紫蘭が今年も綺麗に咲いた。
望桜荘の一角で存在感を示している。
梅雨に入ると何もかもが潤い始める。
繁殖活動も盛んだ。
名も知らぬ蛾だが、
やけに気取っている。
タキシードを着たように、
ドレッシーな蛾が、
恥ずかしげもなく交尾してるじゃないか。
のんびり時間をかけ、
繁殖活動に専念していた。
「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んでしまえ」
ふっと頭に浮かんだ。
それぐらいのことで、
死んでたまるか。
げへへへへ。
邪魔してやれ。
木の葉を拾って軸の部分で、
二羽の間を突っつくと、
びくびくっと動いて繫がりが外れた。
その瞬間、
針の先のような白い穴が見えて、
一羽がもんどり打つように逃げ去った。
これを専門用語で「割愛」という。
お蚕様の繁殖で、
沢山の卵を産ませるために、
ずっと交尾させず、
途中で繋がりを外す事を「割愛」と言い、
雌雄の交尾した蛾を捩じるように分けることを指す。
そうしないと延々と交尾して、
蛾が弱ってしまうかららしい。
割愛することで、
効率よく産卵させることが可能だと聞いた。
確かにこいつはかなり疲労してる。
残った方の蛾は触角が折れてヨレヨレだ。
精魂使い果たした感じだから、
これはきっと雄に違いない。
男の人たちよ、
気を付けようね。
雌の生殖器は実に芸術的だ。
卵管の中に卵がいっぱい詰まっていて、
交尾して精子を取り込むと、
卵管の卵を受精させながら粘液線から出した付着物と混ぜ、
餌のある場所の近くに産み付ける。
赤丸の部分を拡大すると、
オレンジ色の矢が直腸嚢で老廃物を肛門から出す。
緑色の矢は交尾嚢で、
ボタンのように右へ飛び出した、
外性器にある陰門に繋がっている。
白く見えたのは、
ここが抜けた瞬間だったのかもしれない。
面白いのは、
上にある肛門と下にある陰門の間に、
産卵孔が隠れていることだ。
産卵は陰門ではなく別の管で行われる。
受精が終わると粘液線から出した粘着物と混ぜ、
卵管の中の卵を順番に餌のある近くに産み付けていく。
すると、
あのような芸術的で強固な塊りになるのだ。
生物の構造は興味深い。
雌に比べ雄の外性器はかなり異様だ。
ボタンのようなでっぱりは無く、
雌の陰門に当たる位置に、
針のような陰茎がある。
その上部に雌の外性器を引き寄せるための、
鉤器(こうき)と呼ばれる器官がある。
それを手繰り寄せ寄せ陰茎を差し込むと、
捕握器と呼ばれる鉤器より大きなフックで、
ボタン全体をガッチリ固定する。
昆虫特有の堅い物質でできていて、
交尾したら簡単には外れない。
細かく見ると、
結構怖いが実に理にかなった繁殖活動だ。
柔らかそうに見える蛾が、
ガッチリと局部を堅いかぎ状の組織でドッキングする。
ヒトとはかなり違う、
実に機械的な結合だ。
交尾というよりも、
宇宙ステーションとHTVのドッキングを連想する。
役目が終わると大気圏で燃え尽きる。
そこも蛾の雄を連想する。
ヒトの雄として哀愁を感じるね。
機械的結合は実に重要で、
外して組付ける塩梅は、
まさに長年の経験が最も活きる部分だ。
筒井さんのリフレッシュが、
今日も着実に進んでいた。
工程は7合目まで差し掛かり、
足回りの組付けが進められた。
塩害が深部に及ぶのでサブフレームをごっそり交換する。
蛾を割愛したように、
外して細かく観察すると興味深い。
それぞれ錆び方に個性がある。
「割愛」という言葉には、
「惜しいけど手放す」とか、
「本当は持っていたいけど省く」といった意味がある。
この意味は、
「省略」や「削減」より重い。
工房にショールームから移動した、
2.5リットルエンジン搭載車を入れ、
リフトに載せて持ち上げた。
スバルは7月20日をもって、
このクルマを含む、
フォレスターの自然吸気内燃機搭載車を全て割愛する。
XVも自然吸気の2リットル搭載車が割愛されたので、
こちらの割愛も予測され不思議な事ではない。
CAFE(企業別平均燃費基準)規制は、
どこのメーカーにも大きくのしかかる。
当面はeーBOXERで十分しのげるので、
スバルはそちらに軸足を移すだけだ。
何しろ昨年ドイツに行って、
スバルの置かれた苦境に愕然とした。
当時は厳しかった。
なにしろ売るクルマがほとんど無かった。
ところがだ、
今の状況はかなり好転した。
スバルドイツはコビッド19でドイツ国内が騒然とする中、
他社が驚くような実績を上げている。
ダナト社長も意気軒高だ。
彼等によれば、
「ドイツの5月全需は対前年半減ですが、スバルは前年越えで頑張っています」
それは凄い!
