
ドイツで食べた堅いパンが食べたくなった。
パン屋とは思えない風景だ。

この地に安住してステキなパンを作っている。
絵にかいたようなオーガニックな世界。

オーナーは大工仕事に集中し、
来る繁忙期に備え屋外ラウンジを整えている。

出来れば天然酵母を捕まえて焼きたい。
この森の中なら出来そうな気がするが、
なかなか難しいらしい。

黒板にもオーガニックな世界が描かれている。
開田高原に来たら、

タピタのパンも忘れないで欲しい。
美味しいトウモロコシが育っている。

夜の寒気にキュッと絞められ、
開田の作物はどれも味が濃い。
真っ赤な花に目が留まった。

思わず近寄り触ってみた。

しっとりと温かく、
強く触ると凹みそうだ。
こんなに綺麗なケイトウを、
最近見た事が無かった。
目に留まらないだけかもしれないが。
思わず触れたくなるほど安全な植物だ。
食用にもなるらしい。
同じ強い赤でも、
ヒガンバナの赤とは違う。
ヒガンバナはアルカロイドを持ち、
他の生き物を近づけない毒々しさがある。
毒は薬でもあるけどね。
オーガニックなクルマが現れた。

岡山から岡田さんが、
愛機アルシオーネの車検に来訪された。

避暑を兼ねて、
ちょっと長めにお預かりする。
この赤に近い色も開田高原で見た。

正面右側にネットで囲まれた畝が見える。
良く見ると真っ赤な何かが付いている。
なんだろう。
花なのか果実なのか見当がつかない。
でも商品作物である事は間違いない。
オーガニックな世界で過ごしていて、
ふと思い出したのは、
小川さんから戴いた焼き菓子だ。
何となくオーガニックだった。

会社に戻ると、
リリエンベルグのお品書きが出てきた。

さっそくケーキが何か調べると、

パウンドケーキは三種類あった。
オレンジ、
フルーツ、
これはティーパウンドと呼ばれるお菓子だった。
しっとり粉っぽいのは、
紅茶だったんだ。
アールグレーにコニャックの香りを染み込ませたようだ。
となると、
気になって仕方がない。

ドイツに行ってる間に消費期限の来た、
このお菓子はどんな味なのか。
美味しかったと言っていた、
むっちゃんにどんな味だか尋ねたら、
「ブルーベリージャムが入っていて美味しかった!」
と嬉しそうな顔をした。
お品書きを見ても、
そんな説明は一つもない。

形を見ると、
ブルクテアターが近い。
初めて見るお菓子だ。
よく読むと「アカスグリ」のジャムとある。
なーるほど。
最近ブルーベリーのジャムを作っているので、
食感が似ていて間違えたのか。
スグリ科スグリ属のフサスグリは、
赤と白に分類できる。
シロスグリは甘味があり生食も可能だが、
アカスグリはとても酸っぱいのでジャムかゼリーか、
あるいはリキュールになる。
リキュールと言えば、
カシスを思い出す。
スグリ科にはフサスグリの仲間にクロスグリがある。
これは別名カシスと言い、
クレーム・ド・カシス(リキュール)の代名詞だ。
最近飛行機に乗ると、
食後酒を呑むのが楽しみになった。
様々なリキュールがあるけれど、
食後の食器回収コンテナに、
ベイリーズやシャリーが載っているのを見た事があるはずだ。
ベイリーズはアイリッシュウイスキーにクリームが入ってる。
誰もリキュールだと思っていないが、
養命酒のような薬用酒もリキュールの一種だ。
カシスやアカスグリを使う果実系のリキュールもあれば、
養命酒のような薬草系リキュールもある。
かと思えば、
カンパリのように何でできてんだか、
サッパリ解らないコカ・コーラのようなリキュールもある。
そんな事を考えていて、
ふと思い出した。
そう言えばとんでもないリキュールがあったな。
ヴァンゴッホを廃人にして、
ロートレックも狂わせた、
「緑の魔酒」と呼ばれる魅力的なリキュールだ。
アブサンは20世紀初頭のヨーロッパで、
作ることを禁じられた危険で魅惑な酒だ。
高純度なアルコールに、
ニガヨモギ、アニス、ウイキョウなどの精製油をブレンドし、
様々なスパイスも投じた。
魅惑の素はアルカロイドだ。
薬と毒は表裏一体だ。
自制心を失った中世の人々は、
アブサンの虜になり、
その結果アブサンは長きにわたって封印された。
オーガニックは天然由来の肥料を使い、
農薬や化学肥料を一切使わず野菜を育てる。
自然界にある有機物を活かし、
自然の摂理に沿って育てる。
アルカロイドは、
天然由来の有機化合物だ。
有名なのはケシから作るモルヒネだが、
ニガヨモギに含まれるツジョンというアルカロイドが、
芸術家たちに様々な肉体的影響を与えた。
最も解り易い絵画が、
1901年に描かれた、
アブサンを飲む男だろう。
1900年代と言うと、
ヨーロッパではクルマの成長期にあたる。
ポルシェ博士が人類初のハイブリッドシステムを、
パリ万博に出展したのも1900年だ。
その翌年にアブサンを飲む男が描かれている。

最も新しいSUBARUで、
日本でアブサンに由来する場所を訪れたくなった。
ドイツで乗った感覚を、
忘れないうちに日本で走り、
夏祭りでスバルファンと大いに語り合うためだ。

国内仕様のアドバンスは、
とてもアダルトなエクステリアだ。

その隣のX-BREAKは、
アメリカンなスポーツタイプだ。
正に欧州仕様が目指したのは、
ヨーロピアンスタイルだ。

この違いが分かるだろうか。
SUBARUはなかなか上手く作り分け、
様々なリキュールを顧客に提供している。

国内のアドバンスに、
最もヨーロピアンなタイヤを履かせた。
この走りも楽しみだ。
まだ本気で試していない。
偶然だけど、
このクルマで初めて行った場所に、
アブサンに関わるワイナリーがあった。
ニガヨモギを含む酒に、
ベルモットがある。
カクテルのマティーニを作るために欠かせない、
ワインの一種だ。
これもリキュールのように思えるが、
あくまでもワインらしい。
何故そこでアブサンを売っていて、
今はどうして止めてしまったのか、
具体的な話を聴いて来よう。
あのサントリーもアブサンを作っていた。
もう一度作ると面白そうなお酒だぞ。
1981年に世界保健機関が製造を認め、
あちこちで製造が復活している。
明日が待ち遠しい。