ショールームにトンボが迷い込んだ。
出ようとガラスに向って悶え続けたのだろう。
力尽きて死んだようだ。
羽がもげて力闘の痕が漂う。
たまに見かける、
蛍光色風のお腹をもつ変わったトンボだ。
腹の部分に透けた部分があるので「腰空き」た呼ばれ始めたらしい。
成熟したオスだけがこの姿になる。
コシアキトンボと言う、
一般的な種らしい。
またショールームに迷い込み、
羽音を激しく立てていた。
同じトンボとは思えない。
未成熟な個体と、
メスはこの黄色い紋様を持つ。
外に出してやろうと、
そおっと捕まえたのに、
必死になって掌に噛みつく。
ラジカルなヤツだ。
顎の力が強く、
けっこう獰猛なんだ。
でも一旦落ちつかせると人に馴染む。
ヒトと一体になったようだ。
こういう所が可愛いんだな。
コシアキトンボを見ていて、
Sの「2シリーズ」を連想した。
24時間番組の第一幕が始まり、
営業の大宮とメカニックの杉本がインタビューを受けた。
大宮のイチオシはGDAで、
杉本はGC8だ。
三台選べと指定され、
最後に選んだのはS206だ。
ここで、
まずベースになったWRX STIの諸元を紹介する。
【車名】
SUBARU WRX STI
【駆動方式】
AWD(全輪駆動)
【型式】
CBA-GVB
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4580×1795×1470
ホイールベース(mm):2625
トレッド前/後(mm):1530/1540
最低地上高(㎜):150
車両重量(kg):1480
最小回転半径(m):5.5
乗車定員 5名
【ステアリングギヤ比】
13.0:1
【エンジン】
EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブデュアルAVCSツインスクロールターボ
内径×行程(mm):92.0×75.0
圧縮比:8.0
最高出力kW(PS):227(308)/6400rpm
最大トルクN・m(kgf・m):422(43.0)/4400rpm
【燃料供給装置】
EGI
【変速機】
6速マニュアル
【燃費】
10.4km/l (10・15モード)
【標準装備】
キーレスアクセス&プッシュスタート ブレンボ製ベンチレーティッド対向キャリパーディスクブレーキ
マルチモードDCCD 245/40R18タイヤ 18インチアルミホイール フロント倒立ストラット
フロントヘリカルLSD リヤトルセンLSD アルミパッド付スポーツペダル オールウエザーパック
【税抜新車本体価格】
3.560.000円
ボディカラー:サテンホワイト・パール(3万円高)
これに対してS206はどのように違うのか。
データでまず客観的に検証して欲しい。
【車名】
S206 NBR CHALLENGE PACKAGE
【駆動方式】
AWD(全輪駆動)
【型式】
CBA-GVB
【主要諸元】
全長×全幅×全高(mm):4605×1795×1465
ホイールベース(mm):2625
トレッド前/後(mm):1535/1545
最低地上高(㎜):145
車両重量(kg):1470
最小回転半径(m):5.5
乗車定員 5名
【ステアリングギヤ比】
15.0:1
【エンジン】
EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブデュアルAVCSツインスクロールターボ
内径×行程(mm):92.0×75.0
圧縮比:8.0
最高出力kW(PS):235(320)/6400rpm
最大トルクN・m(kgf・m):431(44.0)/3200~4400rpm
【燃料供給装置】
EGI
【変速機】
6速マニュアル
【燃費】
10.4km/l (10・15モード)
【標準装備】
キーレスアクセス&プッシュスタート ブレンボ製F対向6ポットモノブロックキャリパー&2ピースドリルドローター
Rモノブロック対向4ポットキャリパー&ドリルドローター 低背圧スポーツマフラー 245/35ZR19タイヤ 19インチ鍛造アルミホイール
専用バランスドエンジン 専用レカロ製バケットタイプフロントシート 大型フロントスポイラー ドライカーボン製リヤスポイラー
【税抜新車本体価格】
5.650.000円
ボディカラー:サテンホワイト・パール(3万円高)
まず価格だけ比べれば209万円の差がある。
それが高いか安いか振り返ろう。
S206を完全な姿でこの場に置けることに縁を感じた。
この幸せを何と表現したら良いのだろうか。
このクルマもラジカルでありながらヒトに馴染む。
Sらしさを漂わせるプレミアムな質感を重視した専用内装が魅力だ。
レカロ製バケットタイプフロントシート、
高級本革巻各種内装&シルバーステッチ、
それにピアノブラック加飾パネルが配置される。
ダークレッドのシートベルト&レッドプッシュエンジンスイッチが、
さりげなく他との違いを誇示する。
STI軽量カーペットマットもさりげなく搭載された。
総生産台数300台限定で、
更に100台だけ作られたNBR チャレンジパッケージは、
航空機技術を応用したレースカーと同じカーボンルーフを持ち、
角度2段階調節可能なドライカーボンRスポイラーを装着されている。