フォレスター効果ですか、と尋ねたら、
「そうですね、フォレスターとXV e-Boxer効果です。
ご来訪をお待ちしております!」と返事があった。
凄いな。
やっぱり良いものは売れる。
クルマの本場ドイツで、
eーBOXERは正しく評価された。
こうして床下から見ると、
フォレスターの優秀性がしっかりとつかめる。
エンジンやトランスミッション、
それに予防安全などの機能も素晴らしいが、
根本的な走破性能がキチンと確立されている。
前から後ろを見ると、
床下に無駄なでっぱりが無く、
最もベースグレードのツーリングでも、
アンダーカバーでまっ平らに整えられ、
その位置も高い。
リヤサスが独立で、
ダンパーストロークが大きいと、
このように素晴らしいシャシーが出来上がる。
ここで前方を振り返る。
エンジンの下部をガードされ、
その後ろにCVTのオイルパンが見える。
まっ平らなのでランプブレークオーバーアングルが大きくとれる。
今度は一番後ろから前方を見る。
同じサイズのスペアタイヤがしっかり収納できる構造だ。
これを見ると、
グローバルではガソリンも捨てられないね。
よくできたインテリアだ。
とにかく全てにおいて余裕があり、
ロングツーリングが楽だ。
燃料を沢山搭載できるので、
ガソリンスタンドが少ない国では重宝されるだろう。
後席の居住性は驚くほど良い。
空調もシートヒーターもUSBポートも、
全て二人分用意されている。
膝先がものすごく広く、
後席に座るのが楽しくなる。
割愛されるので、
このクルマが欲しい人は急いで中津スバルへ。
サンルーフはフォレスターの必需品だ。
もう一つ、
このモデルも7月20日で受注が終わる。
まだどうなるかわからないが、
先日紹介したように米国ではマイナーチェンジが発表された。
国内でもほぼ同じはずだが、
受注開始が定かではないので、
その間ポッカリと穴が開く。
なので、
車検などが近いオーナーは気を付けてほしい。
フロントフェイスは、
結構好き嫌いが出るかもしれない。
サイドクレッディングもデザインが変わる。
期待したテールランプだが、
どうも片思いに終わったようだ。
よく写真見たらほとんど一緒だね。
まあ、
出てのお楽しみだ。
このサイズのレガシィ待望論は相変わらず大きい。
おっと!
凄いものが届いたぞ。
なかなか手に入らなかった、
あのお菓子じゃないか。
おお!
ドキドキするね。
京都が誇る銘菓だ。
阿闍梨餅をこんなにたくさんいただいた。
ありがとうございます。
さっそくみんなでいただきました。
このお菓子がすごい所は、
脱酸素剤を入れないことだ。
猫も杓子もコブクロを菓子の裏に潜ませるが、
一緒に口に入ることもある。
これには無い。
それだけでも凄いね。
本当に美味しい。
この食感は真似できないね。
渡辺さん、
ありがとうございました。
お任せ車検を承り、
お待ちになっている間に、
先日紹介した開田ルートに向かわれた。
大変ご満足いただけたそうで、
本当にうれしい限りだ。
開田のブルーベリーはまだだけど、
中津スバルのブルーベリーは収穫真っ盛りだ。
阿闍梨餅のような本物を目指し、
無農薬天然肥料を心がける。
渡辺さんを見送りながら、
ブルーベリー畑のリュウゼツランが満開になったことを知った。
鉢植えの高級なランに比べ、
少し色は濁り形も素朴だが、
やはり野に咲くと美しい。
なぜかって。
雨に打たれ強いからさ。
今日は一日中雨だった。
時には強い雨が降った。
この雨に打たれ輝きを増すのが、
このリュウゼツランの魅力なんだ。
繰り返そう。
止まない雨は無い。
雨の後に美しく輝くリュウゼツランのように生きようじゃないか。