持ち帰ったタネツケバナを、
綺麗に洗って堅いじくを取った。
フレンチドレッシングを掛ける。
少し甘いドレッシングが良く合うね。
かすかな苦みと、
ほんのりとしたミネラルを感じる、
ワイルドな噛み応えで、
箸休めに凄く良い。
サラダのトッピングにもピッタリだな。
大物なら確かにクレソンの代わりに使える。
見た目以上に美味しいね。
見た目以上に変な客が来た。
スースーと鼻の部分だけ、
マスクの一部が動く。
不気味だ。
「だーすべーだあー」を思い出した。
表情が解らない上に、
仕草がぎこちなくて、
どこからどう見ても変だ。
老眼らしい。
なおさら更不気味になった。
細かい文字が見えないようで、
ゴーグルの上からハズキルーペを掛けている。
時々クックックと笑う。
コロナウイルスはこの後で変身すると、
訳の分からない事を言う。
珈琲は飲みたいらしい。
淹れたてのスターバックスを出したら、
流石にマスクを外した。
あと数か月で肺炎ではなく、
消化器系がただれて、
飲み食いが出来なくなり死ぬんだと、
指折り数えて嬉しそうに言う。
そりゃノロウイルスだがね。
死にゃあせんし・・・。
自分は経口補水塩を買い占めたから、
「絶対にそれで持ちこたえる」と嬉しそうだ。
そんなもん、
水飲めばいいというと、
「お前、イタリアでなぜ爆発的に増えたか知ってるか」
と得意げに聞いてきた。
中国人が出稼ぎでたくさん行ったからだろ・・・と言ったら、
「違う!イタリア人はオリーブオイルをたくさん食べるから、
その消炎作用で免疫が落ちたんだ」とのたまう。
ああそうですか。
それは大変だ。
確かにアレルギーを軽減させるクスリも、
そんな気がしてたから、
あちらを立てればこちらが立たぬ所はあるだろう。
ところで、
それを誰に聞いた?
と問い詰めると、
何だかそのとたんに、
構築してた論理がへなへなと崩れる。
唐突に「金ならある!」
それは良かった。
「長年のタンス預金を、
この機会に株式投資に洗いざらいぶち込むぞ!ヒヒヒヒヒ!」
凄い勢いだ。
やめとけ、と言うと、
「占い師になる」とまたおかしなことを言う。
何とか運命学解析のセミナーに、
何十万も払って加入すると、
「解析士」と言うもの成れるらしい。
そんな眉唾に金払ったのかと聞くと、
流石に途中でおかしいと思ったらしいが、
時すでに遅く、
払った金を返してはもらえなかった。
でも少しは効果があったのか、
株式が読めるようになったらしい。
凄いね!
人それぞれだよね。
確かに価値観は人それぞれだ。
毎年、
死に物狂いでニュルブルクリンクを走るから、
その辺りは良く解る。
高い金を払って「車師」を目指すなどと言ったら、
それこそ「頭おかしいんじゃないの」と言われるよね。
シャシーをもじって車師か・・、
それも悪くないな。
ウッシッシッシ!
そんなバカ話をしていたら、
あっと言う間に時間が過ぎた。
変な客は点検の終わったサンバーで、
野望を胸に抱いて帰って行った。
やたら忙しい毎日で、
次から次にニュースソースが舞い込む。
先月からレガシィが良く売れ、
それに付随する作業も多い。
三代目レガシィはどっしりとした乗り味で、
今も愛好者をたくさん抱えている。
まだまだ部品は十分だけど、
一部オーディオなどは修理が難しくなっている。
また、
あの頃なら最先端だったナビゲーションシステムも、
だんだん能無しになりつつある。
真っ赤なブリッツェンの改修作業が始まり、
ちょっと思い切った開発を終えた。
先日もSVXに装着し、
当時のプレミアムサウンドシステムを、
ブルートゥースでモディファイした。
そのジョンスマをアレンジして、
BH系のマッキントッシュをモディファイする。
装着されていた社外品を全て取り除いた。
まずオリジナルの状態に戻す。
最先端だったハードディスクナビも、
今となってはガラクタだ。
全く使えない訳では無いが、
足を引っ張り合うので良くない。
このワイヤーハーネスの凄い量を見ると、
配線の簡略化でクルマの軽量化が飛躍的に進むことが解る。
シートを取り外し、
助手席の下に合ったナビの補器を取り払った。
運転席側のシート下にマッキントッシュのアンプが座っている。
そこから助手席側に置いたジョンスマに、
アンプからの出力をリダクションして伝える。
北原課長がまだごそごそ作業してる。
これも無用の長物だ。
一世を風靡したターボタイマーだが、
元々ガソリンまき散らすだけの無駄なパーツだ。
きれいさっぱり取除いた。
この配線だってバカにならない量だ。
助手席側にジョンスマをセットし、
BH5のマッキントッシュ仕様専用に開発した、
スイッチボックスを装着する。
それほど強い音声出力が無くても、
ジョンスマのメインアンプは高い再現性を発揮する。
信号の負担を減らしながら、
信号の伝わり方を良くするために、
まっ金のアンプに、
このクルマ専用の配線を装着した。
こちらが開発に協力して戴いた、
サイバーストークの伊藤さんだ。
アンプの設定と機器の設置を、
課長と伊藤さんが二人三脚で進めた。
サイドブレーキレバーの下を見ると、
余裕を見て設計した、
太い配線が走る様子がわかる。
伊藤さん、
ありがとうございました。
マッキントッシュ搭載車は多いので、
今後強い味方になれるはずだ。
良い個体が少なくなり、
目を皿のようにして探す人が増えた。
やっぱり、
徹底的に心血注いで仕上げると、
クルマに魂が宿るよね。
この三代目レガシィ、
通称BH5も素晴らしいクルマだ。
この頃はWRCで戦ってたから、
クルマも一味違っていたよね。
懐かしい。
もう一度、
あの世界に戻れる日が来ると良いなぁ。