EJ20G型水平対向エンジンの集大成を愉しむ
2019年 03月 18日
ボロボロでみすぼらしくなったので、
綺麗に剥がして塗装も整え屋根の下に入れた。
このクルマに、
スポットライトが当たるのは久しぶりだ。
いつも綺麗に手入れし、
定期検査を怠らず、
常にベストな状態を維持している。
期待した以上のフィーリングで、
曲がり過ぎると思うほどだ。
クイッと巻き込むように、
交差点を直角に旋回する。
若手の開発スタッフが、
苦労してスキッドパッドを作っ時に撮ったようだ。
ちょっと役得で記念撮影しようぜ。
てなノリを感じるな。
のびのびとした良い写真だ。
これを見て本棚から引っ張り出した。
今でもお馴染みの自動車雑誌だ。
EJ18の穏やかな曲線に比べ、
ドッカーンと跳ね上がる。
NAは穏やかだが、
その最大トルクの数値を見ると、
ターボより遥かに少ない。
もしこのピークが高く、
しかも台形状の曲線を描くと、
実に素晴らしい味になる。
ここに関わるもう一つの特性が、
エンジンの回転振動だ。
水平対向6気筒だと、
一次振動や二次振動だけでなく、
偶力振動も打ち消される。
その上トルクもピークの高い台形状の曲線を描くので、
素晴らしく味が良い。
話を戻そう。
そもそもトルクとは、
1秒間にどれだけの重さのモノを、
地上から1mの高さまで持ち上げられるかという単位だ。
どの回転域でも、
なるべく高く維持できるとモーターの様に回る。
そして回転部のバランスが良く、
振動が少ないと、
更にモーターのようにスムーズに回る。
ここで12日のブログを振り返って欲しい。
その後の面白いスバルたちは、
どのように熟成を続けたのか。
まず初代レガシィに加え、
9日から10日に掛けて一気に走らせたクルマを振り返る。
4台のエンジンスペックと重量を羅列する。
【車名】
SUBARU レガシィ RS
【エンジン】
EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブターボ
内径×行程(mm):92.0×75.0
圧縮比:8.5
最高出力:220PS/6400rpm
最大トルク:27.5kg・m)/4000rpm
【車両重量】
1290kg
パワーウエイトレシオ:5.86/PS
トルクウエイトレシオ:46.9/kg・m
次に
【車名】
SUBARU WRX A-Line
EJ25/水平対向4気筒2.5L DOHC16バルブデュアルAVCSシングルスクロールターボ
内径×行程(mm):99.5×79.0
圧縮比:8.2
最高出力kW(PS):221(300)/6200rpm
最大トルクN・m(kgf・m):350(35.7)/2800~6000rpm
【車両重量】
1490kg
パワーウエイトレシオ:4.96/PS
トルクウエイトレシオ:41.7/kg・m
特に見て欲しいのは台形のトルク曲線だ。
2800から6000回転まで、
そのピークトルクが持続する。
次に、
【車名】
SUBARU インプレッサ S-GT
【エンジン】
EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブデュアルAVCSツインスクロールターボ
内径×行程(mm):92.0×75.0
圧縮比:9.4
最高出力kW(PS):184(250)/6000rpm
最大トルクN・m(kgf・m):333(34.0)/2400rpm
【車両重量】
1360kg
パワーウエイトレシオ:5.44/PS
トルクウエイトレシオ:40.0/kg・m
最後に、
【車名】
WRX STI TYPE RA-R
【エンジン】
EJ20/水平対向4気筒2.0L DOHC16バルブデュアルAVCSツインスクロールターボ
内径×行程(mm):92.0×75.0
圧縮比:8.0
最高出力kW(PS):242(329)/7200rpm
最大トルクN・m(kgf・m):432(44.0)/3200~4800rpm
【車両重量】
1480kg
パワーウエイトレシオ:4.49/PS
トルクウエイトレシオ:33.6/kg・m
こちらも台形のトルク曲線を持つ。
30年で最高出力は1.5倍、
最大トルクは1.6倍となった。
久し振りに、
本気でA-Lineを走らせた。
思わぬ面白さに陶酔し、
5速のダイナミックATを駆使して走った。
期待以上だった。
それもそのはずだ。
パワーウエイトレシオは5kgを切っている。
なので、
滅茶苦茶よく走る。
7000回転まで使えない代わりに、
ピークトルクが幅広く続く。
夜の10時に出発したので、
オートマチックモードで疾走した。
2.5リットルの排気量は、
フラットトルクなエンジンに仕込みやすい。
但しピストンの質量は2リットルより大きいので、
高回転域では2リットルのフィーリングに負ける。
でもオートマチックだから、
その辺りはほとんど気にしなくて良いので、
