羽音が響き渡り、いるだろうとは思ったが、飛び交っているとは思わなかった。
まずシオカラトンボを捕まえて外に出した。
手のひらからフワッと飛び立っていく。
ショールームにお客様が二匹揃って現れた。

もう一羽は、
立派なオニヤンマだった。
イエローグリーンの鎧が素晴らしい。
娘は触れるのを嫌がる。
その方が良い。
この昆虫は肉食で獰猛だ。

うっかり噛まれて痛かった。
出血はしていないが歯形が残った。
何しろ、
あのスズメバチを、
空中で捕食するほどの身体能力を持つ。

ヘルメットのような複眼が素晴らしい。
広い視界を確保し、
抜群の動体視力で獲物を探す。
まさに偵察機の能力を発揮する。
天然の世界でしか作れない、
澄んだグリーンに惚れ惚れする。

そっと手のひらで休ませ、
風に乗せてやる。

偶然ピンぼけだが飛び立つ瞬間が画像に残った。
トンボって覚悟を決めると大人しくなる。
こんなきれいな昆虫を絶対になくしてはいけない。
弱肉強食のサイクルに揉まれ、
清流の近くで育つ美しい生き物。
最近数が減って悲しい。
弱肉強食は我々流通業でもますます激しい。

長年お世話になったキクチメガネから閉店の連絡が届いた。
急いで眼鏡を買った理由は、
中津川から無くなるのが寂しくて、
最後のお世話になろうと思ったからだ。
もう一つの動機付けもあった。
それは葉書だ。
「お得意様だけに」
と但し書きがあった。
特別に割引すると「はがき」に書いてある。
当社も日頃からイベントチケットを作るので、
この案内にホロリとした。

以前も触れたが、
リアルエステートの企業と化したオーミケンシと、
業績復活を狙うユニーの思惑が決裂し、
昭和46年から存在した馴染み深いショッピングセンターが消える。

閉店セールに日本人は弱い。
閉店迄に一度は訪れたいと思っていたので、
残り5日を機会に訪れた。

既にユニーの店舗はほぼ商品が出尽くして、
閑散としている。
本気で閉店するからに他ならない。
悲喜こもごもだ。
これから書くことはクレームでは無い。
嘘に見える「なんてっちゃって企画」が、
この老舗ブランドに似合わない。
もう繰り返さぬ事を願いたい。

老舗眼鏡店のキクチメガネに行き、
先に居たお客さんの後に続いた。
結果的に、
眼鏡フレームとレンズで5万円以上になった。
フレームを選び、
印刷したレンズのメニューを提示された。
閉店セール期間中の、
「おすすめレンズ」が良いと言う。
読めば読むほど良く分からない。
赤い枠で囲まれたレンズが、
一番順応性が高いという。
プロのすすめならそれが一番だろう。
素直に決めた。
あらかじめ招待葉書を渡しておいたので、
割引はどこに書かれているか勘定書を見ながら聞いた。
「レンズが割引商品なので、
葉書の割引はできません」
老眼鏡が要るくらい細かな文字が、
葉書の隅に言い訳がましく並んでいる。
良く読めば、
ありとあらゆる事が、
拡大解釈できるようになっている。
だけど何倍も大きく、
「お得意様」を優待すると書いてある。
明確にエコひいきすると書いた以上、
看板倒れでは困る。
これは、
やってはいけない販促手法だ。
キクチメガネほどの老舗でも、
閉店商法と言う「悪の囁き」に乗るのだ。
それほど弱肉強食の波に飲まれている。
なぜなら、
どの店も、
「この時ばかりは阿吽の呼吸で『嘘』がまかり通る」
そう思っている節があるからだ。
テナントも篩にかけられ、
残る店と残らない店があった。
キクチメガネは残るのだと、
この日眼鏡を買って初めて知った。
それなのに、
「閉店セール」と巧妙に葉書で釣り、
巧妙に割引を避ける。
良くない店が、
良くないやり方で入り込んだ店に拾われるのか。
近親者の間で、
また当社のお得意様の間で、
よく話題に出た。
それは、
「アピタからバローに変わるのは困る」という声だ。
逆に喜ぶ声はどうか。
一度たりとも聞いたことが無い。
バローにもその雰囲気は伝わっているだろう。
意地でもハッとさせる店舗にして欲しい。
今のところ期待するしか無いが、
世間の風は微妙だ。
何しろ、
行きつけの居酒屋は、
皆概ね同じ事を言う。
アピタが無くなると、
お客様に提供できる、
良い鮮魚が手に入らなくなる。
あくまでも商売は弱肉強食だ。
甘い事を言っていたら、
敗者と勝者が簡単に入れ替わる。
それは自動車の世界も同じだ。
むしろ、
これほど弱肉強食が激しい業界は無い。
マツダの動向を見ても解るように、
一寸先は暗闇なので、
敗者になるよりトヨタとの業務提携を選択した。
頼みのディーゼルも暗雲が立ちこめ、
電動化技術や安全技術で後れを取っている。
一部に受ける「オタクエンジン」のロータリーでは、
とても他に太刀打ちできないと踏んだのだろう。
巧妙な記者発表のタイミング。
巧妙な新技術の発表。
おもしろい。
SUBARUが昔、
リチウムイオン電池の先進技術をリリースした時を覚えているか。
振り返ると「株価維持」が目的だった気がする。
キャパシタは10年経っても実現せず、
SUBARUが売り払ったリチウムイオン電池は、
日産が巧妙に取得した。
結果を見ると、
時代が分析できる。
もし軽自動車頼みのSUBARUだったら、
この先真っ暗だったが、
安全技術を前面に出して急場を凌いだ。

