
綺麗な蛾だ。
名も知らぬ美しい訪問者が、
また工房にやってきた。
排水溝のすぐ上なので、
このまま流されたら可哀そうだ。
相当元気良く飛び回ったように見受けられるので、
そろそろ命の灯火が消えそうなのかと思いきや、
元気よく空へと舞い上がった。
美しい虫ばかりではない。
昨日は早朝会議を開いたので、
全てが一時間前倒しとなり、
朝起きた時には真っ暗だった。
ネコが来たようだ。
丁度起きなきゃいけない時刻に、
陸斗が吼え始めて目が覚めた。
真っ暗な中、
家の周りを一周点検しテーブルに座ったとたん、
左の脇腹でチクリとかゆみを感じた。
そっとTシャツをめくると、
肌の上に黒い点が見えた。
咄嗟に指で押しつぶそうとしたら、
ぴょんとはじけて消えた。
くそぅ!取り逃がしたか。
殺虫剤撒いてムヒを塗ったが、

夜になると予感したように腫れた。
いわゆる「嫌なかゆみ」なのだ。
蚊に刺されると即座に腫れ、
強いかゆみに襲われるが、
比較的長続きしない。
それに対して、
この手の虫は最初は軽度で徐々に酷くなる。
思い出した。
その前の土曜日の朝は、
着用したツナギの左袖口から、
腕の中に細かい蟻が入り込んだ。
ブルーベリー畑の株周りに潜む、
細かな茶色の蟻は質が悪い。
刺激を受けてラジカルになると、
手当たり次第に刺す。

この時もチクリとしたのでそっと袖口をめくると、
この場所に一匹蟻が居た。
その日は何ともないのに、
予感した通り一日経つと大きく腫れあがり、
刺された口が目立ち始める。

今日になるとお決まりの水ぶくれが現れた。
ここから体液が出始めるはずだ。
中のたんぱく質を分解させる酵素を持ち、
組織に浸潤するので体内の免疫が緊急出動する。
蟻だと馬鹿に出来ない。
あの細かい奴は、
黒い蟻のように可愛くないのだ。
蟻ほど不思議な生き物はいない。
ジョージ・ルーカスは、
蟻を見てストームトルーパーを思いついたのかもしれない。
今朝も早起きして陸斗を走らせた。
今日は急遽入った仕事の調整が必要で、
連日の早出となった。
慌てたので忘れ物をしてしまった。
アイフォンだ。
今やこれが無いと地図さえ分からない。
けれど、
束縛されるのも嫌だった。
ならば、
今日の出張には帯同しない。

無きゃ無いで何とかなるものだ。
一度だけ公衆電話を使ったが、
後は何も困らない。
でも、
カメラくらいはもってくべきだった。
そこは凄い拠点だった。
眼の前にローラーコースターが現われ、
空中回転する場所に臨むのだ。
ギャーという悲鳴も凄いが、
ダイナミックに宙返りする椅子を見て、
小便をチビリソウになった。

何とか気を取り直して玄関を開けると、
何とお土産を用意された店長がお待ちになっていた。
山梨スバル富士吉田店にお邪魔した。
凄い立地のお店だった。
あれを毎日見ていたら、
ローラーコースターシンドロームなど吹き飛ぶはずだ。
店長の川口さんとは、
古くからの知り合いだったし、
新たに社長として赴任されたのは、
これまた以前から親交のある森田さんだった。

ステキなお心遣い、
ありがとうございます。
今日は陸斗が待ってるので、
トンボ返りするしかなかった。
また改めてお礼に伺います。
帰社すると今日の素材が用意されていた。

テストして良かった。
少し違和感を感じたのは、
4番のプラグに不具合が生じたからだ。
早速走行後修理して、
次は久しぶりに中津シェライフェを攻める。
こうしたルーティンを大切に、
一日一日を積み上げる。
これこそが生きがいだ。
それでは、
また明日。