最近は旅に出ると、
まず最初に仕事が頭に浮かぶ。
かわら版を発行した翌日だが、
もう3月号のことで頭の中がいっぱいだ。
最初からこの船に乗ろうと思ったわけじゃなかったが、
浅田さんに頂いたラーメンのこともインデックスになったのだろう。
偶然見つけた好適地で、
カメラを構えシャッターを切っていた。
丁度その波止場から、
デカいフェリーが出向していった。
へえ、
三河に向かうのか。
この日は、
スタッドレスタイヤが必要ない場所を目指した。
全然と言って良い程レヴォーグを運転して無いので、
1000kmも超えたことだし、
少し元気よく走らせようと思った。
そうなると、
高速道路を東へ向かう理由が皆無だ。
トリップメーターをリセットして、
インターチェンジに入った。
天気は回復しつつあったが、
路面は完全なウエットだった。
西へ向かう長所は他にもある。
恵那山トンネルに向かうと塩だらけになる。
ところが西へ向かえば、
塩だらけになるほど深刻な路面状況じゃない。
快調に飛ばし前走車が居なくなった。
再び前に車が現れたので、
後ろを確認して車線変更し、
マイペースで追い抜きを掛けた。
追い抜いてからルームミラーを確認すると、
怒涛の勢いで迫りくる凄味のあるSUVが居た。
解らないでもない。
あの手のクルマに乗って、
前走車に追いつくと、
蜘蛛の子を払うようにどいてくれる。
スバルで追いついても無視するケースが、
こちらがベントレーだったりするとドンドン避ける。
この辺りが日本の狂ってるところだね。
欧州では第三車線を安定して飛ばすために、
高速走行性能を重視した高額車両を購入する。
だから「速いクルマ」が速く走るのは当たり前のことなので、
よほどガラガラじゃ無ければ、
普通のクルマは追い越し車線など走らない。
そして速度制限が無いからと言っても、
ほとんどのクルマは120~130km/hくらいで、
真ん中の車線をしっかり走っている。
そして速いクルマは、
しっかりヘッドライトを点けて、
もし第三車線にクルマが居て、
それに高速で近づきつつあると、
早めにパッシングして自車の速度を知らせる。
それは煽りじゃないんだよ。
道路工事も論理的だ。
こんな無駄なこともしないしね。
日本では工事規制のやり方も、
幼稚園児を預かる保母さんを思い浮かべるほどだ。
幼稚な旗振り人形まで置いてある。
いくらするのか知らないけど、
無駄そのものだね。
話を戻そう。
怒涛の勢いで近づくSUVは、
とても低く構えたカイエンだった。
早速走行車線に戻り道を譲ると、
元気よく追い抜いて行った。
道を譲ったのですぐ前のクルマが迫った。
それを追い越すために、
再び追い越し車線に出た。
追いかける気はなかったので、
マイペースで追い越して、
再び走行車線に戻りながら、
カイエンが道路の目地を踏む挙動を見ていた。
リヤサスの動きが少し硬く、
あまり好きではないセッティングだ。
そしてカイエンはコーナーの向こうに姿を消した。
そのとき、
レヴォーグのヘッドライトが、
オートモードだった事を思い出した。
前の夜に帰宅する時、
新しいLEDランプの点灯特性を確認した。
オートモードが好きになれず、
いつも点けっ放しにしている
普段から昼夜を問わず100%ライトONだ。
ライトのスイッチをオンにして、
先のコーナーを抜けると遠くにカイエンが見えた。
するとその先で遅い車が居たらしく、
追い越し車線で減速したので、
意図せず追いついてしまった。
カイエンのドライバーは、
後ろにいるはずがない、
違うクルマが現れたと思ったのだろう。
そのドライバーも基本的なマナーは良くて、
同じように道を空けてくれた。
お言葉に甘えて(笑)、
カイエンの前に出ると、
あちらもレヴォーグに興味を持ったようだった。
そこから暫くの間、
とても楽しいランデブーが続いた。
道路が空いていることもあり、
前の車を追い越しては走行車線に戻った。
カイエンは、
走行車線に入る時もあれば、
ずっと追い越し車線を走る時もある。
危険のない程度に速度を上げた。
こちらはインディビジュアルモードなので、
サスはコンフォート、
エンジン出力はS#、
ステアリングは少しクイックと特別仕立てになっている。
気持ちよく道路の不陸を吸収するので、
高速領域でも全くナーバスではない。
かたやカイエンは、
あのリヤサスの動きから想像するに、
時折どれか一輪のグリップが抜けるので、
結構ワナワナアと扱いにくくなっているハズだ。
結局何かヒヤッとしたことでもあったのか、
突然距離を置いて走り始めた。
そのすぐ先には東海環状道路のジャンクションがあり、
左のレーンをキープして、
カイエンとはそこでお別れになった。
その後もインディビジュアルMODEで楽しく走り、
伊勢湾岸道にやって来た。
最近月に一回程度この道を走るので、
南にドンドン向かって暖かい場所を求めた。
道路が混んできたので、
スバル得意のアイサイトXのスイッチを入れた。
以前のアイサイトに比べ、
遥かにナチュラルで素晴らしい動きだ。
その理由は、
このセッティングをスバルドライビングアカデミーが担当し、
あくまでもヒューマンスキルを優先して、
クルマの挙動を考え練り込んだからだ。
とはいうものの、
このようなギミックに頼るのは、
やはり急な眠気を催した時とか、
食事の後などの予防措置だけだと改めて思った。
いつもこのような装置をありがたいと思うようでは、
