神聖なクルマ造りと幼稚なクルマ作り
2018年 05月 10日

天下の東京もGWウイーク明けだと人影が薄い。
俯瞰すると良く解る。
長い休みの後はいつもこうだ。
丸の内の再開発も終わりを迎え、
煩雑だった景色が姿を消した。
東京を季節を巻き戻すような寒さが襲った。
移動中の気温は10℃から13℃という厳しさだった。
高原では雪が舞ったかもしれない。
ここでも季節が巻き戻されたようだ。


行く手には残雪が当たり前のように現れる。


何かと見上げたら、

まだ綺麗に瑞々しいまま花を蓄えている。
季節が一か月巻き戻された瞬間だった。
自由自在に好きな場所へ、
常に最速で到達できる。
これがクルマに求められる究極の目的だ。
だから、
このように使い倒さないと、
クルマは真実を語りかけてこない。
それはそれは感心したぜ。
ドライターマックも凄かったさ。

ふざけた正義面を振りかざす、
「追い越し車線独占派」を振り切り、
グローバルで通用するタイヤの神髄を味わった。
伊達にsportと名付けられている訳じゃない。
アウトバーンでも十分通用する構造だから、
オーディナリーな日本人にとってオーバースペックだ。
しかし良識派のスバリストにとって、
このタイヤはまさに待ち焦がれた逸品と言える。
カラダを張って試したから間違いない。
世の中には体を張って試さずに、
机上で物事を考え数値だけで判断するコドモも多い。
十分な強度を持った上で軽くするのは良い。
だが、
何かを犠牲にした軽量化を「よし」とする知性しか無いと、
モノの本質も見誤る。
例えばSUBARUのクルマで考えてみよう。
彼らは常に4輪駆動をベースに設計する。
従ってFWDしか持たぬクルマとは根本的に違う。
特に軽自動車を捨てたので、
クルマ作りの根本が変わった。
軽自動車の延長線でも、
コンパクトなFWDは作れるが、
あくまでも実用上問題が無いだけで、
強靭な走破性や卓越した高速安定性は出せない。
特に今回のXVは凄く強靭でありながら、
車両重量1410kgと、
とても軽く出来たクルマになっている。
カタログデータや、
ヒョウロンカのインプレッションでは、
表に現れない素性が数多くある。
タイヤにも同じ事が言える。
軽くするとサイドウオールが弱くなったり、
突起物に対する耐衝撃性に欠け、
その使用目的によっては危なくなる。
「コンチ・クロス・コンタクトLX SPORT(以下LXスポーツ)」は、
「ウルトラ・コンタクト6 for SUV」より、
1本あたり1kgも軽い。
なのにカタログにはオン/オフロードにおける、
上質な走りを支えるタイヤだと記されている。
そしてLXスポーツはラグジュアリーだが、
スポーツ性能もスポーツ・コンタクト5並みに高い。

アウトバーンの走りを試みても、
日本の道路で全く問題が無かった。
まずそこを報告する。
次にこのタイヤが最も得意とするであろう、
少しラフなターマックを試した。

枯葉はあるは、
砂はあるは荒れ放題の舗装路だ。
笑っちゃうほど普通に飛ばせる。
しかも操舵応答性が凄く良い。
スッとステアリングを押すと、
フッと素直に向きを変える。
分かるかな、
この気持ち良さが。

ラフじゃなくて完全なオフロードだと言う事に注目して欲しい。
本当ならX-MODEの無い素のクルマで試す予定だったが、
装備している3号機でのテストとなった。

別にヨコハマのブルーアースをけなすわけじゃない。
昨年ここを立派に走ったので、
あのタイヤの強靭性は実証済みだ。
でもオン→ラフ→オフと、
徐々に悪路に入っていく時の感触が全く違う。
何しろ当りが柔軟で、
エコタイヤの様な「ぶるんぶるん」ゴムを噛むような感じが無い。
砂を噛みながら石もいなす。

コンチの能力を結集して考え出されたものだろう。
但し先ほど挙げた、
「クルマの重量」の話では無いけれど、
何でも机上で考え数値だけを鵜呑みにする、
あまりにも「幼稚な日本人」に対して、
コンチの賢者たちは売る勇気を持てなかった。
解りやすく言うと、
「誤用されるのが怖い」という事だ。

頭でっかちな知識を丸出しにして、
失敗したら人のせいにする。
そのような狂った人間が増えた以上、
コンチが無理な冒険をしないのは止むを得ない事だ。
だから長い時間を掛けて、
中津スバルが実証した。
是非とも理解あるスバリストに買って戴きたい。

これくらいやらないと、
オフロードにおける性能の高さを実証できない。

本当に心地よい。
危ないからマネしないで欲しい。

文句を言われても困る。
ま、
大丈夫だろう。
ここの読者にそんな阿呆が居ない事は、
以前フォレスターで階段を上った時に確認済みだ。
川から上がって止まる時に、
思いっきりブレーキを踏んだ。

