胡散臭さと能天気
2017年 09月 15日
月曜日の夜から始まったトレーニングは、
まず座学から幕を開けた。
ドライビングの基本を教わる。
その上でニュルブルクリンクを走るための基礎知識も得る。
この前の登録で自分のグループが解る。
けれど講師と受講者の名前しかわからない。
初めて同じグループが一つに集まる。
講師を中心に食事しながらお互いの緊張を解く。
パートナーと初めて挨拶を交わす。
これも非常に重要なプログラムだ。
翌朝、
自分たちのクルマを受け取り、
ニュルを一周してウオームアップだ。
そしてハンドリングチェックと、
フルブレーキトレーニングの後、
異なるセクションで反復練習が始まる。
これがトレーニング セクションと呼ばれる独特の練習だ。
9つのあるセクションを一日目に4つ消化する。
終わるとその夜もディナーを取りながら雑談する。
余裕をもってレストランに入り、
皆が集まるまで待っていると、
「ここに座っても良いですか」と、
一号車の二人が話しかけてきた。
「勿論です」と答え和気あいあいと夕食を楽んだ。
普段デンマークとは何のゆかりもない仕事をしているので、
彼等の国を良く知らない。
けれど彼らの雰囲気から、
とても親日的であることがうかがわれた。
あらかじめノートに名前を書き写し、
カタカナを振っておく。
そして本人に会ったら読み方が正しいか確認する。
「その通りだ」と言った。
ドミニクさんはコンピューターエンジニアで、
「8時間座りっぱなしで仕事するから、
運動不足で困ったよ」と言っていた。
似たようなもんだよ、と言うと、
「じゃあ全く何もしないのか」と聞き返されたので、
週に二度泳ぐよと言うと、
「俺なんてナッシングだ!」と力を込めて言った。
面白い男だ。
彼等は二人とも日本の事をとても心配してくれた。
デリクさんが、
「キムの奴がミサイルぶっぱなして本当にクレイジーだ」と言う。
キム一族は昔から困った奴らでアングラな事ばかりする国際的な札付きだ。
それは世界共通の認識だろう。
するとドミニクさんがこう付け加えた。
「トランプの野郎はキムよりもっとクレージーで始末が悪い」
その通りだ。
だから「イグザクトリィ。トランプは戦争になったらなったで武器のバーゲンセールをしたいのさ」
A3に初めて燃料を入れたのは、
ハノーファーから戻る時だ。
ホテルを出て、
アウトバーンに乗る前に、
インターチェンジの脇にあるスタンドで入れた。
最近の給油口は差し込みやすい。
日本車もこうすればよいのにと思う。
だがスバルは一切やらない。
欧州と比べ何が問題なのだろう。
ニュルからフランクフルト国際空港に移動した時の記録だ。
抜いて点検した。
話がそれるが、 ワイパーは凄く良い。
スバルが今一つ大人になり切れない理由は、 過去の歴史の中で、 社長が満足に任期を終えた事がほとんど無いという「事実」だ。
初代社長は急逝し、 二代目は労働争議で失脚した。 外から社長を招く間、 長く低迷する時代を経て、 自前のテストコースを作り海外に生産拠点を設けた。 優れた評価を受けるべき社長が、 僅かな赤字で失脚し寂しい最後だった。
後を受けた社長は業績を回復させたが、 疑獄に巻き込まれプリズンに入った。
リリーフした社長はリコール問題に翻弄され、 その後を引き継いだ社長は、 初の首切りを断行せざるを得なかった。
健康問題を抱えた人もいた。 そのような歴史を振り返ると、 フォルクスワーゲン以上にデリケートになるはずだ。 せっかく上手く波に乗った吉永丸を、
順風満帆に航海させ目的地に着かせたい。
おおよそのスパンが決っている経営陣の立場を考えれば、 今のスバルが置かれた状況は、 痛いほど良く解る。
だからリコールの質も変わってきた。
これも以前からこのブログに書くが、 軽自動車のオーナー、 特にサンバーのオーナーはクルマを酷使する割に愛情が乏しい。 野放し状態のサンバーは、 いずれ負の要素で降りかかってくる。
以前KV4で酷い目にあった事を忘れていない。
だからスバルは極めて賢明な選択をした。
サンバートラックのリコールと共に、 潤滑油の管理がしっかりされているかほぼ強制的に調べようとしている。
それが今回のサービスキャンペーンだ。 会社の財務に余裕がある時に、 負の要素をなるべく減らす努力をしている。
だからこそ、 ディーラーもユーザーも更にオトナになる必要がある。
ニュルは大人しか走れない。 少年の心を持つ大人の男がベストかな。
デリクさんとドミニクさんに日本の漢字で名前を付けたら、 ドミニクさんが思いがけない反応をした。
「実は柔術をやってるんだ」
え?柔道の事??
