ノルドシェライフェに向って、
フォレスターを疾走させた。
アイフェルの景色に溶け込む、
最新のフォレスターが美しい。
ドイツ人が最も好むであろう、
ハイパフォーマンスなスバルは姿を消した。
それは、
厳しい環境制限と燃費制限が、
どこのメーカーにも荒波となって押し寄せたからだ。
そんな中、
スバルはターボに代わる電動化技術で、
その荒波を乗り切ろうとしている。
まだ本格的な輸入を前に、
ドイツでモータージャーナリストから好評を得た、
最新のスバルを試した。
欧州仕様のフォレスターeーBOXERは、
国内仕様のパフォーマンスとほぼ同じだ。
それではeーBOXERの一体どこが、
欧州と日本で違うのか。
それはGPFの有無だ。
DPFなら聞いたことがあるだろう。
Diesel Particulate Filterを略したもので、
ディーゼルの排気から粒子状物質を取り除く仕掛けだ。
このパーティキュレートフィルターをそのままに、
ディーゼルの文字をガソリンと入れ替えたのが、
GPFと呼ばれる後処理装置だ。
これはまだ、
日本で装着する必要の無い装置だ。
ガソリンエンジンも、
徐々にディーゼルと同じように、
直噴化の道を辿っている。
従ってディーゼルと似た燃焼形態になり、
粒子状物質の発生が増えるようになった。
多段着火するなど、
燃焼理論を駆使し、
高度な制御を与えるが、
実際の使用上でどうしても煤などが出やすくなる。
そのため、
パーティキュレートを取り除くために、
GPFが開発された。
けっこういいお値段がするらしい。
新しいハイブリッドには、
eーBOXER専用直噴エンジンが搭載された。
なので、
欧州の基準に沿って、
こちらの仕様にはGPFが搭載された訳だ。
後処理装置が付いたからと言って、
吹け上がりの差などはまるで感じない。
走らせたら一緒だ。
世界一厳しい環境基準に、
容易に対応が可能だという自信の表れだろう。
このクルマについては、
またじっくり話すことにしよう。
肩慣らしでフォレスターに乗り、
いよいよ緑地獄に着いた。
いつもニュルに来て、
真っ先に目に飛び込むのがプランツガルテンだ。
外から原石の採取地を観察する。
毎年出来る限り、
この難しい場所で原石を得て帰る。
この場所が難しい理由は、
コースに隠された難しい起伏だ。
上からシケインを狙って、
ほぼ直線に駆け下りる。
そしてジャンピングスポットで、
ステアリングを真っ直ぐに揃え、
必ず軽くブレーキングしてから、
リリースすると同時に飛ぶ。
着地したら再び制動力を掛け、
右ターンの準備を整えるのだが、
レイトエイペックスと言って、
次の右コーナーは頂点が奥にある。
丁寧なスロットルワークで、
慌てずターンしないととても危険な場所なのだ。
初日が始まった。
まず目を引いたのは、
M5に採用されたハイパーブルーだ。
本当に格好が良い。
STIの特別仕様車に復活させると素敵だ。
レクチャーが始まった。
プランツガルテンでクルマを降り、
実際の路面を足で踏みしめる。
外から撮影した画像と、
中の画像では臨場感がまるで違う。
不陸の頻度がより分かるはずだ。
こんな場所は世界のどこにも無いな。
降り立って初めてわかる。
この場所の凄さが・・・・。
スバルはもっとここで走り込み、
クルマを鍛え直す努力が必要だ。
圧倒的に走り込みが足りないと、
現在販売中の「WRX」から感じる。
さり気なく原石を採取し、
マイケルに写真を撮ってもらった。
すっかり自分のカメラのように使いこなしている。
キャノンのパワーショットが、
すっかりお気に入りのようだ。
ガンガンカスタマイジングして、
思うように使いこなしている。
後ろ手に拾った石を握り締め、
粛々とコース説明を受けた。
最近のBMWは業績が悪化し、
復調しようともがいている。
一つには環境規制があり、
駆け込み需要に対応させるため、
大幅な値引き販売を繰り広げる。
Mシリーズを3割以上も大幅割引すれば、
利益を圧迫して当然だろう。
日本に居ては実情を理解できない。
結局BMWの社長が交代し、
現状打破を目指すようだ。
意識改革の端緒がこのトレーニングにも表れた。
例えば、
この場所で給油するのは、
今回が初めてだ。
ここはタイムアタックなどで、
よくスタート地点に使われる旧パドックだ。
積極的に給油するので驚いた。
これまでとは違って、
初日もセクショントレーニングが終わると、
一日の締めくくりとして、
スポーツラップを繰り返した。
名称も変わった。
昨年までの「ファッシネーション」から、
「レーストラックトレーニング」へと。
その意識改革は、
走りの効果を明らかに引き出した。
恥ずかしい事に、
まだまだ未熟だ。
それでインストラクターは、
かなり抑えて走っている。
でも、
肝心なところで引き離される。
エクスミューレでテールをブレイクさせるし、
ステアリングワークに角が多い。
二度タイヤのコーナリングパワーをブレイクさせそうになった。
氷上を走って練習しないと、
何故危ないのか解るはずだ。
ドライでこの環境なので、
クルマの総合性能を、
高度に要求されるのだ。
だから、
スバルは再びここを聖地として、
NBRで徹底的な車両開発を繰り返すべきだ。
まだまだ奥が深い。
精進を続けることで、
スバルに更なる愛情を注ぎ込もう。
引き続きお楽しみに。