昨日のブログでフィーリング全般を述べた。
今度はなぜこんなに変化したのか調べてみた。

シリンダーブロックの接合面に、
識別記号が付いており、
QRコードの様なモノも見える。
これまでも付いていたのかもしれないが、
あまり意識して見た事が無かった。
過去最高の生産台数を、
製造拠点を増やさずにカバーした実力は、
こうした様々な工夫の積み上げだろう。
テンロクエンジンは直噴化を見送られたが、
それ以外の2リットルに投じられた技術は反映されている。
実はSUBARUから、
このクルマが発表された時、
技術的な詳細を一切聞いていない。
普通なら商品研修会があるのだが、
このクルマから省略されてしまった。
思い起こすと、
この時から始まっていたのかもしれない。
SUBARUを製造する現場と、
商品を企画する現場と、
販売最前線を統括する営業の扱いが、
どうも少しずつ歯車を狂わせ、
それが昨今の大量リコールに繋がったとも言える。
エンジンルームをつぶさに見た。
昔なら助手席の足元に付いていて、
雨の侵入で不具合を起こしたものだが、

今ではエンジンコントロールユニットを、
エンジンルームの中に置くようになった。
サプライヤーはDENSOだ。

日本製だと誇らしげに書かれている。
DENSOに対するサプライヤーが中津川にある。
だからSUBARUに搭載される部品も、
「中津川産」がふえた。
逆にターボはIHIからハネウエルに全量切り替えたため、
中津川で生産する部品の供給が補用品を除くとゼロになった。
ところで中津川には富士通テンが昔からあり、
かなりの業容を成していた。
無電波の研究施設もあり、
中津スバルの前をソナーを付けたテスト車が走り回っている。
トヨタと旧富士重工が協業して以来、
SUBARU車にも富士通テン製の部品搭載が始まり、
工場への出入りが許されるようになった。
それは当社にとって大きなメリットだ。
何しろ以前は、
スバル車に乗る社員はメインの駐車場にクルマを置けなかった。
ほぼ締め出されていたので、
今とは雲泥の差がある。
元々テンという会社はカーラジオで有名だった。
そしてカーステレオで成長した。
幼少期にはいわゆる電装屋の看板に、
でかでかと「テンカーステレオ」と文字を切らずに大書きされていた。
カーステレオなど知らない時代だから、
一般人にはテンカーと言うステレオが出来たのだと誤解させた。
そのテンが富士通の子会社となった。
そして更にトヨタと関係が深いDENSOが、
富士通テンを傘下に収めた。
中津川市の産業勢力図にも、
大きな影響を与える出来事だった。
中津川にあるDENSOのサプライヤーは、
地域に根付いた伝統企業だ。
この企業の系列に、
富士通からDENSOに冠を変えたテンが入った。
どういう事になるか想像がつくだろう。
これまでは歴史的に三菱電機が中津川の産業をリードした。
と言う事は勢力地図も家電から自動車へ移行が続くだろう。
テンと言う会社は中島飛行機と縁がある。
中島知久平が創業する時、
川西清兵衛がパトロンだった。
テンの本拠地れで中津川テンに神戸から転勤が多い。
創業の地は今でもそのまま神戸工場して残る。
知久平は清兵衛と仲たがいし、
出資金を返すか忠誠を誓えと選択を迫られた。
知久平の方が一枚上手で、
返せるはずが無いと思っていた金を用意し、
清兵衛と袂を分かった。
清兵衛もしたたかだから、
そのまま「はい」では済まない。
中島飛行機から引き抜いた人材を使い、
川西航空機を創設した。
今ある新明和のルーツが川西航空機だ。
飛行艇を作らせたら世界的にトップの実力を誇る。
面白い縁が続く。
その新明和に売却した伝統の製品がある。
それはスバル独自で開発した「富士マイティー」だ。
それを商社やメンテ部門と共に丸ごと売却したのも記憶に新しい。
選択と集中で随分色々売却したが、
航空機だけは簡単に手放す事を許されない。
そこは不幸中の幸いだったかもしれない。
当時は東芝をモデルにして、
日本中で選択と集中がもてはやされたが、
如何に危ういか最近の東芝を見ればわかる。
さてXVの細部に戻ろう。
エアダクトには坂本工業の刻印がある。

マフラーをメインとする会社だと思っていたが、
吸気系の射出成型も得意なのだ。
STIゲノムを作ったので、
スポーツマフラーをリリースする能力もある。
昨今の増産で以前のように「道楽仕事」は出来ないが、
元々ポテンシャルの高い企業だ。

「制動」の要にはドイツのアーテが以前から採用されている。
このアーテがコンチネンタルに属する企業で、
油圧装置は実質的にコンチネンタルの製品だ。
コンチネンタルそのものも、
今ではシェフラーグループなので、
リニアトロニックのベルトを供給するルーク社と同じ仲間になる。
だからコンチは日本でタイヤの販売に力を注がなくても、
良い技術は燻蒸されるし良いタイヤも作れる。
ドイツでのシェアが高いのは、
そんな理由からだろう。
流石に日本に於ける知名度の低さを放置できなくなり、
タイヤ部門を独立させ、
コンチネンタルタイヤ・ジャパンを創設した。
これで中津スバルが、
コンチネンタルを推す理由がお分かり戴けただろう。
他にも興味深い事実がある。
鼻持ちならないフランス企業の刻印もあるじゃないか。
自分の金では絶対に行きたくない国の一つだ。