1500kg未満の軽さを武器にできる面白いクルマだ。
整備後の最終確認を兼ねて、
お客様の手に渡る前に同じコースを走らせた。
これも期待以上だった。
以前から、
このクルマの意外な良さを知っている。
A-Lineと比較したら、
更に素の味が滲み出た。
このクルマも本当に面白い。
7500回転まで使えるエンジンも良く回るし、
良く走る理由はトルクウエイトレシオに現れている。
これが、
2.5リットルのA-Lineより秀逸なためだ。
本当に隠れた名車っていう奴だな。
こうなると、
矢も楯も堪らなくなる。
おあつらえ向きに雨が降ってきた。
終礼の後みんなが帰るのを見計らい、
WRXのRA-Rに飛び乗った。
ヘビーウエットなので、
センターデフはオートモードだ。
併せてミシュランタイヤのの性能も試す。
本気で鞭を入れても構わない。
走り始めてすぐ、
トリップメーターをリセットした。
8000回転まで使えるエンジンなんて、
そうざらにあるもんじゃない。
これも集大成の証だな。
鞭を入れるなど無理で、
AーLineやS-GTが思いっきり羽を伸ばせる場所でも、
このクルマは5000回転以上使えない。
半分以下の能力しか使わず軽々と走る。
確かに質量もサイズも大きいのだが、
明らかに頭抜けて速い。
RA-Rの走りを象徴している。
つまり限界までトルクを高める必要性より、
美味く調律して最大値を揃えているのだ。
何でも出せばよいと言う訳では無く、
10万キロ安心して使えるメーカー品質を維持したまま、
コンプリートカーとしての集大成を目指したのだ。
いつもの高い場所でも気温は9℃あった。
ずっと登るので、
ここまでの区間燃費はあまり良くない。
けれど美味しい味を満喫できた。
6気筒と違って、
4気筒の場合は直列エンジンより少ないモノの、
対向ピストンで消しきれない一次振動や二次振動が生じる。
ワインディングを下り、
ヒールアンドトゥで減速すると、
バランスドエンジンの妙味が迸る。
最高のグリップを発揮する。
パイロットスポーツの最新モデルは流石だ。
昨年もM5で走った時に驚いたが、
例えヘビーウエットでも、
路面をネットリと掴む魔法のタイヤだ。
そのタイヤのおかげで、
RA-Rの美味しさが更に際立ち始めた。
ピタリと狙ったところに回転を合わせられる。
物凄くスムーズにシフトダウンできる。
ピストンの質量を始め、
動弁系の部品を正確に重量合わせすることで、
一次振動、二次振動、
そして偶力振動を抑制できる。
そのため、
それが本質的なパワーアップに繋がっている。
下ってから登り始めると、
難しいコーナーをいとも簡単にクリアし、
S-GT以上に舞うじゃないか。
そのまま自宅に帰った。
良い汗をかいた。 翌朝目覚めて燃費を見ると、
リッターあたり8.5km走っていた。
これはなかなか上出来だ。
改めて前夜の様子を思い出しながら、
まず右前のタイヤに触れてみた。
ニュルブルクリンクを思い出した。
ちょっとねっとりした不思議な印象だ。
左側も触れてみた。
見たところ普通のタイヤだが、
触ると何かが違うんだよな。
どんな秘密が隠されているんだろうか。
暫くじっくり付き合ってみよう。
この集大成は軽さが妙味を出す。
これ以上軽いWRXがを、
彼等がもう一度作れるか。
STIにとって、
そこが次の課題だな。
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中原
at 2019-03-19 01:11
x
ちょうど一年前、DEを受講してからの集大成ではないのですが、今日はお休みが取れたので自宅から箱根、十国峠を通り伊豆スカイラインへ行ってきました。
納車以来不安のあったブレーキを年末に自力でOHし(整備士免許はあるし工具もありますので)さらにブレーキホースも交換しておいたので春になったらワインディングロードに行ってみたかったのです。
20年以上前の古いクルマですが意外にもキチンと走ってくれました。DEで学んだとおりのセオリーで操ると、面白いように手中に収められることは普段の通勤で分かっていましたが、こうやって遠征するととにかくワインディングロードが楽しい。
直線で減速し終えてブレーキとアクセルはオフにしてステアリングを押し手で回して曲がる。そうすると前輪は余力を残して、後輪は前輪の補助をしつつキチンと接地している。4輪の負担が均等に分散され旋回して行くのが快感でした。ボクのクルマはそうしないと安定してくれないのです。スバル車と比べると遥かに低いシャシーとサスペンションの性能ですからなおのこと。
満足して家路に着きました。
つきっきり?でメンテナンスをして徐々にコンディションが良くなってきましたが、当面はエアコン修理で費用を捻出しなくてはならないので節制の日々を送っている毎日。徐々に整えていきます。
DEでレクチャーしてくださった社長には本当に感謝しています。
