酷暑が去って、
朝の日差しが柔らかくなった。
バタバタと忙しい日が続き、
仕事が溜まっていた。
6時に起きて出勤し、
現在愛用中の赤いインプレッサを停めた。
展示場を横切った時、
偶然エクシーガの前を通った。
磨かれたばかりだ。
朝の光に包まれて、
ほほ笑むように佇んでいた。
何故かその姿に心惹かれた。
スビーチャンネルの最終章で、
エクシーガが話題になった。
その事も要因の一つだ。
そこで、
改めて振り返った。
このエクシーガを仕入れた理由を3つ挙げる。
まず一番大きな理由。
それは、
レガシィには無い、
FWD(前輪駆動)が選べるからだ。
次は何か。
それはパノラミックルーフの魅力だ。
そして三番目は、
2750㎜のホイールベースだ。
エクシーガは良い意味で、
「割り切った」クルマだ。
平成20年に世に出た。
一足先に。
何の一足先だったのか。
その翌年に、
真打のフルモデルチェンジが控えていた。
インプレッサから始まり、
WRXそしてフォレスター、
エクシーガへと続いた。
それを締めくくったのは、
五代目のレガシィだ。
この頃は黄金期だった。
待望の多人数乗りを、
SUBARUファンは心を躍らせながら、
今か今かと待っていた。
登場したエクシーガは、
驚く様なディメンションだった。
これまでに無い、
長いホイールベースを持っていた。
理由を聞いたら、
次に出すレガシィの前倒しだと解った。
基本的にはレガシィなので、
買う人の安心感は高かった。
得意のターボもあるし、
実際に乗ると、
サードシートの実用性も高い。
朝から、
ブログ創作意欲がグツグツと沸騰した。
いけない、いけない。
そんな事をしていると、
どんどん時間が過ぎてしまう。
朝の集中できる時間を浪費してはいけないと、
中断して一日の段取りを組んだ。
8時少し前になり、
続々と社員が集まってきあt。
そして恒例の活力朝礼が始まった。
環境改善のテーマが、
いくつかに分かれて進められる。
整備課は外部リフトの防錆を進めた。
3人が公休日だった。
妻は剪定作業に取り組む。
理由は膝の半月板だ。
擦り減ってしまったらしく、
長時間しゃがむ姿勢が取れない。
医師の診断に従い、
立ってできる仕事を続けている。
その妻が、
植えこみの間から大きな声で呼んだ。
「皐月の根元に奇妙なものがある」
確かに何かある。
妻は蟻塚のように見えると言う。
確かに蟻の穴が無数に開いて、
蠢く様子も解った。
皐月にお茶の木が食い込んでいて、
駆逐されそうに見えたらしい。
これは植えた訳でもないのに、
あちこちに芽を出して増え続ける。
お茶の木の根本だ。
上を切ったら、
その間から蟻塚のようなものが出た。
この手の蟻によって枯れかけた木もある。
翌桧の幹が一部空洞なのは、
幹の内部に蟻が巣を作ったためだ。
樹勢が弱ると様々な事が起きる。
人間の体も、
企業体も全く同じだろう。
勿論、
場合によっては皐月より、
お茶の木が大切だ。
それぞれヒトにとって重要で、
取捨選択に悩むところだ。
だが、
食い込むように、
本来の機軸を弱らせると話は別だ。
それを改めたくなる。
また食い込まれ、
免疫力が低下したとしよう。
気付くのが遅れると、
良くない物に寄生されたり病気になる。
ここが大腸菌などと違うところだ。
これらは共生してるわけで、
もし無かったら自らも死んでしまう。
乳酸菌もそうだ。
体の中で生きているので、
健康な暮らしができる。
最近では寄生虫が必要だと言う人も居る。
まあ、
小学生の頃を思い出すと、
同級生のかなり多くが、
自分の体に寄生虫を飼っていたな。
そんな子の方が、
遥かに健康で体力も強かった。
そんな事を考えながら、
以前から溜まっていた剪定枝を焼却した。
折からの晴天で十分乾燥し、
火を付けたら一気に燃え始めた。
あまりにも火力が強いので、
剪定したばかりのお茶の枝も載せてみた。
すると実に良く燃えた。
青い葉が温度の急上昇により、
緑がかったガスを出した。
そして猛烈な勢いで燃えた。
ほんのりとお茶の香りが漂う。
炎は衰えることを知らない。
そこでブルーベリー畑から草をむしった。
先日紹介したように、
芝生に浸食されかけた部分は剥がした。
そこは安定したが、
奥の方に雑草が一気に増えた。
根は取らず、
種の付いた茎だけ片っ端からむしった。
炎の上に重ねると、
緑色をした白い煙が立ち上る。
そこから何か美味しい匂いがして、
とても愉快な気持ちになった。
何と言うのだろう。
うへへへへ~~~と、
思わず笑いたくなるような、
一種独特の快感だ。
妻に話すと、
「危ない草でも生えているんじゃないの」と、
怪訝そうにこちらを見た。
勿論それは危ない草では無く、
良く見る雑草だ。
雑草とひとことで纏めてしまうが、
何か名がある事は違いない。
でも何か知らないし興味もない。
種を付けているので、
蒸し焼きされた状態になり、
様々なエキスを出すのだろう。
もともと、
人が煙草や大麻を知ったのも、
同じような理由だろう。
後の研究で害があると解り、
規制されていく。
「愉快な気持ち」はその後も続いた。
心がハッピーだと視点が変わる。
並んでいるクルマを見て思ったね。
レガシィの残した足跡は大きい。
だから中津スバルの展示場には、
新旧を含めてレガシィが多い!