これは非常識なWRXのオーナーが、
突起物を装着して突き刺したレガシィだ。
異常な力の掛かり方で、
ストラットの付け根が断裂した。
特異なケースだが、
ぶつけた方も、
ぶつけられた方も、
SUBARUの安全ボディだ。
VABがもし「ぶつからないクルマ」だったら事故は起きなかった。
そう言うのは簡単だ。
でもそれは違うと思う。
VABに「乗る資質」の無い者が操ったからだ。
このような結果を招いたドライバーの様子を聞き、
ぶつけたVABは、
飼い主に恵まれなかったなと思った。

事故は起きる時には立て続けに起こる。
気の毒な事故だ。
これも相手が強引な右折をして、
衝突を回避するために自車を犠牲にした。
相手はそのまま逃げてしまった。
酷いヤツが沢山いる。
いつ自分に降りかからないとも限らない。
他にも事故があった。
長くレガシィを愛用された顧客が、
なぜか突然他車の軽自動車に乗り換えてしまった。
思いも寄らなかったが、
弱肉強食の世界では良くあることだ。
その人は日頃から長距離を走るので、
「軽自動車では安全性に疑問がある」と伝え続けたが、
それは届かぬ声だった。
その軽自動車が、
飛び出した乗用車に側面を当てられ、
いとも簡単に横転した。
そんなことから、
再びSUBARUを選択の対象に当て、
久しぶりに店頭へいらっしゃった。
結果的にトヨタの小型SUVに決められたが、
つくづく感じたことは、
「なんてっちゃって」商品が結構多いと言う事だ。
「商品力」の一言で表せない、
使えば使うほど味が出る深い性能もあれば、
瞬時に見ただけで分かる性能もある。
ふつうの女性は、
色が最優先だったり、
デザインが最優先だったりして、
男性のロジックと違う。
まさにロジックよりインスピレーション、
理論より感性が刺さる。
事故で酷い目に遭ってもやはり、
本音は感性と「わかりやすさ」なのだ。
イベントが終わり、テントも片付けたので、展示場のクルマを並べ替えた。
改めて感じたが、
「なんてっちゃって」を拒むクルマは、
ズバリ「フォレスター」だ。
この二代目も相変わらず高性能で、
展示場でも存在感を誇る。
だがクルマの進歩は遅いようで速い。
たまたま最終モデルを移動した時、
ハッとさせるほどクルマの動きが良かった。

よく大は小を兼ねると言うが、
その言葉がぴったりと当てはまる。
二代目より明らかに扱い易いし、
高いルーフを持つのでサンルーフも適応性が良い。
日本人の多くはサンルーフに価値を認めないが、

昔からフォレスターには、
サンルーフが必須機能だと思っている。
塊感のあるボディは、
いつまで経っても色褪せないし積載性も良い。

リヤゲートが大きいので、
荷物の積み降ろしも楽だ。
変な言い方だが、
これほど「嘘の無い」クルマも珍しいと思う。
嘘の無いすずらん牛乳のソフトクリームは、
老若男女に喜ばれた。

ショールームでソフトクリームをサービスできるのは、
30年来の夢だった。
嘘の無いソフトクリームを出すためには、
相当な努力も必要だった。
一つ一つ問題をクリアし、
ショールームの展示車も外に出し、
イベントを盛り上げた。
工房の奥に新着車も続々と完成して並んだ。

このsportもこの後の目玉になる。
中西さんにお買い上げ戴いたアウトバックも、
工房の奥で大切に保管された。
その横にはソフトクリームマシンに追い出されたXVが、
次の出番を待っている。

XVにはやはりオレンジが一番似合う。
最終型のXVは、
フォレスター以上に年度改良で能力を高めた。
これも良い意味で「嘘の無い」クルマになった。
女性を意識した時、
フォレスターのリヤゲートが大きいと思うなら、
XVはとても良い選択の対象になる。

軽いので良く走るし、
全体的にスポーティなので都会にも似合う。

使いやすさで突出しているのが、
素直なリヤゲートの動きだ。
色々パワー化するご時世だが、
出来れば基本的に機械式で軽い方が理にかなう。

ヒンジに工夫が施され、
大きく開くだけで無く、

閉じる時にストレスを感じない。

こういう良いクルマが、
CH-Rの商品力に負けたのが悔しくてならない。
営業努力が足りないと反省しよう。
更に精進し、
嘘の無い商品を売り続けたいと思う。