停止寸前にあえてブレーキを強く踏み、
その挙動も確かめた。
さあ、
詳しく分析しよう。

ここはまだ回転していた部分だ。

下の方から現れてきた。

小気味いタイヤだ。
次に絶対に注意して欲しい事を説明する。
このようなオフロードで気を付けたいのは、
鋭敏な割れ方をした岩石だ。

これでタイヤを切ってしまったら一巻の終わりなので、
とにかく接触を避けた方が良い。
しかし見えない場合もある。
その場合のマージンはどうか。
LXスポーツでオフロードを走り、
タイヤが軽いわりにマージンは大きいと感じた。

XVの床下を見れば一目瞭然だ。
真っ平らなのが良く解るだろう。
SUBARUは世界初の、
「四輪駆動乗用車」を作ったメーカーなんだ。
舐めるんじゃないぞ。
テストを終えて再びオンロードを快適に飛ばした。

何か独特な手法で整えている。
なぜかというと、
トレッドパターンからウケる印象と、
クルマの走行抵抗感が信じられないほど違う。
抵抗なくスムーズに走るので、
エコタイヤの存在を無意味に感じたほどだ。
勿論、
横浜ゴムもスバルから与えられた高いハードルをこなし、
今の燃費基準である「JC08」を意識した専用品になっている。
だから燃費が良い事は間違いのない事実だろう。
だが、
JC08と全く無縁な人間が、
自分の価値観だけで卓越した走りを望むと、
日本のエコタイヤでは物足りない。
だからLXスポーツが、
期待以上の数値を出すのだ。

高速道路をぶっ飛ばし、
川を渡ってオフロードを楽しんだ。
で、
僅かな期間に走った距離は、
総行程で753kmに上った。
結果的に燃費はどうだったのか。
復路はかなりハイペースで飛ばした。
河原で遊び高原に上り、
往路に対して過酷な条件下にクルマを置いた割には、
劣悪な結果を招かなかった。
往路と復路を加えたトータル燃費は二桁を維持し、
10.5km/Lという立派な数値を残した。

まず前輪のトレッドを観察した。
落ち着いているだろう。

タイヤの顔から優れた技術が湧き上がっていた。

真っ先に1号機の姿が目に入った。
既にエンジンが降りていた。

幸い大きなダメージは無いが、
念のため当たった所を交換しておく。
初めて実際のクルマで、
スバルグローバルプラットフォームを奥まで見た。
エンジンベイは非常にシンプルで美しい。
エンジンだけでなく、
初めてSGPからパワートレーンそのものを降ろした。

安全確保の強度も十分持つ、
実に理屈にかなった構造だ。

目立つ損傷を受けて無かった。
修理に手間はかかるが、
元通りに戻す。

担当した課長は、
「インテリジェントCVTがズシリと重く、
耐久性をよく考えた凄いミッションだ」と感想を述べた。
インテリジェントリニアトロニックは、
バスタブ型のコントロールバルブを持ち、
レシオカバレッジも大きい。
だから背が高い。
それをキチンと飲み込む設計になっている。
エンジンベイからフロアトンネルに続く部分を見て、安全性と耐久性を重視する姿勢が良く解った。
しかも・・・、
特に付け加えておきたい事は、
XV用のインテリジェントリニアトロニックじは、
新しくなってから変速レスポンスが目を見張るほど変わった。
SUBARUのクルマは世界的規模、
即ちグローバルで悪路における絶対的な信頼性が高い。
XVの実力を改めて味わい、
今後も他のブランドより圧倒的に安定した状況で、
永く使える本来の良さを実感した。
これはまさに「秘訣」だ。
蓄積した技術はまだまだ深い。
だからスバルが本気で作ったFRスポーツは、
インプレッサやレガシィを基にしたと言えども、
構造はかなり異なる。

安全性も犠牲にしないシャシーを作った。
前輪に駆動系を持たないため、
更に軽さを追求出来た。
これにはSGPのエッセンスだけ入っている。
将来エッセンスだけでなく、
SGPそのものを与えられる日がきっと来る。
想像するだけでゾクゾクする。
ここまで書けばわかるだろう。
軽さは性能だ。
常に切磋琢磨すべき重要な課題と言える。
ところが、
軽ければ良いと言うものではない。
幼稚な軽さでは困るのだ。
技術の枯渇化を心配したが、
流石にスバルだけのことはある。
剛性当たり重量を、
過去最高の水準に引き下げた。
この分野における、
軽量化の技術力は相変わらず世界一級品だ。
この後もSUBARUに期待して欲しい。
by b-faction
| 2018-05-10 22:53
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