会で簡単に事を進める場ではない。
「訳知り顔」の阿呆が行く場所でもなく、
面と向かって細部を詰めなければならない。
設備に対して素人なのに、
村木会長が真剣に応じて下さったのは、
情熱を語りあったからだろう。
尊敬しあう場所なのだ。
「マスゴミ」という造語がある。
上手いこと言うなと感心した。
自分に都合よく発言の趣旨を無視して切り取る。
原稿を書いた人間は匿名のまま、
ニュースや記事が独り歩きする。
それを見て、
他のマスゴミが後を追うように面白おかしく煽り立て、
どこが公共でどこが私的な場なのか解らなくなる。
最近その影響をド素人が受け、
ネット上の匿名性を悪用して、
時間つぶしに転用している。
賢明な読者に伝えよう。
公共の場と言いながら、
私的な遊び場に変える阿呆の相手をする必要は無い。
結局時間を持て余しているだけの、
不幸な人間に他ならない。
尊敬に値しない人物だ。
このブログで匿名性を悪用するなと説くので、
自ら本名を明かし、
堂々と一緒に写真を撮る人も多い。
そのことは、
愛読者なら十分承知しているはずだ。
都合よくストーリーをなぞらえた処で、
薄っぺらさは明確で尻尾が覗いている。
このブログの愛読者には、
尊敬すべき人物がたくさん居らっしゃる。
そういう人は薄っぺらくないから、
「ふり」をして都合よくコメントしても馬脚が現れる。(笑)
「マスゴミ」にもそういう連中が沢山いる。
なので、
影響を受けて「哀れだな」と思うだけだ。
本気のやり取りは日常茶飯事だ。
ご本人の了解を得て、
「原文」のまま最近のやり取りを紹介しよう。
「ブログについて。
STIについての内容はともかく、
代田さんほどのお立場があり、
発信力のある人としては、
サーキット走行時はきっちりとした格好をした方が良いと思いますよ。
きっちりしたヘルメットと長いグローブ、
長袖はサーキット走行時の必須アイテムです。
何かあったときのダメージが違います。
アライのオープンのラリー用ヘルメットと、
アルパインスターのグローブがおすすめです。
見てる人がまねします」
そう注意されたので、
早速返答した。
「すみません。
ニュルでも一切ヘルメットをかぶら無いので、
最近必要性を感じませんでした。
グローブもはめたことが無いので、
正直なところ素手で操作したいです。
ルールなので仕方ないと思って、
アライを買おうとも思ったのですが、
手短かに用意してしまいました。
確かに真似される事を考えないといけ無いですね。
買います」
すると返事が来た。
「ニュルは速度制限の無い公道で、
高速走行に慣れた人が能力の範囲内で走行するのがマナーですが、
日本ではまだそう言う環境ではないので、
規則で人命を守らないといけないんでしょうね」
お互いの落としどころが明確で、
実にロジックのある内容だと思う。
ニュルもそうだが、
アウトバーンで走行車線から追い抜くことは、
絶対にやってはいけない重大な法律違反だ。
ニュルでは早く走る人は上手いので、
抜かれる側は、
絶対に速度を落としてはいけない。
早いクルマが後ろに迫ったら、
速度を落とさずに右へよけてウインカーを出す。
すると上手く追い抜いてくれる。
下手に速度を落とすと、
速度差が命取りになる。
意思表示だけして、
道を譲る。
アウトバーンでも速度差があるので、
追い越し車線で追いつくと、
かなり後方からパッシングして、
前のクルマに緊急性を伝える。
勝手に「右側を走れ」は、
神を冒涜する行為に近い。
それはさておき、
競技に参加するなら最高のレーシングアイテムを用意する。
例えばウイメンズラリーに参加させる以上、
妻と娘と長男の嫁には、
スパルコのレーシングスーツを、
勿論買い与えるつもりでいた。
フリーサイズのバイク用ヘルメットなど、
使わせるつもりは毛頭も無い。
グローブも同じだ。
サーキット走行で、
クルマの状態を試すだけなら、
型を満たせば十分だと思った。
しかし占有して使うわけでは無い。
その事をうっかり忘れていた。
先日の様に穏やかな人たちばかりなら良いが、
中にはとてつもない高性能車で、
ギンギンに攻めるのを楽しみにする人もいるだろう。
そういう人と事故になっても、
サーキットの中ではオウンリスクだ。
そのための防御を忘れるなと、
客観的な目で、
しかも相応な場で伝えてくれた。
これが尊敬しあうと言う事だ。
主義主張は千差万別だから、
言うべきことは言い、
聞くべきことは聞く。
ただし匿名下のやり取りは、
基本的にゴミと同じだ。