ズラリと並ぶレガシィを見て、
ウヘヘヘヘ~~~と頬が緩んだ。
展示場の配置に沿って歩くと、
BP/BL系と呼ばれるレガシィから、
BR/BM系のレガシィに移った。
スビーチャンネルの生放送を控えて、
展示場をジャンルごとに並べ直してあった。
ここでエクシーガに話を戻す。
世に出たのは、
1995年の東京モーターショーだ。
その年のショーは、
かなりエポックメイキングな内容だった。
フォレスターの原型であるストリーガを公表し、
遂にはプレオの原型であるエルキャパまで発表した。
大した見所が無かった昨年と比べると、
当時の技術的な優位性が良く分かる。
技術枯渇の象徴と対照的で、
アイサイトを搭載した待望のミニバンを発表した。
それがα-EXIGAだった。
後に陽の目を見るEZ30を搭載し、
当時実現を期待された、
新型トランスアクスルの透視図まで見せた。
水平対向6気筒にふさわしく、
ホイールベースも2700㎜とロング化した。
現行の2750㎜を予見するような内容だった。
さて、
ここで視点を変えてみよう。
売れるか売れないかではなく、
売る気なのか売る気ではないのか、
そこに視点を移す。
五代目レガシィは、
明らかに日本で売る気だった。
デビューした瞬間に、
「やったぜ!」とこぶしを握ったね。
やっと大人のメーカーになった。
そう率直に感じた。
改めて展示場に並ぶ、
五代目レガシィをシゲシゲと見た。
ほぼ全て、
「趣味」と「道楽」で仕入れてるなぁ。
特徴がそれぞれ違って面白い。
このレガシィは2.5iのSパケだ。
6気筒譲りのバリオカムを持ち、
スペック上は地味だけど、
専用開発のNAエンジンを与えられた。
エクステリアのまとまりも良く、
流石にレガシィだと誇れる装備を持っていた。
98.8万円の価格を付けたが、
それ以上の価値がある。
18インチにビルサスだからね。
今はこういうクルマを選べない。
次は2.5GTだ。
B4はパトカーに大量採用された程で、
クラウンの開発が遅れたからだとは言え、
SUBARUの歴史に残る快挙だ。
138万円の値を付けた。
直下ターボを持つので、
S402並のトルク特性を発揮した。
なかなか大胆に走るし、
このクルマには、
純正のエクステリアパーツがてんこ盛りだ。
だから遠くから眺めても、
ドキリとするような魅力を放つ。
ここにあるレガシィの中で、
最も好きなスタイルだ。
次はアセントを仕込んだ、
熊谷PGMのデビュー作だ。
179.8万円の値を付けた程、
抜群の状態を維持する個体だ。
直噴エンジンを採用し、
大幅に機能を刷新して誕生した。
どれくらい良いクルマなのか、
過去の北海道旅行記を読めばわかる。
そして、
忘れてはいけない。
2.5i EyeSightの存在を。
179.8万円の値を付けた。
SUBARUは徐々にアイサイトを標準化し、
有り余るほどのエネルギーを漲らせていた。
それが一気に炸裂した頃の作品だ。
平成24年から25年と、
SUBARUは立て続けに新商品をリリースした。
と同時に、
エンジン技術力の開発から、
徐々に手を引き始めた次期でもある。
それが今の技術枯渇の端緒となった。
解りやすく言えば、
SUBARUの中に「蓮舫」が居たと思えばよい。
そんな中で、
レガシィは改良されたBRMとなった。
FB25を搭載したNAモデルは、
BP系6気筒エンジン搭載車の特性を、
4気筒でほぼ実現した。
BR系はBP系では手の届かなかった、
アッパーグレードの車格を持つが、
6気筒エンジンのキャパシティは増え過ぎた。
それに対する答えが、
4気筒のブラッシュアップだった。
当時として当然の流れだったが、
価格も妥当だし安全だし質感も高まった。
アイサイトの能力も大きく向上し、
名機として足跡を刻んだ。
そして最も忘れられないのが、
この「置き去りにされたレガシィ」だ。
念入りに手を掛けて148万円の値を付けた。
もうかなり珍しい部類のクルマだ。
2.5GTのSパッケージは、
6速のマニュアルトランスミッションを持つ。
直下ターボの水平対向DOHCエンジンは、
爆発した直後の高温なガスを受け、
285馬力を発揮する。
それににふさわしい、
イキイキと操れるドライブトレーンだ。
2000回転から5600回転まで、
このエンジンは最大トルクを発揮する。
レガシィに合わせて新開発した、
軽量な6速マニュアルトランスミッションだ。
ああ!