クルマ好きとしては納得した走りを楽しめない。
10kmくらいの間で作動させたが、
少しも楽しくないのでスイッチを切った。
でもね、
それが付いてる安心感は、
とてつもなくデカいんだ。
勘違いしないで欲しい。
ただ退屈なだけだ。
この日は最初から最後まで、
エンジンに火を入れたらインディビジュアルモードへ。
徹底的な全開走行をしたわけでは無い。
あくまでもカイエンとランデブーを楽しんだだけだ。
燃費なんてどうでも良いので、
とにかく納得できる走りを楽しんだ。
ストレスがたまらずカラダに優しい。
やっぱりクルマはこうでなくっちゃ。
以前のFB16DITとは、
やはりパンチが違うし、
とにかくクルマの質がべらぼうに高い。
朝一番で暖気するだけで、
これまでのスバルの雑だったところが、
一気にフォーカスされてしまうほどだ。
静かな波打ち際で写真撮影に没頭した。
色々な船が出ていく。
ここはロケーションが良いと直感して、
近くに居た人に大丈夫かと尋ねた。
少しくらいならクルマを撮影しても大丈夫だと聞き、
夢中でレヴォーグを撮影していた。
かわら版を作りながら、
改めてレヴォーグの持つ造形の豊かさを実感した。
前のモデルより郵便ポストが控えめで、
堀の深い顔立ちにつぶらな瞳がキリリと美しい。
まさにオリビエブーレー以来の美人顔だ。
その後はバタ臭さが良さを出したが、
今度の造形美はエンジンの小型化や、
新しいボディ設計の賜物で、
漸くデザイナーがデザインらしさを余すところなく発揮できた。
そんなことを感じながら、
写真を撮っているとブーと汽笛が鳴った。
何が出航するのかよく見たら、
ここに来た時から気になっていた、
向かい側に停泊していた、
不思議な形の船が一隻動き始めた。
綺麗に維持されているので、
その辺の釣り船じゃあないはずだ。
ひらがなの船名と言うことは、
公共活動に従事してるのだろう。
IBKって何だろう。
思い浮かばない。
SUBARUが好きそうな名前なので、
気になってしょうがない。
何しろSUBARUをSBR、
OUTOBACKをOBKと略し、
スバル内部どうも社員まで全て3文字で識別されるらしい。
それはトップシークレットなので、
あまり外に漏れないようだが、
例えば岡田はOKDらしい。
となると中村はNMR豊田はTYTなど、
様々な暗号分析が必要になる。
話を戻そう。
IBKはなかなか速い。
軽快に走り去っていく。
と思ったら、
全く同じ船が戻ってくるじゃないか。
こんなこともあるのかと、
嬉しくて手を振ったが、
乗組員は気が付かないのか反応は無い。
と思ったら、
大きく弧を描いてこちらに向かってきた。
これには偶然とはいえ驚いたよ。
演出でも何でもない。
本当にレヴォーグの真正面に来て、
錨をゆっくりと降ろした。
一瞬叱られるかと覚悟したが、
こちらが済みませんと言う前に、
「デッキに水を掛けるのでかかるかもしれません」と、
丁寧に知らせて頂けた。
全然かまいませんと答えながら、
このインテリジェンスの高さは普通じゃないと感じた。
思い切って隣に並べて、
どういう船か尋ねると、
消防船ですと教えて戴けた。
IBKは伊勢湾防災株式会社の略称で、
万が一の船舶火災に備え洋上で絶えず活動しているのだ。
写真を撮らせていただき、
本当にありがとうございました。
高性能なクルマには自然の風景も似合うが、
命を張ったプロ集団の機材にも限りなく融合する。
こんな様子を見ていると、
船に乗りたくなるのも当たり前だ。
それに新型レヴォーグにも船の楽しさを味わわせたくなった。
以前初乗りした五代目レガシィツーリングワゴンDITも、
最初に青森から北海道まで船旅させたからね。
早速チケットを買ってフェリーに乗り込んだ。
海洋国家「日本」の海運力を舐めちゃいけない。
もっと乗らないと損だな。
見直さなきゃ。
海はいいなあ。
潮風でべとべとになったけど、
デトックスされた気分に満ち満ちた。
ふと見たら「しょうりゅう」が居るじゃないか。
かなりの高速ですれ違って、
いつの間にか海の銀座に居ることに気が付いた。
凄いな。
外洋に向かうRORO船の前に、
港に向かうコンテナ船が見える。
その前のどでかい箱のような船は自動車運搬船だ。
コンテナを一杯積んでどこに向かうのか。
中身も色々だろう。
外洋に向かう大きな船は何かな。
凄い。
まさに海路とはレールのない軌道そのものだ。
伊良湖が見えてきた。
まるで化学特捜隊でも居そうな建物が見えた。
あそこからジェットビートルが飛び出すのを見たくなった。
ウルトラマンが現れそうなシチュエーションだな。
伊良湖にはユニークな施設がある。
このHPを開くと、
リアルタイムに通過する船が分かる。
先に知っておくべきだった。
これがあればさらに楽しめたかもしれない。
436kmの旅は実に収穫が大きかった。
それは「デトックス」だ。
スバルはやはり内燃機で勝負する会社だ。
NOxを吸蔵する仕組みを利用し、
新たな触媒を2個搭載した。
基本的にEGRで排気ガスを還流させれば、
それが増えれば増えるほど燃費の理論値向上する。
ところが燃焼理論は奥が深く、
あれを立てればこちらが立たない。
そこをデトックスさせ、
超一流の内燃機を作り出した。
確かに素晴らしいエンジンだった。
スバルの新型車には、
やはり絶対に新型エンジンが必要だ。
色ぐらい我慢しなきゃいけないね。
そう思うに至った良い一日であった。
それでは動画をご覧いただこう。