
久し振りのすき焼きだった。
好きな具ばかり入っている。

まずビールで乾杯だ。

最初から卵を混ぜないので、
先に白身から減っていく。
その味と舌触りの変化が好きだ。
すき焼きってガッツリ来るよね。
ドンっと美味しさが胃袋に入ってくる。
合わせてワラビの初物を食した。

東京の松野さんに戴いたワラビは、
食べた事が無い美味しさだった。
あらかじめアクが抜いてあり、
下処理の方法が良かったのかもしれない。
モチモチした、
アスパラガスみたいな、
癖のない味だった。

美味しくいただきました。
ありがとうございます。

その日はB4で狩りに出かけた。
最も魅力的なリミテッドのブラックボディだ。

B4に乗るのは久しぶりだった。
運転席に座って周りを見回した。
調整幅の大きな本革製のシートには、
ポジションメモリーが付いている。
なので、
一度正確に合わせれば、
他の人が乗った後でもワンプッシュで済む。
だからドラポジ合わせが要らない。

やっぱり正統派のセダンは良いね。
広々として心理的余裕が大きくなる。

レガシィらしさを踏襲したセレクター周りだ。
アメリカ的な無機質さが良い。

左右のクラスターにはお馴染みの装置が付く。
右はEyeSightとSI-DRIVEの操作系。

左はオーディオとクラスターに寄り添う形で、
マルチインフォメーションディスプレィの切り替えスイッチがある。
オーディオはハーマンカードンで、
起動させると大きなディスプレイにスターリンクの文字が出る。

ハーマンカードンを鳴り物入りで採用したが、
最近は見ることが少なくなった。
実際のところ、
初めて見て聞いた時に標準品との差が良く理解できなかった。

マッキントッシュを初めて聞いた時のインパクトが凄すぎて、
きっと麻痺してしまったのだろう。
何よりもうれしい装備が、
大きなサンルーフだ。

花粉と黄砂の季節は不要だが、
この先の新緑と秋の紅葉のシーズンには欠かせないアイテムだ。

本当に大人のクルマだ。
どこまでも走っていきたくなる。
隔絶されて応接室に居るような静かさではない。

クルマらしい音がちゃんと入って来る。
でも静かさの絶対値は間違いなく高い。
レガシィのインテリジェントモードは、
かなり元気良く走るので、
初めてオーナーになった人はさぞかし驚いただろう。
このクルマからアウトバックとの違いが歴然となった。
アウトバックの鷹揚さも好きなのだが、
B4の並々ならぬパフォーマンスには驚かされる。
つまり、これと言った飛び道具が無いのに、
普通に乗っても速くてスポーティなのだ。
すき焼きの味なんだな。
このサイズのフォーマルセダンは、
おおよそどこのクルマもオブラートで包んだような味になる。
ダイレクト感が無い代わりに、
何かに包まれたように快適で静かだ。
ところがB4はガツンとした美味しさを持ち、
「こりゃなんだ?」と目を見張らせる時がある。
S#をほとんど必要としなかった。

この堂々としたサイズ感が良いね。
THE B4はいかがですか。
当時の新車価格は323万円だ。
このエンジンは175馬力で235ニュートンと平凡だが、
恐らく現在のSUBARUにおけるパワーユニットで、
最もリニアトロニックと相性が良い。
大きく見えるので重く感じるかもしれないが、
B4はレヴォーグのSTI2.0GTより40kgも軽い。
なのでNA2.5リットルエンジンの素性の良さが、
B4と良く整合しアクセルに対する追従性が俊敏だ。
面白いクルマだね。
そのB4で往路を走り、
連れ帰ったのがこの子だ。

排気量も対極で、
形も対極で、
トップグレードに対してベーシックグレード。

同じ系統のエンジンで、
2.5リットルがオーバースクエアなのに対して、
こちらはロングストロークになっている。
そこが面白い。
2.5は排気量の余裕でトルクを稼ぎ、
ショートストロークでバーンと回るエンジンだ。
1.6は低排気量のトルク不足を高回転まで回して補う。
ロングストロークなので、
回転フィールが悪いかと言えば決してそうではない。
そこは水平対向エンジンの長所を生かし、
高回転まで伸びやかに回る。
インプレッサは回して乗るクルマなのだ。

室内の仕立てもB4に負けず劣らずだ。
しかも質感が良い。
NVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)はレガシィのように、
クレードル構造に裏打ちされた優秀さではない。
その骨格とボディから自然に湧き出るモッチリ感が、
何とも言えない気持ち良さを産む。
これが下剋上の正体だ。
クルマ全体で雑味を吸収する、
このモチモチ感はあの美味しいワラビの噛み応えに似ていた。
SGPの優秀さを物語るシャシーの質感だ。
マルチファンクションディスプレィを持ち、

LEDのステアリングレスポンスドヘッドライトも付いて、
200万円を切る193万円と言う驚きの価格だ。
正直に言うと、

インプレッサはFWDの方が絶対に面白い。
これにB4のエンジン積んで、
安くて面白いSTIを作るのが、
新社長の方向性の一つだと思う。
いかがでしょうか。