マリオもぞっこんのS208だ。
仮にも「S」に対して、
背後から鉄砲を撃つ真似はできなかった。
だから良い所から見出そう。
少し安直なコンセプトでも、
S208を待つ人はやはり多く、
メーカーの想定する見込客はしっかり存在した。
しかし、
このように特殊なクルマを全ての営業拠点で売ること自体が、
本来絶対に無理なことだ。
国内マーケティングに関わるスタッフは、
これに乗じて調子に乗らず、
本当に原点から売り方を考えたほうが良い。
そしてSTIも「ヘリテージ」を根幹から見直す。
安直な企画でこれまでのブランドを擦り減らすのではなく、
本気で作りたいものを作れる環境を切り開くことだ。
その商品の戦闘力で顧客の財布を開く。
すなわち既存のスバルブランドに頼って売る姿勢から、
根本的に抜け出す必要がある。
だから死ぬ気になって働かないと実現不可能だ。
良い親分が居る環境で、
死ぬ気で働くべきだろう。
前のブログでも、
10年偉大なり、
20年畏るべし、
30年で歴史が生まれる。
と書いたが、
30年続くからSTIには価値があるのだ。
その全てを知る人間が少なく、
STIのイメージだけが一部で深く潜行している。
その30周年を迎えるにあたり、
STIは間違いなく特別仕様車を準備しているはずだ。
平川社長がリークしたとまことしやかに伝わる理由は、
「鬼」と恐れられる一面を持つ以上に、
実はとても素直で真面目な人物だからに他ならない。
現在のスバルが世界一の安全性能を実現した理由は、
SUBARUに平川良夫が居たからだ。
それぐらいの執念があるから、
沈滞気味だったSTIの血流が良くなった。
S207の開発終了間際に、
19インチタイヤを、
255にサイズアップした。
あれも彼の拘りだった。
見えない部分に開発投資が必要だ。
今度はタイヤそのものを変えた。
ダンロップと専用タイヤを開発して採用した。
何がどう違うのか、
早く試してみたいものだ。
もしカーボンルーフが無ければ、
このクルマの価値は半減しただろう。
それを引っ張り出したのも彼の手腕だ。
出力に拘り、
誤差のようなものではあるが、
出力トルク共に1ずつ上回った。
その辺りも、
彼の手腕だと思っている。
でもいくら頑張った所で、
SUBARUの営業部隊が商品を売るとなると、
その範疇から飛び出せる訳がない。
典型的な証拠が、
このカタログだろう。
誰の仕業でこんな風になったのだろう。
中途半端だ。
値打ちの無いカタログになった。
コックピットに収まると、
S207とほぼ同じだが、
パドルシフトと似たレバーが装備された。
森さんらしいアイディアで、
実際に効果がある。
分かり易く言うと、
昔からスバル車は雨の日に調子が良い。
理由は解らなかったが、
SUBARU1300Gも雨が降ると力強くなった。
ターボ車は吸気の温度が気化熱を奪われて下がり易くなる。
なので、
如実に体感できる。
レバーを4度ほど押し水を噴霧すると、
インタークーラーの温度が下がる。
競技車に採用していた装置を搭載したわけだ。
でも実際にこのクルマを見て、
物足りないと感じた人は多い。
なぜか。
新しいものが一つもないからだ。
センターコンソールのSIドライブ切り替え装置も、
以前と同じで芸が無い。
過去の活用をするなら、
片方のパドルスイッチをS#用にした方が良いと提案した。
森さんは前向きに検討すると言われた。
決して悪いクルマでは無いので、
当選した人はぜひ買うべきだ。
さて見直すべきことも話す必要がある。
ここでシートが気になった。
クルマの価格が納得できる内容で上昇するなら良いのだが、
要らないものまでキャリーオーバーして値上げするのは良くない。
平川流の徹底的な見直しの中で、
何故シートに手が入らなかったのか不思議だ。
率直に言ってレカロのシートを採用する理由は無い。
このシートが全体のコストの中でどの程度を占めるのか知らないが、
改めて座ると大きな意味を持たないように感じた。
と言うのも、
BRZのシートがなかなか良い。
SVXに付いていたレカロより、
BRZのシートの方が体に合う。
当然BRZに採用されるくらいだから、
コスト圧縮の努力は相当の物だろう。
1kwと1N・mに拘る割に、
軽量化に対する執念が垣間見えない。
と言うわけでBRZのシートを製作するパートナー企業を訪問した。
どうしても座れと言われ、
最初はしぶしぶ座ったが、
出来の良さに驚いた。
後席のシートにはマッサージ機能がある。
そんなジジ臭い装備はトヨタ風で嫌だとステレオタイプを持っていた。
これがなかなか良くできている。
マッサージチェアーの構造は知らないが、
このシートの構造は良くわかった。
あちこちに並んだパッドに正確な流量でエアーが送られる。
まるで血管のように見えたので、
「なぜ色が違うのか」と聞くと、
「間違えて繋がないためです」と明確な答えが返った。
ドライーバーズシートには、
本当にたまげてしまった。
ステレオタイプを持つのは明快に映ったようで、
森下さんは馬鹿にしている気配が解ったのか、
「とにかく一度座ってほしい」と熱心に言われる。
一つ一つの説明が的を得ているし、
開発者の姿が見えて素晴らしかった。
レクサスだけに使わせるのは惜しいシートだ。
蒸れないための工夫も凄い。
ドライバーズシートの場合は、
後席のコンフォートシート違うシステムが組み込まれている。
ただ気持ち良くするマッサージでは、
眠気を誘引して危険だ。
だから長時間座る事を考慮しお尻から下の鬱血を取り除くよう、
マッサージパッドが独特の動き方をする。
