何事も終わりが大切だ。
詳しくは動画で読み取って欲しい。
まだ春も遠い頃、
キャリアカーの下に奇妙なものを見つけた。
いつの間にか、
小さな堰堤が出来ている。
何のために?
水を堰き止めてどうするのかと思った。
桜の花が咲く頃、
突然河床が変化を見せた。
キャタピラーの跡があるから、
誰かが重機を持ち込んだのだろう。
凄いな。
どうやって降ろしたんだろう。
綺麗にはなったが、
石亀は逃げられただろうか。
重機を降ろしたのではなく、
この橋の下を潜り抜けて来たそうだ。
流石にプロは凄いな。
橋の下流側にも堰堤がある。
向こうに丁張が見えた。
何かが始まるんだ。
間もなく工事が始まった。
橋の直下から堰堤までが均された後、
本格的な工事が始まることになった。
既に桜が切られたころから、
その下流では改良工事が始まっていたのだ。
下から進めないと具合が悪いのだろう。
藪が広がり川との境界があいまいだった場所だったが、
いつの間にか護岸が出来上がり、
くっきりとSの形になっていた。
この時初めて工事関係者の方とお話しできた。
もう少し直線で改修したいが、
コンクリート構造物の撤去が認められないらしいと聞いた。
そしていよいよ、
橋の下流の工事が始まった。
住宅が立ち並び、
もはや待ったなしなのだ。
何か手間取ってる様子だった。
図面に無い構造物が現れたらしい。
随分前にも大きな工事があったと初めて知った。
この堰は相当深く設置されていて、
全くの想定外だったと言う。
まさに男の仕事場だ。
おい動かせ。
現場の大将がバケットに飛び乗り、
果敢にコンクリートの塊に挑んだ。
が、
簡単に歯が立つようなシロモノではなかった。
エアツールでは限界かな。
エアーコンプレッサーは御用済みとなった。
小型重機が投入された。
圧搾空気より遥かに威力があり、
あれよあれよという間に、
厄介な構造物は姿を消した。
中途半端な工事だと、
大きな水流に耐えられない。
異物を丁寧に取り去ると、
住宅のある左岸から改良が始まった。
橋の直下で川の水をホースで迂回させ、
深く掘って河床を安定させた。
掘削していくと、
この辺りが如何に危ない場所かよく解る。
遺跡が出るのは当たり前だ。
何千年も前から、
洪水の度に埋もれては再興された場所なのだ。
おびただしい量の土石流で運ばれた岩石が積もっている。
バイパスした川の水は、
ここで解放され工事が終わった下流側に流れていった。
工事の様子を観察し、
記録にとどめた。
橋の上から下流を見ると、
左岸の護岸壁の下が良く見える。
V字型に形成し、
右岸側に移るのだろう。
桜の木が残せないはずだ。
切り倒すだけでなく根まで取り除かないと、
そこから崩落する恐れがある。
工事中に激しく雨が降り、
Vの底辺に水が溜まった。
橋の上から確認すると、
左岸は既に完成し、
右岸も出来上がりつつあった。
人の手で綺麗に整えられていく。
丁張りの重要性がよく解るシーンだ。
一つ一つ丁寧に積み上げて護岸が進んでいた。
そして埋め戻し、
工事は連休明けの5月11日にほぼ完了した。
すると10日後に大雨が降った。
朝7時ごろ天気が急変し、
滝のような雨が降った。
少し小降りになった時、
橋の上から中津スバル側を確認した。
凄まじい勢いだった。
橋から下流側を見ると、滑るように水が流れていく。
足を踏み外さないように、用心しながら左岸の護岸癖の突端を歩いて、川下から橋の下を観察した。橋の下流側から上流を臨むと、
綺麗に橋の下を水が暴れずに流れていた。
改修したばかりの場所を、
物凄い勢いで水が流れていく。
明らかに河床を改修した効果が出ていた。
しかしS字コーナーの手前で、
水が溢れかけているように見える。
真っ直ぐにしたかった理由がよく解る。
落差のおかげで溢れはしないが、
もしこの先でバックドラフトすると、
この落差が意味をなさなくなる可能性はかなり高い。
工事は終わった。
激しい雨が降った二日後、
ブルーベリー畑を見渡せる、
国道19号線の歩道から六地蔵川を検証した。
まだ見たことは無いが、
この上流には砂防堰堤が幾重にも設置されている。
なので、
流木などは一切ない。
スムーズに水を流し落とせば、
この辺りで浸水被害を出す可能性は減った。
ガタガタだった橋の下も、
大水のおかげで平らになった。
激流の下から骨に響くような、
岩石がぶつかり転がり合う音が聞こえた。
でも四角い何かの残存物は、
しつこくその場に留まったままだ。
奥歯に何かが挟まったように、
ちょっと気になるけど、
橋の下流側も綺麗に整って爽快な河床になった。
水が溢れそうに見えた場所も、
落ち着けば危なくはなさそうだ。
じゃあ、
S字の先はどうかな。
護岸の無い場所が僅かに残っている。
崩落した爪痕が痛々しい。
田んぼの水が溢れたんだ。
ツルヨシも茂り水の流れを拒んだのだろう。
その先に線路がある。
手前が名古屋方面上り線だ。
ここを激流が下る。
ちょうど下りの電車が来た。
後から下り線が出来たので、
二つには段差がある。
二つの線路の間を流れ落ちて、
水はその先に向かうが、
そこからは急な山の斜面になる。
登りきると丘陵が広がり、
そこにリニアモーターカーの車両基地ができる。
護岸されたこの先で、
右から低い場所に沿って流れてきた、
もう一つの千旦林川にぶつかる。
川がT字路になるのだから、
豪雨時には合流などという生易しいモノではなく、
人家の手前で千旦林川と、
左側から流れ込む六地蔵川が直角にぶつかる。
まさにバックドラフトの可能性をはらむ場所だ。
濁流の痕跡が生々しい。
60年間くらい、
この場所で洪水は起きていないが、
ずっと安全とは言い切れない。
なので、
日頃からしっかり観察して、
モノの道理を掴む必要がある。
今日、
ショールームを入れ替えた。
新しい気持ちで土曜を迎える。
かわら版をお楽しみに。
それでは、
また明日。