昨日、
岐阜スバルの和田社長を見送った後、
デスクに帰ろうと歩き始めた。
後ろから「痛いんでしょ」と妻の声がした。
ううん、そんなことないよ。
もう全然平気さ。
そう言うと、
「靴が左右で違うじゃん!」
さすがに鋭い。
だが回復の兆しは顕著で、
仕事を片付け元のリズムに戻した。
夜の10時過ぎから泳ぎ始めたが、
さすがにターンが怖い。
最初は思わずターンして壁を蹴ったが、
激痛に襲われることはなかった。
でもさすがに繰り返す勇気はなく、
一回一回ターンで立ち止まっては向きを変え、
何とか10往復泳ぎ通した。
500メートルのタイムは、
17分37秒64だった。
泳ぎ続けられただけでも良しとするか。
記録を残す事は大切だと思う。
後々同じ事が繰り返された時に、
終息を早めたり防御したりできる。
喉元過ぎると熱さを忘れるからね。
和田社長が和えられた後、
丁度手に入れたクルマが届いたので、
テストしようかと勘案した。
工房でWRXセダンのコクピットに納まった。
エンジンを始動すると、
バランスの良い重低音が工房の中に沁みとおった。
メーターはまさにWRX STIの血統をモロに受け継ぎ、
ピンクと赤とオレンジのグラデーションが独特の世界を彩る。
こんなカオスも悪くないが、
最新型は「韻」を踏みつつ、
S207で試した方向に舵を切った。
前期型のVABは先代のグラデーションを引き継いだが、
新型は高速における瞬読性を大きく高めた。
GVF型WRX「STI」のグリルを見てから、
最新型のフェイスを見ると、
刷新しながらも、
守るべきものをキチンと守ってるな、
と感心する。
「ちょっとお待ちよ!
あんた大事なことを忘れてんじゃないのかい!」
そんな声が耳元に響いた。
じっと様子を見ていた姐さんの、
堪忍袋の緒が切れたようだ。
「私を誰だと思ってんのさ!」
小股の切れ上がった良い女、
世界の頂点に立ったクルマの、
迸るオーラを感じた瞬間だ。
そうなんだ。
忘れていたぜ。
夫人の存在を。
全く年齢を感じさせない、
トップオブザワールドの風格だ。
このクルマは、
2003年にFIA世界ラリー選手権(WRC)ドライバーズチャンピオン獲得記念
SUBARU インプレッサWRX STI V-Limited「555台限定」
【駆動方式】
AWD(全輪駆動)
【型式】
GDBD4JH 92C
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4425×1740×1410
ホイールベース(mm):2525
トレッド前/後(mm):1490/1485
最低地上高(㎜):125
車両重量(kg):1440
最小回転半径(m):5.4
乗車定員 5名
【エンジン】
EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブデュアルAVCSツインスクロールターボ
内径×行程(mm):92.0×75.0
圧縮比:8.0
最高出力kW(PS):206(280)/6000rpm
最大トルクN・m(kgf・m):394(40.2)/4400rpm
【燃料供給装置】
EGI
【変速機】
6速マニュアル
【燃費】
10.4km/l (10・15モード)
【標準装備】
オートモード付ドライバーズコントロールセンターデフ
フロントシュアトラックLSD
リヤ機械式LSD
ブレンボ製ベンチレーティッド対向キャリパーディスクブレーキ
クイックステアリングギヤレシオ
17インチBBS鍛造アルミホイール
新井敏弘セッティング15mmローダウン倒立ストラット&強化スプリング
ルーフベンチレーター
アルミ製シフトノブ
UVカット機能付濃色ガラス
アルミパッド付スポーツペダル
シリアルナンバー付記念プレート
【税抜車両本体価格】
3.510.000円
ボディカラー:WRブルー・マイカ
ルーフベンチレーターは戦うクルマの韻だ。
SWRTのコメットマークが懐かしい。
軽量な鍛造ホイールに、
ブレンボの4POTも「韻」に違いない。
GVFに乗るのは後回しにして、
このクルマを試すことにした。
念のためタイヤを調べると、
既に整備は行き届き新品のコンチネンタルMC5が装着されていた。
GDBの高出力に対応し、
225/45ZR17を採用している。
最高出力は同じだが、
最大トルクは丸目の38kg・mから、
涙目の40.4kg・mに向上した。
これなら不安定な天候の中でも、
安心して鞭を入れることができる。
アルミの手触りが良い、
STI純正のシフトノブが誇らしげだ。
陰になっているがシリアルナンバー付記念プレートが見える。
アルミホイールの剛性は、サスペンショントータルとして見た時に、とても重要な構成要素だ。
このホイールは専用設計で、限界時の変形が極力小さくなるように設計された。
コンチネンタルタイヤとの相性も良い。
新井敏弘のセッティングが売り物だった。
今の魅力はどれほどなのだろう。
前後ともオリジナルの様だ。
15mmダウンされたスプリングの形状が良く解る。
16万キロの走行距離を感じさせない、
とてもしっかりした足回りだ。
この年改モデルから、
フロントにクロスパフォーマンスロッドが装着された。
見えない部分だが、
リヤクロメンの取り付け部を強化した。
取り付け部にメタルブッシュを使い、
高剛性化を極めた。
何しろ前後のトルク配分を、
35:65という初期のGC8の設定に戻したからだ。
マフラーはノーマルだが、
純正品なのでサウンドも悪くないしパワーの出方も正直で良い。
メーターはWRX STIの韻を色濃く表している。
まさにこのデザインは2代目の涙目が源流なのだ。
3連メーターを説明しよう。
デフォルトの状態で一番左側のメーター中央にある、
DCCDのコントロール表示は「AUTO」になっている。
切り替えボタンを押すだけで、
マニュアルとオートが交互に入れ替わる。
マニュアルにしたらロックの表示になった。
切り換えダイヤルがLに振り切っているためだ。
エマージェンシー能力は一番高い。
センターデフの中にある電磁クラッチの締結力を高め、
前後の駆動力を直結にした状態のデファレンシャルギヤだ。
それでダイヤルを一番下にすると、
電磁クラッチの締結力はゼロになり、
F35:R65のトルク配分になる。
この頃70キロを超えていたかもしれない。
懲りないやつです。