他にもすごく渋い浴槽が、
綺麗にラッピングされ出荷を待っていた。
注文制作の完成品だ。
これが「手ひねり」と呼ばれる、
更に上等な風呂桶だ。
先日訪れた時に、
色が良くて気に入った浴槽も、
再点検され輝きを放っていた。
少し大きすぎるので、
ボイラーの容量に適合せず諦めた。
商品として磨き直され出荷されるのだろう。
WRブルーの色合いが素敵だった。
大型トラックの荷台に積み込みが終わった。
パレットごと上下に4台積み重ねられている。
その陶製浴槽の行先は、
栃木県の日光だという。
日本中にここから有名な温泉地へ広がって行くのだ。
村木会長にお願いした。
どんなふうに作るのか、
とても興味がある。
「工房の中を見せてもらえませんか」
すると、
「ああ、ええよ」と自ら案内して下さった。
まず最終工程の釜を見学した。
この台座に載せレールの上を滑らせる。

上手く焼く物を組み合わせるのだろう。
最大で1300から1500mmくらいのサイズまで焼けるらしい。
3基の釜が並んでいる。どれも沢山のノウハウが注ぎ込まれている。
その結果、
丸元製陶が最後まで特殊な世界で生き残った。
釉薬を吹き付ける場所は一目でわかった。
中々色合いと言うのは微妙になるんですよね、と聞いたところ、
「そんなんは、ちゃんと計算通りに行くんや」と仰った。
難しいことだと思うが、
さも極当たり前に「できる」と即答されたところに、
業界の第一人者としての魅力を感じた。

現在制作中の逸品を拝見した。
職人が一人かかりきりで仕上げている。
勿論、台座はろくろになっている。
焼き上げて1800mmの陶製浴槽なので、
現在は一回り大きく1900mmと、
2メートル近い大型の陶製浴槽だ。
これを焼く場所は別にあり、
更に大きな窯で焼くそうだ。
工房のこのエリアだけ、
しっかりエアコンの効いた快適な空間になっている。
背後を振り返ると、
もう一つの場所で3つの浴槽が同時進行で製作されていた。

ろくろを使った小型の手ひねりの浴槽の他に、
小判型と呼ばれる完全手ひねりの浴槽も作られている。
中央手前の浴槽がそれだ。
良く見ると、
その小判型の右に「底」だけ置いてあるのが解るはずだ。
とにかくまずこの3台を、
一週間で仕上げるのだという。
現場は大忙しだった。
おお!粘土じゃないか。
もちもち柔らかい懐かしい感触。
小学校の授業で陶器を焼いた。
粘土が校庭の一部から出るので、
それを使ったり、
土岐の産地から買ったこともあった。
「信楽焼の粘土はこの辺りで産出するのですか」と尋ねると、
「いいや違う」と答えが返った。
「あんたんとこの近くや」
なるほど。
さすが美濃は焼き物の産地だね。
インプレッサハウスの露天風呂は、
特に拘りを持って考えた設備だ。
当たり前にしたくないし、
かといって奇抜では困る。
アイワ設備の澤田社長は、
最高のアイディアを授けてくださった。
真っ暗になったインプレッサハウスの前で、
澤田社長が待っていた。
トラックから上手にパレットごと風呂桶を降ろした。

いよいよ据え付け工事が始まる。
澤田社長、
宜しくお願いします。

おわり