これには感動した。
なぜなら新型XVで感じた柔らかさによる鬱血部を、
とっくの昔に解析した様子が分かったからだ。
まさにあの時の不快感を払拭するシートだった。
昨年トヨタのGRMN86に乗り、
本来STIがやらなければならない事を、
トヨタが進めている事実を知った。
その出来栄えはとにかくとして、
隅々まで徹底的に割り切り軽量化を目指した姿勢に脱帽した。
SUBARUとSTIのブランドコントロールも、
今後その方向性で進めないと、
ブランドを擦り減らすだけで育てることにはならない。
STIが安易にレカロに頼る姿勢には、
ちょっと最近辟易としている。
昔のレカロを拒絶していた、
硬派なGC8の時代は、
自ら作るシートを絶賛していたはずだが遠い過去の話だ。
最新のGRMNのシートが展示されていた。
一体感のある座り心地で、
セミアリニンレザーを使わなくても、
高級感のあるシートは開発可能だ。
要するに表皮を先に作って、
高精度に縫製し発泡ウレタンを注入する。
相当の自信作で、
バーチャル体験も可能になっていた。
改めて紹介したい。
トヨタ紡織株式会社
シート事業本部
シートSSセンター
第三シート設計部の部長を務められる、
森下健太郎さんだ。
非常に熱心な開発者で、
STIにとって、
良いパートナーになると確信した。
STIのコンセプトは揺れに揺れている。
静かでゴージャスな面も持つGTを作りたいのなら、
レカロより座面にマッサージ機能のあるこちらのシートが良い。
RAの様に戦闘力を増すのなら、
バリューで軽いシートを日本メーカーに作ってもらう方が良い。
STIは他のブランドとコラボして、
自らの価値を高める必要が無いと思うからだ。
セミアリニンレザーで覆われたシートを持つクルマにとって、トランクのトリムをめくりあげ、
水を差し込む姿が似合うだろうか。
トランクを開けるとフロアにカーペットが敷かれている。
まずそれを上にめくる必要がある。
そうすると更に下の発泡スチロールで作ったトレイが現れる。
簡単そうで引っかかると外すのに厄介だ。
そもそもセダンのトランクは、
見えてはいけない物を積みっぱなしにする場所だ。
それらも考慮しないといけないだろう。
そもそも競技車ベースのクルマとは違う。
こんなに面倒なのに、
キャリーオーバーする心境が理解できない。
Sのコンセプトが壁に突き当たったのと、
RA-Rを作りたくても作れないジレンマが如実に表れている。
こうして考えて、
ますます「S」や「RA-R」を専売化する必要性を感じた。
一定の要件、
それは専用ショールームの存在と、
完全にヘリテイジを説明できる販売員の在籍だ。
それに加えSTIパーツを年間最低100万円以上売る能力を持つ事。
まずこの要件を満たさないと、
売る側の理想的な姿を構築できない。
その上でお客様を選抜すれば、
誰からも文句が出ないだろう。
しかも札束で横っ面をはたくようなことも不可能になる。
業者による高価格転売もできないから、
悪戯な申し込みもできない。
10年偉大なり、
STIは10年間頑張り続け世界の頂点に連続で3回立った。
その証拠、
すなわちヘリテイジが22Bだ。
中津スバルはその価値を誰よりもよく知るから、
20年間新車のまま持ち続けた。
20年畏るべしだ。
そして30年で歴史が生まれる。
STIがその存在を誇示する時がついに来た。
だから凄いクルマを出すだろう。
誰に売るのか。
国内マーケティングが、
外注で抽選を依頼する様な、
他社を模倣した責任逃れはもうやめよう。
22Bは永久に売るつもりが無いけれど、
その他の「S」は購入した後に自由に売った。
何しろS201以外は、
Sシリーズ全てを購入した自負がある。
だから一度は欲しがる人が多かったので、
S207をお客様にお譲りしても良いと思った。
一旦販売するようになると、
購入目的より興味本位の来店や問い合わせが増えた。
だから専門店としてスッパリ販売を打ち切った。
それ以来展示目的で保存している。
今後のSシリーズや、
それを上回るような企画に関して、
STIは矜持を正しファンをまず優先すべきだ。
「誰でも公平に」は、
裏を返せば責任逃れだ。
販売できる店舗をSTIがまずしっかり決める。
その店になるためには、
無闇な転売をしてはいけないと思った。
そして現在Sシリーズを所有している人に対して、
真っ先に乗り換える提案を出す。
その上で余ったクルマが出た時に、
抽選を公示すればよい。
特に歴史的な30周年を、
ファンと共に祝いたいなら浮かれた抽選を慎もう。
まず22Bやこれまでに出たSシリーズを所有する人に、
真っ先に情報を公開し買うか買わないかを決めてもらう。
その上で、
予定台数を上回る様なら、
所有している人から先に公平な抽選をすれば良い。
それぐらい凄いクルマを、
どの店でも売れるはずがない。
転売目的も第一次でシャットダウンできる。
STIを怒らせたら次が無いと思わせるぐらいでないと、
本物のファンはついてこなくなるだろう。
ここまではっきりモノをいう以上、
S208が当選したら購入せねばならない。
そして実際に乗って、
カーボンルーフの凄さや、
新しいエンジンの良さをこのブログのファンに伝えるべきだ。
そしてS207を欲しい人にお譲りし、
次の凄いのが現れるのを待つ。
優先順位を上げるためには、
運だけでなく顧客側の努力も必要になる。
それこそが、
ウインウインの関係じゃなかろうか。
テストの時間になった。
急いだので誤字脱字はご勘弁を。
質問があれば正式なお名前でコメントしてほしい。