お昼ご飯に出た築地の弁当は、
実にオーソドックスで素晴らしかった。
眠気を誘う揚げ物が一切なく、
漬物一つとっても味が深く旨い。
美味しそうな卵焼きだ。
これは予想通り旨かったが、
その味を超えたのが後ろに見える煮物だ。
だいたいにおいて、
仕出し弁当における、
シイタケの煮物にさほど期待をしない。
だが、
これは別格の味だ。
久し振りに島田君と会った。
知り合った頃に比べ随分大人になった。
最近会う機会がめっきり減ったが、
責任ある仕事を任されて忙しいのだろう。
ここから眺める風景も、
出会った頃とじゃ比較しようもない。
この景色同様に、
随分ステキになったね。
と思ったら、
しっかりしたはずだ。
独立して別の道を歩むそうだ。
それは頼もしい。
頑張ってほしい。
また会おう。
会議を終えて地上に降りた。
会議中もVIZIVアドレナリンの事が頭の中に浮かんでいた。
時を見ては記事を書きながら一日を過ごした。
今のアドレナリンはエクステリアを印象付けている。
それは素晴らしい。
でも気をつけないと、
彼等は常にインテリアで手を抜く。
大雑把なアメリカ人や、
軽自動車で十分だと思う人の、
甘い眼は眩ませられる。
だから、
常に見張っていないと、
「こんなもんでしょ」と仕事を片付ける。
まさか地上で、
こいつらが待っているとは思わなかった。
SUBARUはインテリアや動的質感のクオリティで、随分アメリカナイズされた。
もちろん合理性も大切だ。
でも、次のボールダーが登場し、あそこまで完成度の高いエクステリアを見せた。
それならば、インテリアデザインのコンセプトでも、更にその上を狙いたいね。
プレミアムブランドが、偶然にも眼の前に現れたのは、その予言かもしれない。
「それを参考値にせよと」
時々こういう事が起きる。
閃きを感じながら、慣熟したRA-Rで都内を走った。 中津川の市街地を走るより、なぜか遥かに重厚感を感じる。
STIの平川社長が来訪され、一緒に中津シェライフェを走った時、「やはりいくらRA-Rと言えども、都内における走行要件を満たす必要がある」と仰った。確かに慣熟して角の取れたRA-Rに乗り、
大江戸を走り回るとその真意が見える。
最も大量に売れる場所で、
買ったら直ぐ付け替えねばならぬサスを、
安易に売る訳にはいかなかったのだろう。
もう一つの理由は、
SUBARU品質に負けない耐久性だ。
いくら初期応答性が良くても、
防錆能力や耐久力の点で、
数万キロで能力が大幅に下がることを嫌った。
それはSTIの良心だろう。
やはり直接会って話さないと解らない事は多い。
都内の道路にも結構な不陸がある。
それらをいなす能力はかなりのレベルで、
この領域では、
欧州の高級なスポーツサルーンのような味を見せた。
サスよりも更に慣熟したのが、
このクルマの「キモ」とも言えるバランスドエンジンだ。
高速道路は勿論のこと、
都内の一般路でも中速域のフィーリングが良すぎる。
右足の母指球に力を軽く入れるだけで、
リニアにエンジンパワーが湧き出てくる。
そのサウンドがまた秀逸だ。
クルマの軽さも効果を発揮し、
信号の多い都内でもストレスを感じるどころか、
停止と発進を繰り返すことに、
恍惚感を覚えたほどだ。
久し振りになじみの店に行き、
再会を楽しんだ。
相変わらず劇団の仕事も忙しいらしく、
はやる店の切り盛りをキッチリ終えると、
足早に帰って行った。
また会おう。
相変わらず美しい寿司を握る。
これで700円というお値打ち価格だ。
この味のハーモニーが、
まさにバランスドエンジンの美味しさに繋がる。
良い味のネタには絶妙な甘さがあり、
それを上手く引き出すシャリのバランスが良い。
単なる酢飯の良さだけでなく、
手の洗い方も含め握り方や体温の維持術など、
隠された技が高度にバランスしている。
少々呑み過ぎたが、
翌日も朝から忙しかった。
冷水シャワーを浴びて着替えたら、
いよいよ復路へ出陣じゃ!
