先日、東京から岡田さんが来訪され、美味しい蕎麦を所望された。
中津川の蕎麦は今問題を抱えている。
ちょうど一年前にあお木が閉店し、蕎麦文化の炎が弱くなった。蕎麦文化にも様々な違いがあり、
開田高原の流れを汲むあお木が大好きだった。
江戸前に詳しい岡田さんを、
また「わくり」に案内するのも芸がない。
そこで越前蕎麦を、
中津川風にアレンジした「幸」を選んだ。
舌の肥えたエグゼクティブを、
期待はずれにしたくない。
敢えてザルではなく、
「梅とろろ」を選択した。
お互いに好みが合う。
しっかりと経験を積み重ねた、
とても良質な味に育っていた。
中津スバルからも近いので、
中津川を訪れたら一度味わってほしい。
昨日のラリー会場でヤリスGRの姿を初めて見た。
さすがにトヨタが元町工場で作るだけあり、
素晴らしいクオリティのマシンに仕上がった。
この姿を見る前に、
スーパーSSを俯瞰して走行する様子をチラリと見た。
この時に思いのほか地味に感じた。
それは意外な印象だった。
そのあとで恵那市役所の駐車場で、
ひっそりと佇む姿を見逃しそうになるほど、
威圧感の無い上品な仕上がりだ。
張り出したフェンダーにこの車格からは、
とても逸脱したサイズの靴を履いている。
これぐらいの印象で抑えた事が、
かえってトヨタの底力を印象付ける。
でも、
まだ自分のお金を払ってまで買う価値は無いな。
今年のオートサロンで見た時に、
思わずローンチカスタマーになりそうになった。
時計を買うようなわけにはいかないので、
そこまでで思いとどまったが、
結果は正しかった。
この後が大切なんだ。
きっと世界で勝利を積み重ね、
素晴らしい伝説を作るはずだから、
それ以降に存在感を出すだろう。
セリカ以降で演じた愚策を、
彼らが忘れているはずがない。
トヨタファンがGRブランドを大切に育むよう、
トヨタは覚悟して商品開発を続けるはずだ。
そして、
いずれこれが本物になれば、
喉から手が出るほど欲しくなるに違いない。
その時、
GRブランドは確実にトヨタを超えるだろう。
豊田章男凄い男だ。
それを平気でやる。
そして国内のチャンネル再編を成し遂げた。
納得させるロードマップを見せたのだろう。
TOYOTA
LEXUS
GR
と三つのブランドの将来像を明確に示したはずだ。
今のスバルは残念ながら「残り火」で暮らす。
あきらめてはいない。
いずれユトリじゃないホンモノが、
スバリストを喜ばすような心意気で、
国内マーケティングを引っ張るだろう。
そのロードマップが見えないけれど、
それで終わる企業じゃない。
新型レヴォーグは「残り火」を食い尽くす所業で、
何とか正当な評価を受けるに至った。
だが、
こういう真似は今回だけに慎むべきだ。
量産車に安易な気持ちでSTIを用いると、
「残り火」さえ潰えて、
二度と灯る事は無くなるだろう。
そしてトヨタに良い勉強をさせただけで、
ユトリ連中がスバルを破滅へと導く。
破滅させるのは簡単だ。
本来の魅力は何かと、
必死になって寝食も忘れ、
没頭することを放棄すると、
暖簾など簡単に失われる。
絶品のうな丼を食べに行った。
一度味を落としても、
再び蘇る老舗もある。
今日は東京から来客があり、
ステキなお土産を頂いた。
封を切るのが楽しみだ。
ありがとうございました。
ちょうどお昼になったので、
中津川の蒸していない鰻のかば焼きを使食べた。
寄る時代の荒波を受け、
和牛の料理にも手を染めたが、
うな丼の味は胸を張れる。
その「客人」は酒を飲まない代わりに、
和菓子が大好物だ。
栗きんとんも大好きだが、
栗粉餅の美味しさを聞きつけ、
それを所望された。
中津川には和菓子の大店が多く、
この店の先も有名な伝統ある和菓子屋だ。
だが、
あえてこの店に案内した。
からすみの暖簾を守る佐和屋は、
店の間口に似合わぬ、
味の奥深さを極める店だ。
客人の奥方に、
どうしても白砂糖のカラスミを食べさせたくなった。
これは「外の人」には敷居が高い。
カラスミと聞くだけで、
ボラの卵を思い出す人の方が多いからだ。
佐和屋の凄さは、
店頭でカラスミをかいしきに載せる瞬間に見て取れる。
素朴な味で忘れられなくなるが、
日持ちしないのが難点だ。
日持ちする作り方もあるが、
子供のころから慣れ親しんだ味とは異なる。
客人は落胆した。
栗粉餅のシーズンが終わっていた。
その代わり、
中津川の銘菓の一つが登場していた。
売れるからと言って、
あれこれと作らず、
売り切る量に集中し、
季節を大切にした菓子作りが魅力だ。
このお菓子は「杣の木漏れ日」として、
「満天星一休」が全国にその味を知らしめた。
ただし、
一休だけの銘菓ではなく、
様々な和菓子屋が挑戦し中津川の銘菓に育てた。
ところが、
味の格差が大きすぎて、
簡単に「杣の木漏れ日」以外を紹介できなかった。
客人は「ここで買う」と、
思わぬ事を言った。
見る目があるのだろう。
しかし、
この菓子の味を試したことがなかった。
連れてきた以上責任があるので、
一つ購入して客人の目の前で食べた。
美味い!
