人気ブログランキング | 話題のタグを見る

GT3型XVの細部を調べる

さてB型XVの続きを語ろう。
昨日のブログでフィーリング全般を述べた。

今度はなぜこんなに変化したのか調べてみた。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20504100.jpg
シリンダーブロックの接合面に、
識別記号が付いており、
QRコードの様なモノも見える。

これまでも付いていたのかもしれないが、
あまり意識して見た事が無かった。

過去最高の生産台数を、
製造拠点を増やさずにカバーした実力は、
こうした様々な工夫の積み上げだろう。

テンロクエンジンは直噴化を見送られたが、
それ以外の2リットルに投じられた技術は反映されている。

実はSUBARUから、
このクルマが発表された時、
技術的な詳細を一切聞いていない。

普通なら商品研修会があるのだが、
このクルマから省略されてしまった。

思い起こすと、
この時から始まっていたのかもしれない。

SUBARUを製造する現場と、
商品を企画する現場と、
販売最前線を統括する営業の扱いが、
どうも少しずつ歯車を狂わせ、
それが昨今の大量リコールに繋がったとも言える。

エンジンルームをつぶさに見た。
昔なら助手席の足元に付いていて、
雨の侵入で不具合を起こしたものだが、
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20505906.jpg
今ではエンジンコントロールユニットを、
エンジンルームの中に置くようになった。

サプライヤーはDENSOだ。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20511098.jpg
日本製だと誇らしげに書かれている。

DENSOに対するサプライヤーが中津川にある。

だからSUBARUに搭載される部品も、
「中津川産」がふえた。

逆にターボはIHIからハネウエルに全量切り替えたため、
中津川で生産する部品の供給が補用品を除くとゼロになった。

ところで中津川には富士通テンが昔からあり、
かなりの業容を成していた。

無電波の研究施設もあり、
中津スバルの前をソナーを付けたテスト車が走り回っている。

トヨタと旧富士重工が協業して以来、
SUBARU車にも富士通テン製の部品搭載が始まり、
工場への出入りが許されるようになった。

それは当社にとって大きなメリットだ。
何しろ以前は、
スバル車に乗る社員はメインの駐車場にクルマを置けなかった。
ほぼ締め出されていたので、
今とは雲泥の差がある。

元々テンという会社はカーラジオで有名だった。

そしてカーステレオで成長した。
幼少期にはいわゆる電装屋の看板に、
でかでかと「テンカーステレオ」と文字を切らずに大書きされていた。

カーステレオなど知らない時代だから、
一般人にはテンカーと言うステレオが出来たのだと誤解させた。

そのテンが富士通の子会社となった。

そして更にトヨタと関係が深いDENSOが、
富士通テンを傘下に収めた。

中津川市の産業勢力図にも、
大きな影響を与える出来事だった。

中津川にあるDENSOのサプライヤーは、
地域に根付いた伝統企業だ。

この企業の系列に、
富士通からDENSOに冠を変えたテンが入った。
どういう事になるか想像がつくだろう。

これまでは歴史的に三菱電機が中津川の産業をリードした。
と言う事は勢力地図も家電から自動車へ移行が続くだろう。

テンと言う会社は中島飛行機と縁がある。

中島知久平が創業する時、
川西清兵衛がパトロンだった。

テンの本拠地れで中津川テンに神戸から転勤が多い。
創業の地は今でもそのまま神戸工場して残る。

知久平は清兵衛と仲たがいし、
出資金を返すか忠誠を誓えと選択を迫られた。

知久平の方が一枚上手で、
返せるはずが無いと思っていた金を用意し、
清兵衛と袂を分かった。

清兵衛もしたたかだから、
そのまま「はい」では済まない。
中島飛行機から引き抜いた人材を使い、
川西航空機を創設した。

今ある新明和のルーツが川西航空機だ。
飛行艇を作らせたら世界的にトップの実力を誇る。

面白い縁が続く。
その新明和に売却した伝統の製品がある。
それはスバル独自で開発した「富士マイティー」だ。
それを商社やメンテ部門と共に丸ごと売却したのも記憶に新しい。