NBRチャレンジデカールや、
S206ロゴ入りレッドサイドシルプレートなど、
簡単に入手できないアイテムも嬉しい。
BBS製の鍛造アルミホイールを、
カーボンの持つブラックカラーにコーディネートした。
ここも魅力的だ。
ハイパフォーマンスカーにありがちな、
とてもヒステリシスな特性を、
数多くの工夫により中和してしまった逸品だ。
まずバランスドエンジンの特性が素晴らしい。
3200回転から4400回転まで最大トルクが台形に持続する、
秀逸なバランスドエンジンを搭載した。
これはクランクシャフト・ピストン・コネクティングロッドの質量を、
厳密に選定してライン上で組み付ける。
専用開発のボールベアリングターボを搭載し専用ECUでパワーアップ。
専用の低背圧マフラーとスポーツエアクリーナーを装備して隠し味にしている。
素直に回転が上昇するだけでなく、
クラッチミートの瞬間から格別な素直さを見せる。
軽く回転を合わせ、
1500rpm辺りで「ブン」とつなぐと、
クルマがスルスルと容易に動き出す。
量産車に感じない味だ。
レースで得た知見をフィードバックした空力パーツを持つ。
大型フロントアンダースポイラーに、
フロントフェンダーアウトレットグリルは、
このクルマが只者ではない事を控えめに主張する。
それらのインターフェイスともいえる必須アイテムが、
BBS鍛造8.5Jアルミホイールや、
ミシュラン製245/35ZR19パイロットスーパースポーツだ。
更にブレンボ製モノブロックブレーキキャリパーは、
フロント6ポット&ドリルド2ピースローター、
リヤ4ポット&ドリルドローターの組み合わせで、
強烈かつシルキーなストッピングパワーを発揮した。
ハイパフォーマンスカーの持つ独特の方さを、
簡単に中和するSTI独自のボディチューニングが冴えていた。
STIチューニングビルシュタインダンパー&コイルスプリング
フレキシブルストラットタワーバー
フレキシブルドロースティフナー&サポートフロント
ピロボールブッシュ・リヤサスリンク
フレキシブルサポートリヤ
これらの効果により、
明らかに通常なら感じる動きが隠れてしまってる。
タイヤグリップの高さから引き起こされる、
路面のアンジュレーションの影響を受けにくい。
ステアリングの舵角に応じた素直な動きは、
明らかにストックのWRXとは異なる。
高速走行時に、
僅かな手首の返しで素直にクルマが動く様子は、
気味が悪いほど従順に感じる。
だからか。
この挙動を持つので、
クイックなステアリングはかえって不似合いなのだ。
諸元を見ると解るが、
13対1のクイックギヤが、
15対1に下げられている。
それなのにクルマはそれを感じさせないどころか、
よりスムーズかつ敏感に回頭性能を発揮する。
それに対して、
S207をコシアキトンボに問えるとどうなるか。
それは半透明ではなく、
黄色い個体に相当する。
初めて比較して分かった。
未成熟に感じるのだ。
マリオと激論を交わした、
Sの真実を簡単にまとめてみた。
プロらしさが溢れるセッティングだった。
第一部からスロットル全開で飛ばした。
対談形式だと話が弾むね。
画面の向こうから、
それぞれの視聴者が色々な立場で見た事だろう。
本格的な機材を目の当たりにして、
やる気が一気に漲った。
あっという間の第一部だった。
1部が始まって直ぐ、
ライターの井元さんが電話で呼び出され、
愛機レヴォーグでお土産を買いながら合流された。
美味しい馬刺しをありがとうございました。
自家製の酒で乾杯したのだが、
正直な所、
これほど美味しいとは思わなかった。
花梨酒の味も芳醇だし、
若いはずのグミ酒も食後酒の様に美味だった。
これが更に熟成したら、
さぞかし美味しいことだろう。
この味を求める道と、
Sシリーズに期待する事が重なり合う。
マリオが味噌汁を作り始めた。
だが深夜2時を回ると、
流石に食べる元気がなくなってきた。
25時の予定が27時にずれ込んだらしい。
26時で帰宅して今日に備えた。
B-faction de第三部が始まり、
WRCをネタに話が盛り上がった。
昨日とは打って変わったスタジオの雰囲気だ。
午前中があっという間に過ぎて、
お昼ご飯の時間が来た。
B-factionは飲食禁止だが、
今回は特例措置で食レポの時間を取った。
五平餅と言うと、
中津川市内では団子状のモノを指す。
それぞれに良さがある。
でも、
やはり子供のころから馴染んだ味が良いね。
団子状の五平餅が大好きだ。
さあ、
第4部の時間が迫った。
再び望桜荘に戻り、全く台本の無い公開トークショーが始まった。
当社の概略をご説明いただき、
視聴者を代表された二名の方からご意見や質問も頂戴した。
それにしても、
プロは凄いね。
全ての場面を全く別の方向から撮影し、
部屋の特徴を生かした場面を作り出す。
照明の使い方も随分勉強をさせていただいた。
今後の研究会などで活かしたい。
そして16時を迎えた。
24時間やり切ったよ。
途中で画像が切れたり、
フリーズするなどお見苦しい点もあったが、
初めての試みなので大目に見て戴きたい。
また開催できるよう、
暖かく応援していただけると嬉しい。
またお目に掛かりましょう。
ありがとうございました。