納車以来不安のあったブレーキを年末に自力でOHし(整備士免許はあるし工具もありますので)さらにブレーキホースも交換しておいたので春になったらワインディングロードに行ってみたかったのです。
20年以上前の古いクルマですが意外にもキチンと走ってくれました。DEで学んだとおりのセオリーで操ると、面白いように手中に収められることは普段の通勤で分かっていましたが、こうやって遠征するととにかくワインディングロードが楽しい。
直線で減速し終えてブレーキとアクセルはオフにしてステアリングを押し手で回して曲がる。そうすると前輪は余力を残して、後輪は前輪の補助をしつつキチンと接地している。4輪の負担が均等に分散され旋回して行くのが快感でした。ボクのクルマはそうしないと安定してくれないのです。スバル車と比べると遥かに低いシャシーとサスペンションの性能ですからなおのこと。
満足して家路に着きました。
つきっきり?でメンテナンスをして徐々にコンディションが良くなってきましたが、当面はエアコン修理で費用を捻出しなくてはならないので節制の日々を送っている毎日。徐々に整えていきます。
DEでレクチャーしてくださった社長には本当に感謝しています。
1
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b-faction at 2019-03-19 09:45
中原さん、こちらこそミニカーの再生を感謝しています。すっかりインプレッサハウスの重鎮ですよ。大切にします。
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by
MABE
at 2019-03-19 21:37
x
代田社長、こんばんは。
横浜在住の安部です。
初代レガシィRSはとても良く覚えております。
当時は高嶺の花でとても手が出ませんでしたが、スバルってすごいクルマを造る会社だと思ったのを覚えております。
エンジンのお話、特にトルクのお話をとても興味深く拝読いたしました。
私のB4のFB25もフラットトルクだろうなと思いながら乗っております。
Iモードだと通常の走行では1,000rpmから2,000rpmの間で悠々と走り加速も十分です。
CVTであることも寄与していると思いますが、常に高トルクをキープしているエンジンだと感じます。
SモードやS#モードでは回転数が上がってその分キビキビ走って本当に楽しいです。
特にS#モードではエンジンブレーキが良く効くのもありがたいです。
久しぶりにSubaruのB4のサイトを見ましたらマニュアルモードは私のB4より一速増えて7速になっていました。
CVTですからトランスミッションが機械的に大きく変わるわけではないのでしょうが、Subaruは年次改良でこんなことまでするんだなと感心しました。
初のSubaru車も早三年を過ぎましたが、5分ほどのスーパーに妻と買い物に行くだけでも未だにワクワクしながら乗っております。
いつかEJ20搭載車にも乗ってみたいと思っております。
横浜在住の安部です。
初代レガシィRSはとても良く覚えております。
当時は高嶺の花でとても手が出ませんでしたが、スバルってすごいクルマを造る会社だと思ったのを覚えております。
エンジンのお話、特にトルクのお話をとても興味深く拝読いたしました。
私のB4のFB25もフラットトルクだろうなと思いながら乗っております。
Iモードだと通常の走行では1,000rpmから2,000rpmの間で悠々と走り加速も十分です。
CVTであることも寄与していると思いますが、常に高トルクをキープしているエンジンだと感じます。
SモードやS#モードでは回転数が上がってその分キビキビ走って本当に楽しいです。
特にS#モードではエンジンブレーキが良く効くのもありがたいです。
久しぶりにSubaruのB4のサイトを見ましたらマニュアルモードは私のB4より一速増えて7速になっていました。
CVTですからトランスミッションが機械的に大きく変わるわけではないのでしょうが、Subaruは年次改良でこんなことまでするんだなと感心しました。
初のSubaru車も早三年を過ぎましたが、5分ほどのスーパーに妻と買い物に行くだけでも未だにワクワクしながら乗っております。
いつかEJ20搭載車にも乗ってみたいと思っております。
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by
b-faction at 2019-03-20 19:52
安部さん、今晩は。
クラシックなEJ20は正統派の居酒屋のように旨味があります。ぜひお試しください。
クラシックなEJ20は正統派の居酒屋のように旨味があります。ぜひお試しください。
by b-faction
| 2019-03-18 22:00
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Comments(4)