選択と集中で随分色々売却したが、
航空機だけは簡単に手放す事を許されない。
そこは不幸中の幸いだったかもしれない。

当時は東芝をモデルにして、
日本中で選択と集中がもてはやされたが、
如何に危ういか最近の東芝を見ればわかる。

さてXVの細部に戻ろう。
エアダクトには坂本工業の刻印がある。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20512272.jpg
マフラーをメインとする会社だと思っていたが、
吸気系の射出成型も得意なのだ。

STIゲノムを作ったので、
スポーツマフラーをリリースする能力もある。

昨今の増産で以前のように「道楽仕事」は出来ないが、
元々ポテンシャルの高い企業だ。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20513668.jpg
「制動」の要にはドイツのアーテが以前から採用されている。

このアーテがコンチネンタルに属する企業で、
油圧装置は実質的にコンチネンタルの製品だ。

コンチネンタルそのものも、
今ではシェフラーグループなので、
リニアトロニックのベルトを供給するルーク社と同じ仲間になる。

だからコンチは日本でタイヤの販売に力を注がなくても、
良い技術は燻蒸されるし良いタイヤも作れる。

ドイツでのシェアが高いのは、
そんな理由からだろう。

流石に日本に於ける知名度の低さを放置できなくなり、
タイヤ部門を独立させ、
コンチネンタルタイヤ・ジャパンを創設した。

これで中津スバルが、
コンチネンタルを推す理由がお分かり戴けただろう。

他にも興味深い事実がある。

鼻持ちならないフランス企業の刻印もあるじゃないか。

自分の金では絶対に行きたくない国の一つだ。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20525399.jpg
バレオはどちらかと言うと灯火器のメーカーだ。

あの傲慢なゴーンが来てから、
日産が立ち直ったのではなく、
全くの外資系企業に変遷したことが良く解る。

芙蓉グループはオノ・ヨーコで有名な安田財閥を中心に出来上がった。

その芙蓉グループと日産コンツェルンは親密だった。
更に日産コンツェルンの一角は日立グループだ。

こういう背景があり、
富士重工の時代には日立からの部品調達が多かった。

けれど富士重工には良い部品を系列を超えて導入する伝統がある。

典型的な例がエアコンだ。

軽自動車が新世代に移行する大きな流れの中で、
革新的なFF「REX」が誕生した時、
そのユニットはデンソーから納入された。

それ以前にはカークーラーしかない時代だ。
A33型レオーネには、
SUBARUで最初にカーエアコンが導入されたが、
日立製の出来が悪くコンプレッサーがよく焼き付いた。

FFレックスに続き、
サンバーがフルモデルチェンジすると、
そちらのエアコンは日立が納入した。

何しろ100%オプションだった時代なので、
付けるのも大変だった。

バンはトラックでに比べ室内容量が大きいので、
サンバートライ用はサブコンデンサーを持つ複雑な構造だった。

軽いFF「REX」に比べ、
日立に対する要求性能も高かったのだろう。

軽自動車を双方使い比べると、
日立のシステムが明らかに劣った。

当時、
REXに実力を評価してDENSOを装着した感じた。

サンバーのエアコン開発には苦労が絶えず、
その後はヂーゼル機器(のちのゼクセル)が開発を担当した。

ゼクセルも今は無く、
ボッシュの完全子会社となった。

その時にエアコン部門がフランスのバレオに売却された。
ブランドはバレオだがメードインジャパンで、
日本のモノづくりが外資に買収される様子が見て取れる。

ゴーンが来たのは日産がだらしないからで、
三菱自動車がゴーンの手に渡ったのも彼らが甘ったるいからだ。

今ではトランスミッションのアツギユニシアも、
日産系列の灯火器メーカーだった市光工業もバレオの傘下だ。

フランス系外資企業と言う訳だ。

長い間に渡り中津川には市光工業の製造工場があった。

それが突然閉鎖することになり、
その売却先はDENSOのサプライヤーだ。

今も生産拠点の拡大が続いている。

XVのオルタネーターを見てみよう。
これには、
純国産のラベルが付いている。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20530361.jpg
その奥には見慣れないクーリングユニットがある。

GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20531627.jpg
これは2リッターと同様に、
テンロクにも採用されたCVTフリュードクーラーだ。