「いや違う、柔術だ。実は試合が来月あるので帯を買うんだ」
へえ。凄いね。
「そこに名前を入れたい。これでいいか」
あ、そう。
じゃあもう少しアレンジするね。
そう言って漢字を少し変え、 正確に紙に書いて渡した。
すると彼は非常に喜び、 すぐその場で写真を撮りメールで送っていた。
当然相棒のキャスパーさんにも渡した。
結構キャスパーは当て字が難しい。
彼も喜んだ。
しばらくしたら彼が小声で「トシ、悪いけど友達にも書いてくれないか」と言う。
いいよ、 そういうと3号車のアレキサンダーが隣に飛んできた。
アレクサンダー エスマンが彼の名前だ。
良いニュル友がまた一人増えた。 アレキサンダーはその事をずっと思っていたらしく、 最終日のペースカーラップの時に思わぬプレゼントをしてくれた。
ペースカーラップとは、 最後の仕上げに一人で乗り込み、 インストラクターについて連続で一周する最終仕上げだ。
彼の番が終わると、 そのまま彼が自分のために用意した、 スマフォのフォルダーにアイフォンをセットしてくれた。
こうしていつもよりきれいなニュルの走行動画を残せた。
オイルは中間値を指していた。
全くの正常値なのにしばらく走るとまた同じ事が起きた。
ボンネットを開けると一旦リセットする。
こうやってかなり激しい警告を出し、
オイル管理をさせないと、
高速道路で焼き付かせるのかもしれない。
ここまで警告しても工場に持ち込まず点検しなければ、
それは自己責任だと言われても仕方がない。
そういう所は強引で、
少し日本人には馴染まないかもしれない。
「すぐ壊れる」と悪い評判につながる恐れもある。
ウオッシャースイッチを作動させると、
決まった時間5か所程から一気に水が噴射され、
絶妙なタイミングで窓を洗う。
こういう洒落たセンスが欧州車に多々ある。
こういうところが大人なんだよね。
彼の名も漢字で書いた。
その場で渡すと物凄く喜んでくれた。
この動画がフォローザリーダーだ。
楽しんでいただけただろうか。
ニュルの話は尽きない。
また機会があるごとに報告したい。
おわり
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at 2017-09-15 17:57
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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たけちゃん
at 2017-09-15 22:29
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いつも、楽しく拝読いたしております。
先日の発表でスバルはデイーゼルエンジンから撤退とのことですが、現行フォレスターが発売された時にEE20型エンジン搭載車の
国内投入を待ちましたが見送られましたね。今回の撤退の件、
どのようなお考えでしょうか?
先日の発表でスバルはデイーゼルエンジンから撤退とのことですが、現行フォレスターが発売された時にEE20型エンジン搭載車の
国内投入を待ちましたが見送られましたね。今回の撤退の件、
どのようなお考えでしょうか?
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b-faction at 2017-09-16 12:22
やまかつさん、この辺りの豆腐は美味しいですよ。水が良いので。ソフトクリームはやめられないですね(笑)
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b-faction at 2017-09-16 12:23
たけちゃん、こんにちは。詳しくは本文で。
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日産乗り
at 2017-09-16 13:28
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はじめまして。
ブログを良く拝見差せてもらっています。
当ブログの中で”ダチア”が胡散臭いと書かれてありますが、
何故に胡散臭いと感じたのか?