実はこのお菓子、
干し柿の選択が非常に難しい。
良い市田柿の生産者と付き合いがないと、
容易に作ることが出来ない菓子だ。
これは美味い。
味は保証する。
そういうと客人は嬉しそうに帰っていった。
会社に帰ると、
岡田さんから頂いた治一郎のバームクーヘンが封切られ、
社員全員に配布されていた。
さすがに舌の肥えたエグゼクティブは、
自らが選ぶブランドにシナリオを添える。
治一郎は浜松にあるヤタローグループの持つ、
本流の中で別格を構成するブランドだ。
大手と競合せず自前の道を切り開くと言うが、
菓子屋の中ではかなりの大手だ。
しっとりとしたバームクーヘンに、
大量生産品とは異なる魅力を感じる。
大量に作るのだが、
大量生産品とは違う。
スバルのユトリ連中は、
相変わらずSTIを舐めている。
大量生産品にSUBARUと並列して、
STIの名をつけたりしないことだ。
ヤタローが治一郎を別格にするように、
キチンと線引きする必要がある。
レヴォーグで禁じ手を使った以上、
「二度としない」と約束し、
もっとSTIブランドを尊重すべきだ。
そしてSTIがブランドの道を外そうとしたとき、
横からそっと口を挟む心根だけを持つことが大切だ。
さあ、
いよいよここからだ。
「S」に向かおうじゃないか。
辰己英治、
彼は普通の男じゃない。
今年の一月、
その男が壇上に引っ張り上げられた。
そうなった以上、
彼が納得しないクルマを売るはずがない。
そう思った。
勘は当たった。
ズバリ「ニュルで通用する」と思った。
ここ10年以上STIから消えた味が戻った。
老舗の味だった。
嬉しかった。
でもね、
逆に言うと大変なんだよね。
今のスバル開発本部には、
STIで味の作り方を覚えた凄い奴がいる。
昨年乗った欧州仕様のレヴォーグも、
今回生まれたレヴォーグのSTI Sportも、
STIでは作れぬ味になっている。
逆にSTIには辰己さんに続く、
次のキーパーソンがまだ育たない。
インプレッサSPORTは、
辰己さんがいたから良いクルマになったが、
シーズンごとに売れる量の「S」だけを、
継続して作り続ける土壌がない。
だから分かるんだ。
「S」への道は、
まず基礎開発から始めねばならないだろう。
STIの黎明期に、
初代社長の久世さんたちが練り上げたマザーモデルが、
ひょんなことから中津スバルにやってきて、
4度目の女性だけのラリーにチャレンジした。
このクルマが産まれた頃、
SUBARUもSTIも職人技で開発を続けた。
その後「S」が誕生したのも、
そうした苦労の結晶なのだ。
過去を振り返ると現在がよく見える。
このラリーカーは、
余生を身の丈に応じた競技で過ごしながら、
きっと嬉しく感じているはずだ。
群を抜いた存在感と、
圧倒的な耐久性は一朝一夕では生まれない。
これまで一切トラブルもなく、
存在感溢れるサウンドを会場に漲らせる。
コンチネンタルと組み、
普通に入手できる旬のタイヤを使うのも、
そのポリシーの一環だ。
お客様に安心してお勧めできるように、
例え女性とは言えども、
本気で戦う場に投入する。
タイヤを見た参加者は皆驚くそうだ。
「ラリータイヤじゃないんだ」
そう、
コンチネンタルは普通のタイヤ。
そう、
白いWRXは普通のセダン。
だけどね、
どちらも筋金入りの本物なんだ。
それらを中津スバルの身の丈に合わせ、
継続は力と胸に刻み、
これからもクルマ文化の醸成を目指す。
このようなスバルやSTIが大好きなんだ。
さあ、
SUBARU国内営業のユトリ諸君、
油断は禁物だ。
本来の企業風土が、
再び国内に湧き上がる日を待ちたい。
気持ちを引き締め、
もっとしっかり働きなさい。