いよいよ完成を迎えた二代目インプレッサスポーツワゴン、涙目WRXの改善作業最終章をお届けする。
動画
先月の20日に撮影した時、
すでに大きな整備は完了していた。
ところが、
全く納得できない事が一つあった。
その作業も遂に終わって、
昨夜無事に高速テストも完了した。
そして、
梅雨明けの空を迎え、
今日も朝から草取りに励んだ。
お客様が各所から来訪されるので、
気持ちの良い空間を提供するためだ。
ブルーベリーの収穫は一休みだ。
可愛いフューチャーカスタマーがいらっしゃるので、

思いっきり楽しんでもらうつもりだった。
待ち人来りて、
たくさんブルーベリーを採ってもらった。

すっかりファーマーズガールだね。
ひと汗かいたので、

婿殿から先日戴いたクレパスラムネを飲んだ。

興味津々で、
ラムネの開け方を学んでいる。
飲み方のセオリーも教えた。
玉が転がらないように、
窪みで支えるのだ。
楽しいひと時をありがとう。
このインプレッサを輝かせる道のりは、

まるで子供を育てるように長かった。
決して悪い子じゃなく、
大切に飼われていた素敵なクルマだ。
けれど、
やはり見えないところに疲れが溜まる。
最近は素人のクルマ屋さんも増えたので、
仕入れたクルマを右から左へ売ることが当たり前だ。
点検ぐらいするのは当たり前かと思ったら、
そうでは無い事も多いようだ。
ある相談では、
車検がついてるのに、
点検ステッカーが貼って無かった。
つまり検査に持ち込んで、
現状は保安基準を満たしてるだけで、
全く整備されてないクルマも見た。
オークションで付く評価点だけを頼りに、
簡単に転売してしまうヒトもよく居るようだ。
勿論買う側も色入だ。
値段に吊られて安さ優先だと、
お互いに同じ穴の狢となる。
このクルマの場合、
車検は残っていて危なくは無かったが、
クルマそのものは限界点に達していた。

だからオーナーも中津スバルに託す決断を下した。
中津スバルなら可愛がるはずだと、
その行く手も気にかけている。
それはスバリストに共通する、
クルマへの愛なのだ。
まず一通りの点検を、
法定12か月点検として実施した。
各種消耗品を交換し、
テスター上の安全レベルに合致させた。

エンジンルームも綺麗になったし、
黄ばんだヘッドライトも、
アイマニュキュアのプロトタイプで改善した。
走行テストの結果、
ブレーキは制動力がスムーズに出ないし、
熱を持つと急激に安定性が低下する。

ジャダーが出るからだ。
ダンパーは論外だった。
とっくに限界を超えていて、
十分な減衰力が出ない。
コスパを優先し、
純正のカヤバを選んだが、
バックオーダーで入荷迄一か月以上かかった。

カヤバのダンパーは、
純正採用されるだけあり決して悪いものではない。
特にスポーツワゴンにとって、
きわめてバランスが重要なので、
金額を考えると全く同じものを取り付けるほうが良い。
入荷したダンパーを取り付け、
前後四本交換しアライメントを調整した。
ブレーキも徹底的に整備するため、

まずローターを調べた。
過激に使われたクルマではないので、ローターの厚さは十分あった。
4枚ともローターレーサーで研磨できた。

そしてキャリパーのオーバーホールを始めた。

前後の4個を取り外し、
油圧のかかる部分を分解清掃し、
シールを交換後ブレーキオイルを抜き替えた。

贅沢にも、
前後とも対向ピストンのキャリパーだ。

GC8で開発された、
赤キャリパーを流用しているが、
このブレーキは十分高性能で文句なしだ。

フロントは4POD、

リヤは2PODでおなじみの、
赤い対向キャリパーだ。
交換してフルテストしたが、
その走りに落胆した。

タイトコーナーブレーキング現象があからさまに出て、
変速フィーリングも良くなかった。
マルチプレートトランスファーという、
4輪駆動デバイスは世界初の摩擦を使った駆動力伝達装置だ。
そのシステムは、
改善に改善を重ねられ、
今ではフォレスターの基幹部品として君臨する。
米国のアセントなど、
思いものを牽引する能力迄与えられたが、
その試練にも耐えたシステムだ。
まずトランスミッションのオイルパンを取り外し、

内部のオイルを重力の法則で抜き取る。
この位置から内部を精査し、

オイルの状態が悪くないので、
内部に大きな損傷はないと判断した。

当然ながら最初の点検で新油に交換したので、
コントロールバルブから垂れるオイルの雫に濁りもない。
オイルパンはかなり汚れていた。

オイルを出し切りながら、
並行してオイルパンを精緻に掃除する。

ATFフィルターは外付けなので、
一緒に交換して余裕を出す。

交換したのはこれだけだ。

とはいうものの、
このプレッシャープレートの交換は、
普段あまりやりたがらない面倒な仕事だ。
ドライブプレートと、
ドリブンプレートが交互に組み合わされている。

見ての通り外側で噛むプレートと、
内側で噛むプレートに分かれていて、
それぞれ駆動する側とされる側に当たる。

これにオイルプレッシャーをパルス制御し、
連続可変でトルクを伝える。
それにより、
スムーズな駆動力伝達と、
接続切断が瞬時に可能になる世界初のシステムだ。
一見問題なさそうだが、

精査すると表面に高い熱がかかった痕跡がある。
全て交換し、
ATFを圧送交換したら、
それまでの問題がきれいさっぱり解決した。
そしてゴールドのホイールを改め、
最新カラーのマグネタイトグレーを与えた。
そしてコンチネンタルタイヤの、DWS06を履かせたら、
まさにとびっきりのスポーツツアラーに生まれかわった。
まさにレヴォーグのご先祖様として、
人々の脳裏にくっきりと焼き付ける存在に蘇った。
嬉しいね。
また凄い奴を復活させることができたよ。
動画もぜひ楽しんで欲しい。