思いがけない小包が届いた。

贈り主は落合さんのお姉さんだった。
丁寧な手紙が二通添えられ、
四十九日の法要が滞りなく終わったことと、
ご遺族の希望がしたたまれていた。
それが何かは、
このブログの最後にはっきりと記す。

デスクワークが多い事をご存じなのか、

とても心温まる贈り物だった。

温めると美味しい、
あのお菓子たちがコーヒーと一緒に、
箱の中に箱に詰められていた。
お心遣いを戴き、
恐れ入ります。

昨日は陸斗を連れて、
久しぶりに高原に向かった。
恵那福堂に立ち寄り、
季節のお菓子を携えて塩の里に向かった。
年明けも忙しく、
なかなか自分の時間が作れない中で、
久しぶりに訪問しようとしたところ、
電話を掛けてもだれも出ない。
ちょっとギクリとした。
念のため翌日の定休日に電話したら、
いつもと変わらぬ声が聞こえた。
後で解ったのだが、
火曜定休が月木定休に変わったのだ。
水曜日にそばを食べに行きたいというと、
「予約がないから良いですよ」と快諾してくれた。

予定の時間に到着すると、

正に食べたかった数々の品々が運ばれてきた。

蒟蒻は大好物なので、
白和えが嬉しかった。

煮物も良い味が程好く染み込み、
減塩が効いて美味しい。

おからに入ってる野菜が絶妙で、
歯応えを楽しめた。
そして、
真打の蕎麦をお願いした。
勿論手打ちのざるだ。

女将の打つお馴染みの蕎麦だが、
いつもと何かが違った。

ちょっとワサビ付けて噛み締めると、
とてつもなく香りも良く噛むほどに旨い。
蕎麦は喉越しを楽しめともいうが、
本当に旨い蕎麦は喉越しの前に、
蕎麦を噛み締めたくなる衝動に駆られる。
舌先と鼻腔に、
旨さの電撃が走るからだ。
寒い季節で、
新蕎麦を使い、
ちょっと寒さが緩んだ気候で、
冷たい水を自在に使える事もあろう。
麺の硬さも素晴らしく、
正直なところ鬼気迫るほどの美味さだった。
手打ちと言えど、
高齢な女性が一人で賄う店だ。
時には味のブレもあるし、
その時の気温にも左右される。
物凄く美味しい、
と正直に言うと、
「そう?久しぶりに打ったのよ」と答えが返った。
冬のシーズンで来る人が少なく、
最近は手打蕎麦も休業状態だったらしい。
初めてこの店に来て、
食べた時の驚きが脳裏に蘇った。

ざるそば追加もアリだが、
どうしても掛けが食いたくなった。
シンプルで胃の腑に染み渡る味の良さ。
積み重ねた経験が迸る、
とても美味しい料理だった。
ステキな時間をありがとうございます。
ちなみにこのお店は、
お客様が大量に来店されると賄いきれない。
手打ちそばの準備もしない時がある。
風任せ時任せで、
飄々と商いをされている。
なので、
具体的なお店の紹介は控えたい。
当社に来られたお客様が、
特にと希望された時に紹介したい。
その文化性や、
静かな村で地域密着の姿勢に惚れている。
お店を出て陸斗にご飯を食べさせ、
軽く散歩させた後、
次の目的地に向かった。
留守番しててね。

この温泉も驚愕的な「何か」を潜めている。

その効能が余りにも深いからだ。
コツコツと少しづつ、
「塩壺」と呼ばれる地下の源泉に塩水が溜まる。
それをポンプで組み上げて沸かした温泉だ。
良くある海水系の塩泉とは何かが違う。

塩湯荘さんに無理を言って、
久しぶりの温泉を楽しんだ。
帰りがけにお土産を戴いたので、

家で封を開くと、
自家製の食塩と大好物のチョコレートが入っていた。

女将さん、
ありがとうございます。
大切に使わせて頂きます。
宿泊する人のために、

塩壺の塩水を精製して作る、
とても価値の高い食塩だ。
その美味さは計り知れず、
砂糖で言うならフロストシュガーのようだ。
これを早速犬酒場で使わねば!!

中津川に戻り、
七輪で焼く食材を物色する間、
陸斗を街中で散歩させた。
久しぶりに、
街の中を並んで歩いたら、
陸斗のカラダがまた10%ぐらい大きくなったような気がする。
食材仕入れ家に帰り、

七輪の準備を整えて、
灯油が無くなったことを思い出した。
おい陸斗、
灯油買いに行くか?

あたぼうよ!
とうちゃん一緒に行くぜ!
行く気満々である。
で、
灯油買って戻って、
七輪の火を育てたら、

何となく陸斗の雲行きがおかしい。

食材載せていい匂いがするけど、
変な奴らが現れるんだ。
ボワッてね!!

陸斗の眼にはどんな風に見えるのだろうか。
きっと、
お化けなんだよね。

この顔を見るたびに、
一皮剥くと人間の子供が出て来るんじゃないかと、
思わず笑ってしまう。

ルビットタウンで買った、
クマチクのねぎまが美味そうに焼けた。
何も付けず素焼きにして、

この塩だけで食べる。
柔らかな塩味が堪らない。
苦み成分を含まないからだ。
海水とは違う成分比率らしい。
神秘の塩水から生まれる山塩で、
優れた食材が抜群に際立つ。
炎が消えたら、
犬酒場のマスター、
とっても元気が良い。

