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インプレッサで志すこと

6年前に遡る。
世の中には誤解が多い。

定休日の水曜日に、
残務を片付けるために出勤した。

入口を解錠していたので、
「こんにちは」と誰かが入店された。

要件を聞くと、
「あのインプレッサが見たい」と、
見学を希望された。

営業中なら構わないが、
定休日は全てロックアウトしている。

それを理由にお断りしたのだが、
何かを勘違いされたようだ。

「持ち主の所に帰ったのか」と言う。

それは大きな誤解だ。

笹子トンネルの崩落の後、
様々な現場検証が行われ、
その責任が何処にあるのか徹底的に検証中だ。

責任の存在を明らかにする事は重要で、
それにより再発防止を徹底できる。

ところがその責任が曖昧になると、
いつの間にか事件が事故になり、
人々の記憶も風化する。

事故だけでなく、
政治家の疑惑も同様だ。

リクルート事件然り、
東京佐川巨額汚職事件然り、
いつの間にか世間の記憶は風化し、
罪の存在自体があやふやになる。

笹子トンネルも崩落した事が事故なのか、
或いは事件なのか、
いずれ結論が出るだろう。

トンネルの中に多くのクルマが存在し、
その中で不運にも4台のクルマが天井板の直撃を受けた。

その巻き込まれたクルマの中で、
唯一走れる状態で生き残り、
主は事故の瞬間を目撃した生き証人となった。

この事は笹子トンネル崩落事故の、
原因を究明する上で大きな力になったはずだ。

その上で、
なぜ「大きな誤解」なのか説明しよう。
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つい先日、
後藤さんから紅白饅頭を戴いた。

「社長、こういう時には、やっぱりこれが良いですね」

素朴で美味しかった。

漸く元の姿に戻ったインプレッサと、
ご夫婦揃って対面された。
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修復を統括した北原課長から、
「想い出の品」がプレゼントされた。

彼は分解や修復を進める上で、
度々車体の一部を切り取った。

その時の一つを奇麗に磨いて加工し、
銘板に仕上げた。

そしてナンバーを抹消し、
謄本と組み合わせフレームにいれた。
大切に側に置いて戴けるだろう。

冒頭の来訪者は、
修理にいくら掛かったのかを気にしていた。
「そんな事は考えたことも無い」と話すと、
「工数を考えれば解るでしょう」と怪訝そうだ。

これが根本的な誤解だ。

これは「仕事」ではなく「執念」の結果、
そこにもたらされた結晶なのだ。

工数など関係無く、
計算した事も無いと言った。

「じゃあ何故」と聞かれたので、
はっきりと言葉にした。

「それは執念です」

それを聞いた途端、
なぜかその人は顔を強張らせ、
「またきます」と一言だけし、
足早に店を去った。

インプレッサの修復は、
依頼された仕事では無い。

そもそも見積もりも存在せず、
工期さえも定めていなかった。

全力を出し切った愛馬に、
名誉ある余生を過ごさせるためだ。

他にも遠方からの見学があり、
手作りの美味しいお菓子を戴いた。
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東京から岡野さんが二人のご友人と来訪された。

岡野さんとニュルブルクリンクで出会った。
久し振りの再開だった。

そのご友人の野村さんから、
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後日このスイートポテトが届いた。

あまりにも美味しすぎる。
良い匂いが漂い、
ステキな舌触りが嬉しい。

「皆さんで召し上がって下さい」と、
丁寧なお手紙が添えられていた。

社員の顔を思い浮かべながら、
作ってくださったのだろう。
「経験の幅」を感じる、
お金を出しても買えないお菓子だ。

ちょうどタイミングを見計らったかのように、
八女市の川﨑さんから小包が届いた。
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中身は香り高さで名高い八女茶だ。
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心づくしのプレゼントを戴き、
ありがとうございました。

夏も近ずく八十八夜か。
良い季節だな。
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正に銘茶だ。

柘植さんからも、
八女茶にぴったりのお土産を戴いた。
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歴代のレガシィを乗り継がれた、
生粋のスバリストから、
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「支倉焼」なる仙台名物を戴いた。
初めていただくお菓子の、
「支倉」だけが妙に耳に残るので、
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添えられた由来を読んだ。