バレオはどちらかと言うと灯火器のメーカーだ。
あの傲慢なゴーンが来てから、
日産が立ち直ったのではなく、
全くの外資系企業に変遷したことが良く解る。
芙蓉グループはオノ・ヨーコで有名な安田財閥を中心に出来上がった。
その芙蓉グループと日産コンツェルンは親密だった。
更に日産コンツェルンの一角は日立グループだ。
こういう背景があり、
富士重工の時代には日立からの部品調達が多かった。
けれど富士重工には良い部品を系列を超えて導入する伝統がある。
典型的な例がエアコンだ。
軽自動車が新世代に移行する大きな流れの中で、
革新的なFF「REX」が誕生した時、
そのユニットはデンソーから納入された。
それ以前にはカークーラーしかない時代だ。
A33型レオーネには、
SUBARUで最初にカーエアコンが導入されたが、
日立製の出来が悪くコンプレッサーがよく焼き付いた。
FFレックスに続き、
サンバーがフルモデルチェンジすると、
そちらのエアコンは日立が納入した。
何しろ100%オプションだった時代なので、
付けるのも大変だった。
バンはトラックでに比べ室内容量が大きいので、
サンバートライ用はサブコンデンサーを持つ複雑な構造だった。
軽いFF「REX」に比べ、
日立に対する要求性能も高かったのだろう。
軽自動車を双方使い比べると、
日立のシステムが明らかに劣った。
当時、
REXに実力を評価してDENSOを装着した感じた。
サンバーのエアコン開発には苦労が絶えず、
その後はヂーゼル機器(のちのゼクセル)が開発を担当した。
ゼクセルも今は無く、
ボッシュの完全子会社となった。
その時にエアコン部門がフランスのバレオに売却された。
ブランドはバレオだがメードインジャパンで、
日本のモノづくりが外資に買収される様子が見て取れる。
ゴーンが来たのは日産がだらしないからで、
三菱自動車がゴーンの手に渡ったのも彼らが甘ったるいからだ。
今ではトランスミッションのアツギユニシアも、
日産系列の灯火器メーカーだった市光工業もバレオの傘下だ。
フランス系外資企業と言う訳だ。
長い間に渡り中津川には市光工業の製造工場があった。
それが突然閉鎖することになり、
その売却先はDENSOのサプライヤーだ。
今も生産拠点の拡大が続いている。
XVのオルタネーターを見てみよう。
これには、
純国産のラベルが付いている。

その奥には見慣れないクーリングユニットがある。

これは2リッターと同様に、
テンロクにも採用されたCVTフリュードクーラーだ。
俊敏に変速するために閾値を高める。
燃費の変動が少ないのは、
CVTによる恩恵がかなりある。
なるほど、
新しいリニアトロニックの積極的なステップ制御は、
様々な技術の蓄積で成り立っている。
スバルらしい走りの裏打ちだと思う。
もう一つの美点は電動パワステだ。
サプライヤーは知らないが、
カヤバではない事は間違いないだろう。

新型レガシィでドイツを走った時、
現地の道路状況でレガシィの電動パワステが、
如何にも低いレベルに感じてしまった。
飛ばさない人には解らないだろうが、
左右の手ごたえに差があり、
しかも高速道路のカーブにある繋ぎ目を踏むと、
キックバックを感じてしまう。
これはレガシィに限らず、
電動パワステのネガだから各社共通の特徴だ。
ところがSGPを採用し、
それに合わせたステアリングギヤ比を用いたところ、
全く問題を感じなくなった。
なんと以前のSシリーズ並みの13:1で、
つまり電パそのものが、
システムごと大きく変わり、
まるでtSのように不自然さを感じない。
ストラットのてっぺんも形が違う。
ストラットの動きも良く、
サプライヤーを知らないが、
もしショーワの製品なら「流石」だろう。
XVのtSにはこれが使われていたのかもしれない。
それくらい味が良くなった。

それよりも重要なのがこの辺りの骨格部分で、
東亜工業が作っている。
独自の開発を貫き、
その技術はサスペンションの耐久力まで高めるほどの、
優れたプレスパーツを作る。
ここから後部に移ろう。
テールゲートに目を移す。

アンテナはルーフレールとセットでシャークフィンになった。
ちょっと時代遅れの感もあるが、
レールをレスすると黒く短いアンテナになる。

尻上がりの造形が美しい。
それでいて全く腰高感の無い走りは、
リヤサスの剛性が高くしっかりグルリップするからだ。
ストローク量も十分で、
乗り心地も良い。

良くバランスした優等生のタイヤだ。
500kmくらいでは「屁でもない」という表情をしている。

但しあまり面白味の無いタイヤでもある。
静かで燃費も良いし、
乗り心地に問題がある訳でもない。
一言で表現すると「無個性」と言うのか、
これと言った印象が無い。
ヘッドライトにはお金がかかっていて、
強い眼力を持ち照らす能力も高い。

ヘッドライトのサプライヤーは、
バレオの傘下にある市光工業だ。

薬品会社も合併に合併の連続で、
フランス系の企業も多い。
自動車業界も同じように、
表面には出ない所で様々なドラマが繰り広げられていた。
シートのデザインは美しいが、
構造の見直しは必要だろう。

目線を座面に移す。
出たばかりの頃に比べると、
腰や臀部に緊張感を持たせなくなった。
とは言うものの、

誰も座らなかった助手席とくらべ、
運転席の座面は様子が一目で解るほど違う。

最新型の新車でもはっきりと形が変わる。
でもデビューした時の高速走行時の印象より、
最新型の高速道路で感じる印象は良い。
その理由はクルマを両手で持ち上げ、
左右に揺さぶるような動きが減ったからだ。
昨年のクルマも慣らしが進み、
クルマ全体に馴染むとユサユサ感が消えていった。