それがこの文脈のどこにつながるのかわかりません。
その辺を教えていただけたらと思います。
よろしくお願いします。
ブログを良く拝見差せてもらっています。
当ブログの中で”ダチア”が胡散臭いと書かれてありますが、
何故に胡散臭いと感じたのか?
それがこの文脈のどこにつながるのかわかりません。
その辺を教えていただけたらと思います。
よろしくお願いします。
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b-faction at 2017-09-16 16:03
日産乗りさん、こんにちは。承知しました。この項は加筆されますので随時ご覧になってください。
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わたなべ
at 2017-09-16 17:56
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最近、スバルの大衆迎合化が将来大丈夫なのか?心配です。
VWは極東のマツダエンジン開発姿勢を見習わないと。
三菱はいうに及ばす、ニッサンはリーフやノートの電池に起因する走行距離、新型セレナの薄いくるまの完成度、そとづらあわせの車は危ないと考えます。スバルもその領域に近く、残念です。
VWは極東のマツダエンジン開発姿勢を見習わないと。
三菱はいうに及ばす、ニッサンはリーフやノートの電池に起因する走行距離、新型セレナの薄いくるまの完成度、そとづらあわせの車は危ないと考えます。スバルもその領域に近く、残念です。
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b-faction at 2017-09-16 22:57
わたなべさん、大丈夫です。苦労してるのはどこも同じです。
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jecht
at 2017-09-17 10:09
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欧州のEVプロパガンダはディーゼル疑惑から目をそらすための国家ぐるみの隠ぺい工作でしょう。
電気を作るために掛る環境負荷を考えれば日本メーカーのやっているHV・PHVが現時点ではベストと思いますがね。
電気を作るために掛る環境負荷を考えれば日本メーカーのやっているHV・PHVが現時点ではベストと思いますがね。
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ひょっこり
at 2017-09-17 10:16
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社長おはようございます。
結局は増殖しすぎたディーゼル車の排ガス問題で、あの石原都知事のパフォーマンスは正解だったと思います。しかも厳しい排ガス対策後のディーゼルでも整備の分野でも手を焼いているのだそうで、排ガス浄化装置の清掃の模様を見ると、装置や配管は堆積したススだらけ。
環境といい関係を保つには、ガソリンかLPGのハイブリッドに行きつきそうな気がします。
結局は増殖しすぎたディーゼル車の排ガス問題で、あの石原都知事のパフォーマンスは正解だったと思います。しかも厳しい排ガス対策後のディーゼルでも整備の分野でも手を焼いているのだそうで、排ガス浄化装置の清掃の模様を見ると、装置や配管は堆積したススだらけ。
環境といい関係を保つには、ガソリンかLPGのハイブリッドに行きつきそうな気がします。
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b-faction at 2017-09-17 17:47
jechtさん、「胡散臭さ」をご理解いただけて嬉しいです。内燃機もまだまだこれからです。
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b-faction at 2017-09-17 17:48
ひょっこりさん、アウトバーーンで使うと魅力的ですが、国内の渋滞路を主体とした使い方はきついですね。
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日産乗り
at 2017-09-18 09:44
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ブログで再度取り上げて頂きありがとうございました。
何となくですが言いたい事が理解出来ました。
今乗っている日産車を購入する時にフォレスターも検討したんですが、今までの日産ディーラーとの付き合いや、わずかにスタイルの好みで日産に決めました。
ですが次はスバルと密かに決めてます。
その時は、お店にお邪魔したいと思います。
何となくですが言いたい事が理解出来ました。
今乗っている日産車を購入する時にフォレスターも検討したんですが、今までの日産ディーラーとの付き合いや、わずかにスタイルの好みで日産に決めました。
ですが次はスバルと密かに決めてます。
その時は、お店にお邪魔したいと思います。
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b-faction at 2017-09-18 11:49
日産乗りさん、おはようございます。ご来店される日を楽しみに待ちますね。
by b-faction
| 2017-09-15 18:24
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