勉強不足を恥じた。

支倉と言う名の大人物が、
江戸の初期に実在した。

難破船からスペイン人を救った縁で、
黒船を建造しヨーロッパへ向かった。

いまから400年前に、
とてつもなく面白い男が居たのだ。

行けと命ぜられたのか、
行きたいと思ったのか、
その辺りには色々な動機があるだろう。

しかし明確なことは、
一旦計画したことを、
万難を排して進めた。

出来るか出来ないか、
それは能力では無く、
執念の差だと明確に示した。

支倉常長に(はせくらつねなが)に、
心が共鳴した。

複数のGC8が復活を待っている。

その中の一台だ。
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オレンジ色が好きな理由は、
「やる気」にさせる色だから。

執念を持ち続けるためのスパイスになる。

オレンジ色は人生のシンボルカラーだ。
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ヤマザクラの根元には、
いつの間にかオレンジ色の花畑が広がった。

オレンジに紫や白もある。
これらは全て自然の発芽だ。
執念を持って手入れすると、
自然から様々な答えが返る。

オレンジの花は、
コウリンタンポポだ。
この場所がまだ放置されていた頃、
草が伸び放題だったので、
草を刈った後で枯れ枝と共に燃やした。

ムラサキツユクサを枯らさないように、
防護した上で火を付けると、
長い時間をかけてゆっくり燃えた。

残った灰が刺激したのだろう。
植生遷移が始まり、
奇麗なオレンジ色の花が突然咲いた。

人間は都合良く生きるから、
自然をいじくりまわす。
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望桜荘の庭を奇麗に整えたら、
植物の抵抗力が落ちた。

良くなれと思う心が仇となり、
1000匹以上の毛虫が発生した。
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異常繁殖し全ての若葉を食い尽くす勢いだ。
これでは松が枯れる。
が、
自然の摂理だろう。

荒れ地だった川の斜面にブルーベリーを植えた。
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更に竜舌蘭を移植すると、
次々に繁殖が始まった。

今度は刈った草の処分に困るようになり、
積み上げた草を堆肥に変え次に備える。

ブルーベリーを覆い尽くす勢いで、
カラスノエンドウが繁って来た。
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すぐに増えるから雑草だと粗末にするが、
縄文時代なら大切な食料だ。

自然に生える植物を採取して生きる時代から、
栽培して食べる時代へ変化し、
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豊かな土壌は大切な領地となる。
この細長い実を若いうちに収穫し、
炒めて食べると美味しい。
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このジャンジャン生える野蒜も、
茹でて食べると実に美味しい。