俊敏に変速するために閾値を高める。
燃費の変動が少ないのは、
CVTによる恩恵がかなりある。

なるほど、
新しいリニアトロニックの積極的なステップ制御は、
様々な技術の蓄積で成り立っている。

スバルらしい走りの裏打ちだと思う。

もう一つの美点は電動パワステだ。
サプライヤーは知らないが、
カヤバではない事は間違いないだろう。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20533133.jpg
新型レガシィでドイツを走った時、
現地の道路状況でレガシィの電動パワステが、
如何にも低いレベルに感じてしまった。

飛ばさない人には解らないだろうが、
左右の手ごたえに差があり、
しかも高速道路のカーブにある繋ぎ目を踏むと、
キックバックを感じてしまう。

これはレガシィに限らず、
電動パワステのネガだから各社共通の特徴だ。

ところがSGPを採用し、
それに合わせたステアリングギヤ比を用いたところ、
全く問題を感じなくなった。

なんと以前のSシリーズ並みの13:1で、
つまり電パそのものが、
システムごと大きく変わり、
まるでtSのように不自然さを感じない。

ストラットのてっぺんも形が違う。
ストラットの動きも良く、
サプライヤーを知らないが、
もしショーワの製品なら「流石」だろう。

XVのtSにはこれが使われていたのかもしれない。
それくらい味が良くなった。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20534316.jpg
それよりも重要なのがこの辺りの骨格部分で、
東亜工業が作っている。

独自の開発を貫き、
その技術はサスペンションの耐久力まで高めるほどの、
優れたプレスパーツを作る。
ここから後部に移ろう。
テールゲートに目を移す。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20535770.jpg
アンテナはルーフレールとセットでシャークフィンになった。
ちょっと時代遅れの感もあるが、
レールをレスすると黒く短いアンテナになる。

GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20541075.jpg
尻上がりの造形が美しい。

それでいて全く腰高感の無い走りは、
リヤサスの剛性が高くしっかりグルリップするからだ。

ストローク量も十分で、
乗り心地も良い。

GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20542325.jpg
良くバランスした優等生のタイヤだ。

500kmくらいでは「屁でもない」という表情をしている。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20543279.jpg
但しあまり面白味の無いタイヤでもある。
静かで燃費も良いし、
乗り心地に問題がある訳でもない。

一言で表現すると「無個性」と言うのか、
これと言った印象が無い。

ヘッドライトにはお金がかかっていて、
強い眼力を持ち照らす能力も高い。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20554631.jpg
ヘッドライトのサプライヤーは、
バレオの傘下にある市光工業だ。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20555747.jpg
薬品会社も合併に合併の連続で、
フランス系の企業も多い。
自動車業界も同じように、
表面には出ない所で様々なドラマが繰り広げられていた。

シートのデザインは美しいが、
構造の見直しは必要だろう。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20560949.jpg
目線を座面に移す。
出たばかりの頃に比べると、
腰や臀部に緊張感を持たせなくなった。
とは言うものの、
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20562220.jpg
誰も座らなかった助手席とくらべ、
運転席の座面は様子が一目で解るほど違う。
GT3型XVの細部を調べる_f0076731_20563769.jpg
最新型の新車でもはっきりと形が変わる。
でもデビューした時の高速走行時の印象より、
最新型の高速道路で感じる印象は良い。

その理由はクルマを両手で持ち上げ、
左右に揺さぶるような動きが減ったからだ。

昨年のクルマも慣らしが進み、
クルマ全体に馴染むとユサユサ感が消えていった。

この感じが全てに共通か間も無くわかる。
楽しみだ。

Commented by ソバのカンちゃん at 2018-03-02 17:51
お世話様です。お礼が遅くなりました。この前は、お手紙ありがとうございました。すごく嬉しかったです!昔、GC8 Stiに乗っていた頃、改造もしていないのに、普通に乗ってるだけで、エアフロセンサーが壊れてました!確かその当時のメーカーは、日立ユニシア【ユニシアジャックス】だったような覚えがあります。今ではDENSOになり、安心感があります。
Commented at 2018-03-02 20:17
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by b-faction at 2018-03-02 20:34
ソバのカンちゃん、今晩は。あの頃、エアフロセンサーは一定期間でほとんど壊れてましたね。
Commented by b-faction at 2018-03-05 15:43
TSUBASAさん、ご指摘ありがとうございます。追記しておきます。ご来店を楽しみにしています。
名前
URL
削除用パスワード
by b-faction | 2018-03-01 21:11 | Comments(4)

毎日の活動やスバルについてご紹介します


by b-faction