お前にはこれがある。
「つまんねー、
今日さんざん食った」と顔に書いてある。
それは失礼。
じゃあ、
永島さんにもらった、
「イイモノ」をあげよう。

やった!
と顔に書いてある。
永島さん、
ありがとうございます。
また「中津のじいじ」のとこに、
息子さん連れてきてくださいね。
飲み物は、

最近ハマッタ檸檬堂。
飲み過ぎないよう、
ロング缶を二本だけ買った。
あさの5時に起きて寒稽古するためには、
深酒は禁物だ。
どの犬も飼い主には忠実で、
それが愛される最も大きな理由だろう。
シェパードは特に飼い主に対する執着力が高い。
一緒に行動できないと、
物凄く不幸にさせる事になると、
覚悟して飼い始めた。
自然に深酒と縁遠くなった。
戻らぬ飼い主を待たせるような目に遭わせたくない。
昨年の3月3日のひな祭りの日に、
冒頭に触れた落合玄光さんから、
一通のメールが届いた。
「代田さんには お話ししておきたい事」
と記されていた。
以前にも触れたが、
もう一度書きとどめる必要が生まれた。
書き出しは、
「ネット公開で個人情報や 関係各位との関わり方
変な誤解をまねかない、姿勢の発信は可能なのか?」
とあった。
最近の風潮を嘆く姿が透けて見えた。
そして彼のアルシオーネに関わる苦労が綴られていた。
彼は、
誰がどんな思いでアルシオーネを作ったのか、
それが知りたくて堪らず、
持てる力をすべて使って接触を試みた。
「私はアルシオーネに35年ほど関わりながら、
どうしても開発者のお話しを伺いたくて
その方法を模索しました。
必要な書類を揃えて申請して、
何度も何度も確認をされて初めて面会の許可を得ました。
30年ほど前の話しですがね」
こうして高橋三雄さんとのお付き合いが始まり、
個人の面会も重なったと記されている。
愛機のアルシオーネを徹底的に分解整備して、
その兄弟まで作ってしまった。

落合さんにとって、
全てが恋人だったに違いない。

三姉妹と名付け、
取材を受けたことを心から喜んでいた。
そして、
メールの意味合いが綴られていた。
「この様なお話しを、
あらためてする事もないかとも思いますし、
代田さんのブログを見てくださる人や、
濃い意味のスバリストの皆様は、
悪用するような人がいない事を信じてます。
が、
一部分チョットスバル好きな方向が捻じ曲がってしまう人には、
要注意かなあとか思いました」と綴られていた。
「自由な国、日本でも、
何かマナー違反が起き易いと思う事。
車を生活の道具だけでなく、
趣味として愛着の深い人は、
オーナーならば、
なんでもしても許される みたいな
勘違いをしている」
何か最近、
他所の業界で起きたことを暗示しているようだ。
「メーカーやディーラーさんに、
クレームばかり出しても平気みたいなヤツ。
車の価値を売り値で吊り上げる業者。
どうにも 理解不能です」
この辺りに怒気を感じた。
そうか!
彼はレスキューに行ったのだ。
「今回のレオーネの取材や個人情報のネット公開は、
心配な面もありましたが、
私もこの先そんなに元気ではいられないかもしれませんし、
病気して長く治療がかかり弱気になりそうな時に、
好きなレオーネに乗って高橋先生を訪ねてみたいのだ、、、、を支えに、
頑張りましたし、何かもしかしたら他の人で、
同じような気持ちの人も元気になってくれるかもしれないからと、
思いきりました」
このレオーネをどこで手に入れたのかは、
言いたくも無い、という怒気を感じたので、
それ以上は聞かなかった。
「ネット公開の情報の時代
良い 悪い 大変でございましょうが、
どうぞ信念のご発信なさって下さい。
分かる人は伝わるから」
続けて高橋開発担当部長の近況が綴られていた。
「高橋先生も一時期入院したりとか、
健康不安なお話があり、
面会申請して、ご返信を頂くまでは、
こちらも不安でたまりませんでした。
まだ黒いふちどりはきてないぞ〜
そしたら〜
直電話でご返事が、
『おぉっ!すぐ来いって』言われる」
ここでやっと、
そこまでのいきさつが分かった。
落合さんは、
高橋三雄さんの代表作はアルシオーネでは無く、
最後のレオーネであることを敬っていた。
それで、
会わせたいクルマを探し出して、
キレイに整えた上で連れて行ったのだ。
「それで平日の午後、
少しだけ面会に上がりました。
どうやら大変だったのは奥様の方で、
在宅看護をなさっておられました。
ご本人は米寿になって『足が痛い』とか。
お元気でした。
レオーネを 現在見て
凄く感激されてました。
しばらく 絶句。
それから おもむろに、
作り手、売り手、乗り手、
たくさんの人の真面目な手。
それらがなければ、
こんな仕事は出来ない。
作らせていただき、
ありがとうございました。
アルシオーネは、
少しだけごめんなさい。
ですって。
なんかね、
ソラに向かって話してた。
私に向かって、
よく残していただき感謝申し上げます。
末永くよろしくお願い申し上げます。とか。
え〜
どないしましょう。
簡単に廃車できんわ。
頑張る理由がまた一つ。
元気でいて下さい」
iPhoneproMax256Blueから
今日もこうして読み終えた後、
改めてこの言葉を振り返った。
「ネット公開の情報の時代
良い 悪い 大変でございましょうが、
どうぞ信念のご発信なさって下さい。
分かる人は伝わるから」
大変な遺言を戴いたが、
ご遺族からの依頼なので、
消えた主を求めて、
毎日彷徨うクルマにしないと決めた。
正式におまかせ戴いた暁には、
公開できる場を作りたいと考えている。
やはりクルマは家畜だ。
今日も家畜に相応しい、
黒いクルマを紹介したい。
お酒飲みながら、
是非、
落合さんのお人柄も偲んでほしい。
とても楽しいクルマです。

それでは、
また明日。