最近のオンナは強い。蓼食う虫も好き好きとは、まさにこう言う事なのか。
事務所で顔を合わせた途端、「じじい!一週間を切ったぜ」「あと少しでここにはもう来ないからな。ケケケケ、超嬉しい!」
そういうことを言うんじゃないよ、そんなこと言うと口が曲がっちゃうよ。そう諭すと、
「だって世界で一番ダイッキライだから、もう会わなくて良いと思うだけで幸せ!」
「ケヘヘヘ、口が曲がっちゃうだって、プッ」「そりゃあ、ジジイだからだよ、そっちのセリフだわ」
よくもそこまで・・・、うんっ?。
憎々しい事を言いながら、「ほらよ」と差し出された。
ガラスの器に瑞々しいモノが載っている。
この梨も最後の一個になった。
年末に届いた嬉しい贈り物だ。ミドちゃんから戴いた「あたご梨」。

噛み締めながら、
美味しく戴いた。
ありがとうございました。
採果してから熟成させる赤梨の一種で、
実のデカさが特徴だ。
梨にはとったらすぐ食べる東洋梨と、
とってから熟成させる西洋梨がある。
日本の梨には長十郎のような赤梨と、
二十世紀の様な青梨がある。
あたご梨は青梨の二十世紀と、
赤梨の今村秋を掛け合わせた品種で、
産地も瀬戸内に限られている。
日本の青梨と赤梨を掛け合わせた東洋梨が、
品種改良の結果、
採果してから熟す赤梨になった。
調べると、味が良いだけでなく、
実に面白い背景を持つ梨だった。
妻に「写真撮ってよ」と言うと、
メンドクサイといわんばかりの顔をした。
なんの写真かと言うと、
これも熟成に関わる事だ。

絞ってから直ぐ飲んでも良いし、
熟成させると美味いしくなる酒を今年も作る。
その一升瓶に貼るラベルに、
毎年SUBARUと一緒の写真を載せる。
そのための写真を撮った。
撮影後、
最近RA-Rのような、
ド外れた高性能車ばかりに乗ってたので、
たまには小さいクルマで走りたくなった。
すると、
丁度定期点検が完成したR2を、
テストして欲しいと頼まれた。
これは一石二鳥だ。

早速コクピットに滑り込んだ。
久し振りにR2を走らせた。
とても元気が良くて面白い。
加速しながら、
「R2はさっき食べたあたご梨と同じだ」と思った。
このクルマも、
採果してから熟すタイプだな。
未だに鮮度を少しも失わない。
タコメーターを持つので、
DOHCエンジンを積んでると容易に分かる。

ボーイング747のコクピットを連想させた、
パールベースのインパネに、
専用オーディオをビルトイン。
R2には、
やっぱりこのインパネが一番似合う。
平成19年式
ドアの内張は材質的にそっけない。
ところが構造はぴか一だ。

しっかり握れるドアグリップ。
これは大人の乗用車だ。

小物入れが少ないと文句を言われても、

安全性を重視したインパネ見れば、
目指す方向性がすぐわかる。
が、
解らない人が多すぎて、
竹中元社長の不安が的中した。

プレオを作ってみて、
軽はどうあるべきか洗い直した結果、
このクルマが誕生した。

まさに「あたご梨」そのものだ。
西洋梨の特徴を持ち、
並外れた安全性と香りと風味の良さは他を寄せ付けない。

いつまでたっても熟成が続く凄いクルマだ。
存在感のあるアルミホイールも良い。
何から何までセンスが良かった。
売るのに時間がかかっても、
あまり気にならない。
在庫で持つ喜びの方が深いのだ。
実にパンチのある直列4気筒エンジンだ。
スーパーチャージャーも良いけどエンジンは古い。
シリンダーヘッドを一新した、
DOHC可変バルブタイミングエンジンを搭載し、
電子制御無段変速i-CVTで俊敏な走行性能を引き出す。

燃費だ広さだと、
そればかり喧しいが、
クルマには大切な事が他にもある。

操ってみて、
それをどう感じるかという事だ。
残念だが今の日本で、
女性だけでなくほとんどの男性もそこに目が向かない。

平和だからね。
支配するより、
支配される方が楽だからな。
こりゃ、
今見ても、
「買わない客の方が悪かった」と思うよ。
SUBARUの得意なセリフだ。
良い意味で当てはまる。
キーレスアクセス出来るし、
改良を重ねた四輪独立サスは、
抜群のロードホールディングを発揮する。
デュアルエアバッグに安全ボディで、
こんなに前方視界が良い。

軽自動車の視線ではなく、
高性能乗用車の視線で走れた。
安心安全なR2を、
メカニックの吉村毅が精魂込めて仕上げた。
31.01.26整備完了。
走行距離はその時点で79,691kmだ。
R2はまだまだ不滅だ。
興味のある方に相応しい逸品を、
どうぞご覧あれ。