ドイツに着いてから、最初の動画配信で躓いた。
おかしい!
夕方アップした動画が、
一晩経ってもアップロード中だ。
イモトのWi-Fiをエクスコムグローバルから借りたが、
要求性能を満たさなかった。
フルスペックの契約にも関わらず、
着いた早々の動画がアップできないばかりか、
容量を使いすぎるので速度制限が掛かると言う。

10カ月前には、
こんな不始末は無かった。
どうしちゃったんだろう。
これじゃあ、
信頼して使えない。
暫く使ってからなら「使いすぎ」もわかるが、
一発目でこれでは、
ちょっと頼りないね。
そんな要求性能を満たさぬWi-Fiとは真逆だった。
最新型のZD8を徹底的に乗ってからなのに、
最後に乗ったBRZは想像以上の性能を見せた。

抜群のシャシ設定だ。
ドイツには古くからヨーロッパに於ける研究開発を司る、
スバルテクニカルセンターヨーロッパが存在する。
販売を統括する拠点はベルギーにあり、
その二つが高機能にヨーロッパ全体を眺めている。
テクニカルセンターにはローカルスタッフも勤務していて、
彼等は当然クルマが大好きだ。
その中の一人が、
シニアエンジニアのマックスさんだ。
明るい笑顔が魅力の好青年だった。
彼がニュルを走るWRXやBRZの面倒を見ている。
人柄がにじみ出る、
とても素直で重厚感のある仕上がりだった。

向い側に見えるWRXも素晴らしかったが、
このBRZも負けず劣らず楽しい仕上がりで、
あっという間に虜になった。
勿論エンジンも駆動系も全くノーマルだ。
但し彼等がオールドコースを自由自在に走れるように、
徹底的に飼いならされたステキな家畜だ。
100mも走らないうちに、
手綱を引いて真っ直ぐNBRに行きたくなった。
このクルマの味は動画を見ればわかるだろう。
車窓を流れる景色が滑らかだ。
スバルはSDAという組織を持ち、
運転技術の研鑽を通じて、
素晴らしクルマの開発を続けている。
ディーラーベースでも、
例えば名古屋スバルには歴史ある「自動車部」があって、
モータースポーツを通じた自主研鑽を続けている。
そんな取り組みが、
ヨーロッパの開発拠点にも存在し、
その「練習車」としてスポーツカーを飼っている。
素晴らしい事だ。

ブレーキはノーマルだが、
軽量なBRZにとって不都合はない。
相当なレベルでオールドコースを走ってる。
WRXは通常のシートベルトも持つが、
このBRZはフルハーネスしか装備していない。
ところが、
座ったとたんにカラダが馴染む。
いいな、
このBRZ。
可愛い奴だな。
丁寧に飼われていることが良く解った。
フランクフルトにある日本料理店「満月」で、
久し振りの再会を祝った。

スバルテクニカルセンターヨーロッパでは、
日本人の技術者がヨーロッパ市場のリサーチも含め、
最先端の自動車技術の開発を続けている。
向かって右がセンター長の田部泰一さん、
左へ村松雄也さん、
永末岳さんと並ぶ。
お二人ともエンジニアリングマネージャーで、
末永さんは今年の4月からドイツに赴任された。
ヨーロッパの最前線で活躍する、
スバルの戦士たちに期待して欲しい。
「本場」での積極的な活動は、
中島知久平に端を発する、
スバルの原点ともいえる精神なのだ。
彼等には知久平の魂が宿っている。
中島知久平は海軍からヨーロッパ視察を命じられ、
フランスに単身渡った結果、
日本の国内の視野の狭さに危機意識を抱いた。
大艦巨砲主義に明け暮れる軍部に嫌気がさし、
航空機兵力を主とすべしと訴えた。
それに耳を貸さぬ軍部に愛想をつかし、
仮病まで使って退役し中島飛行機を創設した。
そんな凄い男は滅多に居ない。
知久平は弩外れた行動力を持つ男だった。
明らかに日本史の中で、
「中島」は軽んじられている。
確かに恐るべきベンチャー企業ではあったが、
モノづくりの「要求性能」を軽々と飛び越える凄さを持っていた。
その凄さは脈々と受け継がれ、
スバルは正当な評価を日々積み重ねている。
日本人として誇りに思う。
スバルの輝きをこれからも期待して欲しい。