採取や狩猟による生存から、
栽培や牧畜による生存に進化し、
やがて経済活動が始まる。

自然は様々な事を教えてくれるから、
それが様々な気付きに繋がる。

ところが言われた事だけに留まると、
それは単なる「仕事」で終わる。

「天性に最もあった職業」を天職と言い、
それは育った環境だけで無く、
先祖代々に渡りDNAに刻み込まれた記号に支配される。

祖父の生まれた家は、
中仙道の有名な宿場町の「妻籠」だ。

その屋号を白木屋という。
何を生業としていたのかは知らない。
が、
宿場の枡形に居を構えていたと言うことは、
人や物の往来に何らかの関わりを持っていただろう。

と言う事は、
当時の物流を支配した馬に対して、
相当の目利きがあったのかもしれない。

クルマに執念を持つルーツが、
何となく紐解けてきた。

キーワードは「ばくろう」だ。
「馬喰」とも「博労」とも「伯楽」とも書く、
とても面白い言葉だ。
それを基に変遷を辿る。

産まれた時から身近にクルマがあり、
二十歳台にはクルマの売買に関わって、
一生懸命馬喰をしていた。

四十歳台になり、
教わるから教える立場も任され、
博労の立場で人と交わった。

愉しさを覚える反面、
自分の考えを伝える苦労を知った。

次はいよいよ伯楽を目指す。
それが楽しい人生の変遷かな。

笹子トンネルから何とか抜け出せたものの、
ボロボロに潰れてしまったインプレッサ。

それを見てDNAが滾った。
「ばくろう」には、
馬を売買で善し悪しを鑑定したり、
病を治すまで数々の仕事があったと聞く。

執念無くて成り立つか。
単なる仕事では無かったはずだ。

それに対して、
複雑になった現代社会は、
仕事が細分化された結果、
「命がけで」仕事する機会が減った。

必死で働くことは悪だという風潮もある。

楽な道を選ぶ方が、
誰だって良いに決まっているが、
執念の見えない仕事に、
魅力は伴わないだろう。

スバルから続々とステキなクルマがデビューする。
久しぶりに愉快な男に会って、
会話がとても弾んだ。
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スバルの西久保さんが、
岐阜市で開かれたレヴォーグ発表会に現れた。

見事なプレゼンテーションで、
時間内に上手くまとめた。
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驚いたことに岐阜へ来る前に、
このブログをしっかり読んだという。

レヴォーグのMFDに、
ゴールデンカップを表示させたこと感銘を受けたと、
嬉しそうに語ってくれた。

営業本部でも見たことが無いらしい。
彼自身も一度も出してないと言う。
ここに来る間も点灯させたので、
実際にお見せすると、
「これを消さないで中津川までお帰り下さい」と見送られた。

岐阜往復の結果も17.4km/lと好調だったので、
ゴールデンカップは消えなかった。

インプレッサWRXも今夏発表される予定だ。
だがそれよりも、
更に重要な将来構想が存在する。
2020年までの具体的な商品計画にとって、
実に大切な基幹技術だ。

それはスバルグローバルプラットフォーム(SGP)という、
スバルが生き残るために不可欠なシャシー技術だ。

インプレッサWRXは、
WRXと名称を変更し新たな道を歩む。

新車種のS4は、
B4の受け皿になるだろう。
レヴォーグ同様に、
面白い役割を演じる。

WRX STIも、
米国やオーストラリア、
また欧州の一部に熱狂的なファンを持つ。

ランサーエヴォリューションと同じ道を辿らず、
生き残った意味は大きい。

アメリカ人に、
しっかりと受け入れられる秀作だ。

これからの時代、
スバルが生き残るためには、
ますますSTIが重要になる。
しかし現実には、
もはや大量に売れる時代では無い。

だからこそ振り返る。
インプレッサWRXは、
戦いで勝ち続け育まれた財産だ。

ブログ愛読者から一本の電話があった。
「エンジンブローで満身創痍のインプレッサが、
スクラップに向けてカウントダウンされている」

すぐ現場に向かい合意の下で連れ帰った。
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電話の主は「珍しいクルマだ」と告げた。

記憶の彼方を辿る。
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薄汚れたファイルを引き出した。
捨てられない歴史が詰まったアーカイブだ。
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このカタログのクルマは、
2連覇を記念した時の限定車だ。
思わず息を呑んだ。

蘇ったインプレッサが、
瀕死の兄弟を呼び寄せた。
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ホイールがゴールドに変わっているが、
紛れもない兄弟だ。

V2(WRC2連覇)を記念して、
Vシリーズは製造された。

3車型を持つSTIバージョンの限定車だ。

その頃のスバルは、
クーペを売る実力が乏しかった。
自信が持てないので「受注生産」なのだろう。

常に爪を研ぎ、
仕事の原点を振り返りながら、
野望に胸を膨らませる。

欧州の名だたるメーカーと、
ガップリ4つに組み、
3度のワールドチャンピオンに輝いた。

そんなクルマ造りを誇りに思う。

インプレッサWRXは不滅だ。
アグレッシブに世界一速いクルマ作りに挑むのは、
SUBARUではなくSTIだ。
再び世界一のクルマ造りに取り組める日を、
期待して待ちたい。

-2014年5月31日 10時58分の投稿を校正-

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by b-faction | 2020-04-11 17:54 | Comments(0)

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