RA-Rもしっかりと目覚めた。
往路の総距離は340kmとなり、
オドメーターは6600kmを指した。
首都高速4号線に乗り西へ向かう。
東京は雨だった。
出た時の雨脚より、
西へ向うほど激しさを増した。
前夜のように17℃も無いけれど、
ウエット路面で11℃はスタッドレスにちとキツイ、
かと思ったが、
実に力強く中央自動車道を駆け抜けた。
燃費に変化が現れず、
トルク感も素晴らしい。
それらがエンジン性能の高さを如実に感じさせた
山梨に入ると時折青空がのぞいた。
平川さんは、
このクルマの速度領域が想定より高いと感じたようだ。
だからという訳では無いが、
少しニュルブルクリンクをイメージすると物足りない。
あそこで走る時のように、
鬼気迫るほど飛ばすわけではない。
でも緑地獄で舞うようなイメージで走ると、
どうしてもクルマの動きが少し歪だ。
でも、
その理由はとっくに解明したようで、
次のマシンで捲土重来を約束してくれた。
もしかしたらS209では、
とっくにそれを克服し、
NBRを攻めるレベルの脚が誕生している可能性すらある。
630kmを走ってたどり着いた結論だ。
けっこう飛ばしたのに、
燃費の変化が全くない。
軽さは性能だな。
珠玉のエンジンと、
可能な限り軽く作った車体のコンビは、
ちょっと一生ものの気配さえしてきた。
降ろしたばかりの頃から、
先月までは朝一番の2速変速時にひっかりがあった。
距離を積み重ね気温も上昇したためか、
東京から戻ると別のトランスミッションのようなフィーリングだ。
スポっと入るし、
節度感のある手触りが気持ち良い。
そしていよいよサマータイヤに替えた。
ようこそ。
ミシュラン君。
昨年の夏にニュルで試して以来だ。
あの時は600馬力で1.9トンだった。
楽しみだ。
どんな走りになるのか。
望桜荘の裏は、
ちょっと工程に狂いが生じた。
珍しく山本部長が判断ミスし、
玉石を敷く手順で手抜きがあった。
気になってアドバイスしたが、
やる側にとって耳障りだったのだろう。
全部取り出して洗う羽目になったが、
でも失敗は成功の基だ。
前向きにいこう。
陽転思考で前向きに生きようじゃないか。
なぜかって。
起きてみないと解らない事は多い。
望桜荘の皐月は、
本来なら全てこのように元気なはずだ。
気が付いたら急に衰え、
一部が枯渇しかけている。
池の横にある二本の皐月は、
なぜか急激に衰えた。
耐久性は重要で、
この二本は太陽光線の不足と、
夏の過剰な散水噴霧で腐朽菌の侵入を被ったのかもしれない。
クルマのパーツも強靭な耐久力が必要で、
特にダンパーなどは仕様の差でその命の長さが大きく左右される。
生物の生存競争は過酷だ。
手の届く庭でさえこのありさまだ。
だからイプレッサハウスは、
出来るだけ強靭なサーフェイスで、
いつでもお客様をお迎えできるように考えた。
遂に完成した。
これからもスバリストを厚遇対応する。
そんなスバリストに向けた数々の商品は、
目利きと匠の技で選ばれている。
それを信じて購入していただけるほど、
クルマ冥利に尽きる事は無い。
今日は遂に整備が完了した、
とっておきのXVを、
オーナーに渡す前に徹底確認した。
気温は4℃だ。
下がるのを待ってスタートする理由は、
試用する土地柄、
スタッドレスタイヤの装備を外せないからだ。
おあつらえ向きに寒かった。
氷点下にはならないが、
ギリギリの線まで下がった。
全く何の問題も無く、
実にしなやかに走り。
これがSUBARUのロバストネスだ。
STIの良心と共に、
真のSUBARUの良心も、
つぶさに知る一日となった。
さあ、
明日もお楽しみに。