そう言う事なんだ。
並んでいるレガシィを見て良く分かった。
今のレガシィより、
遥かに売る気だ。
だから、
エクシーガじゃレガシィの代わりにはならない。
レガシィではエクシーガの代わりになれない。
この微妙なニュアンスが解るかな。
エクシーガの魅力は、
レガシィの熟成味も感じられるところにある。
そしてSUBARU車の中で、
最も人がたくさん乗れる。
その二つを併せ持つ事が大きな魅力になっている。
現行レガシィは、
レガシィから奪ってはいけないはずの、
ターボエンジンの魅力を、
残忍な手段でバッサリと奪い去られた。
だから現行車では、
レガシィツーリングワゴンが作れないのだ。
片やエクシーガは、
ウルトラCの離れ業でクロスオーバー化された。
但し、
「なんてっちゃってSUV」に、
片足を突っ込んでる。
それも事実だ。
そこを解ってファンは愛用している。
なぜならば、
アイサイトを付けて、
内装の質も上げて、
外装にラギット感を与えても、
安い価格に抑えたからだ。
レガシィツーリングワゴンをバッサリ切ったが、
エクシーガの魅力を高めて延命させた。
売れる可能性がある場所に、
適切な投資をするのは常識だ。
国内ではスライドドアのミニバンしか売れない。
ところがSUBARUはスライドドアが苦手だ。
「言い方」が微妙なので行間を読んで欲しい。
トヨタ大型ミニバンの顧客層と、
SUBARUのインテリジェンスは重ならない。
だから、
アセントが誕生して、
なるほどと思った。
ここには本当に作りたかった、
エクシーガFMCの姿がある。
1930㎜の車体幅は、
3列多人数乗りにとって必要だ。
今回から8人乗りもリリースされている。
そして何よりも凄いのは、
割り切らずに作った事だ。
エクシーガで嵩上げを諦めた代わりに、
こちらはフォレスターと同じ、
220㎜の最低地上高をキチンと確保した。
熊谷PGMは空間の魔術師だ。
あのレヴォーグで、
インプレッサを超える室内空間を、
最大限に引き出した。
その彼に充分なボディサイズを与え、
実力を更に発揮させたに違いない。
ディメンションを見ただけで、
アセントのポテンシャルをはっきりと掴める。
2890㎜のホイールベースは、
アウトバックを大きく凌駕した。
αーEXIGAを初めて見た時の様に、
ワクワクドキドキと興奮させられた。
このくらいに潔く作れば、
どこにも「割り切り感」は漂わない。
国内に投入出来ない大きさなので、
そこは少し寂しいが、
二股を賭けるよりマシだろう。
国内専用のエクシーガから、
海外優先のアセントに卒業だな。
この視点から見てみよう。
それでは最新のSUBARUに、
どんなフラッグシップが相応しいか。
やっぱりレガシィだよな。
それもツーリングワゴンだ。
初心に帰り、
エンジンを使い回さない事が重要だ。
専用設計のエンジンを、
アセントに続いて与えればよい。
あくまでも専用設計だ。
使い回しでは辛い。
レガシィツーリングワゴンにも、
トーイング能力は欲しいが、
アセントほどの大きさは必要ない。
世の中はダウンサイジングの流れだ。
アセントには新開発のFA24を与えた。
これはFA20のボアアップ版で、
SUBARU伝統の手法で作られている。
次の新型エンジンを、
レガシィ専用に与えると良い。
やっぱりスポーツツアラーだけでは足りない。
それに加え、
ツーリングワゴンも作るべきだ。
どう考えても、
五代目レガシィのワゴンユーザーを、
受け入れる器が無いのだ。
多人数乗りは、
今の人口減少から考え切る選択肢も解る。
だが、
長年育てたツーリングワゴンを、
残忍に切って捨ててはいけない。
さあ、
中村社長の手腕の見せ所だな。
期待しよう。
今後も正しい名前でコメントを続けて欲しい。
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by b-faction